これは実話?!凄惨な人身売買を描く「闇の子供たち」ネタバレあり

闇の子供たち フライヤー

こんにちは。エンタメブリッジライターのしおりです。

今回は、社会派映画「闇の子供たち」についてご紹介します。

「闇の子供たち」は、タイのまだ初潮さえ迎えていない児童の人身売買(性的搾取、臓器売買)に焦点を当てた映画です。

思わず目を背けてしまいたくなるショッキングなシーンがたくさんあり、観ているうちに気が重くなってしまうかもしれません…。

テーマがテーマだけに、賛否両論巻き起こった問題作の側面もあります。

タイでは「イメージダウンに繋がる」などの理由でこの映画は上映禁止になりました。

しかし、私はあえてこの映画をオススメしたいです。

それでは早速始めていきますね。

1.「闇の子供たち」の作品紹介

公開日: 2008年8月2日 (日本)
監督: 坂本順治
原作: 梁石日
原作本:闇の子供たち
出演者:江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡

第43回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭正式招待作品。
財団法人日本ユニセフ協会、コードプロジェクト推進協議会推薦。

2.「闇の子供たち」のあらすじ

闇の子供たち チェンライ
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

続いては「闇の子供たち」のあらすじをご紹介します。

「闇の子供たち」のあらすじ(ネタバレなし)

新聞社のタイ駐在員、南部(なんぶ/江口洋介)は、違法臓器移植で、タイの子供が「生きたまま殺される」という特報をつかみ、闇ルートで情報を探っていきます。

一方で、純粋にタイの児童の教育や生活向上の役に立ちたい恵子(宮崎あおい)は、バンコクの社会福祉センターで働くこととなりました。

ミャンマー国境付近の山岳地帯やバンコクのスラム街から、次々とタイ北部のチェンライの売春宿へモノのように売られていく子供たち…。

売春宿の監禁された8歳ほどの子供たちは、毎日欧米人や日本人観光客の性奴隷となっていました。

また、臓器提供のため生きたまま殺されたり、AIDSを発症した子はモノのようにゴミ袋へ入れられ捨てられていました…。

闇に生きるタイの子供の実態…

組織ぐるみで子供の性や命を搾取するマフィアたちと、南部、恵子、フリーカメラマン与田(妻夫木聡)が加わって奮闘するものの…。

その衝撃の結末とは?!

「闇の子供たち」のあらすじ(ネタバレあり)

闇の子供たち ミャンマー
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

タイには深刻な児童人身売買問題があります。

ミャンマー国境付近に住むヤイルーン、センラー姉妹は親からブローカーに手渡され、チェンライの売春宿に売られます。

売春宿で子供たちは、殴る蹴る、タバコを押し付けられる、という暴力で支配・監禁され、外国人観光客の性奴隷としてこの世の地獄のような生活を強いられます

姉のヤイルーンはまもなくAIDSを発症し

使い物にならない。

とゴミ袋に入れられそのままゴミ集積所へ捨てられます。

その後、自力でゴミ袋からはい出し、ほふく前進して命がらがら故郷へ帰りますが、誰にも歓迎されず、離れた小屋に放置されたまま死亡します。

8歳の妹のセンラーは、外国人の性奴隷となった後、日本の臓器移植のドナーとして、生きたまま麻酔をかけられ殺されてしまいます。

このような「タイの違法臓器売買」の情報をつかんだ南部。

南部はフリーカメラマンの与田とともに、新聞記事として取り上げるべく、証拠をつかむために奮闘します。

同時期に、バンコクにある児童社会福祉センターに働きにきた恵子。

恵子は純粋に「1人でも多くの子供を救いたい」という正義感にあふれる若い女性でした。

ある日、この社会福祉センターで教育を受けていた「アランヤー」という女児が忽然と消えます。

実は、アランヤーもチェンライの売春宿に売られ、監禁されていたのでした。

間もなくアランヤーもAIDSを発症、客に頼んで社会福祉センターに助けを求める手紙を書き、これが証拠となり、社会福祉センターは売春宿の場所を突き止めることができました。

社会福祉センターは、売春宿のある現地のNGOスタッフ、「ゲーオ」という男性を通して、児童救出に挑みます。

そして恵子は
「アランヤーがAIDSならば、そのうちゴミ袋に捨てられるはず!」
と予測し、毎朝張り込んでゴミ袋を監視しました。

ある日とうとう捨てられたアランヤーを発見、保護し、アランヤーは病院で治療を受けますが、この直後に社会福祉センターのスタッフが帰宅中に銃で撃たれ死亡します。

NGOが児童救済に乗り出すことは、マフィアの商売の邪魔だったのです。

一方南部は、臓器売買の証拠を探っているうちに、南部自身が「過去に男児を買って、弄んでいた」というショッキングな記憶がフラッシュバックするようになります。

このあたりから、映画はドキュメンタリーから急にサイコサスペンスのように変わっていきます。

実は、南部は過去(?)現在も(?)「小児性愛者(ペドフィリア)」だったのです。

南部は、闇の病院に入る、臓器提供者の女児の写真撮影に無事成功するものの、殺されゆく女児の突き刺すような目線にいたたまれぬ葛藤をかかえます。

その直後、社会福祉センターは、殺されたスタッフの死を受け「児童の権利を守る抗議集会」を開きますが、そこに来たNGOスタッフであるはずのゲーオが、突然仲間と銃を乱射。

実はゲーオはマフィアの手先であり、ボスの指令でNGOを潰すために、スタッフを装って働いていたのでした。

警察とマフィアの撃ち合いで大パニックになった集会で、恵子は南部に
「大使館へ行こう!」
と言われます。

しかし恵子は

私は自分に言い訳したくない!!

と手をふりほどき、子供を保護することを最優先に社会福祉センターへ逃げます。

このとき、南部の足に助けを求める子供がしがみつきいてきて、再び南部は「男児をホテルに連れ込むシーン」がフラッシュバック…

ウォーーーーーー!

のたうち回るように泣き崩れ、翌朝首を吊って自殺してしまいました。

南部の部屋を片付けていた与田は、壁に幕がかけられた箇所に気づきます。

それをはがすと「幼児性愛犯罪○○事件」という外国の新聞記事がズラリと壁一面に貼られていました。

その真ん中に自分を映す鏡があり、その鏡を与田と新聞社スタッフが不思議そうに覗き込むシーンで、映画は幕を閉じます。

3.「闇の子供たち」の見どころ

闇の子供たち 宮崎あおい
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

続いては「闇の子供たち」の見どころを紹介していきます。

国際協力団体が本作を広報するワケ

「闇の子供たち」は梁石日著のフィクション小説を、「亡国のイージス」などを手がけた阪本順治監督が映画化したものです。

フライヤーには

これは事実か、現実か、真実か

と書かれていますが、児童人身売買問題に取り組むスペシャリストの団体はどう観たのでしょうか?

まず日本ユニセフがアドボカシーの一環として後援しているほか、日本のNPOで人身売買の先駆け団体「かものはしプロジェクト」も

この作品は現実

と太鼓判を押し、紹介されています。

人身取引(Human Trafficking)は、世界では麻薬に次ぐ第2の犯罪産業ということをご存知でしょうか?

今私たちが平和に過ごしているこの10分間の間に、3~40人がトラフィッカー(子供や女性を売りに出す人)により連れ去られています。

しかし、「人身取引」という言葉が国連で認知されたのはなんと2000年の11月とごく最近。

「闇の子供たち」の公開は2008年で、さらに「人身取引」の3つの分類「性的搾取」「強制労働」「臓器売買」すべてを盛り込んでいます。

つまり、人身取引の実態がわかりつつそれを明確に問題視した点で、世界の風潮としても先駆的な作品だったのです。

タイは、映画「ハングオーバー2」でもあるように、世界一の売春ツアー渡航先となっていて、売春婦は約300万人いるとも言われますが、こういった現状を軍や警察も黙認しています。

「闇の子供たち」では、

  1. 児童が男娼させられる
  2. 8歳ほどの女児がでっぷりした白人の相手をする
  3. ペニス勃起のため、ホルモン剤を過剰投与された男児が死亡する
  4. 日本人オタクが児童に性行為させ動画撮影する

など観るに耐えないシーンが何度も出てきます。

これらは人身売買保護団体のスペシャリストから見ても現実に起こっていることです。

そして、タイに限らず世界のいたるところで起こっている、という目線で観ていただきたいと思います。

(※ちなみに、医療系NGOの見解によると、違法臓器売買に関しては、技術力や設備の問題で、タイよりもフィリピンや中国のほうが多いそうです。)

ただ「批判」だけで終わらないで!

闇の子供たち ヤイルーン
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

多くの人がこの映画を観るとき、恵子(宮崎あおい)の視点で観ることでしょう。

1人でも多くのタイの子供の命を救いたい!

という視点です。

人身売買組織、子供を売る親を批判するのはまず1に考えてしまうことですし、そもそも日本にいれば人身売買なんて他人事のように思えるかもしれません。

しかし、人身売買に関わる人を批判するだけでは、根本的な問題解決には至らないと私自身は考えます。

その理由に、発展途上国には、日本のようにお金を持ち、社会保障もそれなりに整った国では考えられない事情があるからです。

タイでは、50万円あれば1年ほどは暮らせますが、トラフィッカーの7割は「親や近所の人」といった被害者の知り合いというデータがあり、家計を救出すべく「いい仕事がある」と子供らが騙されて売られてしまうのです。

売り飛ばされてしまった子供の売春宿での月収は、親の収入の10倍はくだらないでしょう。

タイでは、お金に困る人はたくさんおり、その場合まず親戚に無心しますが、それでも足りなければ地域の闇金に手を出します。

その取り立てにあえぎながら生活することもよくあることですが、闇金である以上返済は容易なことではありません。

返済のために、女性ならば身売りをする、男性なら脚を切断され物乞いとしてマフィアが現金収入を得させる…
ということが横行しているのが現状なのです。

社会保障整備の少ない発展途上国では、お金ほど力のあるものはなく、逆にお金がなければこのように落ちるところまで落ちてしまうのです。

日本にいれば気づかないことですが、そんなお国事情で生きているとき、私たちに

人身売買なんて絶対にしない(させない)!

という選択肢を選べるでしょうか?

映画では、AIDSを発症して売春宿から捨てられ、はいつくばって故郷へ帰り、そのまま小屋に放置され亡くなった「ヤイルーン」という女児が出てきます。

帰って来たとき、故郷の人は誰1人歓迎しませんでした。

しかし、亡くなって小屋ごと火葬したとき、母親と思われる女性だけ、悲鳴をあげるように号泣しました。

売春宿に売った自分、貧しい環境、医療を受けさせられず邪魔者のように扱った最期・・・こんなことはどれも母親が心から望んでいたことなのではなく、子を愛する気持ちに変わりはありません。


ただただ、貧困という圧倒的な現実に太刀打ちできなかったのです。

批判することは簡単ですが、貧困国でなぜ「闇の子供たち」のようなシステムが出来上がっているのか?という背景にも目を向けていただきたいですね。

日本は人身売買にゆるい?

闇の子供たち 妻夫木
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

ところで

日本は平和だから人身売買なんて関係ない。

なんて思っていませんか?

日本でもれっきとした人身売買があり、2005年に刑法で「人身売買罪」が新設されたことをご存知でしょうか?

日本の人身売買の例としては

  1. 家出少女の援交強制
  2. ポルノ・風俗業界で借金を負わされ働かされる
  3. 外国人技能実習生・研修生が過酷な日常を強いられる
    (2018年末の入管法改正で話題となった不審死も相次いだ件)

などが挙げられます。

1998年に放送された、いしだ壱成主演のドラマ「聖者の行進」は水戸アカス事件を題材としています。

水戸アカス事件は、従業員の知的障害者らに、日常的に拷問・強姦を行っていた事件ですが、これも人身取引の一端のようなものでしょう。

しかし、これらが人身売買罪として刑罰が成立するかというと、立件は非常に難しいものがあり、現状は脅迫罪や風営法などの法律を複合的に適用することがほとんどのようです。

しかし、日本でも自由と権利が奪われ、肉体と精神が搾取されている現状があることは否めません。

昨今のポルノ業界がそうであるように、ほとんどの被害者が「泣き寝入り」しているので明るみに出ないのです。

その点、お隣韓国は人身売買に関して非常に進んでおり、2004年「性売買特別法」という法律が制定されました。

このきっかけとなったのは、知的障害のある少女らを檻に入れて、売春させていた組織の建物が火事になり、少女10数名が死亡した事件です。

この事件により世論が変わり、買春による逮捕者は「更生プログラム」に参加しないと罰金、実刑を受けることとなりました。

また、韓国は人口の3分の1がクリスチャンですから人道的考えも影響しているかもしれません。

「小児性愛者(ペドフィリア)」南部のジレンマ

闇の子供たち 南部
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

「闇の子供たち」は意外なラストであり、最後はサイコサスペンスのように終わっていきます。

「3か国語を操るヤリ手サラリーマン」といった印象の南部が、自殺をして幕を閉じるのです。

この映画を観た人は、ラスト

南部はなぜ死んだ?

というところを後味悪く引きずることでしょう。

これは「永遠の0」で、宮部久蔵が最後特攻を志願した謎と同じようなもので、観た人がその心情を考えるしかありません。

しかし、揺るぎない事実は南部が「小児性愛者(ペドフィリア)」だったことです。

劇中には、南部が男の子の手を引っ張り「放して」と言われつつもホテルへ連れこむ回想シーンが何度か出てきます。

しかし、南部は皮肉にも臓器売買の実態を暴くため、傷ついた児童を追うことになります。

そのうちに子供の命を搾取する「極悪非道な闇の人間」と、「自分の個人的な経験」を重ね合わせていったのでしょう。

罪のない子供から何度も何度も向けられる悲しい視線や、

気色悪い日本人どもめ!

とマフィアに罵倒された南部は、ついに罪悪感を背負い切れなくなり、自我が崩壊したと私は推測します。

小児性愛者は、「ロリコン」などと勘違いされがちですが、現代医学では「本人の意思では選べない精神障害」と認定されています。

「小児性愛者=児童虐待」とは一律にはならず、症状と行動を切り離し、普通の家庭を築こうとしている患者さんも多くおられます。

日本はまだ研究も対策も遅れていますが、イギリスでは小児性愛者への匿名の電話相談窓口があるほどに理解も進んでいます。

劇中でも、前半は南部自身が「小児性愛者という自分の疾患に折り合いをつけているような穏やかな日々」に感じ取れます。

しかし、売春宿の子供が「先進国の加害者の大人・南部を逆説的に崩壊させた」というロジックが、「闇の子供たち」に潜む、もう1つの闇なのかもしれません…。

 4.「闇の子供たち」をオススメしたい人

闇の子供たち エイズ
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

「闇の子供たち」は次のような方にオススメです。

国際協力団体への就職・ボランティアに関心がある人

「闇の子供たち」は、アジアのダークな部分を余すことなく映し出しています。

そして、資本主義で自由を手に入れた日本人含む富裕層が、金の力で加害者となる醜い姿も映し出されます。

国際協力やNGOの活動に参加したい人、就職を考えている人には、貧困国の現状を学ぶためにぜひオススメしたいです。

子供の実態だけでなく、それとリンクするマフィア、警察、軍部のとの組織的な繋がり・腐敗まで勉強になると思います。

社会科などの先生

本作はR-12指定がかけられています。

そのため児童は観ることができませんが、社会科などの先生にはぜひ観ていただき、

今、世界で何が起きているのか?

を、小さな生徒にもわかりやすく説明していただきたいと思います。

その生徒ほどの年齢の子が、このようにすさまじい環境にさらされているのですから…。

日本の子供と「闇の子供たち」の子供の違いは、ただ生まれた場所が違うだけです。

「生徒を慈しむ気持ち」も沸いてくるかもしれません。

育児に疲れたママ

闇の子供たち 少女
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

育児に疲れたママにもオススメです。

「なぜ?余計暗い気分になるのでは…?」と思われるかもしれません。

「闇の子供たち」では想像をはるかに絶する子供たちの悲惨な状況が映し出されます。

そして、映画では子供の顔がアップになり「じーーーーー」とこちらを観てくるシーンが繰り返し出てきます。

こういったシーンを観ていると、

今ここに、子供が笑顔で存在しているだけで十分だ。

くらいの気持ちになってきます。

「離乳食が進まない」「トイレトレーニングがまた失敗した…」なんてことがとてもちっぽけに感じられるでしょう。

子供がただそこに存在し、ヘラヘラと楽しそうに笑ってくれているだけで幸せだ!

くらいには思えてきますよ。

少し育児の肩の荷が下りるかもしれません。

女性を性的玩具と考えたことのある人

この世の中に「人を性的玩具」と考える人がいるとは、信じたくありません。

しかし、もしもそういう方がいたら、女性としては、この映画を観て一度じっくり考えてほしいと思います。

売春婦は本当にお金が欲しいのか…?外貨を落とすことがためになるのか…?ということです。

加害者がいなければ被害者はいません。

ただこの映画では、売春宿のブローカー自身も虐待経験があったことが描かれています。

売られてきた児童がボスに暴力を振られるシーンを見たとき、ブローカーはあとで嗚咽してしまいます。

つまり、買春していた児童が、大人になって結局同じ虐待をしているのです。

もしかしたら、体罰や親から子への虐待が世代間で連鎖していくように、被害者がいなければ加害者はいないのかもしれません。

 

最後に…どのような経歴、過去がある人でも、1度この映画で自分の内面について、じっくり考えてみるのもいいかもしれません。

それが「闇の子供たち」の不幸な子供が跳ね返してくるメッセージです。

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