映画『天才作家の妻-40年目の真実-』あらすじ・ネタバレ 感想

こんにちは、エンタメブリッジライターの”こぐれあいり”です。

今回は『天才作家の妻〜40年目の真実~』のネタバレ解説とみどころを見ていきたいと思います。

1.『天才作家の妻~40年目の真実~』の作品紹介

公開日: 2019年1月26日 (日本)
監督:ビョルン・ルンゲ
出演者:グレン・クローズ、ジョナサン・プライス、クリスチャン・スレーター
受賞歴:ゴールデングローブ賞 映画部門 主演女優賞 (ドラマ部門)、インディペンデント・スピリット賞 主演女優賞、放送映画批評家協会賞 主演女優賞、全米映画俳優組合賞 主演女優賞、サテライト賞 長編映画部門主演女優賞

2.『天才作家の妻~40年目の真実~』のあらすじ紹介


出典:https://eiga.com/movie/88376/special/

『天才作家の妻~40年目の真実~』あらすじ・ネタバレなし

ジョゼフ・キャッスルマンは現代文学の巨匠です。

ある夜、ノーベル文学賞のしらせが彼の元に届きます。祝福されるジョセフ。

しかし、かれに疑いの目を持つ者がいました。

ジョゼフの伝記を書こうとする記者、ナサニエル・ボーンという男です。

彼は40年前、ジョセフの妻ジョーンが書いた『教授の妻』という本を入手しており、現在のジョセフの文体がかつて妻の書いた物語の文体と酷似していること、結婚後に傑作を連発していることを指摘します。

その後、回想とフラッシュバック形式でジョセフと妻の出会いが語られ、徐々に明らかになって行く真実。

妻は愛をとるのか、はたして真実をとるのか。

ノーベル賞の授章式の裏側でひっそりと、真実と愛の物語が交錯していきます。

『天才作家の妻~40年目の真実~』あらすじ・ネタバレあり

ジョゼフ・キャッスルマンは現代文学の巨匠です。
ある夜、ノーベル文学賞のしらせが彼のもとに届きます。

妻のジョーンと抱き合い、ベットの上で飛び跳ねて喜ぶジョゼフ。ノーベル文学賞は彼とその妻の念願でした。

早速パーティが開かれ、祝福されるジョセフ。

夫を賞賛する周りの言葉に妻ジョーンはただ微笑むだけです。

やがて授賞式の日も近づき、二人は息子のデヴィットをともない、12月のストックホルムへと向かいます。
その機内でジョゼフ一行は、ナサニエル・ボーンというジョゼフの伝記を書こうと目論む記者に出会います。

乱暴な言葉で彼を追い払うジョゼフをたしなめるジョーン。

無事ストックホルムについたジョゼフ一行は歓迎とお祝いの嵐に巻き込まれます。

そこに再び接近してくるナサニエル。彼はジョーンをバーに呼び出し、ジョーンに真実を語ってほしいと語りかけます。
なんの事かととぼけるジョーンに、彼は彼女が40年前に書いた小説『教授の妻』を入手しており、現在のジョゼフの文体がかつての彼の文体とは似ても似つかないこと、ジョーンとの結婚後から傑作を連発し始めたことを指摘しますが、ジョーンはとりあいません。

そこで時はさかのぼり、ジョーンの学生時代のお話へ。

大学教授をしていたジョゼフの元に学生のジョーンが小説を持って現れます。

ジョーンはジョゼフに連れられていった作家の集まりで、作家になりたいという希望を先輩女性作家に話します。

しかし、時は1950年代。男女平等は夢のまた夢、女性は女性であるというだけで評価のされない時代でした。

先輩女性作家はやめておけと忠告をします。

しかし、ジョーンの小説を褒めたジョゼフは彼女に、妻と出かけたいからという理由で子守を頼みます。

子守にやってきたジョーンを待ち受けていたのは険悪な雰囲気の家庭でした。

子守をしながらジョゼフの痕跡をあらためるジョーンは、引き出しの中にしまわれた胡桃に書かれた、愛しているというメッセージを受けとるのでした。

二人は結ばれますが、教え子に手を出したジョゼフは大学をクビになり、無職に。

ジョーンは出版社で働きながら家計を支え、ジョゼフに小説を書かせますが、その出来は微妙なものでした。着想は良いジョゼフの小説に手を入れて欲しいかと聞くジョーン。

ここからジョゼフ・キャッスルマンという小説家の、そしてジョーンのゴーストライター生活が始まりを告げます。

再び時は現代に戻り、授賞式が近づくにつれて妻を軽んじた振る舞いをし始めるジョゼフにジョーンは苛立ちをつのらせます。

そして、夜の授賞式を目の前に、ジョゼフとジョーンがホテルの部屋で準備をしていた時、マリファナを吸って二人の前に現れた息子デヴィットは、ナサニエルからきいた父のゴーストライター疑惑を本人たちにぶつけます。

なんとかデヴィットをなだめた二人は無事授賞式をこなしますが、ジョーンはジョゼフに晩餐会で自分のことには触れないようにと頼んだにも関わらず彼女のことに、いわゆる内助の功という形でふれてしまったため、ジョーンの怒りをかいます。

怒りに駆られて会場を後にするジョーンを追いかけるジョゼフ、移動中の車の中でも激しい口論をしつつ、ホテルの部屋に戻ったジョーンは自分の書いた小説の登場人物の名前も覚えていないジョゼフに怒りを爆発させ、離婚を叩きつけます。

しばしの沈黙の中、険悪な雰囲気が和らいだかと思った矢先、ジョゼフは心臓発作を起こし、必死の救命も虚しく息をひきとります。

ストックホルムからの帰りの飛行機内で、再びナサニエルに出会ったジョーンはジョゼフの名誉を傷つけるようなものを書いたら訴えると彼に伝えます。

すごすごとひきさがるナサニエル。

ジョーンの表情は晴れやかで、ジョゼフ・キャッスルマンという一人の小説家の物語を描き切ったという満足感にあふれていました。

3.『天才作家の妻~40年目の真実~』の見どころ


出典:https://eiga.com/movie/88376/special/

登場人物たちの表情

この映画は後述する通り人物のクローズアップが多い印象を受けますが、とくに多いのはジョゼフの妻ジョーンのクローズアップです。

静かに微笑みつつ作家の奥様を演じているものの、奥底に何かがあるような冒頭から、感情をあらわにする後半まで。

実に多彩な表情をジョーンはみせます。

しかしそれらは決して大げさなものではありません。

彼女の心の機敏は、さりげなく観客である私たちに提示され、いつのまにか彼女に感情移入できるようになっているのです。

それらはまるで角度によって違ったきらめきを見せるオパールのようでした。

ジョーンを演じた大女優グレン・クローズの技術力の高さが伺われます。

対する夫役、ジョナサン・プライスも負けてはいません。

彼が演じるジョゼフはとにかくものを食べるシーンが多いのですが、緊張している時の食べ方をはじめとして、食べるという行為で多くのことを語ります。

時にそれは表情の大写しよりも雄弁でした。

ジョゼフがノーベル文学賞授賞の知らせを受け取るシーン

物語の冒頭から、この2人の違いは強調されています。

ベットで知らせを聞くジョゼフと対象的に真っ先に仕事場である書斎に行き、タイプライターの前で、夫のノーベル文学賞の知らせを聞く妻のジョーン。

その姿は喜びに満ちてはいるものの、なんとも言えない表情です。

その後もクローズアップされたジョーンの表情は劇中に度々出てくるのですが、冒頭から観客にこの妻に何かあると思わせます。

女性文学者と若かりし頃のジョーンの会話

ジョーンはジョゼフに連れられて作家の集まりへと行きます。

そこで自らの物語を朗読した先輩女性作家に自らも作家になりたいという希望を話したジョーンはそれを止められます。

女性は女性というだけで出版社に相手にされないというのです。そう話す先輩作家に

「作家は書かなきゃ」

とジョーンは言いますが先輩女性作家はこう返します。

「本は読まれなきゃ」

50年代という、男女平等が今よりもっとままならない時代に翻弄された女性たちそれぞれの心の模様を一言で表す秀逸なセリフです。

真夜中に食事をするジョセフに静かな食堂でジョーンが語りかけるシーン

冒頭からジョセフはとにかく食べるシーンが多いのですが、その結晶とも言えるシーンがこちらのシーンでしょう。真夜中にホテルの食堂でたった1人食事をとるジョセフを見つけたジョーンは

「私たち何をしてるの?」

と語りかけます。

真夜中のホテルの静寂に染み入るようなジョーンの言葉がもつ静かな迫力に思わず息をのんでしまうこと間違いないでしょう。

ゴーストライター疑惑のなか息子に思わず言葉が出てしまうシーン

「奴隷になんかされてない」

二人の息子であるデヴィットが記者のナサニエルからゴーストライター疑惑を聞かされ、ヤケになってマリファナを吸って父ジョゼフに真相を問い詰めるシーンでのジョーンの一言です。1950年代という時代の影響もあるものの、疑惑を認めつつ、彼女自身がゴーストライターという道を選び、そのことに後悔はないということを一言で表すシーンでしょう。

晩餐会のシーン

スピーチで妻である自分のことには触れないようにと頼んだにも関わらず、晩餐会のスピーチで、妻にこそノーベル文学賞はふさわしい、と語ったジョゼフ。

そのスピーチを聴き、スポットライトの只中に映し出されるジョーンの表情は、感極まった表情のようにも激しい怒りを抑え込むようにも見えます。

このシーンまでに私たち観客に共有された情報をまとめると、間違いなく激しい怒りに駆られていると見ることができるでしょう。

事実、このスピーチの後、ジョーンは会場を後にし、タクシーの中でジョゼフと火花を散らし始めます。

ジョーンがジョゼフに対して感情をぶつけるシーン

ジョーンはとうとう、ジョゼフに対して自らの感情をぶつけ、怒りを表し始めます。自分の書いた、正確には彼女の書いた小説の登場キャラクターすら覚えていないジョゼフに離婚をつきつけるのです。

自らの書いた本を床に叩きつけながら感情を爆発させるジョーンの姿に共感し、切なさと怒りの混じった気持ちになること間違いなしです。

ジョセフが息をひきとる時のジョーンの表情

心臓発作を起こし、必死の処置も叶わず息を引き取ろうとするジョセフを見つめるジョーンの表情は、やっと終わったという喜びの中にも長年連れ添ってきた夫への愛情が見え隠れしています。

ジョーン役グレン・クローズの卓越した演技が光ります。

作家らしさとは何か

冒頭からとにかく食べるシーンが多いジョゼフは、何かの強迫観念に晒されているようにも見えます。

そして使い古した手で女性を口説こうとして失敗したり、何かにつけてFワードを使ったりと、彼の俗物性が強調された演出がなされています。

対して妻は最後の最後まで何かを抑え、冷静に、堂々としています。

全くの前情報なしにどちらが作家然としているかといったら、間違いなくジョーンの方なのですが、ノーベル文学賞受賞者という肩書きの前では、誰もがジョゼフに尊敬と憧れの念をいだきます。

しかし、観客である私たちに情報が共有されている分、ジョゼフの滑稽さが目立つような演出になっているのです。

ジョゼフ・キャッスルマンというひとりの小説家の物語を創り上げていたのは妻、ジョーンのほうであるというプライドが、彼女にあの選択をさせたのかと思うとラストシーンの彼女の晴れやかな表情もうなずけます。

原題に隠された意味

つまらないジョークも、ノーベル文学賞受賞者となれば他人は笑ってくれる。

そしてその配偶者は「良い夫君をお持ちですね」と賞賛される。

しかし、この映画の原題は“The wife”つまり奥さんであり、真の主人公はジェーンであることを意味しています。

しかし、それを知るのはジョゼフとジェーンと観客だけなので、周囲のお祝いムードにどこかぎこちなく対応する2人の気持ちと観客の気持ちが同調するのです。

4.『天才作家の妻~40年目の真実~』はこんな人におすすめ


出典:https://note.mu/themainstream/n/n6a54a59958ac

役者の演技に注目したい人

この映画において、人物全体が映るようなロングショットは比較的少なく、重要なシーン含め役者の顔のクローズアップが多めです。

表情だけで演技をしなくてはならないということは、それだけ役者の技量が試されるということですが、そこは大女優グレン・クローズ、本当に様々な事柄を表情だけで語ります。

彼女が演じるジェーンが自分の気持ちを吐露するシーンは後半にかけてなのですが、そこに至るまでの、微妙な心の機敏を見事に表現していますので必見です。

恋人や配偶者、パートナーのために何かを犠牲にしたことがある人

恋人や配偶者、パートナーのために何かを犠牲にしたことがある人には確実にこの映画が響くことでしょう。

嘘も100回言えば本当になるかのように、いつのまにか妻の気持ちを軽んじて大作家を演じ始めるジョゼフの振る舞いに、微妙な気持ちになること間違いなしです。

絆とは何かを考えたい人

最終的に、ジョーンは自らがゴーストライターであったという事実を公表せずに、ジョゼフの偽りの名誉を守る道を選びます。

真実とジョゼフとの40年の生活という絆を天秤にかけた結果、彼女はジョゼフとの40年をとったのです。

そこに至るまでの葛藤がこの映画には描かれているといっても良いほどに、ラストのジョーンの表情が全てを物語っています。

いかがでしたでしょうか。

私はこの物語をジョゼフ・キャッスルマンという一人の偉大な小説家を創り上げたジョーンという奥さんの物語だと解釈しましたが、読者の皆様はいかがでしょうか、ぜひあなたなりの解釈にトライしてみてください。

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