映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」原作から86年、夢の映像化!あらすじと感想【ネタバレあり】

こんにちは!エンタメブリッジライターの菜々です。

今回「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」をご紹介するにあたり、久しぶりにレンタルDVD屋さんに足を運んできました。

Amazonプライム・ビデオやU-NEXTなど、ネットですぐ映画を見られるようになったこのご時世に少し逆行してきました。

お目当てのDVDに辿り着くまでに、「あ、これ気になる」と自分の知らない映画を発見できるのって楽しいです。

「旧作になりました」「今話題の…」「店員が選ぶ…」そんなポップを見ると、思わず手に取ってしまいます(笑)

この「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」の冒頭は、ある時計職人が時間を遡っていく時計を作るという話から始まり、そんな逆回りの時計と同じように主人公は老いた体で生まれ、どんどん若返っていくというストーリーになっています。

SF?と思われるかもしれませんが、1人の人間が生まれてから亡くなるまでの人生を描いたヒューマンドラマになります。

切なくもあり、手書きのポップを見た時のようなほっこり心温まる映画です。

それでは早速ご紹介していきます!

1.「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」の作品紹介

公開日: 2009年2月7日 (日本)
監督: デヴィット・フィンチャー
出演者:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィントンなど。
受賞歴:第81回アカデミー賞では作品賞含む13部門にノミネート、美術賞、視覚効果賞、メイクアップ賞を受賞。

2.「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のあらすじ

ベンジャミン・バトン
画像出典:https://movies.yahoo.co.jp/

この映画の上映時間は、なんと165分。

長い!と思われる方もいるかもしれませんが、1人の生涯をよくぞ詰め込んだと私は思いました。

そんな「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のあらすじをご紹介していきます。

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のあらすじ(ネタバレなし)

第1次世界大戦が終わった日の夜、生まれたばかりの赤ちゃんが老人施設の前に置き去りにされました。

施設を経営する黒人女性は老人のような赤ちゃんの姿に驚きますが、自らの手で育てることを決め、「ベンジャミン」と名付けます。

老人たちに囲まれて育ったベンジャミン(ブラッド・ピット)は、年を取るごとに髪の毛が増え、シワが減り、私たちとは逆に若返っていきます。

そんなある日、入居者である祖母に会いに来たデイジーという女の子と出会います。

ベンジャミンにとってデイジーは初めてできた同年代の友人であり、初恋の相手でした。

生まれて17年が経つ日、ベンジャミンは世界を知るために船に乗って旅をすることを決意します。

仲間との別れや恋、世界中を航海しながら様々な経験を重ねて大人になっていくベンジャミン。

数年後、久しぶりに家へ戻ったベンジャミンは初恋の相手・デイジー(ケイト・ブランシェット)と再会します。

ベンジャミンは身体がどんどん若返り、幼くなっていく一方、確実に年老いていくデイジー。

数奇な運命に翻弄されたベンジャミンが辿り着いた本当の愛の形とは…?

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のあらすじ(ネタバレあり)

ベンジャミン・バトン
画像出典:https://movie.walkerplus.com/

この物語は、ベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)の人生が綴られた日記帳を、年老いたデイジー(ケイト・ブランシェット)に娘が読み聞かせるという回想録の形で描かれています。

回想するということや特殊な運命を主人公が背負っていることなどから、本作と同じ脚本家の「フォレスト・ガンプ」を思い出す方もいらっしゃるでしょう。

人生は分からない。

本作で最も繰り返された言葉なんじゃないかと思います。

人生はチョコレートの箱。
食べるまで中身は分からない。

「フォレスト・ガンプ」でもこんな言葉が出てくるところがとても似ていますね。

ただし、決定的に異なる大きな点があります。

様々な経験を経て前向きに生きていくフォレストに対し、ベンジャミンには生まれた時から常に死というものが付きまとっているのです。

「生と死」、これはこの映画のテーマでもあります。

80歳で生まれ少しずつ若返っていくベンジャミンに、人生の大切さを教えてくれた人たちがいました。

故郷の川のほとりで暮らす人、雷に7回打たれた人、音楽が得意な人、船乗りのアーティスト、泳ぐ人、ボタンを作る人、シェイクスピアが好きな人、母親になる人。(ベンジャミンを取り巻くこれら魅力的な人たちについては後の見どころで触れます。)

そして、踊る人…ダンサーであるデイジーです。

デイジーが5歳の頃に初めて出会い、1度は離れ離れになった2人ですが、再会を機に恋人として結ばれ子どもにも恵まれます。

しかし、子どもが生まれることでベンジャミンの中で新たな苦悩が生まれました。

どんどん若くなるのに父親になれるだろうか。

最後には自身も子どもになり、デイジーと娘の負担になることを恐れたベンジャミンは、愛する2人の元から去ることを決意します。

最初から決まっていた運命通り、少年まで若返ったベンジャミン。

アルツハイマーで自分の名前さえ忘れてしまった彼は、日記のおかげでかつての家だった老人施設に保護され、老女になったデイジーにも連絡がきます。

徐々にアルツハイマーが進行し、やがて歩けなくなり、喋ることもできなくなっていくベンジャミンの隣にはデイジーが寄り添いました。

デイジーの腕に抱かれ、赤ん坊になったベンジャミンはデイジーが誰なのかをやっと思い出します。

それから静かに目を閉じ、まるで眠るように息を引き取りました。

そして回想は終わり、病院で病に伏せていたデイジーもまた最後の時を迎えるのです。

永遠なんてないのね。

私の耳には、かつてベンジャミンと幸せな時間を過ごしていたデイジーのこの言葉が残っています。

3.「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」の見どころ

ベンジャミン・バトン
画像出典:https://movies-fan.com/

この映画の魅力は、THE・物語なところだと思います。

ファンタジー要素満載の設定もですが、恋人や仲間とのいくつものストーリーが何層にも重なって1つの映画、ベンジャミンの人生になっています。

それでは見どころを紹介していきます。

若返ったブラピが美しすぎる…!

80歳の姿で生まれ、どんどん若返っていく男の姿を描いたこの映画。

シーンが変わる度、「次はどんな姿になっているのだろう」とワクワクしながら見ていました。

マスコミの試写会では、若くなったブラッド・ピットの姿に「おぉー!」とどよめきが起きたくらいです。

どの姿に盛り上がったのかは分かりませんが、その美しさに私が1人で歓声を上げたのはこちらのブラピです。


画像出典:http://blog.seesaa.jp/

ベンジャミンがデイジーと娘の元から去り、数年後に再び戻ってきたシーンです。

娘の成長から推測して、大体60歳(身体が20歳くらい)の頃かなと思います。

目がキラキラしていて、夕方の明かりも相まってどこか儚げでめちゃくちゃ美しい…。

老人姿からこう変化していくのは、この映画の見どころで間違いなしです。

80歳の老人姿で生まれてから20年の約50分間の映像には生身のブラピは一切写っていないそうで、頭部丸ごとCGで制作されています。

そしてこの部分を担当したのは、「アポロ13」や「トランスフォーマー」などの視覚効果を手掛けたデジタル・ドメイン社です。

50分に費やした期間はなんと約2年!

アカデミー賞で美術賞、メイクアップ賞、視覚効果賞の3部門の獲得、おめでとうございますと言いたいです。(会社が受賞したわけではないですが)

この映画の原作は、「偉大なるギャッツビー」で有名なF・スコット・フィッツ・ジェラルドが1922年に書いた短編小説です。

ちなみに原作で妻の名前はヒルデガルドだったのが、映画ではデイジーとなっているのはギャッツビーを意識しているのでしょう。

過去にはスピルバーグやロン・ハワード、スパイク・ジョーンズといった名立たる監督が映画化する話があったそうですが、老人から赤ん坊までどう映像化するかという課題がありました。

もちろんCGなんて技術はなかった1922年から、やっと映画化できた作品です。

ケイト・ブランシェットのバレエ姿や年老いた姿の特殊メイクにもきっと感動するはずです。

デイジーとの切ない恋

ベンジャミン・バトン
画像出典:https://smcb.jp/

青い瞳が忘れられない。

ベンジャミンが杖を使って歩けるようになった頃、運命的に出会った7歳のデイジーに一目惚れします。

デイジーもまた、初めて出会った日からベンジャミンが普通の子どもではないことに気付いており、特別な存在になっていたのです。

ベンジャミンが船の旅から戻り、2人が再会した日の日記にはこう綴られていました。

少女だった彼女もすっかり大人の女に。
今まで会った誰よりも美人だ。

日記を読み聞かせていたキャロラインに「美人…?」と言い、もう1度「誰よりも美人だ」と読ませるデイジーの姿は可愛らしいものです。

それからパリでバレエダンサーとして活躍していたデイジーでしたが、突然の事故で夢を絶たれてしまい、ベンジャミンとも距離を置くようになります。

しかし、ベンジャミンの存在忘れたわけではありませんでした。

おやすみ、ベンジャミン。

隣に別の男性がいても、寝る前にはいつも呟いていました。

ベンジャミンもまた、離れた場所で「おやすみ、デイジー」と毎晩囁いていたのです。

2人の気持ちがやっと重なり、幸せな暮らしを送っていた日々の中でのやり取りが印象的でした。

デイジー「シワだらけになっても私を愛せる?」

ベンジャミン「ニキビ顔でおねしょしても僕を愛せる?夜トイレに行けなくても…?」

若返っていくベンジャミンの隣で年を取っていくことに不安を感じていたデイジーも、この返答を聞いてふふっと微笑みます。

ベンジャミンもデイジーも運命を受け入れ、年齢が交差する限られた時間を幸せそうに過ごしています。

いつか終わりが来ることを考えると、ハッピーだけれど切ないそんな姿が頭に残っています。

ベンジャミンを取り囲む魅力的な人たち

ベンジャミン・バトン
画像出典:https://webryblog.biglobe.ne.jp/

ベンジャミンが自身の数奇な人生を受け入れるにあたって、大きな影響を与えた人たちがいます。

名前を覚えていない人が1番印象的だったりする。

そう綴られているのは、老人施設にいたある老女でした。

ピアノを習った人物であり、生や死、人生についてを教えてくれた人物です。

愛する人は皆先に死んでしまうのよ。つらすぎる。

自分だけが若返っていく運命はどういうことなのかをベンジャミンは知ります。

ベンジャミンに働く喜びを教えたマイク船長(ジャレッド・ハリス)は、酒飲みでガサツで優しくもある海の男でした。

敵の戦艦に船をやられ、自身も砲弾を受けた船長は最後にベンジャミンにこう語ります。

お迎えがきたら、諦めていくしかない。

船長のこの言葉のように、ベンジャミンは運命を受け入れ、抗おうとはしません。

昨年読んだ本で「あなたが母親の手料理を食べられる回数は、残り328回です。」という小説がありました。(ベンジャミンが好きな人はこの本も面白いと思うはずなのでおすすめです。)

ある日、不思議な数字が見えるようになった男性。

題名の通り、母親の手料理を食べる度に数字が減っていくことに気付いた彼は、0になったら母親が死ぬのではないかと考え、悲しい顔をされても何年も母の手料理を一切食べなくなります。

この男性のように普通は抵抗するものと思っていましたが、ベンジャミンは運命を受け入れています。

そんなベンジャミンの物語だからこそ、儚さや人生に限りがあることをより浮き彫りにしているのでしょうか。

…「死」を受け入れてカウントダウンしながら生きるってどんな感じなのでしょうね。

私は以前交通事故にあったことがあり、「死ぬかも…!」と走馬灯のようなフラッシュバックのような、そんなものを見たことがあります。

最後に思い出したのは、年の離れた弟のことでした。

育ててくれた両親でないのは薄情だと思いますが、守ってくれた人というより自分が見守ってきた人のことを最後に思うものなのでしょうか。

それが子どものいる人は子どもだったり、ベンジャミンのように愛する妻であったりするのかもしれません。

4.この記事のライター・菜々の視点


画像出典:https://www.so-net.ne.jp/

F・スコット・フィッツ・ジェラルドといえば、「偉大なるギャッツビー」を思い浮かべる人が多いと思います。

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」は映画で知り、フィッツジェラルドが原作者であることを初めて知りました。

原作の短編集が書かれたのは1922年で、その前にゼルダという女性と結婚したフィッツジェラルドは、妻との豪勢な生活を維持するために生涯に約170編もの短編を書きまくったそうです。

そんな短編の1つが時代を超えて映画として大ヒットを収め、多くの人を感動させたのですね。

「偉大なるギャッツビー」は、中西部の貧しい家庭に生まれ大富豪となったギャッツビーが破滅していく、成功の夢とその崩壊の物語です。

ギャッツビーにも見られる、滅びゆく夢や青春といったものはフィッツジェラルドのテーマです。

「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」の映画は原作に多大な脚色がなされていますが、老人で生まれ若返っていき最後には赤ん坊で死ぬという設定は変わっておらず、そこにフィッツジェラルドのテーマを感じられます。

運命をののしり、呪うこともできる。
だが、終わりの時がきたら、行くしかない。

ベンジャミンは数奇な運命で生まれてきましたが、その人生は私たちと変わりないものです。

人と出会い、別れを知り、働く喜びを見つけ、愛する家族を作る、ベンジャミンの普遍的な人生を描いているからこそ私の中で印象に残っていたのかもしれません。

5.「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」をオススメしたい人


画像出典:https://hollywoodbase.shop-pro.jp/

当時、予告を見て面白そう!と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

80歳で生まれて若返るという設定だけでも惹かれますが、ヒューマンドラマの視点で見ても心動かされる作品です。

こんな人にオススメしたいです。

他人にあまり関心がない人

行き着く先は同じ。違う道をたどるだけよ。

ベンジャミンの育ての母・クイニーの言葉です。

自分とは違う赤の他人でもいつか死ぬことは同じです。

そう考えると、この人も今自分の人生を生きているんだよな…と少し周りに目がいくようになるかもしれません。

また、出会う人とのエピソードが丁寧に描かれているので、人との出会いに興味を持つようになれるかもしれません。

私もこの映画をレンタルしにお店へ行った時、全然知らない人ですが「この人は何を借りに来たのだろう」など、普段は思わないことを思いました。

どうなるか分からない人生を1人ではなく、周囲も巻き込んで楽しくやりましょう。(笑)

心が疲れている人

「上手くいかないな」と落ち込んでいる人にオススメです。

ベンジャミンってとても優しい人です。

自信満々な男はちょっと苦手な私なので、淋しげで儚いデイジーを愛するベンジャミンの姿はとても好感を持てました。

元気が出ない時はこの言葉を思い出したいです。

やりたいことをやるのにタイムリミットなんてない。
変わるにしても、変わらないにしてもそうだ。

娘のキャロラインの誕生日に送っていた手紙の1部です。

ベンジャミンが言っていることに意味を持っている、そう思います。

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