映画「舟を編む」松田龍平ほか豪華キャストが辞書編集にかけた人々の飽くなき情熱を魅せる!そのあらすじと見どころ

こんにちは。エンタメブリッジライターの海山ヒロです。

今回は、辞書編纂というじみ~な内容を、見事熱いエンターテイメント作品に昇華させた映画、「舟を編む」についてお話ししたいと思います。

それでは、早速始めましょう。

1.映画「舟を編む」の作品紹介

公開日:2013年4月13日
監督:石井裕也
原作者:三浦しをん
原作:舟を編む
脚本:渡辺謙作
出演者:松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、小林薫、加藤剛、八千草薫、黒木華
受賞歴:受賞歴:第37回 日本アカデミー賞、優秀作品賞・優秀監督賞・優秀脚本賞・優秀主演男優賞。

2.映画「舟を編む」のあらすじ


画像出典:https://eiga.com/movie/77262/gallery/

それでは映画「舟を編む」のあらすじをご紹介しましょう。

ネタばれなしネタバレありがありますが、この作品はネタバレしても楽しめる作品ですので、どちらでもどうぞ。

映画「舟を編む」のあらすじ(ネタバレなし)

ファッション雑誌からお堅い文芸書まで幅広く出版する・玄武書房。

その営業部の片隅でひっそりと仕事をしていた馬締(まじめ)光也は、ある日、新しい辞書「大渡海(だいとかい)」を編纂する辞書編集部に誘われる。

コミュニケーション能力は低いものの、言葉に対する独特の視点と真面目さを買われた馬締だが、辞書編集部は社内の人間でも存在を忘れているような窓際部署であった。

そこに集うのは、飽くなき辞書編纂への情熱を胸に宿す主観の松本教授に、言葉よりも恋愛や流行に夢中の先輩社員・西岡。

そして、妻を介護するためもうすぐ退職する荒木。

そんな個性的な人々とともに、言葉の大海原に漕ぎ出す馬締だが、ある日香具矢という美女に出会い、一目で恋に落ちてしまう。

言葉を探し、集め、整える仕事をしているのに、恋心を伝える言葉を見つけられない馬締。

そんな彼の元に「大渡海」制作中止の噂が届いて―――。

映画「舟を編む」のあらすじ(ネタバレあり)


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1995年のある日。手広いジャンルを手掛ける出版社の玄武書房で、辞書一筋に38年間過ごしてきた編集者の荒木が定年を迎えようとしていた。

荒木の仕事ぶりを愛する辞書監修を担当する松本教授や、荒木の部下である西岡は引き留めるが、妻の介護のためと言われれば、黙るしかない。

荒木の後任を社内で探した結果、白羽の矢が立ったのは、馬締(まじめ)であった。

言語学で大学院まで出たものの、コミュニケーション能力は低く、何故か配属された営業部で変人扱いされていた馬締。

しかし荒木の突然の質問にも真摯に、的確に答える彼の言語センスは、荒木のお眼鏡に叶うものだった。

彼らが編纂する辞書「大渡海」は、「今を生きる辞書」。現代の口語も網羅し、見出し語が24万語という大規模なものである。

辞書編集とは、通常10年以上かける大変なもの。先輩写真の西岡ですら新辞書編纂作業は初めてであったが、馬締は逆に情熱を燃やす。

書店で片端から辞書を購入して読み込み、下宿の大家の協力の下、一部屋を資料で埋め尽くす。

コミュ障気味にも拘わらず主観の松本教授に連れられ合コンに参加して、新しい生きた言葉を「用例採取」する。

そんな日々を過ごしていた馬締はある晩、月の光に照らされた美女・香具矢と出会い、恋に落ちてしまう。彼女は下宿の大家・タケの孫で、板前修業のため上京し、馬締と同じアパートに住むというのだ。

初恋に動揺して、仕事が手につかなくなる馬締。

その可哀そうなほどの慌てぶりに同情した辞書編集部の仲間たちは、香具矢が働く料亭に馬締を誘う。彼女の顔を見るなり恋の狩人・西岡は、

あの容姿なら、彼氏の一人や二人居てもおかしくないって

と馬締をからかうが、松本教授は「恋」という言葉の語釈を馬締に担当させて、エールを送る。

その後もも香具矢を見かけるだけでまごつく馬締だったが、一大決心をして香具矢に告白する。

のは良いのだが、そこはマジメでどこかずれている馬締。

毛筆で、しかも行書体で書かれた巻物の恋文で、受け取った香具矢は読むことができず、勤め先の大将に読んでもらうしかなかったというオチ。

こんなの普通読める? 読めるわけないよね?

玄関で会うなりそう詰め寄ってきた香具矢だが、勇気を振り絞って声に出して想いを告げた馬締に、

あたしもよ

と、短くもはっきり言葉を返してくれた。

そんな風に恋は成就した馬締であったが、仕事の方では暗雲が立ち込めつつあった。荒木が退職した後、玄武書房の社内では「大渡海」出版中止が取り沙汰されていたのだ。

西岡の機転でそれは何とか撤回されたものの、辞書編集部は予算を縮小され、西岡が宣伝部に異動することになった。

それから12年。馬締と香具矢は入籍し、馬締が主任となった辞書編集部には妻を亡くした荒木が嘱託として戻っていた。

いよいよ出版の段階に入った編集部には、新たにファッション誌から女性社員を迎え、学生をアルバイトも大量に雇い入れ、連日詰めの校正作業に追われる。

翌年3月の出版が正式決定し、さぁ最終稿の校正をというところで、単語が欠落していたことが発覚する。

急遽、校正作業を中断して、他に単語の抜けがないかチェックしていた馬締のもとに、松本教授が入院したという連絡が入って―――。

3.映画「舟を編む」の3つの見所


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この映画「舟を編む」には、3つの見所があります。

見どころその①「ググル」も「ウィキる」もなかったあの時代

映画「舟を編む」は2013年に公開された作品ですが、時代背景は1995年です。

1995年と言えば、2019年のわたし達が毎日何気なく使っているあれやこれが、なかった時代。

1995年にはブログもツイッターもなければ、インスタグラムもありません。だって、Windows95がようやく発売された年なんですから。

当然、インターネット網も24年後の今のように発達していませんし、その恩恵の産物であるウィキペディアもグーグルもない。

つまりは何かを調べようと思えば「ググル」のではなく、紙の本や辞書で探すしかない時代なわけです。

だから、本屋に行けば棚を埋め尽くすほどの辞書がすでに発売されているのに、まだ紙の辞書を編集する人々が生息できる時代だったわけです。

さすがは直木賞作家にして、売れっ子の三浦しをんさん原作。その設定の妙に、まず唸されます。

この映画の始まり1995年は、いまから24年前。たった24年と言うべきか、もう24年と言うべきか。

ともかくも、その24年でわたし達の生活様式は確実に変化し、いまやスマホを忘れれば慌てて取りに帰り、移動中でも食事中でも、時には人と会話している間でも手元の小さな箱を覗き込んでいる。

この映画はそんな風に変わる前の時代です。だから、筆者と同世代の方や、それ以上の年代の方なら画面のそこかしこにどこかイモくさくも懐かしさを覚えるかもしれません。

出版社に勤務していますが、主人公たちの棲息地はクロームやガラスに囲まれたおしゃれビルではなく、蔦の絡まる古いビルの片隅。

なにしろ仕事でパソコンを使っていない時代ですから、ペーパーレスなんて言葉すらなく。机の上やそこら中の棚、果ては廊下まですこし黄ばんだ黄色い紙で埋め尽くされています。

1995年で「イケてる」肩パットの入ったダブルのスーツは、いまは確実にダサく見えますし、妙に前髪の量が多いもさっとした髪型も、同じく。でもみんな、あの頃はそうでしたよね?

そして、アームカバー!

主人公や辞書編纂部のお局様が作業時につける、あの黒色で、手首から肘まで覆うくらいの長さの、たぶん綿素材のアームカバー。いまはそんなのをつけている方、いるんでしょうか。

でも、仕事をまだサイバー空間ではなく紙で行っていたあの時代ならば、現役で使われていたことでしょう。

映画「舟を編む」は、そんな失われた時代を懐かしく思い出させてくれる作品なのです。

見どころその②「お仕事」映画として観る


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2019年現在では、飛行機の中でも新幹線の中でも、スマホやPCで瞬時に情報を入手することができます。つまり現代のわたし達は、情報を得るのに苦労や手間、なにより時間をかけなくなっていますよね。

そのせいかは分かりませんが、最近は仕事をする上でも苦労や手間を惜しむ人が増えていると聞きます。

だってポケットにいつも入れてある小さな機械をちょいとクリックすれば、どこかの誰かが無料ですぐに教えてくれます。苦労して自分の足で探したり、観に行ったりするなんて面倒くさいですよね?

足を運ぶのはインスタ映えをする写真を撮りに行くくらい。顔も知らない、サイバー空間の中にいる誰かに「イイね!」を貰うためくらいでしょうか。

でもこの映画の主人公たちは、違います。

なにしろ彼らの上着のポケットに常にあるのは、手の平サイズのカード。気になった言葉があればすぐ書き留めます。

なにせ、主人公の馬締(まじめ)君が初めて辞書編纂部にやってきて会話をしているのに、辞書の主幹である松本先生ったらやおら

用例採集

なんて呟いて、カードに書き込み始めるのですから。

よく見れば、先生の片耳にはイヤホンが。つねにラジオを聞いて、言葉を歩猟しているわけですね。

先生のその態度は終始一貫して、用例採集のためなら当時最先端のPHSを即購入し、女子大生との合コンにも出かけます。

そんな熱心な仕事人は彼だけではありません。馬締くんを辞書編集部に誘った荒木さんは、初対面の馬締にいきなり、

「右」という言葉を説明できるか?

なんて問いを投げかけますし、マジメな馬締君も真剣に考えて、

西、を向いた時、北、に当たる方が、右。

なんて、とてもまじめに答えます。更には書店員さんともうまく話せないくらいのコミュ障なのに、松本先生と一緒に合コンにも参加します。もちろん、「生きた言葉」の用例採集をするために。

編集している辞書の用例にはあるでしょうが、彼らの頭に「要領よく」や「効率よく」なんて言葉はありません。もちろん、「金儲け」や「楽して儲ける」なんて言葉も。

何しろ彼らは辞書完成まで15年もかけているのですから。

彼らが合コンの席だろうが、パーティーに参加している時だろうが耳をすませ、言葉を意識し、カードに細かく書き込むのは、少しでも良い辞書、「今を生きる辞書」を編集する為です。

その姿のなんと熱く、眩しいことか。

そんな彼らの情熱は、途中参加の現代っ子社員やバイトの学生たちにも伝染し、辞書完成に向けて共に額に汗して頑張る仲間とするのです。

ウィキやグーグルで足りるから、いまや本棚の重しにしかなっていない、辞書。でもその辞書には誰かの手間と苦労、そして熱い想いがこめられている。

それをこの「舟を編む」は教えてくれます。しかも、エンターテイメントとして楽しめる。だからこの作品は、お仕事映画としても楽しめるのです。

見どころその③ピュアっピュアな恋模様にも注目!


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「舟を編む」の主人公の名前は、馬締(まじめ)光也。

もう名前からして、マジメになるか正反対になるしかない彼は、言語学で大学院まで行ったものの、研究者になるのではなく、出版社に勤務しています。

しかも、営業。客先の書店員さんどころか同僚と目を合わすのも苦手な、いわゆる「コミュ障」なのに。

そんな馬締君を演じているのは、松田龍平さん。いまだ根強いファンを持つ松田勇作の長男で、183センチの長身に整った顔立ちのイケメンさんです。

なのになぜ~か、いつもイケメンとはとても言えない役をよくする役者さん。

他の記事でご紹介した「探偵はBARにいる」シリーズでもそうですし、この「舟を編む」の原作者の別の映画、「まほろ駅前多田便利軒」でもそうでした。

洗いっぱなしのぼさぼさ頭に、ガリ勉眼鏡。オシャレなスクエアでもオーバルでもフチなしでもなく、一昔前のガリ勉君がかけていそうなモサい黒縁眼鏡を標準装備。

恵まれた長身も猫背のせいで目立たず。美しい切れ長目は、もっさりした前髪とくもった眼鏡の向こう側に隠れて見えません。基本無表情ですし。

そんなイケメンの無駄遣いとしか思えないキャラクター造形ですが、辞書編集に15年もかけて取り組む男としてはしっくり来るお姿です。

そんな彼が、恋をしました。お相手は、宮﨑あおいさん演じる香具矢(かぐや)さん。長年住んでいる下宿屋の大家さんの孫。

親友のトラさん(トラジマ猫)に導かれて、月に照らされた彼女と出会って恋に落ちました。下宿のベランダで。

いや~もうね。彼のその恋模様もまた、見ものですよ!

今時小学生でもここまでピュアな反応しないだろう。そこだ、推せ! 行け! ヤレ!

フィクションでしかないと分かっているのに、思わずそうけしかけたくなるほど、奥手な馬締君。

恋する彼女を下宿のキッチンで見かければ、慌ててUターンしようとして鴨居におでこをぶつけて、悶絶。意を決して想いを伝えるべく認めた恋文は、毛筆行書で書いた巻物。

あぁ、なんて不器用なのマジメ君。そりゃオダギリジョー演じるチャラ先輩・西岡でなくとも、

戦国武将じゃねぇんだぞ、お前!

って突っ込みたくなりますわ。

いやいやもうねぇ。そんなマジメで不器用な男の恋模様。思わず声援を送りたくなるようなピュアな男の可愛さも、この『舟を編む』の見どころの一つです。

4.映画「舟を編む」をおすすめの人


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映画「舟を編む」は、こんな人たちにおすすめです。

仕事への情熱を取り戻したい人

なにしろ辞書編集なんていう、地味で目立たず、面倒くさい作業を15年も続け、これからも続ける人々を描いた作品です。その熱量たるや、推して知るべし。

見どころで書いているように主人公の馬締君は基本無表情ですし、チャラ男センパイ西岡はひょうひょうとしすぎていますし、松本先生を演じる加藤剛や、小林薫扮する荒木さんはほぼ常に微笑んでおられます。

でもその背中からね、感じるんですよ、辞書作りへのあくなき情熱を。打算も忖度もない想いを。

だからきっと。観ているうちにあなたの心に、失われた仕事への情熱が戻ってくると思います。

「劇的」な映画に飽きた人

この作品では、世界を巻き込む戦争も描かれませんし、世界の裏側でうごめく陰謀も出てきません。

時代に翻弄される恋人たちも出てきませんし、スターダムにのし上がろうとしのぎを削る人たちも出てきません。

ましてや巨大隕石や宇宙人が襲ってきて、人類滅亡のカウントダウンが始まることも、ありません。

辞書編纂というある意味地味な作業に携わる人々を、一見淡々と描いた作品です。

もちろんエンターテイメント作品ですから、いくつかのドラマや心を動かされるシーンはありますが、次々飛び込んでくる衝撃映像で、観た後はぐったり。なんてことにはなりません。

「劇的」な映画に飽きた、もしくは疲れたあなたにおすすめします。

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