こんにちは。エンタメブリッジライターの海山ヒロです。
今回は、大泉洋と松田龍平のバディが熱いハードボイルド探偵物語、「探偵はBarにいる」の魅力についてご紹介したいと思います。
それでは、早速始めていきましょう。
目次
1.「探偵はBarにいる」の作品紹介
監督:橋本一
脚本:古沢良太・須藤泰司
出演者:大泉洋、松田龍平、小雪、西田敏行、高嶋政伸
受賞歴:第24回日刊スポーツ映画大賞、石原裕次郎賞を受賞。第35回日本アカデミー賞では、7部門にノミネート。
2.「探偵はBarにいる」のあらすじ
画像出典:https://eiga.com/movie/55983/gallery/
この項では、「探偵はBarにいる」のあらすじについてご紹介します。
「探偵はBarにいる」のあらすじ(ネタバレなし)
ススキノをこよなく愛する探偵は、いつも古めかしいバーで、暇そうにしている。
そんな探偵の元にある日、コンドウキョウコと名乗る女から電話がかかってくる。
弁護士の南に去年の2月5日、カトウはどこにいたかを聞いて欲しい。
と依頼してきたのだ。
あなたしか頼れなくって
という言葉とともに。
その言葉に乗せられて依頼を受けた探偵だが、南に接触した途端、あきらかにその筋の人間に拉致され、雪原に生き埋めにされてしまった。
どうにか脱出した探偵は、怖気づくどころか闘争心に火がついて猛烈に調査を始める。しかし謎は、調べれば調べるほど深まっていく。
まず2年前に起きた、札幌の再開発計画に絡んだ放火殺人事件がある。
実行犯は変死体で見つかり、その関連で、1年前にススキノの道端で殺された実業家の事件まで浮上してきた。しかも、放火されたビルで発見された遺体はコンドウキョウコのものだというのだ……!
探偵の依頼人である女は何者なのか。そして彼女の目的は?
だんだんと深みにはまっていく己を自覚しながらも、探偵はさらに調査を進めていくが―――。
「探偵はBarにいる」のあらすじ(ネタバレあり)
探偵は、Barにいる。彼が俺の街と呼ぶススキノの片隅にある、古めかしいバーのカウンターで日がな一日タバコをくゆらしている。
そんな探偵の元にある日、謎めいた電話がかかってきた。その女はコンドウキョウコと名乗り、南という名の弁護士にあることを聞いてほしいと依頼する。探偵の心をくすぐる言葉を添えて。
すっかり乗せられ依頼を受けた探偵だが、南に接触した途端、怪しい男たちに拉致され、雪原に生き埋めにされてしまう。
どうにか脱出した探偵は、怖気づくどころか闘争心に火がついて猛烈に調査を始めるが、謎は深まるばかり。2年前に起きた札幌の再開発計画に絡んだ放火殺人事件を調べれば、実行犯は変死体で見つかったことが分かる。
それでも調べを進めれば、1年前にススキノの道端で殺された実業家の事件まで浮上してきた。しかも放火されたビルでコンドウキョウコの遺体が見つかったという事実までわかって……!?
探偵に電話してきたコンドウキョウコとは何者なのか。彼女は探偵になにをさせようとしているのか。
だんだんと深みにはまっていく己を自覚しながらも、探偵はさらに調査を進めていくが、杳として真相にたどり着かない。捜査が暗礁に乗り上げそうだと悩む探偵。
しかしそんな折、ススキノでクラブを経営する一人の美女と出会う。
沙織と名乗るその女は殺された実業家の未亡人であり、犯人を強く恨んでいるという。出会ったのも何かの縁と彼女も探偵に犯人捜査してきて、ますます事態は複雑になっていた。
放火されたビルの地上げをしていたのは、札幌の新興暴力団「花岡組」。放火事件の主犯とされるのは、事件からわずか4日後に死体で発見された男。探偵はその男の両親の元を訪ねるが、彼の父親は飲んだくれで、要領を得ない。
ならば花岡組の関連組織へと出向けば、花岡組と乱闘になり、相棒の高田と辛くも逃げ延びる。
なぜ花岡組は放火ビルに地上げをかけたのか。霧島は誰に殺されたのか。
解けない二つの謎を抱えた探偵の元に、再びコンドウキョウコからの電話が。
「いったい何をしようというのか」と詰問する探偵に彼女は「カトウと名乗る男を探して欲しい」と依頼してくるのだが、そのカトウは実は探偵を生き埋めにした黒髪の男であり、探偵はまたもや逃げる羽目になり―――。
3.探偵はBarにいるの5つの見所
画像出典:https://eiga.com/movie/55983/gallery/
それでは次に、探偵はBarにいるの見所を5つ、ご紹介したいと思います。
見どころその①あの大泉洋がハードボイルド!?
画像出典:https://eiga.com/movie/55983/gallery/
一人の女の依頼が、探偵の運命を突き動かす。
映画のトレイラーに出てくるこのキャッチを最初に観た時。本当に失礼ながらふっと笑ってしまいました。
いやだって主演があの大泉洋さんですよ?
バラエティ番組で自虐的なギャグを飛ばし、体で笑いを取りに行く男。しかもそれまで彼が出演した映画が演じた役は、『ゲゲゲの鬼太郎』のねずみ男しか知りませんでしたから。
ニュースで彼が主演を務めると聞いた時も、「探偵はBarにいる」はコメディ映画だと思い込んでいました。なにより。ハードボイルドの主役というには……お顔が………ねぇ?
しかし実際に観ると、この映画は間違いなく正統派ハードボイルドの探偵物語でした。
見どころその②ここにもそこにもハードボイルドのお約束が!
まず、主役の「探偵」に、名前はありません。他の登場人物にはちゃんと名前があるのに、彼だけは仲間からも「探偵」と呼ばれています。ちなみに一人称は、俺。
ね。ハードボイルドでしょう?
さらに言えば、探偵はスマホどころか携帯電話を持っていません。もちろんポリシーです。依頼人からの電話を受けるのは、根城にしている地下のバー。しかも、いまどき珍しい黒電話。
もうこのメンドクサイ拘りからして、ハードボイルド臭ぷんぷんです。
昔どこかで読んだのですが、ハードボイルドとは「自ら決めた(もしくは約束した)何かをかたくなに守る姿勢、態度」。
不便だろうに携帯ではなく固定の黒電を使い続ける探偵は、立派なハードボイラーなのです。
さらに、探偵の相棒・高田の設定もまたハードボイルドちっくです。
松田龍平さん演じる高田は、北大農学部の助手。普段は黒ぶち眼鏡の奥の目を眠そうにしょぼつかせながらぬぼ~っと立っているか、お菓子をぽりぽりやっているか。
まぁたいていは寝ています。
愛車は走っているのが不思議なくらいおんぼろの、初代ビュート。住処は大学構内で、いつも空っけつ。でも実は空手の師範代で、喧嘩がめっぽう強い。ピンチになったら拳で解決します。
ね。ハードボイルド探偵もののお約束なキャラ設定でしょう?
見どころその③「惚れたのか?」-ハードボイルドといえば決め台詞。
そして「探偵はBarにいる」では、ハードボイルド探偵物語に欠かせないキメ台詞も出てきます。
主役・探偵のキメ台詞は、
探偵は依頼人を守らなきゃいけないんだよ!
普段はひょうひょうと掴みどころのない表情を浮かべるか、妙に格好つけたキメ顔を浮かべる探偵が、この台詞を叫ぶシーンは感涙必至。ぜひハンカチのご用意を。
それがどのシーンかは―――自分の目でお確かめください。
相棒・高田のキメ台詞は、
惚れたのか?
です。
この台詞は続編の『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』でも登場しますから、シリーズお約束のキメ台詞と思われます。
この台詞をシリアスに胸ぐら掴んで怒鳴るわけでも、からかう様に言うわけでもなく、あの眠そうな半分だけ明けた目で朴訥に、放るように問いかける高田。
だからこそその問いは重く、高田が探偵の身を案じるのが伝わってきます。
あぁ。熱い。篤い。
見どころその④ぬるくて篤い、男たちの友情!
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そう。この「探偵はBarにいる」はハードボイルド探偵物語であると同時に、ぬるくて篤い、男たちの友情を描いたバディ物語でもあるのです。
なにが「ぬるい」かと言えば、探偵と高田の普段の行動、言動、関係性です。
探偵はなにせこだわりの人。「探偵はいつもクールでいなきゃな」なんて思っているかどうかは知りませんが、イイ格好をするとき以外の言動はあくまで軽い。
高田はいつも寝ているか、眠そうにしているか。お菓子を食べているか。
まぁそんな二人ですから、いつも一緒にいるわけでもなく、一緒にいたとしても高田は寝て、探偵はタバコをくゆらしているか、オセロでもしているか。
両方起きていても、ぼそぼそ喋るかくだらないことを言い合うぬる~い関係です。
が。
ひとたび事件の渦中に飛び込めば、息ぴったり。罵りあいながらもお互いに背中を預け、やる事はキッチリやる。
何より探偵がピンチに陥れば身体を張って助けようとする高田の熱いというより篤いこと……!
そんな時でも、眠そうな目とぶっきらぼうな物言いのままなのが溜まりません。あぁ、なんて理想的な探偵物語の相棒役。
言うなれば高田は、「シャーロックホームズ」におけるワトソン。
医者ではなく農学部の助手ですが専門家に変わりなし。腕っぷしが強く、何のかんの言って探偵をサポートするところも同じです。
長く愛される探偵もの、ハードボイルドものには謎解きや設定の妙だけではなく、魅力的なバディが登場することが多いのですが。
この「探偵はBarにいる」もしっかりその系譜に連なり、おかげでシリーズは三作作られています。
見どころその⑤あの人がこんな役を!?
画像出典:https://eiga.com/movie/55983/gallery/
さて。映画の成功のカギを握るポイントはいくつかあると思いますが、そのひとつが配役です。
特に原作がある作品の場合、そしてそれが人気作であればあるほど、熱心なファンがいますから、役にイメージに合わない配役には大ブーイングを受けてしまうこともあります。
その点、この「探偵はBarにいる」の配役は絶妙。
主役のお二人については前述のとおりですが、それ以外にも「えぇ! あの人がこんな役を!?」をと思わず二度見したくなるほどの、でもナイスに似合っている配役ばかりですから、そこにもぜひ注目してもらいたいと思います。
まずは、探偵を拉致した男カトウ。これがもぅ、キャラ立ちまくりなのです。
カラスの濡れ場色の髪に、鼻ピアス。暴力をふるうときほど満面の笑みを浮かべ、前髪に隠れたハイライトの消えた目をニイッと細めて……おお怖!
そんなイっちゃった役を、高嶋政伸さんがノリノリで演じています。
探偵の相談役のような存在・相田もいい味出していますよ~。
いまや「孤高のグルメ」でおなじみの松重豊さんが演じているのですが、「孤高のグルメ」で見せるひょうひょうとした持ち味はそのままに、札幌の老舗ヤクザの若頭の顔もちゃんと出ています。
そして探偵と話をするときは、ほぼサウナ!
これ、原作に忠実な設定なんですが、松重さんも大泉洋さんもだらだら汗をかきながら、ぼそぼそしゃべり合っているシーンはそれだけで笑えます。
あれ、なんテイク演じたんでしょうか。お疲れ様です。
4.「探偵はBarにいる」はこんな人におすすめ
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「探偵はBarにいる」は、こんな方におすすめです。
ハードボイルド好き・探偵もの好きの人
すでに熱くご説明したように、この作品は正統派かつ中々ハードなハードボイルドストーリーです。
主演の大泉洋さんと松田龍平さんの、まったりコミカルな表情に騙されそうになりますが、血しぶき飛び散る乱闘シーンや、危機一髪のカーチェイスがあります。
さすがはPG-12指定。ハードボイルド好き、探偵もの好きの人が胸躍らせるシーンがてんこ盛りです。
子供向けの物語に飽きた人
PG-12指定とあるように、この映画は大人が楽しめる作品です。
事件を追えば追うほど謎は深まり、翻弄される探偵とその相棒。探偵と相棒の間の、分かりにくいけれど、確かに存在する熱い友情。謎の女の真意と事件の裏側。
そして探偵が最後に手にした事件の結末は、大人でなければ到底理解も出来ないし、受け取れないもの。
「探偵はBarにいる」を観る際にはこの際、「お子様」にはご遠慮いただいて。大人だけでどうぞたっぷりお楽しみください。
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