樹木希林さん最後の主演作!映画「あん」のあらすじと感想【ネタバレあり】

こんにちは!エンタメブリッジライターの菜々です。

今回は桜の咲く春になると見たくなる映画、「あん」についてご紹介します。

2018年9月に亡くなった名女優・樹木希林さんが最後に主演した映画としても注目されています。

2015年に上演された当時は、樹木希林さんの孫・内田伽羅(うちだきゃら)さんと共演されていることでも話題になりました。

何年経っても愛されている「あん」のあらすじや見どころについて解説していきたいと思います。

それでは早速見ていきましょう!

1.「あん」の作品紹介

公開日: 2015年5月30日 (日本)
監督: 河瀬直美
原作者: ドリアン助川
原作: あん(小説)
出演者:樹木希林、永瀬正敏 、内田伽羅、市原悦子、浅田美代子 など
受賞歴:第68回カンヌ国際映画祭にて「ある視点」部門に出品、オープニング上映される。第1回バレッタ映画祭で長編コンペティション部門にて、最優秀作品賞と主演の樹木希林が最優秀女優賞をダブル受賞。他キャストも各種俳優賞を受賞。

2.「あん」のあらすじ

あんメインビジュアル
画像出典:http://an-movie.com/

続いては、「あん」のあらすじをご紹介します。

「あん」のあらすじ(ネタバレなし)

舞台は満開の桜が咲く公園の一角にある、どら焼き屋『どら春』。

そこで、千太郎(永瀬正敏)は雇われ店長として日々どら焼きを焼いていました。

ある日、1人のおばあさんがふらっと訪ねて来ます。

店に貼ってあった求人募集を見て、ここで働きたいと言い出します。

千太郎はやんわり理由をつけて、一旦は帰ってもらいます。

しかし、どうしても働きたいと再びやって来ます。

おばあさんが持ってきた、あんの美味しさに感動した千太郎は徳江(樹木希林)にあん作りを手伝ってもらうことを決めました

徳江の作るあんのおかげで、どら春は大繁盛店となります。

しかし、どら春のオーナー(浅田美代子)が徳江はハンセン病だったという噂を聞きつけ、徳江を辞めさせるよう千太郎に迫ります。

それから間もなく、繁盛していたはずのどら春にお客さんがぴたりと来なくなってしまいます。

理由を察した徳江は、自らお店を後にし千太郎は1人に戻ります。

徳江が書いた住所を元に、ハンセン病患者の施設に向かった千太郎。

そこで、千太郎は徳江の本当の思いを知ることになります。

「あん」のあらすじ(ネタバレあり)

あん あらすじ画像
画像出典:http://www.haconiwa-mag.com/magazine/2015/05/an_201505/

徳江があん作りを手伝うようになる前の『どら春』のどら焼きは、実はそれほど美味しいものではありませんでした。

どら焼きはあんが命でしょ!

と徳江が言うようにあんってすごく重要ですよね。

千太郎は生地作りには自信があったものの、上手くあんが作れないため、業務用の缶に入ったあんを使っていました。

豆への「おもてなしだから」と、徳江によって丁寧に作られたあんの美味しさは評判となり、お客さんが並ぶまでの繁盛店となります

ある夜、どら春のオーナーが徳江は「らい(ハンセン病)じゃないか」との噂を聞きつけ、辞めさせるよう迫ります。

過去に喧嘩の仲裁から暴力事件を起こし、借金を肩代わりしてもらっている千太郎は、オーナーに頭が上がりません。

悩んでいた千太郎がお店を休んだ日、徳江は一人でお店を開けることに。

お客さんに初めて直接どら焼きを手渡す徳江は、とても嬉しそうでした

いいね、鳥は自由で

どら焼きを食べに来たワカナ(内田伽羅)にそう呟きます。

しかし、噂が広がったのか客足はぴたりと止みます。

そして、理由を察した徳江は自らお店を辞めてしまいます

お客さんも来ないどら春のベンチで、寂しく煙草を吸っていた千太郎の元に徳江から一通の手紙が届きます。

「店長さん…」で始まるその手紙には、千太郎を気遣う内容と世間に対する考えが書かれていました。

徳江の思いを知った千太郎は、ワカナと共にハンセン病患者の施設へ会いに行きます。

ちょうどワカナと同じ年の頃に施設に連れてこられたと言う徳江は、「どら春で働けたことが楽しかった、私は大丈夫よ」と話します。

徳江の友人である佳子(市原悦子)も含め、ぜんざいを一緒に食べながら和やかに過ごしました。

どら春に戻り、ワカナとあん作りを再開します。

そんな時、オーナーが「甥と一緒に働いてほしい」と訪ねてきます。

突然のことにも関わらず、来月からお店を改装すると言うのです。

改装工事が進む中、心配していたワカナは施設の前で俯く千太郎を見つけ再び徳江を訪ねます。

そこに徳江の姿はなく、友人の佳子から徳江が3日前に肺炎で亡くなったことを告げられます

佳子に託されたカセットテープには、徳江の最後の言葉が残されていました。

初めてどら春に来た日のこと、産むことができなかった息子が生きていれば千太郎と同じ年頃だったこと。

お墓を作ることが許されていなかった佳子たちは、誰かが亡くなると木を植えてきました。

徳江のために植えられたソメイヨシノの前で、千太郎とワカナは月を見上げます。

季節は流れ、再び桜の時期が巡ってきます。

徳江と初めて会った日と同じように、桜の下でどら焼きを売る千太郎。

「どら焼きいかがですかー!」

と公園に響くくらいの大きな声で呼びかける、前を向いて生き生きとした千太郎のカットでラストは飾られています

3.「あん」の見どころ

あん見どころ
画像出典:https://happyeiga.com/56826272-2

樹木希林さんや永瀬正敏さんはじめ出演者の演技力は言うまでもないですが、私なりの見どころをご紹介します。

もう一度劇場で見れる 追悼上映中…!

2018年9月15日、主演である樹木希林さんが永眠されました。

名脇役としても長年ご活躍された樹木希林さんが、最後に主演をされた映画が「あん」です。

夫の内田裕也さんも2019年3月17日に亡くなり、ニュースなどで2人の姿を見た方も多いのではないでしょうか。

多くの関係者から追悼上映を望む声が上がったそうで、2018年9月21日から多くの映画館で追悼上映されています

2015年に上映されていた当時、私は劇場で見ることができませんでした。

私のように劇場上映を見逃していた方にも、もう一度劇場で見たい方にも最後のチャンスと言えるでしょう。

この「あん」という映画は、ストーリーを知っていてももう一度見たくなると思います。

むしろもう一度見る方が、樹木希林さん演じる徳江の言葉1つ1つの意味をより深く感じられるかもしれません

どら焼きが食べたくなる!小豆から作られる、つぶあんのシーン

あん見どころ
画像出典:http://an-movie.com/sp/story/

千太郎が徳江にあん作りを教えてもらうシーンでは、小豆があんになっていく過程が詳細に描かれています。

音楽も使われておらず、ザルに打ち上げられる音やぐつぐつ煮えている音など小豆がマイクを占領しているような…。

普段、音楽や動画を見ていることが多い私には、そういった生活の音が新鮮に聞こえました。

水に2時間浸けて気長にのんびり待っていると、次は焦げないようにすばやく、かつ忙しく動かしてもだめ。

間髪入れず、さっと水飴を入れる。

美味しいあんを作るのはとても難しいようで、あたふたしている千太郎と徳江のやり取りも見どころです

がんばりなさいよー!

と言った徳江に、千太郎は返事をします。

「店長さんじゃないのよ。小豆に言ったの。」なんてやり取りもあってクスッと笑ってしまいます。

出来上がったアツアツのどら焼きをほお張っていると、千太郎がカミングアウトします。

僕、どら焼き1個丸々食うってまず、ないんですよ。

さすがの徳江も「ええー?!」となっていました。

私も驚きました。

甘いものが苦手な人も虜になる徳江のあん。

「あん」を見れば、あなたもどら焼きが食べたくなるかもしれません。

徳江に見えている世界

あん見どころ
画像出典:http://www.cheapculturetokyo.com/index.php

あんを作る時、徳江はまるで人と接しているように小豆を扱います。

「がんばりなさいよー!」と話しかけたり、

せっかく来てくれたんだから、畑から

と豆を気遣ったりしています。

小豆のボールにゆっくりと水が入っていくのを、顔を近づけてまじまじと見る徳江に千太郎は問いかけます。

しかし、何がそんなに見えるんです?

小豆に話しかける徳江は、一見不思議なおばあさん見えるかもしれません。

小豆以外にも桜や月、草など私たちの周りにある自然にも徳江は目を向けているのです。

どら春を辞めざるを得なかった時にも、「柊の垣根を越えてやってくる風が、店長さんに声を掛けた方がいいって言ってるように感じられた」ために手紙を書いたと綴られています。

千太郎が問いかけた答えは、その手紙の中にありました。

この世にあるものは全て言葉を持っていると私は信じています

小豆がどうやって「旅」してきたか、徳江は小豆の声を聴きながらあんを作っていたのです。

今目の前に見えているものだけではなく、ここまでにある背景・過去まで徳江には見えているのだと思います。

そんな徳江だからこそ、過去に苦しんでいる千太郎の目に気づいたのですね。

暴力事件で相手に重い障害を負わせてしまった千太郎。

ワカナにも家庭のことをあまり考えていない母親がいます。

それぞれ何かを背負って過ごしていた日常の中で、徳江と出会い前を向けるようになりました。

なんてことない毎日の中に、大切な何かがあるような気がしてきます。

生きる意味を教えてくれる


画像出典:http://s-kannaduki.blog.openers.jp/2015/05/26/1886/

徳江は、ハンセン病の元患者です。

「元」なら、なぜ今だに施設に住んでいるのでしょう。

かつてハンセン病はらい病と呼ばれ、感染する病気だと長年間違えて認識されていました。

国が決めた「らい予防法」に基づき、家族と引き離され療養所に隔離されます。

作中に佳子はこう言っています。

私も、働いてみたかったなぁ…

子どもを産むことも許されず、死ぬまで療養所で暮らすよう強制的に自由が奪われました。

あの家にいはハンセン病患者がいる、と家族も差別を受けることがあったそうです。

1996年に「らい予防法」が撤廃された後も、帰る場所がない方もいます。

徳江もそんな1人だったのでしょう。

療養所内の納骨堂には、多くの遺骨が納められています。

「私たちも陽のあたる社会で生きたい」

ワカナが図書館で読んでいる本に書かれている言葉です。

千太郎やワカナのいるどら春は、徳江にとって陽のあたる場所だったのではないかと思います。

亡くなった徳江の部屋で、千太郎とワカナはカセットテープを渡されます。

手が不自由なこともあり、手紙を書けるだけの元気も残っていなかったのでしょう。

病棟に運ばれる前、徳江から佳子に託されたというテープには、最後の言葉が残されていました。

私たちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。
…だとすれば、何かになれなくても、私たちには生きる意味があるのよ。

桜や風、月の存在を感じて生きてきた徳江の姿がそこにありました。

自由に生きられるはずなのに、千太郎は過去に起こした事件に囚われ下を向いて生きていました。

最初に出会った日、徳江は千太郎にこうも問いかけています。

この桜、誰が植えたのかしら?

私にはこの言葉は、「どうしてあなたは生まれてきたの?どうしてそこにいるの?」と問いかけられているような気がしてなりません。

この時は、「ここで育ったわけじゃないんで。」と、千太郎はそっけなく答えます。

そんな千太郎に徳江は生きる意味を遺したかったのではないかと思います。

4.「あん」をオススメしたい人

あんオススメしたい人
画像出典:https://www.huffingtonpost.jp/

「あん」に登場するのは、おばあさんの徳江、中年の千太郎、学生のワカナと3世代に渡ります。

色々な人に響く映画と思いますが、こんな人にオススメしたいです。

毎日忙しく過ごしている人

仕事・家庭など毎日何かと追われる日々を送っている方に、1度立ち止まって考える機会を与えてくれると思います。

「今日は何時まで残業なの?!」「明日も仕事、休みまであと◯日!」「やっと帰れたけど、家事しなきゃ…」こんな風に思うこと、ありませんか?

ふとした瞬間に、何でこんなに働いているのか考えてしまうかもしれません。

そんな時に見てほしい映画です。

日常に当たり前にあるものに目を向けることで、見落としていた優しさやありがたさに気づくかもしれないです。

若い世代の人

これから長い未来のある10代の若い方にもオススメです。

ご年配の方に、こう言われたことはありませんか?

若いっていいわねぇ

私も若かりし頃はよく言われていましたが、何がいいのか分かりませんでした。

人それぞれだとは思いますが、時間があるのは大切なことなんだよ、悔いのないように生きていくんだよ!というようなことを伝えたいのだと思います。

「あん」のフライヤーにもあるように、「やり残したことはありませんか?」と聞いてみるのもいいですね。(失礼にならなければ…。)

また、ハンセン病のことを知らない若い方もいるのではないでしょうか。

ハンセン病は過去のことではありません。

ごく最近まで、国全体で差別を受けてきた人が現在もいるのです。

「あん」をきっかけに、忘れてはいけない間違いがあったことを知ってほしいなと思います。

家族と離れて暮らしている方

生きる意味を考えると、死・別れのことも頭によぎるかもしれません。

ここに来ると、今まで着てたものも持ち物もみんな処分されちゃうの

徳江は家族と離れ離れにされただけでなく、母が作ってくれた大切な服も全て奪われたそうです。

「永遠に消えてしまったのねぇ…」と虚ろに話す姿は忘れられません。

強制的に家族と離されることはないとしても、いつかは会えなくなります。

私は祖母に会いたくなりました。

あなたは誰を思い浮かべますか?

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