こんにちは。エンタメブリッジライターの海山ヒロです。
今回は、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)として23作目。
トム・ホランドを主役とした新生「スパイダーマン」シリーズとしては2作目の、スパイダーマン:ファー・フローム・ホームをご紹介したいと思います。
それでは、早速始めていきましょう。
目次
1.スパイダーマン:ファー・フローム・ホームの作品紹介
監督:ジョン・ワッツ
原作:スタン・リー、スティーブ・ディッコ
脚本:クリス・マッケーナ、エリック・ソマーズ
出演者:トム・ホランド、サミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダース、ジョン・ファブロー、マリサ・トメイ、ジェイク・ギレンホール。
2.スパイダーマン:ファー・フローム・ホームのあらすじ
画像出典:http://www.spiderman-movie.jp/
昼間は、ニューヨークの公立高校に通うさえない高校生。
しかしひとたびスーツに着替えれば、ビルの谷間を縦横無尽に飛び回るヒーロー、スパイダーマン。
20歳を過ぎているのに高校生役がドはまりするトム・ホランドを主役に抜擢して新たに作られた「スパイダーマン:ホームカミング」の続編。
それがこの、「スパイダーマン:ファー・フローム・ホーム」です。
以下ご紹介するあらすじは、ネタバレなしとネタバレありがありますので、お好きな方をどうぞ。
スパイダーマン:ファー・フローム・ホームのあらすじ(ネタバレなし)
最強の敵サノスとの闘いを終え、スパイダーマンこと高校生のピーター(トム・ホランド)は、平和を満喫していた。
彼が目下気しているのは、来る夏休みの研修旅行。
ニューヨークを飛び出し、ヴェネツィアやパリを訪れる旅で、気になるあの子・MJ(ゼンデイヤ)に告白すると決めたのだ。
しかし、最初の目的地である水の都ヴェネツィアを観光中、運河から湧き出してきた謎の怪物に襲われてしまう。
ホテルにスーツを置いてきたピーターは、それでも何とか人々を非難させようと奮闘するが、正体不明の敵に防戦一方。
そこへ、ヘルメットをかぶり、マントをひらめかせた謎の男がどこからともなく現れ、怪物を見事倒した。
さらには、ずっと避け続けていた元「S.H.I.E.L.D.」長官にして、アベンジャーズの立役者ニック・フューリーが現れ、ピーターを謎の男ベック(ジェイク・ギレンホール)に引き合わせる。
なんとベックは、ピーター達とは次元の違う地球のヒーローで、彼の地球はあのバケモノ「エレメンタルズ」に破壊されてしまったというのだ。
4体いたエレメンタルズのうち3体は倒したものの、金属を力の源とする最後の1体がピーター達の地球を破壊しようとしている。
ベックにそう説明され、フューリーに参戦を促されたものの、一度は断るピーター。
しかしフューリーからは逃げられるはずもなく、結局隠密スーツを着て、ベックとともに「世界を救う」闘いに赴くのだが―――。
スパイダーマン:ファー・フローム・ホームのあらすじ(ネタバレあり)
「アベンジャーズ/エンドゲーム」から1年。
世界はアイアンマンやブラック・ウィドウなどの偉大なヒーローを喪いながらも、前へ進もうとしていた。
最強の敵サノスの「指パッチン」により5年間の空白を飛び越えた者たちと、喪失を抱えながらその5年を生きてきた者たちは、戸惑いながらも日々を送っている。
16歳のピーター・パーカー(トム・ホランド)もその一人。
彼は、アイアンマンたちの献身により、消滅から蘇ってきたのだ。
とは言え、彼は16歳の青春真っ盛りな少年でもある。
ヒーロー活動を続けながらも、気になるのは同じクラブの女の子MJ(ゼンデイヤ)と、彼女やクラブの仲間たちと一緒に行くヨーロッパ研修旅行。
画像出典:https://eiga.com/movie/89601/gallery/
しかし、親友のネッドを参謀に壮大な告白計画を立てて訪れた最初の訪問先・ヴェネツィアで、水を操る謎の怪物に襲われてしまう。
あぁ可哀そうなピーター少年。
水の怪物は、どこからともなく飛んできたヘルメットにマント姿の男が倒してくれたものの、散々無視していたアベンジャーズの影のボス、ニック・フューリーに拉致られ。
またもやって来た「世界の終わり」に立ち向かうべく、参戦を促される。
今度の敵はなんと、別の次元からやって来たエレメンタルズとかいう怪物で、謎の男ベックはそのバケモノたちと死闘を繰り広げていたヒーローたちの生き残りだというのだ。
(あの)スタークが君をアベンジャーズに招いたんだ。覚悟を決めろ。
強面の顔をグッと寄せてフューリーはそう言うけれど、高校生には荷が重すぎる。
ソーは不在。キャプテン・マーベルは別の案件で忙しいなんて状況では、とても戦えない。
そう言って一旦は旅行に戻ったピーターだが、フューリーが逃がしてくれるはずもなかった。
画像出典:https://eiga.com/movie/89601/gallery/
研修旅行の行く先をエレメンタルズが襲うとされるプラハに変えさせ、皆に正体をばらしたくないというピーターには黒いスパイダースーツを渡して、戦いの場に押しやった。
フューリーがピーターに渡したものはもう一つある。
それは、スタークが最後の闘いでもかけていた色つきのサングラス。
次のアイアンマンへ。
そんな言葉が書かれたメモを握りしめ、サングラスをかけたピーターだったが、それはただのサングラスではなく、「イーディス」というAIが統御する最強戦闘システムであった。
アイアンマンの遺産イーディスと、隠密スーツ。
更に頼もしすぎるヒーロー・ベックの協力を得て、金属のエレメンタルズと闘うピーター。
相手はベックの地球を滅ぼしただけあり苦戦するものの、彼の捨て身の攻撃のおかげで無事倒すことができた。
世界には次のアイアンマンが必要なんだ。それはあなただと思う。
エレメンタルズとの闘いの後、ピーターはそう言って、イーディスをベック改めミステリオに託す。
世界は新しいヒーローを手に入れた。さぁ旅行を楽しむぞ!
小躍りしつつホテルに帰ったピーターだが、偶然ミステリオが仕掛けたからくりの一端を見つけてしまう。
そう。ミステリオは異世界から来たヒーローなどではなく、スタークに恨みを持つ元スターク・インダストリーのエンジニア。
同じ境遇の仲間を集めて、スターク亡き後「新たなヒーロー」として世界を牛耳ろうとしていたのだ!
敵は、現実と見まごうイリュージョンを操る大人たち。
更には自分の手で、スタークの遺産にして最強の武器まで渡してしまった。
どうするピーター、どうするスパイダーマン!?
3.スパイダーマン:ファー・フローム・ホームの見どころ
画像出典:https://eiga.com/movie/89601/gallery/
MCUフェーズ4の第一作目、アベンジャーズ/エンドゲームでひとつの終わりを迎えた後の世界。
それがこの、スパイダーマン:ファー・フローム・ホームの舞台です。
一作目の「スパイダーマン:ホームカミング」では、最新のおもちゃにはしゃぐキッズだったピーター少年が本作ではどんな成長を見せてくれるのか?
二つの見どころを通して解説していきたいと思います。
「鉄の意志」を継ぐのは誰だ!?
繰り返しになりますが、この作品は「アベンジャーズ/エンドゲーム」の後の世界を描いています。
つまり、主人公のピーター君を師として父親としても守ってくれたアイアンマン=トニー・スタークはもういません。
それは、主人公ピーターにとって大きすぎる喪失ですが、「世界」にとっても同じこと。
最強の敵サノスは倒されましたが、いつまた敵がいずこから襲ってくるかわかりません。
だからみんな知りたがっている。「次のアイアンマン」は誰か。
彼の鉄の意志(遺志・遺産)を受け継ぐのは、誰なのかを。
特にピーター少年は「親愛なる隣人」スパイダーマンとして、ニューヨークを拠点としていること。
メイおばさん(マリサ・トメイ)やスタークのボディーガードにして親友のハッピー(ジョン・ファブロー)が企画するファンミーティングで気軽に会えることなどから、記者たちに質問攻めにされます。
いやいや。ラスボス中のラスボスサノスと闘ったとはいえ、彼はまだ16歳の少年でしかありませんからねぇ。
いずれは、そしてもしかしたらスタークの後を継ぐことができるかもしれませんが、それはずっと先の「未来」のはずで。
第一彼は、ほんの数か月前に世界を救う闘いを終えたばかり。
ちょっとは自由を満喫させてあげるべきなのでは? なんて、大人の一人である筆者は思うわけです。
しかし「敵」は待ってはくれません。世界はいつも危険でいっぱい。
しかも今回は「異世界」からの敵と言いますから、MCUさんたら世界をどこまで広げる気だよと、ピーター君でなくとも突っ込みたくなるはず。
さらには気になるあの子と一緒の海外旅行先で襲われたのですから、不憫としか言いようがない。
僕はただの「隣人」だよ。事がでかすぎるって!
ピーター少年が思わずそんな泣き言を口にするのも、無理はありません。
だって「世界を救える」「大人」なら、生き残ったアベンジャーズがいるはず。
今回はその異世界のバケモノと長年闘ってきたというヒーローまでいるのですから、後はよろしくと抜け出そうとするのも、仕方ないかも。
スタークが残した薄く色のついたサングラス。
そして、そこからつながるスターク・インダストリーが誇るAI兵器システム「イーディス」。
これを使えばたぶん、アイアンマンのごとく闘える。
でもそれを、僕なんかが使っていいのか?
僕なんかが、アイアンマン(の後継者)になれるのか……?
そんな風に葛藤する少年ピーターの心の揺らぎと選択が、本作品の見どころの一つです。
誰が敵で、誰が味方か……あなたもきっと騙される。
画像出典:https://eiga.com/movie/89601/gallery/
今回の敵は、異世界から突如として現れたエレメンタルズというバケモノ。
その、四大元素を力とするバケモノたちは異世界の地球を滅ぼし、いまはピーター達の住む地球を滅ぼさんと襲ってきた。
そのバケモノと死闘を繰り返し、最後の1体を追って異世界からやって来たのが彼、ベックだ。
さぁスパイダーマン。覚悟を決めろ。彼と一緒に世界を救うんだ!
サノスとの闘いを終え、夏休みだ、海外旅行だと浮かれていたピーター少年を呼び出したニック・フューリーが告げたのが、そんなトンデモ設定です。
これが現実世界ならば、「頭大丈夫?」「寝言は布団の中でどうぞ」「看護する人を呼びましょうね」なんて、なだめるか遠ざかるかするところですが。
ピーター少年にとって残念ながら、MCUの世界であれば、それは起こりうる事件。
なにしろ、5000年生きる雷神とその義弟の盛大な兄弟げんかのとばっちりで、宇宙のどこかから軍隊がやってきてニューヨークが破壊され(「アベンジャーズ」)。
指パッチンで全宇宙の半分の生命が消えたと思ったら、5年後には復活(「アベンジャーズ/エンドゲーム」)したこともあるわけですから。
そしてそれを告げたのがクッソ真面目な顔をした元S.H.I.E.L.D.の長官フューリーですから、ピーターがそのまま信じるのも無理からぬこと。
おまけに異世界のヒーロー・ベックは、
僕の世界でも君と闘いたかったよ。
なんて、16歳の若造にも真摯に対応してくれる紳士。そりゃ騙されますわ~。
えぇ、はい。盛大にネタバレしちゃいますが、ベックあるいはミステリオさんは、味方なんかじゃありません。
一流の詐欺師は、嘘の中に真実をちりばめると言いますが、ミステリオが繰り出す巧妙すぎる嘘に、周りはまるっと騙されまして、パーカー少年は翻弄されまくります。
いや~思い込みって怖いですよね。
なまじ世界崩壊を経験した後だけに、強烈な敵とそれから救ってくれるという「ヒーロー」が出てきたら、無条件に受け入れてしまう。
目の前でその闘いを観ていなくても、ネットの映像を見ただけで本物だと信じてしまう。
これ。どこかで聞いた話じゃありませんか?
誰が敵で、誰が味方か。
ミステリオの言ったことは、どこまでが嘘で、どこまで真実か。
彼の行動の目的と、どうやってスパイダーマンだけでなく、フューリーをも騙せたのかは、ぜひご自分の目でお確かめください。
4.スパイダーマン:ファー・フローム・ホーム ライター海山ヒロの視点
画像出典:https://eiga.com/movie/89601/gallery/
トム・ホランド版スパイダーマンの第二作のキーワードは、「フェイクニュース」である。
エンドクレジットを見ながら筆者はそう思いました。
フェイクニュースとは、インターネットがこれだけ発達して、最近では小学生でも持っているスマホやケータイで誰でもいつでも簡単に情報を発信できるようになった現代特有の現象。
病と言うべきかもしれません。
災害が起きるたびに「動物園の猛獣が逃げ出した」と言ったデマがサイバー空間を飛び交い。
犯罪が起きれば、「これが容疑者の素顔と住所だ!」などと、まったく関係のない人間の個人情報が垂れ流される。
フェイクニュースは、ツイッターが大好きで、自ら嘘やデマを呟き続けるあの大統領の決め台詞でもありますね。
一度ネットに出回った情報はあっという間に広がり、浸透し、消しても消しても浮上し続けます。
そして多くの人は、それがフェイクニュースかどうかを確かめることなく、拡散してしまう。
特にそのニュースがセンセーショナルであればあるほど。
スパイダーマン:ファー・フローム・ホームでは、そんなフェイクニュースに世界が踊らされ、主人公のピーター達が翻弄されます。
なにしろMCUの世界では、なんでもあり。
宇宙人が何度も地球に攻めてきて、それをスーパーヒーローたちがやっつけるなんて言う、それこそ誰も信じないフェイクニュースのようなことが現実に起きたわけですから。
異世界の地球を滅ぼしたバケモノが襲ってきた!
なんて言われても、信じちゃうわけです。
バケモノが襲う現場を見ていない人も、その場にいた人々があげた映像をネットで見て、「すっげぇ」「ヤバイ」なんて鼻息を荒くしながら、ガンガン拡散しちゃうのです。
かくしてフェイクニュースは検証されることもなく、全世界をぐるぐるグルグル回り続け、「事実」と認識され続ける。
劇中ミステリオが言う様に、
人々は信じることを求めている。
から。ソレが嘘かホントかなんて、気にしていないから。
そんなスパイダーマン:ファー・フローム・ホームは、なんともまぁ21世紀の現代に相応しいヒーロー映画だとは思いませんか、皆さん?
5.スパイダーマン:ファー・フローム・ホームをおすすめの人
画像出典:https://eiga.com/movie/89601/gallery/
高校生ピーター・パーカー君の青春成長物語のふりして、がっつり現代の闇について考えさせられる今回のスパイダーマン:ファー・フローム・ホーム。
おすすめする人をあげるにあたり、かつてないほど悩みました。
う~ん。どんどこ出てくるきらめくガジェットは楽しいから、それを推すべきか。
いや、一作目に比べるとずいぶん成長したように思えるピーターの甘酸っぱい恋の部分をフォーカスすべきか。
そんな風に悩んだ結果がこちらです。
どんでん返しが好きな人
分かりやすいヴィランが最初から出てきた一作目と違い、この作品では本当の「敵」が誰なのか、途中まで分かりません。
更に、事件が終わってメデタシめでたし。と息をついた瞬間、どんでん返しに見舞われます。何度も。
筆者はどちらかと言えば、すっきり終わる物語が好きなのですが、「どんでん返し大好き!」「まったく予想もつかないラスト求む!」という人には、ぴったりの作品です。
三度の飯より成長物語が好きな人
一作目でアイアンマンに導かれ、少しだけ大人になったピーター君。
とは言え、「世界の危機」より気になるあの子との旅行を優先させたい、青春真っ盛りなお年頃でもあるわけで。
今回もまた、ずいぶん甘っちょろいことを口走り、失敗を繰り返します。
それでも彼は、あのアイアンマンが選んだ未来のヒーロー。
絶望的に思える状況であっても、必死に手を、彼の場合はその先の蜘蛛の糸も伸ばし、闘い続けます。
そんな彼の姿は、三度の飯より成長物語が好きなあなたを、きっと満足させるはず。
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