ネタバレあり!映画「スノーピアサー」絶望の先に見えたのは希望か不安か

こんにちは!エンタメブリッジライターのriezoです!

現在、日本だけでなく、世界のほとんどの国は資本主義という経済体制でまわっています。

資本主義とは、資本を持つ者(資本家)が労働者から労働力を買い、モノを作って利益を得るという経済システム。

労働者は働いた対価として賃金をもらい、資本家は得た利益をさらなる資本として次の利益を生んでいきます。

自由経済であり、資本を持つ者はどんどん利潤を得ることができますよね。

しかし一方で労働者と資本家の格差を生むシステムでもあります。

特に現代は日本だけでなく様々な国で経済的な格差社会が問題になっており、資本主義社会が抱えるジレンマだと言えるでしょう。

今回、レビューする「スノーピアサー」は、この資本主義社会への批判が込められた作品だと言われています。

氷河期になってしまった地球で、生き残った人々を乗せて永遠に走り続ける機関車スノーピアサー。

この列車の中はまさに資本主義社会の縮図とも言える構造になっており、何十両もある長い車両が地球を回り続けています。

監督はアカデミー賞作品賞を受賞した「パラサイト半地下の家族」を作ったポン・ジュノ監督。

ジュノ監督はこれまでもさまざまな社会的問題をテーマに映画を作っており、韓国の保守政権時代には反政権の要注意人物としてブラックリストにのってしまった人です。

この「スノーピアサー」も、当時の国家情報院から市場経済を否定しているものと見なされていたようです。

確かにスノーピアサーは映画というエンタテイメントの表現を使って、経済学に詳しくない私のような人間にも、資本主義の仕組みは何かが危ういという不安な気持ちにさせる作品です。

今回、このレビューを書くにあたって、資本主義のしくみについてもう一度おさらいしてみましたが、脳みそ沸騰して終了。

それでも自分なりに感じ、考えたことを書いていこうと思います!

生温かい目で見守ってくださいませ。

ポン・ジュノ監督のその他の作品レビューはこちら!

ネタバレあり『グエムル漢江の怪物』はどういう映画?怪物の正体を考察!

ネタバレなしで考察「パラサイト半地下の家族」が描く格差社会の生々しさとは?

1.「スノーピアサー」の作品紹介

公開日:2014年2月7日(日本)
監督:ポン・ジュノ
原作: ジャック・ロブ、バンジャマン・ルグラン、ジャン=マルク・ロシェット
脚本:ポン・ジュノ、ケリー・マスターソン
出演者:クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、コ・アソン、ジェイミー・ベル、ジョン・ハート、ティルダ・スウィントン、エド・ハリス他
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/snowpiercer/index01.html

ポン・ジュノ監督作品にはなくてはならないソン・ガンホ

「グエムル -漢江の怪物-」や「パラサイト半地下の家族」とはまた違った表情を見せています。

そのソン・ガンホを超えるキャストとして私がイチオシしたいのが、ティルダ・スウィントン!

あのクールビューティーな女性が、この作品ではスノーピアサーの首相役を怪演しています。

あまりのビジュアルにクレジットを見るまでティルダだと分からなかったほど。

そしてクリス・エヴァンス。

戦場カメラマンの渡辺陽一氏に似てると思うのは私だけ?

2.「スノーピアサー」のあらすじ


画像出典:https://youtu.be/IoDfqE9biPk

スノーピアサーはSF映画です。

地球温暖化が限界にきた地球のその後、という設定。

ターミネーターとか、バック・トゥ・ザ・フューチャーのように未来を予見した作品です。

「スノーピアサー」のあらすじ(ネタバレなし)

西暦2014年、地球温暖化対策として大気圏にCW-7という冷却物質が発射されました。

このCW-7は地球の温度を適切に下げるために地球上に散布されたはずが、地球は氷河期になってしまいます。

人類を含む地球上のすべての生物は死滅し、国も文化も滅んでしまいました。

そんな中、スノーピアサーという永久エンジンを持った列車に乗り込んだ人類だけが、永遠に地球を周りながら走り続ける列車の中で生き延びていました。

スノーピアサーは走り続けることで、いままで17年にわたって凍結せずにいられたのです。

しかし、スノーピアサーの乗客は皆が同じような立場にいるわけではありません。

先頭にはスノーピアサーの創設者であるウィルフォード(エド・ハリス)が、列車全体の絶対的存在として君臨し、列車の中は格差が激しい階級社会が存在していました。

前方の車両で富裕層たちが優雅な生活を楽しむ傍ら、最後尾の窓のない車両には貧しい人々がウィルフォードの私設兵士たちによって弾圧されています。

不定期に配られるプロテインブロックという真っ黒い寒天状の物質だけが唯一の食糧。

人間としての尊厳も奪われ、狭い車内につめこまれたまま、混とんとした集団の中で生きている状態です。

そこに乗車しているカーティス(クリス・エヴァンス)は、この状況を打破しようと革命を企てていました。

最後尾の中で最高齢の長老ギリアム(ジョン・ハート)や年下のエドガー(ジェイミー・ベル)らと協力し、前方車両への突破のタイミングを計っていました。

「スノーピアサー」のあらすじ(ネタバレあり)


画像出典:http://www.bitters.co.jp/snowpiercer/

ここからネタバレです。

スノーピアサーの最後尾に乗っている人々は、まるでギリシャ文明の頃の奴隷のよう。

毎日人数をカウントされ、ときどき前方車両で労働力が必要になると連れていかれて働かされます。

カーティスのもとには、プロテインブロックに埋められたメモが不定期に届いていました。

メモを見ながら、ギリアムはカーティスに革命のタイミングをアドバイスします。

ギリアムには片腕と片足しかなかったのですが、この謎は話の後半で出てきます。

時には子供を連れ去られることもありました。

あるとき、子供を連れ去られることに歯向かったアンドリュー(ユエン・ブレムナー)は、列車の外に腕を出され凍結した状態で砕かれるというむごい罰を受けました。

このとき、首相のメイソン(ティルダ・スウィントン)がやってきて、カーティスたちに秩序の必要性を演説します。

乗客にはそれぞれの役割があり、持ち場を守っている。

最後尾のカーティスたちはタダで列車に乗っているのだから、身の程をわきまえておとなしく従え、というのです。

この事件をきっかけに、カーティスは、まだ早いというギリアムのアドバイスを振り切って、前方車両への突入を決心するのです。

みんなでドラム缶をつなぎ車両間を突破しようとします。

カーティスには作戦がありました。

この列車の監獄車両に投獄されている、ナムグン(ソン・ガンホ)というセキュリティシステムのプロに、エンジンルームの鍵を開けさせてウィルフォードを制圧しようとしていたのです。

次の人数カウントの時、カーティスは兵士が持っている銃には装弾されていなことを見抜き襲い掛かります。

それをきっかけに最後尾の人々が一斉にドラム缶を押して車両の扉を突破し、監獄車両に突入成功しました。

ナムグンはヨナ(コ・アソン)とともに監獄車両の寝床に収監されていました。

ナムグンはクロノールという固形廃棄物の中毒者だったので(シンナー中毒みたいな感じ)、クロノールをエサにぶら下げて扉を開けるように交渉します。

親子そろってクロノール中毒のナムグンらは、扉を開けるごとにクロノールを2個渡すという条件で、協力することになりました。

娘のヨナには透視能力があました。

このヨナの特殊な能力が大きなポイントで、この後いろいろな場面で役に立ってきますよ。

こうしてカーティスたちは車両を前へ前へと進んでいくことになります。

ところがある車両にいくと、そこはカーティスたちの食糧であるプロテインブロックの製造工場でした。

作っているのはかつて最後尾にいた仲間です。

しかしカーティスはそこで真っ黒いプロテインブロックの原料を知ってしまいます。

原料を混ぜている釜の中をのぞくとそこには、ぎっしりとゴキブリが!!

グロい映像苦手な人は注意!

さすがにカーティスはこれはみんなには言えず・・・。

でももう2度とプロテインブロック食べられないですよね。

前に進んで革命を成功させるしかないです。

するとここでもまた例のメモを見つけます。

そこには「水」と書かれていました。

列車の給水セクションを制圧せよというメッセージです。

カーティスたちは、給水セクションをめざして前進します。

しかしウィルフォードの兵士たちも黙っているわけはありません。

次の車両を開けた瞬間、そこには黒マスクに全身黒ずくめのごつい猛者の集団が、斧や銃を手にして待ち受けていました。

車内はまさに戦場のような修羅場です。

あちこちで血を流して倒れてい行く者たちの叫び声が上がっています。

しかし、闘いのさなか、ウィルフォード軍の将軍、フユが警笛を吹いて叫びました。

橋を通過するぞーー!

列車はちょうどエカテリーナ橋を通過するところでした。

実はスノーピアサーにとって、このエカテリーナ橋を通過する瞬間が新年の始まりなのです。

戦いは一時休戦。

ハッピーニューイヤー!

なんて口々に叫びながら、新年を祝っています。

そして、橋を渡り切るとまた戦いが再開。

コントのような展開。

しかし、そのときメイソン首相がやってきました。

そしてこう言います。

ウィルフォードの恩恵を忘れたものたちに、きっちり74%の死を!

すると兵士側は一斉に暗視レンズを装着しはじめました。

そう。

トンネルを通過するのです。

ナムグンはいそいでヨナを荷物棚に隠しました。

トンネルに入った瞬間、車内は真っ暗。

暗視レンズをつけている兵士たちは、この間にカーティスたちを次々と倒していきます。

真っ暗で何も見えないカーティスたちにはなすすべがなく、これで万事休す・・・と思ったその瞬間、カーティスはあることを思い出しました。

ナムグンが監獄車両から起きてタバコを吸ったとき、最後尾の住人チャンが残りのマッチを持ち去ったことです。

カーティスは後方に向かって叫びました。

チャン!火を持ってこい!

この伝令は次々と人々を伝わり、チャンが燃やした火からたくさんの松明を作ってカーティスたちのもとに駆け付けました。

おかげで、たくさんの犠牲を出したものの、カーティスたちはこのピンチを抜け出しました。

しかしここでエドガーが人質に捉えられてしまいます。

目の前ではメイソンが逃げていきます。

カーティスは苦渋の決断で、逃げたメイソンを追うことを選ぶとエドガーは殺されてしまいました。

メイソンを人質にとったカーティスたちは形勢逆転。

メイソンは兵士たちに戦闘をやめるよう指示します。

そこにギリアムがやってきました。

そして言いました。

生き残った者たちよ。

体を洗え。

そう、彼らは給水セクションを制圧したのです。


画像出典:https://youtu.be/IoDfqE9biPk

ギリアムはカーティスの功績をたたえ、革命が成功したらリーダーになってくれと頼みます。

しかしカーティスは両腕がある自分にはその資格がないといって断ります。

ギリアムは、腕は2本あった方がよい、女を抱くためにも、と言います。

なぜ、両腕があるとリーダーの資格がないというのでしょう。

これもまた最後にその理由が明らかになります。

さて、メイソンによると、水は先頭車両で氷を溶かして作っているので、給水セクションを掌握しても意味がないとのこと。

やはり先頭車両に行ってウィルフォードを倒さなければ、この革命を成功することにはならないようです。

メイソンは、自分がウィルフォードのところまで連れていくので命を助けてくれと言います。

こうしてカーティスはメイソンに案内させながら、さらに前方へと進んでいくのでした。

車両を前進するにつれて、居住環境やそこに乗車している人々もどんどん変わっていきます。

野菜や植物を育てているセクション、水族館のような巨大なドーム型の水槽で魚を養殖しているセクション、そしてそれらの食材を食べられる寿司屋やレストラン。

カーティスたちにとっては氷河期以前の忘れていた「普通」の生活。

スノーピアサーの中では自分たちが決して味わえない贅沢です。

メイソンはカーティスたちに寿司を食べさせながら、水槽の中の魚たちの個体数バランスについて説明します。

この水槽の魚を食べられるのは年に1月と7月の2回だけ。

列車内の水槽は閉鎖生態系であり、持続可能なバランスを保つために、常にそれぞれの種の個体数が厳密に管理されなければならない、と。

しかしそれは水槽の魚の話だけではなく、この列車全体の話でもあるわけです。

限られた空間である列車に乗車しながら氷河期の時代を生き延びるには、列車内の人間の数も厳密に管理されているのです。

そしてそれを管理しているのはもちろん先頭車両のウィルフォード。

さらにスノーピアサーの中には、この列車の中で生まれた世代の子供たちがいます。

そうした子供たちへのウィルフォード崇拝とも言える洗脳教育も行われていました。

カーティスたちは先頭車両を目指すためにどんどん前進していくのですが、当然ウィルフォード側の追っ手も彼らを倒すために執拗に追ってきます。

車内では富裕層の車両でも構わず銃撃戦が繰り広げられ、カーティスの仲間たちだけでなく多くの富裕層が死んでいきました。

メイソンもその1人、ウィルフォードがいる機関室に到達する前に銃弾に倒れました。

そしてギリアムも兵士に捉えられ、皆が見守るなかで見せしめのように銃殺されてしまいます。

こうして膨大な犠牲を払いながら、カーティスはついにウィルフォードがいる機関室の前にやってきました。

ここでナングムに鍵を開けさせようとするのですが、この場に来てナングムは機関室の扉を開けることを拒みます。

カーティスとナングムは扉を巡って殴り合いになります。

ナングムは、カーティスが機関室の扉に憑りつかれていると言います。

ナングムはカーティスに、これでも吸え、と最後のタバコを渡しました。

タバコを吸いながら、カーティスは話し始めます。

それはスノーピアサーに乗りこんだ頃の話でした。

凍死を逃れるために乗り込んだ喜びもつかの間、兵士たちに所持品をすべて奪われた最後尾の人々。

千人あまりの人間が1ヵ月間食糧も与えられずに過ごした結果起こったのが、「弱者を食べ始める」ことだったのです。

共食いです。

カーティスもその1人でした。


画像出典:https://youtu.be/IoDfqE9biPk

そして、赤ん坊が一番美味しいということも知ってしまった。

ある日、母親を殺して赤ん坊を取り上げようとした男を止めに入ったのがギリアムでした。

赤ん坊を放すかわりに自分の腕を食え、と差し出したのです。

その赤ん坊はエドガーでした。

そして赤ん坊を取り上げようとしたのはカーティス。

カーティスはエドガーの母親を殺していたのです。

そしてその罪にずっと苦しんでいました。

それから次々と、皆の飢えを満たすために自分の体の一部を差し出す人が相次ぎました。

カーティスも自分の腕を与えようとしましたが、できませんでした。

やがてプロテインブロックが配られはじめ、共食いは終わりました。

カーティスにとって、自分の体を与えられなかったことがリーダーの資格がないと考える理由だったのです。

そして18年間ウィルフォードを憎み続けていたのです。

ナングムは圧倒されながらその話を聞いていました。

しかし、機関室の扉は開けないと言います。

その代わり、別の扉を開けると言い出しました。

それは列車の扉そのものでした。

ナングムがクロノールを必死に集めていたのはそのためだったのです。

産業廃棄物のクロノールを大量にあつめ、火をつけて爆発させる。

つまり、クロノール爆弾を使って列車の扉を破壊しようというのです。

カーティスはナングムがクロノール中毒で頭がおかしくなったと言いますが、ナングムはすでに外の世界で人間は生きていける状態まで戻っている、と確信していました。

雪に埋もれた旅客機の残骸が、毎年その前を通過するたびに少しずつ機体の姿が見えるようになっていたからです。

ナングムはカーティスが持っているマッチの残りを渡せといいますが、カーティスは拒みます。

すると突然機関室の扉が開き、中からウィルフォードの秘書クロードが現れるとナングムを撃ちました。

そしてクロノール爆弾を没収し、カーティスを機関室の中に招き入れます。

ついにカーティスはウィルフォードと対面します。

やっと目的を達成できると思いきや、そこでカーティスは残酷な現実を知ることになります。

この「革命」はウィルフォードとギリアムによって計画されていたことだったのです。

さっきの閉鎖水槽の話と同じ。

列車をつねにサステナブルな状態に保つためには、人間の個体数も管理しなければならない。

人間の数が増え過ぎれば列車内のバランスが崩れてしまうからです。

そのためには定期的に人間の数を減らす=殺すことが必要なのです。

その方法は兵士たちによる最後尾の乗客たちの大量虐殺だけでなく、過去に起きていた革命派リーダー(にされた人物)による蜂起もその1つだったのです。

今回の「カーティスの革命」はあのトンネル内でカーティスたちが失敗して終わる、というシナリオのはずだったのです。

ところがカーティスの「松明」戦法によって、シナリオが狂ってしまった。

その結果、予定数を上回る数の富裕層が犠牲になった。

ギリアムはそのツケを払わされて殺されたのです。

さらにウィルフォードは、カーティスに自分の後継者になってほしいと頼みます。

それはギリアムも同じ気持ちだったと。

規則正しく動き続けるエンジンを前にして、カーティスは自分が今までしてきたことの虚しさに打ちひしがれてしまいます。

そのころ機関室の外では、カーティスたちのあとを追ってきたヨナが、倒れている父ナングムに駆け寄っていました。

その後ろには、今回の革命騒動で暴徒と化した富裕層のジャンキーたちが迫ってきています。

ナングムは、機関室にいるカーティスからマッチを受け取って扉を破壊するようヨナに指示します。

ヨナは鍵を開けるための配線に苦労しながらも、扉を開けることができました。

ヨナはウィルフォードの秘書を倒して、クロノール爆弾を取り返します。

その背後ではジャンキーたちとナングムの激しい闘いが繰り広げられています。

ウィルフォードはその光景を見ているカーティスに言います。

あれが人間だ。

滑稽で無様ではないか。

君なら彼らを救える。

これは君の宿命だ。

そのときクロノール爆弾を扉に付け終わったヨナが、マッチを受け取ろうとカーティスに駆け寄りました。

ところがカーティスはそんなヨナを手で制して拒みます。

驚いたヨナ。

でもそのときヨナは床下に何かがあるのを見ました。

ヨナの透視能力が事態を急変させます。

いそいで床板を剥がそうとするヨナを見て、カーティスは我に返りました。

ヨナと一緒に床板を剥がすと、そこは列車のエンジン部。

そしてそこにいたのは、連れ去られた子供ティミーでした。

ティミーはもくもくとエンジンの中で石炭を取り出しています。

ウィルフォードは言います。

列車の部品には限りがあり、供給できなくなっている。

その代わりが必要だが、エンジンルームは狭いので子供しか入れない。

だが幸い子供は最後尾で安定供給される、と。

その言葉にカーティスはウィルフォードを殴り倒しました。

カーティスは床下のティミーを助けるために自分の腕を入れ、動き続けている歯車を止めます。

そして列車の扉を爆破させろと言ってヨナにマッチを渡しました。

歯車がとまったエンジンはエラーを感知し、警告アナウンスが流れます。

すると壁の扉からもう1人の子供アンディが現れました。

アンディは、カーティスの制止にも耳を貸さず、無表情でメインエンジンの中に導かれるように入っていきました。

そしてエンジンを再起動するための「部品」となって、メインエンジンの中に取り込まれてしまったのです。

カーティスは叫びますが、ウィルフォードはメロドラマだと嘲笑します。

やがてやっとのことでティミーを救い出したカーティスですが、自分の腕がちぎれてしまいます。

と同時に、ヨナがクロノール爆弾の導火線に火をつけました。

ナングムは執拗に追ってきた刺客をやっとのことで倒したところです。

急いで機関室に逃げ込むヨナとナングム。

しかし機関室の扉がショートし、扉を閉めることができません。

このままでは全員が爆発の衝撃で死んでしまう。

ナングムは扉をあきらめ、ヨナのもとに駆け寄ります。

そしてカーティスとともに、ヨナとティミーを守るように抱きかかえます。

そのときクロノール爆弾が大爆発を起こしました。

先頭車両は大爆破。

その衝撃で、雪山が雪崩を起こしました。

大規模な雪崩に後続の車両がつぎつぎと飲み込まれ、バラバラになってスノーピアサーはすべて崩壊しました。

焼け落ちた先頭車両では、ナングムとカーティスに守られたヨナとティミーが生きていました。

ヨナは泣きながら父親とカーティスを起こそうとしますが、2人は息絶えています。

2人は列車の外に出ました。

スノーピアサーの中で生まれた2人にとって、初めて見る外の世界です。

そこは無限に広がる雪原の世界でした。

ナングムの言ったとおり、氷河期は終わっていたのです。

2人は手を取って歩き始めます。

2人の視線の先の尾根に、一匹のシロクマが歩いていました。

3.「スノーピアサー」の見どころ


画像出典:http://www.bitters.co.jp/snowpiercer/

永久エンジンで走り続けるという斬新な設定のもとに繰り広げられているのは、創始者ウィルフォードの独裁による管理社会。

閉鎖された空間で起きていたことと同じようなことが、現在の社会でも起きているかもしれません。

スノーピアサーの見どころを紹介していきましょう。

列車の中に広がる格差社会

この作品の核となっているのが、ウィルフォードを頂点とした列車内ヒエラルキー。

前方の車両にいくほど、怠惰な富裕層が優雅な食事や酒、ドラッグにまみれ、饗宴に浸る毎日を送っています。

まるでマズローの欲求5段階説を絵に描いたような生活状況の変遷。

映画を観ている観客は、カーティスたちと一緒にそういう状況を次々と見ていくわけです。

そしておそらくカーティスたち貧困層の目線で見るように作られている。

映画の中の富裕層に罪はありませんし、いわばそれは自分たちの日常生活と変わらないことをしているわけです。

さすがにパーティーピープルみたいな状況は特殊だけれど、たとえば美容院で髪をセットしたりサウナに入ってるなんていうのは誰もがやってることですよね。

それなのに、この映画の中ではそういう状況ですら、最後尾の人間との格差の激しさにアンチな気分になってしまう。

普段の自分たちの生活が贅沢だとは思っていなくても、視点を変えればその当たり前の生活ができない状況の人もいるという社会のバランスの悪さや不公平さに、「さあどう思う?」と問題を突き付けられているような気持になります。

伏線の張り方と回収のされ方がお見事

さまざまな伏線が、最後の機関室のシーンできちんと回収されています。

子供たちが連れ去られた理由や、カーティスとギリアムの腕を巡る会話など、いったい何のために?ということがすべて後半で明らかになります。

とくにカーティスがティミーを助けるために自分の腕を犠牲にしたところで、カーティスが長年自分に対して持っていた劣等感も解消されるようになっているのも上手くできてる。

水槽の中の閉鎖生態系の話と、ウィルフォードがカーティスに話すサステナブルな人口調整の話もきちんと連結しています。

異彩を放つキャスト達


画像出典:https://youtu.be/IoDfqE9biPk

出演しているキャスト達も異彩を放っています。

私のイチオシは何と言ってもティルダ・スウィントン。

クールビューティーで大好きな女優の1人ですが、この作品では入歯姿が強烈な嫌味な女性首相を演じています。

あまりの容姿に、ここでも違う意味の格差にびっくり!

ソン・ガンホに至っては語るまでもないですが、「グエムル漢江の怪物」のときの小太りな父親とガラッと変わった精悍な顔つきが素晴らしい。

そして「グエムル」でもソン・ガンホと親子役だったヨナ役のコ・アソン。

「グエムル」の時より少し大人びた雰囲気になっています。

「グエムル」の時にも小さい少年を守ったコ・アソンですが、「スノーピアサー」でも最後にティミーを守っていくことを予想させるような結末になっていて面白いです。

4.「スノーピアサー」の結末を分析


画像出典:http://www.bitters.co.jp/snowpiercer/

スノーピアサーは資本主義の仕組みに対して問題提起している作品だと言われています。

列車の構造そのものが資本主義社会で生まれる格差社会を表しています。

その頂点にいるウィルフォードを倒し、列車内の格差を破壊しようとするカーティスですが、最後には自分の思っていた理想と現実の間に存在する矛盾を知り、打ちひしがれてしまいます。

カーティスは、すべての悪の根源はウィルフォードであり、彼を倒しさえすればすべての状況は打破されると信じていたのです。

ところが実際は、ウィルフォードもこの「スノーピアサー」という1つの社会を存続させるための駒に過ぎないということを知るんですね。

だからウィルフォードがいなくなっても、代わりの誰かがそれを引き継ぐ。

そして、自分こそがその後継者としての立場を引き継いでいく存在なのだと言われたときに、スノーピアサー内の世界が変えることができないシステムなのだと思い知るわけです。

そうでなければこの列車を、そしてそこに乗っている人々の命を持続させることができないからです。

確かに車内に存在する格差は正当だと認められるものではありません。

人口が増え過ぎないための虐殺も意図的な蜂起も人道的にはありえません。

でもそうしなければ列車内の秩序がくずれ、もっと最悪なカオスが待っている。

それはカーティスも良く知っている、共食いです。

そういう状況を避けるためにも人々に役割を与え、それを守らせることが必要。

下には下がいる、と思うと安心するところありませんか?

だからカーティスたちのような最下層の人間も必要なのです。

極端な言い方をすれば、人間を生かしていくための必要悪なシステムなのです。

でも、それじゃあ自分たちのような最下層にいる人間は死ぬまでまともな人間として扱われない。

その矛盾をどうすることもできないという現実に直面して、カーティスは絶望するんですね。

もしこの構造を変えるならば、何かを抜本的に変えなければならない。

映画の中では列車の爆破という究極の展開が起こりました。

その結果、未来がどうなるのかは描かれていません。

列車の中で生まれた子供たちにとっては、体験したことのない解放感と同時に途方もない広さの雪原に取り残されたという不安も感じさせるシーンです。

不満を生むシステムだとしても、一定の秩序を保っていた世界にいたほうがよいのか、それとも未来が見えなくてもそこから抜け出すべきなのか、正解が分からないからこそ観ている者にモヤモヤとした思いを残すのかもしれません。

5.「スノーピアサー」をおすすめする人


画像出典:https://youtu.be/IoDfqE9biPk

「スノーピアサー」は難しいことを考えなくてもエンタテイメントとして楽しめる映画です。

こんな方たちにおすすめします。

SF映画が好きな人

何はなくともSF映画なので、SF映画を好きな人にはおすすめです。

近未来を描いている作品ですが、2031年なんてもうすぐそこです。

こんなことが本当に起こったらコワイですが、何が起こるか分からないのが未来。

細かいところに突っ込み入れてると本題が見えなくなってしまうので、「そういう設定だから」という世界観を踏まえたうえで観ることをおすすめします。

格差社会を扱った作品に興味がある人

ポン・ジュノ監督自身がこの後に作った「パラサイト半地下の家族」も格差社会を問題にした映画ですが、また違った角度から描いている作品です。

近頃格差社会が問題となり、映画のテーマとして取り上げられることが多くなりました。

しかし、何に焦点をあてて作っているのか、というのがそれぞれ違っているのが面白いところ。

格差社会を扱った作品を見比べてみるというスタンスで見てみるのも面白いかもしれません。

グロいのOKな人

韓国映画にはグロい映像が出てくる作品も多いですが、この「スノーピアサー」にもやっぱりいくつかそんなシーンがあります。

プロテインブロックの原料なんて、映像そのもののグロさもですが、トラウマとなってコーヒーゼリーが食べられなくなっちゃうなんてことにもなりかねません。

グロいの苦手だわ、なんていう人にはツライかも。

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