ネタバレなしで考察「パラサイト半地下の家族」が描く格差社会の生々しさとは?

こんにちは!

エンタメブリッジライターのriezoです。

韓国には行ったことがない私ですが、韓国映画のあの独特の雰囲気が大好きです。

韓国映画というと、復讐系、ドロドロ系、ホラー系といろいろありますが、今回レビューする「パラサイト半地下の家族」はコメディスリラー?!

とんでもない展開へ転がっていく、いわゆるネタバレ禁止系映画です。

いろいろなレビューでも高い評価を得ている作品。

カンヌ映画祭でのパルムドール受賞に続き、米国アカデミー賞で作品賞、監督賞、国際映画賞、脚本賞という4冠を獲得!

外国語映画が初めてアカデミー賞で作品賞に輝いたことで、映画界にいい意味での激震が走りましたね。

上映直後からネタバレ厳禁のかん口令が敷かれたのも話題になり、映画を体感した人たちだけがその余韻を共有できた作品。

人種差別や性差別、LGBTに次いで、現代の社会的問題として確立されつつある格差社会を、コミカルに、時にシリアスに、そしてサスペンスタッチで描いています。

皮膚感覚でその「格差」を感じることができた人も多いのではないでしょうか(私もその1人)。

ポン・ジュノ監督は、他にも格差社会をテーマにした「スノーピアサー」を作っていますが、あちらはちょっとスケールとか世界観に実感がわかない完全なファンタジー。

「パラサイト半地下の家族」はもう少し身近な生々しさで描かれています。

この映画を観て最初に持った感想が、「万引き家族」のような映画だな、ということ。

なぜならば・・・・。

ああ!言いたいけど言えない!

果たしてどんな映画なのか、さっそく感想をレビューしていきたいと思います!

これから映画を観る方には結末を知らずに観てほしいので、ネタバレなしで見どころをご紹介していきます。

どこまで書けるのか・・・。

それでは、さっそく行ってみましょう!

1.「パラサイト半地下の家族」の作品紹介

公開日:2020年1月10日(日本)
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン
出演者:ソン・ガンホ、イ・ソギュン、チョ・ヨジュン、チェ・ウシク、パク・ソダム、チャン・ヘジン、イ・ジョンウン、チョン・ジソ、チョン・ヒョンジュン、パク・ソジュン他
受賞歴:カンヌ映画祭でパルムドール受賞、英国アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、非英語作品賞受賞、ゴールデングローブ賞で監督賞、脚本賞、外国語映画賞受賞、他多数
公式サイト:http://www.parasite-mv.jp/

2.「パラサイト半地下の家族」のあらすじ


画像出典:http://www.parasite-mv.jp/

テレビで紹介されるたびに流れる予告動画。

いろいろなところに「とんでもない展開」のヒントが隠されています。

たとえば1:07ごろ、パク社長は車の中で何を持っているのでしょう?!

予告動画のラストで階段を上がってくるパク夫人は、なぜあんなに驚いているのか・・・。

気になりますよね!

さっそくあらすじをご紹介していきましょう。

でも、まだ観ていない方は絶対にネタバレありのあらすじを読まずに見どころに進んでくださいね!

「パラサイト半地下の家族」のあらすじ(ネタバレなし)

キム・ギテク(ソン・ガンホ)一家は、韓国の半地下住宅に住む貧しい家族だった。

一家が住む半地下住宅は、文字通り「半分地下」に埋まっている家。

窓からは、立小便をする人や飲み過ぎて吐いている人たちの姿が、自分たちの目線より高いところに見えるという家。

建物の一番低いところにあるので水圧が弱く、トイレが家の中の一番高いところにあるというおかしな設計になっている。

窓を開ければ路上に撒かれる消毒剤が入ってきて家じゅう真っ白になる。

彼らはそこで賃金の安い内職をして暮らしていた。

ただ普通の生活がしたい。

そう思いながら。

そんなある日、息子のギウ(チェ・ウシク)は友人のミニョク(パク・ソジュン)から、留学に行っているあいだ英語の家庭教師のアルバイトを代わってくれと頼まれる。

こうしてギウは、IT企業社長のパク(イ・ソンギュン)の娘、ダヘ(チョン・ジソ)の家庭教師をすることになった。

パク家ではダヘの弟のダソン(チョン・ヒョンジュン)の美術の家庭教師を探していた。

そこでギウは自分の妹のギジョン(パク・ソダム)を知り合いの美術教師だと偽ってパク家に紹介した。

さらにギジョンはある計画を実行し、そこからキム家とパク家の奇妙な関係が始まり、やがて思いもよらぬ展開へと進んでいく。

「パラサイト半地下の家族」のあらすじ(ネタバレあり)


画像出典:http://www.parasite-mv.jp/

さて、ここからネタバレしていきますのでまだ観ていない人は絶対に読まずに今すぐ映画を観に行ってください!

ここでまず最初に映画に登場する人物を紹介しておきますね。

キム家(全員失業中・貧困家庭)

  • キム・ギテク:キム家の主。楽観的な性格。車の運転が得意。
  • キム・チョンソク(チャン・ヘジン):ギテクの妻。元ハンマー選手。
  • キム・ギウ:キム家の長男。受験経験豊富な「受験のプロ」。大学には行っていない。
  • キム・ギジョン:キム家の長女。美術的才能はある。美大を目指すが行けない。

パク家(社長一家・富裕家庭)

  • パク・ドンイク:パク家の主。誰からも尊敬されているIT会社社長。成功者の象徴。
  • パク・ヨンギュ(チョ・ヨジュン):ドンイクの妻。美人。能天気。
  • パク・ダヘ:パク家の長女。高校生。可愛い。
  • パク・ダソン:パク家の長男。小学生。落ち着きがない。絵を描くのが好き。
  • ムングァン(イ・ジョンウン):パク家の家政婦。

このメンバープラスαでストーリーは展開していきます。

プラスαについてはのちほど。

キム家のみんなは貧しかったですが、悲壮感はありません。

一家の主のギテクは楽天的な性格で、路上に撒かれた消毒剤が窓から入ってきて家じゅう真っ白になっても、「消毒できて便所コオロギもいなくなる」という発想。

キム一家は全員失業中ではあったものの、実はそれぞれの能力・スキルは高いんです。

彼らのそのスキルがあったからこそ、この話は成り立つわけで、そんな「スキルはあるけど貧困から抜け出せない」という実態が、今の韓国の格差社会を如実に描いている部分でもあるわけです。

例えば仕事をするにしても家族の身元によって断られたりと、ある程度の社会的ステータスがないとそれなりの仕事には就けないというのが現状です。

ギウがパク家のアルバイトをするにも、大学の証明書を用意しなければなりませんでした。

でもギウは大学には行っていませんから困りますよね。

そこで登場するのがギジョンです。

ギジョンには美術の才能があったのですが、お金がないため美大に行けないという状態でした。

パソコンのグラフィック系ソフトの扱いもバッチリで、ギウの大学在籍証明も朝飯前でサクッと偽造してしまいます。

まんまとパク家の家庭教師になったギウは、美術の教師を探しているヨンギュに、「うっすら知っている程度の知人」として妹のギジョンを紹介します。

ギジョンはダソンの家庭教師としてパク家に入り込み、落ち着きがなく扱いが難しいダソンを上手く手なずけてしまいます。

すっかりヨンギュの心をつかんだギジョンは、パク家の運転手に目を付けます。

パク家から送ってもらって帰る途中、なんと自分が履いていたパンティを脱ぎ、車の後部座席に残していきます。

翌日車の中でそのパンティを見つけたパク・ドンイクは激怒。

アイツ俺の車で何やっとんねん!てな具合で、妻のヨンギュに報告します。

ギジョンが仕掛けた罠で2人は運転手が変態野郎だと信じ込み、うまい理由をつけて運転手をクビにしてしまいます。

運転手がいなくなったパク家は困るのですが、そこでギジョンはシレっと父親のギテクを紹介します。

もちろん「信用できる他人」として。

ギジョンは過去に運転手をしていたこともあり、運転技術はあるんです。

ドンイクにも気に入られ、パク家に侵入成功。

残るは家政婦のムングァンです。

この家政婦は、パク家の前の主が住んでいたころから家政婦として豪邸を守っていたベテラン家政婦。

ある意味一番家のことを知っている人物です。

ギウがダヘから聞き出した情報によると、ひどい桃アレルギーがあるとのこと。

そこでギジョンは、桃の皮のうぶげをそぎ落とした粉をムングァンに気づかれないように振りかけました。

するとムングァンは激しくむせ込みます。

病院に行ったムングァンをギテクが隠し撮り。

その写真をこっそりヨンギュに見せながら、「結核らしい」とウソを言います。

キム一家の見事なまでの連携プレーで結核にされてしまったムングァン。

結核患者を家に入れていたことが夫にバレたら殺される、と震撼したヨンギュは、ムングァンの(ウソの)結核のことを夫には内緒のまま、これまた体のいい理由をつけてムングァンを解雇してしまいます。

家政婦がいなくなったパク家は大混乱。

ヨンギュは家事が得意ではなく、一刻も早く新しい家政婦が必要です。

そこでギテクは偽の家政婦あっせん会社を紹介します。

そこから派遣されてきたのがギテクの妻、チョンソクです。

これで役者はそろいました。

さて、ここからがいよいよ本編スタートと言っていいでしょう。


画像出典:http://www.parasite-mv.jp/

事件はパク一家が揃ってキャンプに出かけた夜に始まります。

留守宅を守るのは、家政婦として入り込んでいるチョンソク。

当然ながらキム家はパク家の豪邸に全員集合、我が家のごとくやりたい放題です。

広いリビングで、家にある酒全部飲んじゃってるんじゃないか?っていうぐらいの宴の最中、突然玄関のインターホンが鳴ります。

まさか、、。

誰?

恐る恐るチョンソクはインターホンのモニターを見ると、そこにいたのはずぶ濡れの元家政婦、ムングァンです。

土砂降りの中、悲壮感満載で家に入れてくれと懇願するムングァン。

突然解雇されてしまったので、台所の地下に忘れ物をしてしまった、ついては取りに行きたいのでどうか家に入れてくれと。

しかもムングァンはチョンソクがちょっと胡散臭いのを気づいているようです。

ところが、ムングァンの忘れ物はとんでもないものでした。

実はムングァンは台所の地下、のさらに地下の隠し部屋にこっそり夫を住まわせていたのですよ!

はい、ここでもう1人のプラスαの登場人物が現れました。

ムングァンの夫です。

この作品の中でもかなりの重要人物です。

ムングァンは、自分がクビになったあとチョンソクに夫の面倒を看てほしいと頼みました。

しかしチョンソクは、このことをヨンギュに伝えてムングァン夫を追い出そうとします。

その時、この様子を地下の階段から覗いていたキム一家が、うっかり階段から転げ落ちてきて、ムングァンに計画がバレてしまいます。

ここからムングァン夫婦とキム一家の「同じ穴のムジナ」同士の醜い戦いの火ぶたがおろされました。

キム一家の陰謀を知ったムングァンは動画を撮影してヨンギュに送信すると言って脅します。

動画を撮ったスマホをめぐって両家くんずほぐれつの大乱闘。

そこに突然電話のベルが。

なんとキャンプを切り上げたパク一家が帰ってくるというのです。

しかもあと8分で家に着くと!

しかも帰ってすぐに食べられるようにジャージャー麺と作っておいてくれと!

全員パニック!!

チョンソクはとにかくジャージャー麺づくりにとりかかり、ギテクとギウはムングァン夫妻を地下に押し込め、ギジョンは大散乱のリビングを片付ける!

いそげいそげーーー!!!

ジャージャー麺が完成し、パク一家がリビングにやってくるその寸前、ギウとギジョンはリビングのテーブルの下にヘッドスライディング!

ヨンギュがキッチンに来る寸前に、地下からよろよろと這い上がってきたムングァンを見たチョンソクは、そのままムングァンを後ろ蹴り!

憐れムングァンは階段を転げ落ちて行きました。

なんとかパク一家に騒ぎを悟られずに済みましたが、さてここからどうなるのか。

地下ではムングァン夫とギテクが対峙しています。

ムングァン夫は、キム一家のたくらみを暴いてやる!と地下から信号を送ります。

地下には、室内の照明をつけたり消したりするセンサーがありました。

ムングァン夫はそのセンサーを操作して照明をつけたり消したりしていたのです。

なんとムングァン夫は、その照明の点滅でモールス信号を送ろうとしていました。

しかし結果的にムングァンは階段から蹴り落とされたことが原因で死んでしまい、夫もふたたびギテクによって地下に閉じ込められてしまいます。

一方キム一家はまだ家から脱出できず、ギテクとギウ、ギジョンはリビングのテーブルの下に隠れて一家が寝静まるのを待っていました。

ところがダソン少年がキャンプをできなかったことに拗ねて庭にテントを張り、そこで寝ると言い張ります。

外は土砂降りの雨。

でもアメリカ製のテントだから大丈夫だろ、と呑気な両親。

それでもダソンの様子を見ながらリビングのソファで寝ようということになり、キム家さらにピンチ。

その時、ドンイクは妻のヨンギュにある話をします。

それは、ギテクの「におい」についてです。

何とも言えないにおいがすると。

それは「地下鉄のにおい」のようでもあり「切り干し大根を煮しめたようなにおい」でもあると。

これを聞いたギテクは、自分から発せられている、ある意味「貧しさのにおい」のようなものを指摘されたような気持ちになります。

貧乏くさいと言われた気がしたんですね。

普段ドンイクは自分にとても良くしてくれるし、対等に扱ってくれていると思っていたギテクですが、ドンイクのこの言葉を聞いて、やはりどこかで見下されているのだ、と思い知ります。

パク夫妻がやっと眠ったころにギテクとギウ、ギジョンはテーブルの下から這い出し、脱出に成功します。

その前に1つ隠しキーワードがあります。

「時計回りで」。

えーっと、これは直接映画で確認してくださいませ。

さて、土砂降りの雨の中、逃げるように家に帰る3人。

雨水が坂道を下へ下へと流れていくのを追うように、坂を下り階段を駆け下りていく3人。

やがて半地下の我が家にたどりつくころには街は大洪水です。

半地下のキム家は床上浸水どころか、どんどん水が流れ込みトイレからは汚水が逆流し、ついに家全体が水没してしまいます。

3人は洪水によって家に住めなくなった人々が集まる避難所で一夜を過ごしました。

翌日は打って変わっての晴天。

パク家ではダソンの誕生日パーティーを計画しています。

ヨンギュは家庭教師のギウとギジョンにもパーティーに来てほしいと招待します。

ヨンギュはセレブな友人たちに次々とパーティーに招待の電話をしています。

昨日の雨のお陰でPM2.5もきれいになったから自宅の庭でパーティーをすると話すヨンギュ。

ギテクたちが住む貧しい街の洪水は、高台に住むセレブには関係ありません。

ギテクが運転する車で買い出しをしていたヨンギュは、車の中でギテクのにおいに気づきます。

そして何気なく鼻を押さえ窓を開けました。

それに気づいたギテクは、またもや侮辱されたような気持になります。

パーティーが盛大に始まりました。

ギウもギジョンもパク家に来ています。

しかしギウは今までのようにパク家には馴染めません。

どう見てもやっぱり自分たちはこのセレブな場にはふさわしくないと気づくのです。

そして、家族全員をパク家で働かせた結果、とんでもない事態になってしまったのは自分の責任だと考え始めます。

思い詰めたギウはムングァン夫妻を殺そうとするのですが、反対にムングァン夫の逆襲にあって倒れてしまいます。

半狂乱になったムングァン夫は包丁を手にし、血だらけの姿でパーティー会場に乗り込みます。

当然パーティー会場はパニック!

ギジョンはムングァンに刺されてしまいます。

ダソンはムングァンの姿を見ると、恐怖のあまり失神。

実は過去にも夜中に台所に這い出てきたムングァン夫を見てしまったダソンは、幽霊を見たと思ってトラウマになっていたのです。

「ダソンを病院に連れていくから車を出せ」とドンイクはギテクに叫びますが、ギテクは娘のギジョンを抱きかかえたまま動けません。

すると今度は車の鍵を投げろ!と言います。

ギテクはドンイクに向かって車の鍵を投げました。

ところがそこへ、チョンソクにバーベキューの串で刺されたムングァン夫が倒れ込み、鍵はムングァン夫の下敷きになってしまいます。

ドンイクはムングァン夫の体の下から鍵を取り出すのですが、その時ドンイクは臭そうに鼻をつまみました。

それを見たギテクの表情が変わります。

おもむろにムングァン夫が持っていた包丁で、なんとドンイクを刺してしまいました。

場面が変わって病院のベッドで目を覚ますギウ。

なんとか一命を取り留めましたが、目の前には刑事がいます。

ギウとチョンソクはムングァン夫妻殺害で裁判にかけられますが、正当防衛が認められました。

ギジョンはムングァン夫に刺されたために死んでしまっています。

そしてギテクは、ドンイクを刺したあと行方が分からなくなっていました。

ギウにもチョンソクにもどこに行ってしまったのか分かりません。

ニュースではまるで蒸発してしまったかのようだ、と報じています。

ギウとチョンソクはあの半地下の家で再び暮らしていました。

ギウは遠くからパク家の豪邸を眺めています。

あれから持ち主が変わり、今は別のお金持ちが住んでいる家。

すると夜中になって、家の灯が点滅し始めました。

それはギテクが送っているモールス信号だったのです。

ギテクはパーティー会場から逃げた後、そのままパク家の地下に隠れていたのです。

ギテクはいつかギウが見てくれると信じてモールス信号を送っていました。

ギウはギテクからのメッセージを知ると、渡せるはずのない手紙を書き始めます。

これからお金を稼いで金持ちになったらあの家を買うと。

そして引越しの日に、地下にいる父親を外に出してあげると。

ある晴れた日、ギウは母チョンソクとともにあの豪邸の庭にいました。

庭には明るい日差しが降り注いでいます。

地下への扉は開いていて、そこからギテクが出てきました。

そんな光景を思い浮かべるギウの目の前に、半地下の窓から薄明るい日が差し込んでいました。

3.「パラサイト半地下の家族」の見どころ


画像出典:http://www.parasite-mv.jp/

ネタバレせずに観てほしい作品なので、見どころもギリギリネタバレなしでご紹介していきましょう。

映画を楽しむための4つのポイントです!

半地下と韓国の格差社会

タイトルにもなっている「半地下」。

これがまず1つ目のキーワードです。

主人公のキム・ギテク一家が住んでいるのは、半地下住宅です。

半地下住宅とはビルの一番下の階。

半分地下に埋まっている部分です。

半地下という言葉そのものは建築用語なので、日本の建物でも半地下という作りは存在しますよね。

でも韓国では建物の構造だけでなく、独特の文化的ニュアンスを含んでいる言葉なのです。

そもそもなぜ半地下という造りの住居があるのでしょう。

もともとは朝鮮戦争の時に防空壕の役割を果たすものとして造られたものが、戦後の経済成長の時期に安価で住める住居として使われるようになったものだそうです。

本来住居として造られたわけではないので、当然ながら居住性は悪く、衛生面や防犯面でも問題アリアリの住居です。

水圧が弱いので、トイレが家の中の一番高い場所にあったり、便所コオロギがあちこちにいたりと、映画の中でも半地下住居のひどい有様が描かれています。

そんな半地下住居に住んでいるのは韓国の貧困層の人々。

半地下=貧しさの象徴となっているようです。

韓国の格差社会をテーマにしているこの作品のなかでも、キム一家の貧しさを描くための重要なキーワードの1つです。

キーワードは「におい」

もう1つのキーワードは「におい」です。

香水やせっけんの香りのような「匂い」ではなく、「臭い」です。

この映画の中では、この「におい」っていうのも非常に重要なトリガーです。

よく、「あの人は自分と同じにおいがする」っていう言い方をしますよね。

つまり、自分と同じ種類の人間、同じようなカテゴリの人間、もっと言うと自分と同じレベルの人間。

逆に、人を差別したり侮辱したりするときには「あいつクサい」なんて言いませんか?

「におい」というのは、時に人を差別するアイテムになります。

そしてかなり強烈に人としての尊厳やプライドを傷つけられるものでもあります。

でも、「におい」は自分では気づかなかったり、自分ではどうすることもできないもの。

「貧しさ」と「におい」。

この2つの関係がどう描かれているのかも見どころです。

ネタバレ厳禁の理由

ポン・ジュノ監督みずからが映画を観た人に「ネタバレしないで!」とお願いしています。

いろいろなレビューを見ても、びっくりするような展開、とんでもないところに持っていかれる作品、などそのストーリー展開の巧妙さを評価するものが多いです。

前半はコメディタッチでテンポよく進み、ぐいぐい引き込まれていく展開です。

そして後半60分、さらにジェットコースターのように加速していき、まさに衝撃の結末へと転がっていく。

コメディなんだけど、サスペンスでもありシリアスな要素もある。

132分というそこそこ長い作品ですが、あっという間に終わってしまったというのが感想です。

え、何、そうなるの!?という意外性を体感するのもこの作品の醍醐味。

絶対にネタバレなしで観ることをおすすめします!

後に残るモヤモヤ感

結末はハッピーエンドなのか?

何かが解決したのか?

いやいやどういうことなのよ?

これから先どうなるのさ?

なんかやるせない。

でも希望はあるような。

そんなモヤモヤが残る結末。

どんなモヤモヤなのか、実際に観て体感してください。

4.「パラサイト半地下の家族」考察(ライター視点)


画像出典:http://www.parasite-mv.jp/

キム一家は半地下住居に住んでいる貧乏な家庭です。

でも、家族全員失業中という笑えない状況なのに、なぜか悲壮感がないんですよね。

みんなでワイワイ内職かなんかやってる。

ところが、ギウがパク家の家庭教師になったことでその状況が良くも悪くも一転してしまうんですよね。

彼らはお金はなかったし失業していたけど、スキルはある人々でした。

ただその自分の能力を活かす場所が与えられていないという問題を抱えています。

社会的な立場によって公平にチャンスが与えられないとしたら、いつその貧乏という状況から抜け出せるのでしょう。

この映画の2つの家族は経済的にも社会的な立場もまったく逆の状況です。

でもある一点(ギウが家庭教師になったこと)をきっかけに奇妙に交わっていきます。

でもそれは絵具が美しいマーブル模様を作るような交わり方ではなく、瓶に入れた水と油のようなもの。

瓶を振れば一瞬混ざったかのように見えるけれど、しばらくすればまたキレイに分離してしまう、そんな状態ではなかったかと思います。

パク家とかかわったことで、あらためて自分たちの客観的な社会的立場を知ることになるギテク達。

しかも、なんとか頑張れば自分たちも同じ場所に立てるかもしれないという、楽観的な希望すら否定されてしまう。

「お前はダメだ」と言葉で言われるよりさらに残酷に、人間としての「違い」を突き付けられる結果になってしまうのです。

作品の中で、ギテクたちは何度も「プラン(計画)」と言う言葉を使います。

でもプランを立てるから上手くいかなくなる、と。

それでもやっぱり人はプランを立てるし、それはいわゆる向上心でもあるわけです。

彼らのような人々にとってはプランを立てることすら虚しいのか。

半地下に住む彼らは本当にプランを実現できないのか。

お金や豪邸という目に見える格差だけでなく、目に見えない格差があるとしたら、それが一番重大な問題なのだと思います。

5.「パラサイト半地下の家族」をおすすめする人


画像出典:http://www.parasite-mv.jp/

パラサイト半地下の家族は、韓国の社会問題や独特の文化的風刺、エンタテイメント性がたくさん詰まっている映画です。

たくさんの人に観てほしいと思います。

絶対にネタバレなしでね。

韓国の格差社会について知りたい人

観光旅行の渡航先として、日本の女性たちにも人気の韓国。

韓流スターやK-Popなど、華やかな部分は日本にも浸透していますが、その反面ネット社会でのえげつないバッシングや自殺など、ダークな部分もちらほら見えます。

格差社会についてもなんとなく聞いてはいたけれど、いわゆる半地下文化っていうのはあまり知られていないんじゃないかなと思います。

言葉で、ニュースで知るよりも映画のようなエンタテイメントの世界で映像で見ると、社会の中に微妙に存在する差別とか格差がとてもよく伝わったりします。

ここまでの極端な例はないにしても、こういう格差はどこにでも確実にあるのだということが肌で感じられる作品です。

韓国映画を観たことがない人

韓国映画って、本当に独特なニュアンスがある映画だと思っています。

同じアジアだけれど、日本映画とはまた違う、いい意味での陰湿さみたいなものがある。

ロマンティックな恋愛映画から入るのもいいけれど、いっそこの手の強烈な作品から韓国映画を知るのもまた楽しいかもしれません。

クセになるかも?!

ブラックコメディを好きな人

なんだかんだ言って、かなりのブラックコメディ映画だと思います。

グサっと心に刺さるシリアスな場面もあるのですが、特に前半はヘンな感じでスカッと感を味わってしまう。

きっと私も半地下側の人間だから?!

「時計回りで。」ってなんだよ!

映画を観ればこの言葉の意味が分かります。

3 COMMENTS

時計回り

昨日観てきました。余韻が抜けず色々と調べまくっていたところこちらの解説を読みました。とても正確な解説でした。できれば2回以上は観たい映画ですよね。最高でした

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rie0922

時計回りさん
コメントありがとうございます!
何度も観ると新たな観方ができたり、発見がありそうですね!私もまた観たいです。

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