ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド実話と架空のスパイラル

こんにちは!エンタメブリッジライターのriezoです!

今回はクエンティン・タランティーノ監督の第9作目の監督作品となる「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」についてレビューしていきます!

本作はご存知のとおり1969年にチャールズ・マンソン率いるカルト集団に惨殺された女優・シャロン・テートの事件を題材とした実話ベースの作品です。

と同時に、架空の主人公・リック・ダルトンと彼の相棒クリフ・ブースの栄華と衰退を軸に、60年代から70年代のハリウッド映画界の移り変わりを描いている作品でもあります。

タランティーノ作品の面白さについては絶大な信頼を寄せている私としては、今作も非常に楽しみにしていたのですが、期待を裏切らない出来だったと思います。

まさに実話を超える展開!

どこまで実話なの?!っていう感じで、事実とフィクションが見事にスパイラルした作品だと思います。

映画をより楽しむためには題材となっているシャロン・テート事件についてある程度の知識を入れておいた方が良いでしょう。

タイトルの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」とは、「むかしむかしハリウッドでは」というお伽噺の語り始めの決まり文句。

というわけで、タランティーノ監督のお伽噺「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」について、あらすじとともにレビューしていきます!

1.『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の作品紹介

公開日:2019年8月30日(イギリス・アメリカ)
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
出演者:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、アル・パチーノ、カート・ラッセル、ラファル・ザビエルチャ、ルーク・ペリー、ジュリア・バターズ、マイク・モー、ダコタ・ファニング、マーガレット・クアリー他

公式サイト:http://www.onceinhollywood.jp/

2.『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のあらすじ


画像出典:http://www.onceinhollywood.jp/

それではあらすじからご紹介していきましょう!

主人公のレオナルド・ディカプリオの落ちぶれ感がたまらんです。

内容についてネタバレしたくない方はネタバレなしのあらすじだけ読んで次に進んでくださいませ!

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ(ネタバレなし)

リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)はテレビの西部劇シリーズのヒーローとして名を馳せていた。

しかし時代の流れとともに徐々にその影は薄くなり、今や悪役をやったり単発ものに顔を出すだけ。

リックのスタントマンで付き人、さらに親友でもあるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)にも十分な仕事を回してやれる余裕もなくなっていた。

クリフはスタントの仕事だけでなく、飲酒運転で免許を取り上げられたリックの運転手をしたり、プライベートでも身の回りの世話をしている。

落ちぶれていく我が身を嘆いて弱気になっているリックとは反対に、クリフは過去に共演者とトラブルを起こしたりと問題を抱えてはいるものの、常にブレずに自分自身を持っている男だった。

ある日、リックが住むシエロ・ドライブの自宅の隣に新進気鋭の映画監督、ロマン・ポランスキー(ラファエル・ザビエルチャ)とその妻で若手女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)が引っ越してきた。

そんな折、リックは映画の配役担当のマーヴィン・シュワルツ(アル・パチーノ)からイタリアのマカロニ・ウェスタンに出ないかとオファーを受ける。

しかしハリウッド俳優としてのプライドからマーヴィンのオファーを受けるのを渋るリックだった。

一方リックから自宅のアンテナを直しておいてくれと頼まれたクリフは、屋根に上がってアンテナを直しているときに、隣のポランスキー宅に一台の車が入っていくのを見た。

車から出てきた男は、応対したシャロンの元恋人で友人のジェイ・セブリングに「テリーを探している」と言う。

しかし、ここは今はポランスキーの家だとジェイに返され去って行った。

その頃リックは若手俳優のジェイムス・ステイシーが主演する「対決ランサー牧場」で悪役の撮影をしていたが、まったく演技が振るわずますます落ち込む一方だった。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』あらすじ(ネタバレあり)

さてここからネタバレありです。

内容について詳しく知りたくない方は読まないでくださいね!

クリフが屋根から見た男っていうのが、実はチャールズ・マンソンなのです。


画像出典:http://www.onceinhollywood.jp/

チャールズ・マンソン役はデイモン・ヘリマンですが、彼はこのシーンにしか出てきません。

のちにクリフは、ヒッチハイクしていたマンソン一家の少女、プッシー・キャット(マーガレット・クアリー)をヒッピー集団のコミュニティまで送っていくのですが、そのときプッシー・キャットは

チャーリーに紹介したい。

とクリフとマンソンを引き合わせようとします。

しかしこの時マンソンは留守でクリフと顔を合わせることはありませんでした。

ヒッピーたちが住んでいたのは「スパーン映画牧場」というかつては映画の制作に使われていた場所でした。

もちろんクリフにも馴染みがある場所で、持ち主のジョージとはかつての仕事仲間です。

しかし今やジョージは失明し、ヒッピーたちに軟禁されてすっかり牧場も乗っ取られているような状態だったのです。

クリフがジョージと話している間に、クリフが乗っていた車のタイヤがパンクさせられてしまいました。

車はリックのものです。

クリフは第二次世界大戦からの帰還兵で、過去に暴力でトラブルも起こしていたような男です。

当然パンクさせたヒッピーの男を血まみれにし、タイヤを修理させました。

ヒッピーのコミュニティにはみんなをまとめるリーダーのような存在のテックス(オースティン・バトラー)という若者がいました。

タイヤパンク血まみれ修理の一連の流れの中で、テックスがクリフに報復をするかと思ったのですが、じっと睨むだけ。

このヒッピー集落でのシーンは非常に緊張感の高まる場面です。

しかし、このテックスが後々「あの」事件と深く関係してくるのですが。

クリフがヒッピーのコミュニティにいた頃、リックは俳優として落ちぶれた自分に絶望していました。

8歳の美少女子役、トルーディ(ジュリア・バターズ)に慰められて涙ぐんだり、控室のトレーラーの中で自分を罵倒し、気合を入れたり・・・。


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この辺りのディカプリオのダメっぷりがほんとにツボで。

それでも見事に悪役を怪演し、かつてのスター俳優としての実力を見せつけるあたり、よっ!ディカプリオ!と歌舞伎の大向うさながらに声をかけたくなるほどです。

そしてまあジュリア・バターズの美しさといったら、あなた!

劇中は8歳、実際は10歳、どっちにしてもまだ小学生ですよ。

でももう完全に顔が出来上がってます。

これからが楽しみです。

子役と言えば、かつて天才子役と言われたダコタ・ファニング!

彼女もヒッピーの女ボスみたいな役で出てるんですが、クレジットを見るまでダコタだと分からなかったくらい、いい意味でふてぶてしかったです!

さて、ここまでシャロン・テートについて触れていませんが、実際彼女の出演シーンてそれほどストーリーにぐいぐいと絡み合ってくる感じではありません。

唯一彼女が生き生きと描かれているのは、自分が出演している映画「サイレンサー第4弾/破壊部隊」を観に行くシーンです。

映画館のチケット売り場で

私この映画に出てるの!

と話しかけ、むりやり映画館のスタッフと一緒に写真を撮ったりしてなんとか入れてもらいます。

そして観客の反応を伺いながら自分の作品を1人で見るのです。

ブルース・リーにアクション指導をしてもらったシーンで観客が湧くと嬉しさのあまり涙ぐんだり、1人の若手女優として将来への希望に胸を膨らませている姿がとても可憐に描かれています。

さて、「対決ランサー牧場」の悪役を見事演じきったリックは、シュワルツから紹介されたセルジオ・コルブッチ監督のマカロニウェスタン映画を撮影するため、クリフと共にイタリアに向かいます。

イタリアで半年間、4本の映画を撮影しそれなりにヒットを飛ばしたリックは、イタリア人妻のフランチェスカ・カプッチを連れて帰ってきます。

リックがフランチェスカと空港を歩くシーンは、映画の冒頭でポランスキーとシャロンが空港から出てくるシーンの焼き直し。

タランティーノってほんとにこういうセルフオマージュがうまいよね。

他にもいっぱい過去作品の引用がありますが、それはのちほどゆっくりと。

というわけでフランチェスカと結婚したリックはクリフに、もうこれまでのようにスタントマンや付き人として雇えないと話します。

フランチェスカとの新しい生活のために家も売るつもりだと。

クリフもそれを理解し、2人は最後に一緒に食事をしようとメキシカンレストランに向かいました。

そこには隣に住むシャロン・テートも友人たちと食事をしに来ていました。

夫のポランスキーは映画の仕上げのためにイギリスに行っています。

シャロンはポランスキーとの子どもを身ごもっていて、この時妊娠8カ月。

夫の留守中、友人たちが家に滞在してシャロンの世話を手伝っていたのです。

食事が終わるとシャロンと友人たちはポランスキー邸に帰っていきました。

一方リックとクリフも泥酔してリックの家に帰ります。

クリフは以前ヒッピーのプッシー・キャットにもらったLSDに火をつけ、ゆっくり紫煙をくゆらせました。

そして愛犬ブランディの散歩に出かけます。

ピットブルのブランディはとても賢く、クリフの良き相棒です。

ブランディとともに家を出ると一台の車とすれ違いました。

車には男女4人のヒッピー風の若者が乗っています。

かたやミキサーでマルガリータを作っていたリックは、家の外の車のエンジン音に気づきました。

窓から覗くとヒッピーたちが乗った車が停まっているのが見えます。

リックはミキサーに入ったマルガリータを片手に家の外に出ていき、「出ていけ。警察を呼ぶぞ!」グビ!(マルガリータをがぶ飲み)とヒッピーたちを恫喝します。

仕方なくヒッピーたちはいったん退散していきました。

その後リックはプールにエアベッドを浮かべ、マルガリータを飲みながらヘッドホンで音楽を聴きながらプカプカ。

散歩から帰ったクリフはブランディにドッグフードをあげようと準備をしていました。

そのころリックに追い返されたヒッピーの1人が、リックがテレビに出ていた俳優だと思い出します。

ヒッピーたちはあのスパーン映画牧場のテックス達でした。

彼らはマンソンからシエロ・ドライブのテリー・メルチャーが住んでいる家に行って、皆殺しにして来いという命令を受けていたのです。

リックがテレビ俳優であることを知ったテックスは、士気の下がりかけた仲間を奮い立たせるためにこう言います。

おれたちはみんなテレビを見て育った。

テレビは人殺しを教えた。

リック・ダルトンのような俳優が自分たちに殺人を教えたのだから、殺人を教えた奴らを殺すのだ。

それがチャーリー(マンソン)の命令なのだから、と再び士気を高めたヒッピー達はあらためてリックの家に忍び込むために戻って行きます。

家の中ではリックがプールで音楽を聴き、クリフはLSDでハイになってブランディにエサをあげているところ。

そのとき家に押し入ってきたテックスとクリフが鉢合わせドン!

ところがLSDでハイ状態のクリフはまったく動じず、手で拳銃の形を作ってニヤニヤしながらテックスに向けるだけ。

騒ぎを聞きつけて部屋から出てきたフランチェスカは別のヒッピー女にナイフを突きつけられてしまいます。

クリフはその時やっと、押し入ってきた連中がスパーン牧場のテックスたちだと気が付きました。

あー。

思い出したぞ。

お前は・・・・。

テックスだ。

テックスは

俺は悪魔だ。

そう言ってクリフに銃を向けました。

しかしその時クリフはブランディに合図を出し、テックスを襲わせます。

そしてフランチェスカにナイフを突きつけていたヒッピー女①の顔にドッグフードの缶を投げつけ、今度は女①に噛みつくようブランディに合図しました。

ブランディに股間を噛みつかれて苦しんでいたテックスは、ナイフでクリフに襲いかかりますが逆に腕を刺されてしまいます。

その時ヒッピー女②が隙をついてクリフの腰にナイフを突き立てました。

ここからクリフがキレます。

女②の髪を掴んで、壁と言わずテーブルと言わずあらゆるところに顔を叩きつけて顔面破壊です。

女相手だからと言って一切容赦なし。

地獄絵図のようなリック邸のキッチンですが、当のリックはプールでのんきにヘッドホンの音楽を聴いています。

しかしその時、クリフにボコボコにされた女②が半狂乱になってマシンガンをぶっ放しながらガラス扉を突き破り、プールに飛び込んできました。

とつぜん血だるまの女がマシンガンを撃ちながら現れたのを見てびっくり仰天、訳がわからないリック。

パニックになりながらも勝手に自分ちに入ってきたヒッピーに腹を立て、以前映画の撮影で使った火炎放射器を持ち出して女②を丸焦げにしてしまいました。

もうどっちが悪魔か分からない。

やがてやってきた警察がテックス達の遺体を運びだし、救護隊が負傷したクリフを病院に搬送しました。

警察と救護隊が去ったところに、騒ぎに気付いたセブリングがポランスキー邸の敷地からリックに声をかけます。

リックは、おかしなヒッピー連中が押し入ってきたのでなんとか撃退した、最後の女は自分が火炎放射器で焼き殺したと事情を話しました。

そこに身重のシャロンがインターフォン越しに心配そうに話しかけます。

リックの身を案じたシャロンですが、怪我がないことを知ると安心します。

そして「うちでお酒を飲んでくつろいで」とリックを自宅に招き入れました。

The end.

3.『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の見どころ


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この作品には、ネタバレしてはダメだけど映画を観る前にある程度知っておいた方が良い情報があります。

それはこの映画が実話を元にして作られているということです。

作品の題材となったシャロンテート事件について知っているかどうかで映画の楽しみ方が数倍違ってくることは間違いありません。

題材となった「シャロン・テート事件」とは?


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まずあまり詳しくない方のためにシャロン・テートについて軽く説明しましょう。

この映画に出てくるシャロン・テートとは、1960年代にテレビや映画に出演していた実在の女優さんです。

ロマン・ポランスキーが監督・出演した「吸血鬼」という映画でポランスキーと共演し、その後結婚しました。

「吸血鬼」のほかに映画4作品、テレビドラマ3作品に出演しましたが、残念ながら1968年にカルト集団のマンソンファミリーに惨殺されてしまいます。

これがシャロン・テート事件と言われるものです。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は、このシャロン・テート事件を題材として作られました。

すべてが実話に忠実に作られているわけではありませんが、シャロン本人やポランスキー監督、チャールズ・マンソンやマンソン・ファミリーの信者など、登場するのはほとんど実在していた人物です。

実際の事件の首謀者であるチャールズ・マンソンは、子どものころから犯罪を犯し、少年院や刑務所で過ごした時間の方が多いと言われるほどの人物でした。

1967年に出所すると、マンソンはアメリカに浸透しつつあったカウンターカルチャーの流れになぜかうまく乗ってしまいます。

そして当時多くの若者の間に広まっていたヒッピー文化が大好きな若い女性たちをとりこにしていったんですね。

長い髪と髭を伸ばして、刑務所で習ったギターを弾いていたマンソンは、自由と愛を謳歌するヒッピーガールたちから見るとそれほど魅力的だったのでしょうか。

そして取り巻きの女性たちを使ってさらに男たちも集め、あっという間に「マンソン・ファミリー」を作り上げてしまったのです。

マンソンには音楽の才能があったのか、いくつかの歌を作っています。

しかもミュージシャンデビューも狙っていたようです。

実際にマンソンが作った「Never Learn Not To Love」という歌は、その後ビーチボーイズのアルバムに収録されていますが、この映画の中ではヒッピーガールたちが歌っていました。

ビーチ・ボーイズのデニス・ウィルソンの家に、一時期マンソンはファミリーとともに住みついていたんですよね。

そして一緒に作曲活動をしていたようです。

そのデニス・ウィルソンを通じて、テリー・メルチャーという音楽プロデューサーがマンソンをデビューさせるという話もあったのですが、ウィルソンの引越しと共にデビュー話も立ち消えになってしまいました。

それを逆恨みしたマンソンはテリーに復讐することを決めるのです。

このテリー・メルチャーこそ、映画の中でマンソンがポランスキーの家を訪ねた時にセブリングに言った「テリーを探している」のテリーです。

そしてテリーが住んでいたシエロ・ドライブの邸宅にマンソン・ファミリーの信者たちを向かわせたのです。

ところがテリーはすでに引っ越してしまっており、代わりに住んでいたのがポランスキーとシャロン夫妻でした。

事件当日、ポランスキーは映画の仕事のためにロンドンにいて不在でした。

家にいたのはシャロンのほか3人の友人たち。

1人はシャロンの元恋人のジェイ・セブリング、そしてもう1人はアメリカの有名なコーヒーブランド、フォルジャーズコーヒーの社長令嬢のアビゲイル・フォルジャー、さらにフォルジャーの恋人のヴォイテク・フリコウスキーです。

そしてもう1人、たまたま車で通りかかったスティーブン・ペアレントという若者も、事件に巻き込まれて殺されてしまっています。

合計5名が無残にも殺されてしまったのです。

しかもこの時シャロンは妊娠8カ月でした。

マンソンファミリーに襲われたとき、シャロンは自分が身ごもっていることを伝え、

私はただ赤ちゃんを産みたいだけなの。

と命乞いをしました。

しかし逆にこれがファミリーたちを惨殺に駆り立てることになってしまったのです。

当時、映画館ではポランスキー監督の「ローズマリーの赤ちゃん」という映画がかかっていました。

「ローズマリーの赤ちゃん」は悪魔崇拝の信者たちがローズマリーという女性に悪魔の子供を身ごもらせ、赤ん坊を出産させるというホラー映画です。

これがファミリーたちにとっての「ハリウッド・金持ち=悪の象徴」という図式と結びついてしまったのです。

シャロン・テート事件やチャールズ・マンソンについて解説している記事はたくさんありますので、もっと詳しく調べてから映画を観るとさらに面白いかもしれません。

実話とフィクションの交差点


画像出典:http://www.onceinhollywood.jp/

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は実話をベースとしているため登場人物のほとんどは実在の人物です。

しかし主人公のリック・ダルトンとクリフ・ブースは完全にタランティーノが創り出したフィクション。

架空の人物です。

しかし、タランティーノ監督も数々のインタビューで言っているように、リックはかつてアメリカのテレビドラマで西部劇のヒーローを演じていた、バート・レイノルズやクリント・イーストウッドなどをモデルとしたキャラクターです。

バート・レイノルズもクリント・イーストウッドも60年代にテレビの西部劇シリーズからマカロニウエスタンへと活躍の場を移していった俳優達。

ちなみにバート・レイノルズはこの作品でスパーン牧場のジョージ役で出演する予定でしたが、撮影の直前に亡くなってしまったためそれも果たせませんでした。

代わりとしてジョージ役はブルース・ダンが演じています。

また、大人気だったアメリカのテレビドラマ「ビバリーヒルズ青春白書」のディランでおなじみ、なだぎ武、じゃない、ルーク・ペリーも「ランサー牧場の対決」でリックと共演するウェイン・マウンダーの役で出演しており、これが遺作となってしまっています。

とまあ話は逸れましたが、リックとクリフという架空の人物が、60年代のハリウッド映画シーンで実際に活躍していた様々な役者や監督、プロデューサーたちと絡んでいる。

つまり、シャロン・テートのあの事件が起こる数年前からのハリウッドに2人がもぐりこみ、もう1つの歴史を作っていく話だと言ってもいいでしょう。

当然そのエピソードは実際のものとは異なるものであり、そこに関わる当時のスターの関係者からは批判も生まれています。

例えばクリフがブルース・リーと格闘する場面では、あきらかにクリフの方が強いんじゃないの?いいの?ブルース・リーだよ?っていう感じです。

撮影当時、さすがのブラピもその辺を心配したとか。

そして、そもそもシャロン・テートの事件を勝手に映画の題材にしたということでシャロンの家族からも批判が。

しかしそこにはタランティーノ監督なりのシャロン・テートへの思いがあって作品を作ったのだと、タランティーノ監督自身の言葉で語られています。

他にもこの作品にはハリウッド関係者やマンソンファミリーのメンツも含め実在した人物とリックやフランクといった架空の人物の、まさに実話とフィクションが交差した交差点のような作品であるところも楽しめるところだと言えるでしょう。

タランティーノのセルフオマージュ

映画監督の中には過去の自分の作品の一部を別の作品にちょろっと登場させたり、リンクさせたりする演出をする人もいます。

タランティーノについて言えば、まあそういうことが好きな人です。

例えば、この作品の中に「Red Apple」という銘柄のタバコが出てきます。

これはタランティーノの過去の作品、「パルプ・フィクション」や「キル・ビル」にも出てくるアイテムです。


画像:riezo撮影/JH Cafe Yokohama

そして、リックが劇中の撮影シーンでドイツの将軍たちに向けて火炎放射器を噴射するのですが、これは「イングロリアス・バスターズ」からの引用です。

さらに、映画の冒頭でリックとクリフがインタビューを受けるシーンで撮影されているのがMelody Ranchという映画牧場。

映画牧場っていうのは、「町1つ」みたいな大がかりな映画のセットが組まれているスタジオで、日本で言えば映画村みたいなんもんですね。

そのMelody Ranchは今でも存在していて、タランティーノが「ジャンゴ繋がれざる者」を撮影した場所です。

タランティーノの映画にそれほど詳しくない人でも、ファンならすぐに反応してしまうような細かいところを知ったうえで観賞してみると、ああ、これか!となったり引用元の作品を遡って観たりという、もう1つの楽しみ方もできると思います。

タランティーノの最後から2番目?それともこれで最後?の作品

タランティーノ監督はもともと映画を10本撮ったら監督をやめる、と言っていました。

通算で言うと、この作品は9作目になります。

個人的にはまだ9作?という感じですが、それはタランティーノは監督だけでなく脚本や製作などでものすごくたくさんの映画に関わっているので、「タランティーノ」という名前をあちこちで見かけているからなんですね。

実際に監督をした作品については割愛するので調べてみてください。

そしてこれが最後から2作目、つまりあと1作で監督引退!ということになっているのですが、どうもご本人的にはあまりにもこの作品の出来が良いので、これで終わりでもいいかもーってなっているとかいないとか。

ファンとしてはもっと映画を監督してほしいなと思うところですが、それぐらい監督自身、また評論家たちも絶賛しているとおり、秀逸な作品であるということは間違いないでしょう。

4.「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」をどう観るか


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繰り返して言いますが、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は実話をベースにしています。

しかもその実話とはカルト集団による惨殺事件。

当然被害者にとっては未だに忘れることのできない辛い出来事です。

そのため、実際に被害者となったシャロン・テートの遺族は、この作品の脚本・監督をしたクエンティン・タランティーノに対して批判的です。

しかしなぜタランティーノ監督はこの作品を作ったのでしょうか。

ネタバレを防ぐために、詳しいことは省きますが、この作品のエンディングは事実とは異なります。

異なるどころか、ある意味事実を塗り替えた結末だったと言っていいと思います。

私も鑑賞直後はタランティーノ映画ならではの派手な演出の方にばかり気を取られて、なぜあのような結末に持って行ったのかというところまで深く考えられませんでした。

でもよくよく考えてみると、タランティーノは事実と異なる結果を作ったことである意味歴史を変えたのだと思うのです。

とは言っても本当に歴史を変えられることはできませんし、シャロン・テートは生き返りません。

しかし、当時あの事件を知った誰もが、もしくは映画を観ることによってシャロン・テート事件を知った誰もが持った、あのカルト集団の常軌を超えた超自己中心的な非人間的な行動に対する言葉にできないほどの怒りを、タランティーノは映画の中でカルトの奴らに向けたのだと思います。

いわれのない悪意に命を落としてしまったシャロンの無念に対してカタルシスをもたらしたのではないかと。

マンソンのようなやり方で、若者をはじめ社会に対してコンプレックスを持っている者たちを取り込んだカルト集団は日本にもいましたよね。

簡単にいうと、そういうねじ曲がった超自己中心的な存在に対して、「ざけんなよ!ばかやろー!!」とボコボコにしてやった、そんな作品なんじゃないかと思うのです。

そしてタランティーノはこの作品で、シャロン・テートという女性は件の被害者でなはく、若くて輝いていた1人の女優だったのだということを伝えたかったと言っています。

映画の中でシャロン役のマーゴット・ロビーが「サイレンサー第4弾/破壊部隊」を観ているシーンがありますが、あれは実際にシャロンが出演している本物の「サイレンサー第4弾/破壊部隊」です。

タランティーノはインタビューで「シャロンを墓から救いだした」という表現をしていますが、まさに女優としてのシャロン・テートをみんなに見せてくれたのです。

だからこそ、シャロン・テートという人物がタランティーノ作品の中では珍しく、「普通の」可愛い女性として描かれていたのだなと思いました。

5.「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」をおすすめする人


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「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を観たよって言うと、面白かった?と聞かれるんですが、答えはもちろん「最高だったよ!」です。

おそらく誰が観ても面白いと思います。

なので、おすすめする人は、「全員」なのですが、その中でもこんな人たちにおすすめしたいと思います。

タランティーノファン

何を当たり前のことを、と言われるかと思いますし言われなくても観ると思いますが、タランティーノ好き!って言っている人にはぜひ「劇場で」観てほしいです。

当時のハリウッドの街並みはセットではありません。

実際の現在のハリウッドの街を通行止めにして古き良き時代のハリウッドの街を再現しているのですよ!

ほら、観たくなりましたよね?

タランティーノお得意のバイオレンスなシーンも含め、大きなスクリーンで堪能していただきたいです。

実話とフィクションを自由に楽しめる人

事実と異なることにいちいち気になってしまう人は、もしかすると違和感を感じるかもしれません。

事実は事実として、フィクションはフィクションだから、と実話とフィクションが入り混じっている映画を自由に楽しめる人にとっては、むしろ面白いと感じれられると思います。

だってブルース・リーがあんな・・・・。

ですから。

映画ファン

これはもうタランティーノも含めて、映画好きが映画好きのために作った作品だなーと思うのです。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド=昔々ハリウッドという街で・・・というタイトル通り、ハリウッド映画界の裏事情をたっぷりと盛り込んだ映画だからです。

スクリーンの向こう側なんて所詮全部作り事なんだよね、面白いけど!なんていうタランティーノの声が聞こえてきそうなディカプリオのエンディングのシーン、私は好きですねぇ。

ブラピとディカプリオあんまり好きじゃない人

はっきり言って、ブラピがめちゃカッコいいです!

私のイメージではブラッド・ピットってあんなにマッチョなイメージじゃなかったんですよね。

ディカプリオにいたっては、若い頃は可愛かったけど、いつのまにかジャック・ニコルソンみたいになってるし。

あ、ジャック・ニコルソンは素敵ですよ。

私が言うのもなんですが、この作品でお2人のあらたな魅力が炸裂したのではないかと思います。

ちょっと弱気でコミカルなディカプリオと、マッチョで男臭いブラピ。

あらたな黄金コンビの誕生だと思います。

2人の話をシリーズ化してほしいくらいです!

最後の1作にどうでしょうか!タランティーノ監督!

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