こんにちは。今年の夏も大作映画目白押しで嬉しい悲鳴の、エンタメブリッジライター・海山ヒロです。
今回は、そんな夏の大作祭りの始まりとも言える娯楽SF大作、「メン・イン・ブラック(MIB)/インターナショナル」についてご紹介したいと思います。
UFOやエイリアンの目撃者、遭遇者のもとには黒づくめの男たちが現れ、記憶を消していく。
そんないかにもなアメリカの都市伝説をもとにしたローウェル・カニンガムのコミック。
それを「映画の神様」スティーブン・スピルバーグが製作総指揮、トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスが共演して大ヒットさせたのが1997年。
そこから早22年。装いも新たに、でも「お約束」はてんこ盛りに作られたのが、この「メン・イン・ブラック(MIB)/インターナショナル」です。
そんな、MIB第4弾のあらすじと見どころを、今回は徹底的にご紹介します。
目次
1.「メン・イン・ブラック/インターナショナル」の作品紹介
監督:F・ゲイリー・グレイ
原作:ローウェル・カニンガム
脚本:アート・マーカム、マット・ホロウェイ
出演者:クリス・ヘムズワース、テッサ・トンプソン、リーアム・ニーソン、エマ・トンプソン。
2.「メン・イン・ブラック/インターナショナル」のあらすじ
画像出典:https://eiga.com/movie/90466/gallery/
ではでは、「メン・イン・ブラック/インターナショナル」のあらすじをご紹介しましょう。
「ネタバレは許せない、さくっと流れだけ教えて!」という方は、物語のほんのさわりのみを書いたネタバレなしをお読みください。
「面白くなきゃ観たくない。最近の映画って展開が早すぎてついてけないから、詳しく教えて!」
そんな方は、筆者が随所に突っ込みを入れて書いたネタバレありをお読みくださいませ。
「メン・イン・ブラック/インターナショナル」のあらすじ(ネタバレなし)
20年前に宇宙人と遭遇したモリー(テッサ・トンプソン)は、ようやく探し求めていた場所にたどり着いた。
そこは一見、ただの古い倉庫。
しかし、暇そうな黒づくめの男が一人座る無機質な廊下の突き当り、大きな鉄のエレベーターに乗った先は、地球を訪れるエイリアンたちを監視する秘密組織「メン・イン・ブラック(MIB)」の本拠地であったのだ!
一時は不法侵入者として取り調べられたが、なんとか見習いとなったモリーあらためエージェントM。
彼女を採用したエージェントO(エマ・トンプソン)の命令で、ニューヨークからロンドンへ。
ロンドンでは表向き、支局長であるハイT(リーアム・ニーソン)に促されて新人研修を受けるはずだったM。
が、偶然出会ったロンドンのトップエージェント・H(クリス・ヘムズワース)と行動を共にすることに。
エージェントHとの仕事は、ヴァンガス星の王子を一晩歓待するという簡単なもの。
しかし、ヴァンガス王子を狙う不気味な双子の男たちが現れ、王子の乗った車が襲撃されてしまい―――。
知識と熱意は人一倍の新人エージェントMと、「世界を知恵と1丁の銃で救った」伝説のエージェント、なのにいまはただのチャラ男なH。
そんな正反対のコンビの、MIBの存亡をかけた冒険がいま、始まる!
「メン・イン・ブラック/インターナショナル」のあらすじ(ネタバレあり)
地球で暮らすエイリアンたちを監視する、超秘密組織MIB。
そのロンドン支局には、若くして伝説となった男がいる。
その名はエージェントH(クリス・ヘムズワース)。
全宇宙の支配を狙った凶悪エイリアン・ハイヴを、現在はロンドンの支局長となったベテランエージェント・ハイTとともに、「知恵と1丁の銃で救った」男である。
その功績は、伝説のエージェントコンビJとKに並び称されるほどで、仕事で少々ミスをしようが、支局で居眠りしようが、誰も咎める者はいない。
そんなロンドン支局に、ニューヨークの見習いエージェント・Mが訪れる。
実は彼女は20年前、「成長するにつれ凶暴化するタランシアン星人」と遭遇したことがある。
たまたま記憶を消されなかったため、その時みた秘密組織をずっと探して、ついに仮とは言えMIBの一員となった有能な新人だった。
はい、ここで突っ込みその①。
訳あり過去ありの新人と、かつては英雄、いまはただのダメ男の登場です。
しかもその新人は、自分を採用してくれたメンターのエージェントO(エマ・トンプソン)から、
ロンドン支局に何かあるわ。調べてきて。
なんて密命まで帯びています。もう波乱の予感しかしませんよね~。
ロンドン支局で新人研修を受けるはずが、偶然見かけたイケメンHに働きかけて、首尾よく行動を共にすることになったM。
画像出典:https://eiga.com/movie/90466/gallery/
しかし、Hともに迎えたヴァンガス星の王子を謎の双子エイリアンに襲撃され、応戦するも全く歯が立たず、死なせてしまう。
その責任でMIBを除名されそうになるMとHだが、Mがとっさにでっち上げた
何故犯人はヴァンガス王子の行動を知っていたのでしょう。MIBの内部にスパイがいるのでは?
という言葉で、ハイTから捜査を命じられる。
捜査を進めるうち、謎の双子はハイヴ復活を目論む悪のエイリアンで、その双子が使った毒はモロッコのマラケシュで入手したものと判った。
マラケシュに向かったMとH。Hの知り合いエイリアンの協力で毒の入手先までたどり着くが、一足遅く。
そこに潜む身長5㎝ほどのエイリアン・ポーン族は、騎士ポーンを残して皆殺しにされていた。
一方MIBではその頃、Hを何かと敵視するエージェントCが、ある情報を掴んでいた。
それは、死ぬ間際のヴァンガス王子からMが謎の宝石を受け取っており、その宝石はヴァンガスが星から盗んだ超兵器、一撃で星一つを破壊できるどえらい兵器であるという情報だった。
Hを追い落とす好機と、CはハイTに黙って追手を差し向けるが、直ちに察知したハイTの知らせでMとHは辛くも逃げ延びることができた。
はいここで突っ込みその②。
謎の人物、謎の武器。誰が味方で誰が敵? スパイアクションではお馴染みの状況が出てきました。
イケメン・チャラ男のHに対し、インケン眼鏡のC。
こいつがOが言うところのロンドン支局の問題か?
それとも、ヴァンガス星の王子の死に際のセリフ、
Hは変わってしまった。
に従えば、怪しいのはH?
でも、ハイTも何か隠しているようだし……と、ハラハラドキドキの展開が始まります。
その後はもう、怒涛の展開。
生き残った騎士ポーンをポーニィなんて名付けてお供にしたかと思えば、お助けキャラだと思ったエイリアンが宝石(超兵器)を奪ってしまい。
そのエイリアンが向かった先は、Hの元カノにして武器商人のリザで。
超兵器を取り戻そうと007よろしくモーターボートで向かったHは、なぜかピンクのパンツなんかを履いているし。
「チャーリーズエンジェル」よろしく崖を素手で登ってリザの城に潜入したMは、あっさり見つかりキャットファイトにもつれ込むという驚き? の流れです。
HもMも捕まっちゃって絶体絶命大ピンチ★なんて時に、映画冒頭の伏線が回収され。
さらに謎の双子に追い詰められたと思ったら、グッドタイミングでハイTが助けに来てくれます。
「ええ~これで終わり?」なんて拍子抜けしそうになったらば、まだどんでん返しが待ち受けています。
どうぞ最後までしっかり目を開けていてください。
3.「メン・イン・ブラック/インターナショナル」の見どころ
画像出典:https://eiga.com/movie/90466/gallery/
この作品の見どころと言いつつ、ウィル・スミス&トミー・リー・ジョンズコンビの前3作についても触れています。
気になった方は予習の意味を込めて前3作をご覧ください。
あ、もちろん。本作を観た後、復習として観るのもおすすめです。
MIBにもついにジェンダーフリーの波が!
ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズのコンビで大ヒットしたMIB。
この二人は軽いノリの若手と堅物な中堅というタイプの違いはありましたが、どちらもゴリゴリマッチョ(体つきではなく)な「男」でした。
問題があれば、殴って(拳や武器で)解決。都合の悪いことはニューラライザーで消去、消去!
まぁつまりは、いかにもアメリカの「男」たち的、力づくの解決方法。
ですから多くのアクション映画の伝統にふさわしく、女はあくまで補佐的役割。
強力な美女として登場しても、悪役でしかありませんでした。
しかし! そんなMIBにもついに、ジェンダーフリーの波が押し寄せてきたのです。
「MIB3」では、ウィル・スミス扮するエージェントJの協力者として、エマ・トンプソン扮するエージェントOが。
そして本作ではテッサ・トンプソン扮するエージェントMが、堂々の主役コンビの一人として登場しています。
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ちなみにエージェントOも、彼女のいわばメンターとして引き続き登場します。
テッサ・トンプソンと言えば、「マイティーソー/バトルトイヤル」で天馬を駆る大酒のみの女戦士・ヴァルキリーを演じて、鮮烈なメジャーデビューを飾った強く美しき女性。
そんな彼女が演じるわけですから、エージェントMは「女性らしい」「なよやかな」役柄なはずはありません。
前3部作のウィル・スミス以上に軽いノリのエージェントH(クリス・ヘムズワース)を時にどやしつけ、時に引っ張り。
一発で星ひとつを消滅させられる超強力砲をぶっ放します。
さらにはラスボスとの拳と蹴りが炸裂するキャットファイト!
いやぁ、気分爽快。
長らく男性上位社会であったハリウッドでも、大作映画を任される女性監督が出てきました。
また、「キャプテン・マーベル」といった女性ヒーローの映画がヒットを飛ばし、ジェンダーフリーの流れが出てきていましたが……。
MIBでもそれが見られ、しかもエンターティメントとしてきちんと成功(ここが重要!)しているのは、嬉しい限りです。
そうですよね? 女性の皆さん。
お馴染みガジェットが究極の進化を遂げる!?
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MIBシリーズに欠かせないものと言えば、いかにもSFちっくなメカメカしいガジェット。
押しかけ新人のエージェントMも、仮採用されるや、
さ。例のアレをちょうだい。
なんて手を突き出したほど、MIBの象徴ともいえるニューラライザーはもちろん登場します。
が。本作ではさらに、究極の進化を遂げたガジェットたちも登場するのです。
例えば前3作では、エージェントKの武器庫はニューヨークのアパートの一室。
車に武器を乗せても、せいぜい隠しトランクの中でした。
しかし今回は、車がまるごと武器庫に進化しているのです。
よし、サイドミラーだ!
敵に襲撃され、エージェントHにそう指示されたMが
これをどうやって取れって言うのよ!?
と叫ぶシーンがありますが、彼女の気持ちはよ~く分かります。
Hの愛車ジャガー、イケメン・マッチョのクリス・ヘムズワースに良く似合うスタイリッシュなあの車のあらゆる場所から、出てくる出てくる、強力武器たち。
「007」シリーズや「キングスマン」シリーズでも面白武器は出てきますが、まさかフロントタイヤのホイールがレーザーガンの一部になるとは、誰も思いませんよね。
そして「排気口が武器になるってことは、あのジャガーの動力は……?」なんてことを突っ込んではいけないのも、お約束なのでしょう。
「メン・イン・ブラック/インターナショナル」では他にも、ホームに入って来た時にはしょぼい見た目の地下鉄の車両が、「スターウォーズかよ!」と突っ込みたくなるような超進化を遂げるシーンなどがあります。
鉄とパイプの椅子が、見る間にガラスとクロームのスタイリッシュなソファに代わり。
いかにも慣れてますよの風を装いつつも、ひそかに興奮しているエージェントMの表情が最高にキュートですから、お見逃しなく!
全3部作から引き継がれるお約束
「メン・イン・ブラック/インターナショナル」は、そのタイトルからも分かるように、第4作目ではあるものの、前3部作とは別の作品という位置づけをされています。
とはいえ、お馴染みのガジェット・ニューラライザーが登場したり、「MIB3」に登場したエージェントOが同じ役で出ていたりと、引き継がれている部分もあります。
そして何より「MIB」のお約束、「実はあの有名人はエイリアンでした~!」ジョークは今回もあります。
前3部作で宇宙人として名指しされたのは、マイケル・ジャクソンにレディー・ガガ、ジャスティン・ビーバーなんてのもありました。
そして今回、その「エイリアン」を見てエージェントMが、
あの人なら、納得ね。
なんて言った人物とは―――。
さすがにそこは言わないでおきましょう。
あなたの予想が当たったかどうかは、どうぞ劇場でお確かめください。
おっと、そうそう。書き忘れるところでした。
前3部作から引き継がれているもの、エージェントJとKについて触れるシーンが、「メン・イン・ブラック/インターナショナル」には登場します。
それは彼らの名前でも、いわゆるカメオ出演でもなく。
筆者はそのシーンを観た時思わず、「そう来たか」と唸ってしまいました。
さてそのシーンとは、一体、何でしょうか?
劇中何度か出てきますから、こちらもお見逃しなく。
4.「メン・イン・ブラック/インターナショナル」ライター海山ヒロの視点
画像出典:https://eiga.com/movie/90466/gallery/
映画の枠を超え、「黒づくめ怪しい男達」という一つのアイコンともなった、ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズの「MIB」シリーズ。
その4作目である「メン・イン・ブラック/インターナショナル」の公開を心待ちにしながらも、筆者の胸には一つの予想(不安)がありました。
つまり、マンネリ化してたら、面白くなかったらどうしよう……という不安が。
観終わったいま、その予想は半ば的中し、半ば外れていました。
まず、的中したことから。
クリス・ヘムズワースとエマ・トンプソンというイケメン美女の旬な二人を軸に配置。
そして、画面に出てくるだけで作品に説得力と深みを加える、リーアム・ニーソンとエマ・トンプソンという重鎮を脇に。
それでもやっぱり、パイオニアが与えたインパクトには及ばなかったこと。
しかしこれは、シリーズものの宿命と言えるかもしれません。
同じくクリス・ヘムズワースが出演し、メインキャストをすべて女性にしてリブートさせた、シリーズ3作目にあたる2016年公開の「ゴーストバスターズ」。
この作品も、随所に新味を加えて十二分に笑わせてくれる作品に仕上がってはいましたが―――やはり、1作目を超えるものではありませんでした。
ですから、これから本作を観に行く方たちに、あえて言いたいと思います。
そのマンネリズムこそを楽しみましょう! と。
そして、外れた予想の半分は、見どころで書いたように、ジェンダーフリーの波により、もたらされたのではと思います。
第1作目の公開からすでに22年が経過し、映画の作り手の意識はもちろん、観る側であるわたし達の意識と、映画に求めることが変わっています。
華麗なアクションで敵をなぎ倒すのはもはや男の専売特許ではなく、むしろイケメン・マッチョの役はおバカキャラとして割り振られる。
メカに詳しいのも、地球を、世界を救うのも、強くて美しい女性キャラにお任せ。そんな女性を支えるのも、やっぱりカッコイイ年上の女性キャラで……。
そんな新しい「定番」が、この「メン・イン・ブラック/インターナショナル」にも当てはめられる。そんな気がします。
5.「メン・イン・ブラック/インターナショナル」をおすすめの人
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さぁて。迸る思いの丈を綴るうちに、いつも以上に長くなってしまいましたが、そろそろまとめに入らねば。
前3部作のお約束をきちんと踏襲しつつ、ジェンダーフリーの要素を加味したこの「メン・イン・ブラック/インターナショナル」をおすすめする人は、こんな人たちです。
マンネリ・「お約束」をこよなく愛する人
すでにここまでお読み頂けていればお判りの通り、この作品にはエージェントJもKも出てはきません。
出てはきませんが、MIBの精神はちゃあんと受け継がれています。
つまり、ノリと勢いで地球の危機を救う。
どんどこ出てくるキラキラガジェット、ご都合主義は満載だけれど、かならず最後に「正義」は勝つ!
それをマンネリズムということもできますが、安心して楽しめる映画だと言い換えることもできます。
不安なのは現実世界だけで十分。マンネリ、お約束どんとこい! という人に一押しの映画です。
強い女・おバカなイケメンが好きな人
見どころや視点でくどいほど書いたように、この作品には強くてカッコイイ女とおバカなイケメンが出てきます。
「マイティ・ソー」や「アベンジャーズ」シリーズの、頼もしくマッチョ(体も心も)なクリス・ヘムズワースを見慣れた人には驚きの姿かもしれませんが……。
彼の新しい一面として、広い心で受け止める人もいるはず。
第一、どちらも同じように強く有能、しかも男女のバディなんて、どちらかが我慢して譲るか、しょっちゅう張り合って事件解決どころじゃありませんて。
できる女の相棒はおバカなイケメン。それでいい。それがイイ!
そんな方にこの作品はおすすめです。
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