こんにちは!エンタメブリッジライターしおりです。
今回は「眠れる森の美女を悪役の側から見る」という前代未聞の作風で話題となった映画マレフィセントの待望の続編、「マレフィセント2」についてご紹介します。
1作目のインパクトが強烈だったため、2作目はどんな仕上がり?と気になるところでしたが、見て損はない良い仕上がりとなっていました。
14歳だったオーロラ姫役エルも今や成人(アンジーとワインが飲めるらしいw)。
今作の印象としては、あくまでおとぎ話をベースにしていた前作からドーンと羽ばたいて壮大なハリウッド映画になった!という印象でしたね。
それもそのはず、今作で指揮をとったのは「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」の監督ヨアヒム・ローニング。
そんでもって今作をおどろおどろしく引き立てたのは、マレフィセントの角どころではない攻撃力を持った悪役イングリス妃(ミシェル・ファイファー)なのでした。
とはいえ、これらはあくまでツカミの見どころです。
ストーリーはわかりやすくも、現代の世相をうま~くおとぎ話のキャラを操って再現していますね。
IMAXで飛行シーンにさんざん酔いながら観た私ですが、そのあとロビーでボーっと「この映画は何を伝えたかったのだろう?」と考えていました。
マレフィセント2ではこの世界と同じことが起きている…そんな感想を思いめぐらした小一時間でございます。
それではレビューに行ってみましょう!
マレフィセント2の予告編、キャスト情報などについてはこちらにまとめています。
⇒映画マレフィセント2【10/18日本公開】予告あらすじキャストまとめ
目次
1.マレフィセント2の作品紹介
監督:ヨアヒム・ローニング(Joachim Rønning)
脚本:リンダ・ウールヴァートン(Linda Woolverton)、
出演者:リンダ・ウールヴァートン(Linda Woolverton)、エル・ファニング(Elle Fanning)、ミシェル・ファイファー(Michelle Pfeiffer)、サム・ライリー(Sam Riley)、キウェテル・イジョフォー(Chiwetel Ejiofor)、ハリス・ディキンソン(Harris Dickinson)、ほか。
製作会社:ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
2.マレフィセント2のあらすじ
画像出典:https://www.youtube.com/
それではマレフィセント2のあらすじをご紹介します。
前作マレフィセントを観たことがない方でも内容はわかりますが、やはり深く理解するためには前作を観て予習していくことをオススメします!
前作のレビューも併せてご覧くださいませ♪
⇒希少レビュー!映画マレフィセントをユング心理学から徹底考察してみた【あらすじネタバレあり】
ちなみにマレフィセント2、IMAXだとスクリーンが約25%広がるんですがその分酔います(笑)
酔いやすい方は2Dで鑑賞しましょう!
マレフィセント2のあらすじ(ネタバレなし)
マレフィセントとオーロラ姫が血の繋がらない母娘として真実の愛を育み、人間国と妖精国(ムーア王国)が和解した前作の物語から5年。
なぜか、マレフィセントは再び「怖い、バケモン、悪の化身」と伝説の存在に逆戻りしていたのです。
人間国に台頭してきたのはアルステッド王国。
この国はオーロラの恋人フィリップ王子の国であり、その母イングリス妃(ミシェル・ファイファー)は今作で新キャストとして加わった嫌~な姑。
ムーアでは、金目当てにキノコや花の妖精を「人間に盗まれる事件」が勃発しました。
盗まれた妖精は行方不明となります。
一方フィリップは妖精の国を治めるオーロラ姫にプロポーズ、そして婚約!
2人は結婚を決め、あのアルステッド王国の城で両家の対面ディナーが開かれることになりましたが…。
今作最大の悪役、イングリス王妃の密かな企みとは!?
マレフィセント2のあらすじ(ネタバレあり)
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今作の印象としては、まずアンジーのセリフがめちゃくちゃ少ない!
イントロ部分から長いことしゃべらないシーンが続き、ようやくアンジーがしゃべりだしたあたりで時計を見ると1時間くらい経過していました。
今作は、オーロラ姫がより主役のように前面に出ていると感じましたね。
両国の懸け橋になりたい♡
とあくまで友好的な結婚を誓ったフィリップとオーロラ。
この映画で終始まともな判断ができていたのは、フィリップとフィリップの父だけですorz
ただし、その平和主義で暴力反対主義は、イングリス妃には「腰抜け&日和見主義&弱虫」のダメンズの刻印を押され、イングリス妃は密かに地下室に武器工場を作っていました。
工場では拉致してきたあのムーアの妖精を実験ラット代わりにし、ムーアから密猟してきた精霊の花と鉄粉を混合改良して、妖精国を絶滅させる武器を大量生産していました。
なぜそこまでイングリス妃は恨みがあるかというと、幼いころ家族が妖精に嫌な思い出があり、いつか報復してやろうともくろんでいたんですね。
ちなみに「マレフィセントは怖いやつだ」と吹聴して洗脳し、民衆を煽っていたのもこのイングリス妃。
何も知らない両家、顔合わせディナーで早速事件勃発します!
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イングリス王妃はイヤミったらしい発言で宣戦布告を開始。
タラタラ嫌味を言った後のトドメはこれでした。
昔、呪いをかけられて永遠に眠らされた赤ちゃんがいたそうね。
善良な人間が殺されたのよ、凶暴な動物は許せないわ。
今夜から…オーロラを自分の娘だと思うわ!
とその瞬間マレフィセントの怒りが爆発!
魔法が発動して、フィリップの父が倒れてしまいます。
先にネタバレしますと、これはマレフィセントのせいではなく、後ろでイングリス妃が歯車の針で王をぶっ刺して、「マレフィセントがまた呪いをかけた!」とでっち上げたのです。
そしてオーロラ姫を買収することに成功。
オーロラ姫とマレフィセントの間には確執が起こり、オーロラ姫はイングリス妃の味方についてしまいました。
マレフィセントは1人飛んで帰るとき、矢で打たれ海に沈みます。
ここからマレフィセント2の面白いストーリーの幕開け!
マレフィセントは同じマレフィセント族…その名も闇の妖精族(ダーク・フェイ)のコナルに助けられ、闇の妖精族がたくさん住む地下の洞窟へ連れて行かれたのです。
地下洞窟は、崖にある鳥の巣のように、たくさんのマレフィセント型の妖精家族が暮らしていました。
彼らは鉄製品を大量生産した人間社会ではと暮らすことができず、隠れるように洞窟に住んでいたのです(文明社会への批判が込められたシーン)。
ここである違和感に気づいた私…闇の妖精族は、私みたいなモンゴロイド系の日本人顔もたくさんいるまさに人種のサラダボールの光景なんです!
そして、彼ら絶滅危惧種の闇の妖精の先祖とは…なんとあの不死鳥(フェニックス)でした。
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初めて自分のルーツを知ったマレフィセント。
そして「すべては1つなんだ」と優しく教えてくれるコナル…。←最初はマレフィセントの実の兄っぽく見えるんだけど、血縁関係はないんです。
マレフィセントはフェニックスの最後の子孫で、闇の妖精族から「君には破壊と復活の力がある」と望みを託されます。
しかし、マレフィセントはオーロラの裏切りによってまだ失意のどん底、仲間のために立ち向かう気力など全く起きません。
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一方「国のために妖精を滅ぼす」と決意したイングリス妃。
挙式を3日後に控えたオーロラとフィリップですが、妖精がしつらえてくれたナチュラル系ウェディングドレスに、「そんなのだめ、私が決めたのを着なさい」と姑イングリス妃がブッタ斬り。
「育ちもイマイチよね…」とマレフィセントが母である出自もバカにされ、次第にオーロラは息苦しさを抱えるようになります。
オーロラ「自分がムーアの女王じゃなく違う人に感じる」
フィリップ「君には変わってほしくない」
やはり新世代の男子は賢く柔軟な判断ができるのかw
その直後、オーロラは自分だけに聞こえる声に導かれてドレス室に降りていきました。
そしてとうとうイングリス妃の秘密の武器製造工場を発見してしまったのです。
地下室の奥にあの呪いの歯車があるのですが、歯車に指を当てた瞬間オーロラは見えない光景がフラッシュバック!
あの両家の顔合わせディナーのとき、イングリス妃がこの歯車で後ろから王を刺した光景が見えたのです。
マレフィセントが無実であることを知ったオーロラですが、地下室に来たことがイングリス妃に見つかってしまい、「人間を裏切った人間」と罪を着せられて監禁されてしまいました。
地下の闇の妖精族もまた、「人間は自分たちを滅ぼした、今度は自分たちが人間を滅ぼそう!」と好戦的なリーダーが扇動。
人間、ムーア、闇の妖精…この3国が複雑な関係を繰り広げる中盤。
フィリップとオーロラの結婚式の直前に、人間たちは武器製造のため、ムーアに侵入して精霊の花を大量に乱獲します。
地下で第6感覚によりムーアの異変を感じ取ったマレフィセント…ついにマレフィセントも立ち上がりました!(ここからようやくアンジーメインになっていきます)
オーロラの結婚式の日、マレフィセントも闇の妖精族も地上に出ていきます。
武器を持たないムーアの妖精たちは、式場である人間国のお城の聖堂に招待されましたがこれは罠。
ムーアの妖精たちはイングリス妃にホロコーストのように密閉されて「Start the music.」の合図のもと、聖堂に鉄粉を充満させられ次々と命を絶たれていきます。
軍も城に配備され、攻め込んできた闇の妖精族に大砲を放つ「人間VS妖精」の大戦争がとうとう開戦!
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オーロラは監禁部屋からカーテンを繋ぎ合わせて降りて脱出し、フィリップに呪いは母イングリスの陰謀だと告げます。
イングリス妃はそんなことおかまいなしに、ガンガン闇の妖精族に大砲を砲弾し殺戮。
もはやおとぎ話を通り越して、壮大なアクション映画です…。
じゃじゃーんと登場したマレフィセントは、マレフィセントだけが使える緑の光の魔法で反撃。
城をガンガン破壊していきました。
この状況で「やめよう、共存できるんだ」「誰も傷つけたくない」と言えていたのはフィリップだけ。
聖堂では、3人の妖精の青が自ら鉄粉の噴射口に入り、栓となって殉死しました。
マレフィセーント!
砲弾が降ってくる中、マレフィセントを探して疑ったことを謝るオーロラ。
オーロラは「You’re my mother.」と言って、マレフィセントにこの争いを止めるように頼みます。
そのとき、イングリス妃が矢を打った瞬間、マレフィセントはオーロラの盾となり、羽がバラバラと地面に散って跡形もなく死んでしまいました。
NOーーーーーー!!
絶叫して泣くオーロラ。
「あなたは人間を裏切った、代償を払うがいい」と冷徹なイングリス妃の捨てゼリフ。
しかし物語はここで終わりません。
オーロラ姫の涙はマレフィセントの血と反応、あの妖精族の祖先の巨大フェニックにメラメラと変貌したのです!(アナ雪もアラジンも涙で蘇るのでここはディズニーらしいね)
ビビったイングリス妃、城はフェニックスの力で見事に崩壊しました。
「呪いを解かなければいけない」と歯車の針を投げて、戦争は終わります。
半分冗談交じりに、ヤギの姿に変えられてしまったイングリス妃。
フィリップ「今日からまた未来に向かって進もう、平和に生きる道を」
オーロラ「今日は結婚式よ!私たちだけでなく、2つの国の」
そんなアナウンスをして、オーロラはマレフィセントをエスコート役にバージンロードを歩きます。
2人の結婚に涙ぐむマレフィセント…。
呪いから目覚めた王も「お前のおかげで2つの国は結ばれた」と祝福します。
生き残ったムーアの妖精や、闇の妖精族も参列し、多種多様な招待客が拍手を送りました。
式が終わると、「もう帰るわ、また来るわ。洗礼式に」と暗に2人に子供が生まれることを期待するマレフィセント。
マレフィセントは大空を羽ばたいていきました。
闇の妖精族の、様々な人種の子供たちと共に…。
3.マレフィセント2の見どころ
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続いてはマレフィセント2の見どころをご紹介します。
まずこの映画で注目すべきは、キャストの多様性とマレフィセントの異質さですね。
順を追って見ていきましょう!
考察1.おとぎ話キャラを利用した現代の世界情勢
さて、マレフィセント2は闇の妖精族のコナル役を演じたキウェテル・イジョフォーが言うように、おとぎ話を離れて、キャラクターを利用した現代世界情勢を映し出した作品となっています。
戦争や武力への歯止めの他、どのようなテーマを扱っているかというと、
- フェイクを利用して扇動する権力者やメディアの歪み、それを信じる大衆の弱さ。
- 見た目や住む場所が違っているため、同じルーツを持っていることに気づかない人間の殺伐とした性質。
- “自分は異質である”と感じるとき、どう生きればよいのか?
これらが3大トピックとして挙げられるでしょう。
アメリカ映画ですが、今の日本と関係ないとはとても言い切れないですね。
制作サイドがこれらの社会的課題をどれほど深く理解しており、掘り下げようとしたかわかりませんが、アメリカであれ日本であれ同じようなことは現に起きています。
そのことを掘り下げていきましょう!
考察2.オープンマインドVSクローズマインド
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オープンマインド(柔軟で寛容)とクローズマインド(頑固で排他的)の対決は本作で強調されます。
絶対善と絶対悪なんてないですよね。
絶対善と絶対悪の決めつけこそ、クローズマインドであり人間の1番の弱さです。
先日「アンパンマンを子供に見せたくない問題」が話題となりました。
問題にすることが問題との批判が起こりましたが、実は私も子供が0~2歳のときアンパンマンへの疑問は持っていました…。
「なんだよ、アンパンマンって結局は暴力じゃん。アンパンマンならパンチしてもいいのか?」ってね。
夫に言ったら「バイキンマンは悪いことをするからいいんだ」と言っていましたが、善悪ってそう簡単にボーダーラインを引けるものでしょうか?
原作者の故・やなせたかしさんが最初にアンパンマンを発案したときの”正義”とは、やなせさん自身の戦争体験を踏まえて、
正義の定義なんて変わるもの。正義なんてない。
ただ、貧しくて食べるものがない人に食べ物を与えることは絶対的に”正義”だ。
ってところから始まったんです。
悪と決めつけられるバイキンマンだって、世界情勢で悪の権化とされる北朝鮮だっていいところはあります。
ハリウッド映画もヒーローと悪役が対決するのがテッパンですが、マレフィセントは幸いにも第3者がいました。
「人間国=絶対悪」「妖精国=絶対善」という図式がある中で、そこを往来し境界を取っ払うことができるフィリップという良き王子。
彼のような人間をオープンマインドと言い、受容と慈しみの精神を持ち得た柔軟な人です。
母イングリス妃には「友好的なだけの腰抜けなヤツ」と言われていますが、最後の勝利は善でもなく悪でもなく、第3者の立場を貫いたオープンマインドのフィリップとオーロラに軍配が上がったのです。
北朝鮮拉致被害者家族である横田早紀江さんも、メディアでは控えめにご自身の本当の信条については隠されていますが、メディアのいないところでは憎しみや怒りよりも、北朝鮮のリーダーや国民が救われることや平和が訪れることといった慈しみを話されているんですよね。
私のような凡人にはとうていできないことですが、窮地にありながらオープンマインドを持ち得る横田さんの美しさと強さを感じずにはいられません。
考察3.クローズしたメディアと民衆
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マレフィセント2製作陣がどの程度政治的メッセージをこの映画に詰め込んだかわかりませんが、トランプ政権誕生以来、アメリカ政治はさらなる注目を浴びることになりました。
マレフィセント2もこのアメリカ情勢と関係ないとは言えない作品です。
私の古くからのアメリカの友人の話ですが、アメリカメディアは急激に左派に傾いているそう。
トランプがこうした、ああした…毎日左派からの批判の繰り返しです。
左派支持層はニューヨークやカリフォルニアなどの大都市部に集まっていますが、右派支持層は農村部。
しかし、主要テレビや新聞メディアの会社があるのもまたニューヨークなどの都市部なのです。
要はアメリカメディアは左派の情報ばかりを、信憑性うんぬんより利益優先で平気で発するようになっているんですね。
そしてアメリカの若い人は今やニュースはFacebookで流れるフィードを追いかけるのが主流であり、もちろんそこにまんべんない情報が流れてくるのではなく、アルゴリズムによって好みの偏った情報ばかりが集まります。
前作で「善と悪を兼ね備えた知性ある女性」とマレフィセントは形容されてハッピーエンドで終わったにもかかわらず、今作で「危険な化け物」に戻されてしまったのは、「恐怖を煽って民衆のコントロールに利用していたからだ」とイングリス妃がはっきりと明言しています。
メディアなど責任ある立場も堕落してますが、SNS被れですっかりフェイクを信じる弱さを持ってしまった私たち。
つい2週間ほど前にも、アメリカの民主党議員がある州ので完全な嘘をついてそのテープが流出しましたが、メディアはそれについて沈黙しており、その議員が責められることはありませんでした。
日本でも先日の台風被害のとき、私のもとへ「多摩川が決壊した!日本ヲワタ」とか本当に決壊する5時間前くらいにデマがやってきて、私の知人はそれを信じてパニクっていましたね…。
裁判所でもない限り、政治家も民間人も公の場で堂々と嘘をつけるんです。
そのまま留置所にしょっぴがれるなんてことはないですからね。
発する言葉には責任を伴うものですが、話すほうも受け取るほうもいつからこうも無責任になったのか、なぜフェイクを信じたいのか…マレフィセント2はガッツリ露わにしてくれます。
考察4.愛を知る手がかり”多様性”
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今作で特に多様性が強調されているのは、マレフィセントの同種族でありルーツである闇の妖精族(ダーク・フェイ)たち。
アフリカ系、北欧系、そして私のようなモンゴロイド系にもあの角と羽が生えるのか!と興味深く鑑賞しました。
私は外国人に囲まれる環境で生活していますが、うちの娘(6歳)はアフリカ系の人や南アジア圏の人をあらわす表現として「焼けてる人」と言います。
語彙の少ない子供だし、悪気はないし、私たちも夏には「焼けたね~」なんて話しますから間違ってはいませんが、親としてはご本人にこの表現をすることはいかがなものか?とハラハラする場面があります(汗…。
マレフィセント2はラスト、モンゴロイド系の子供たちとアンジーが空を飛ぶシーンで終わるのですが、この光景はアンジーの実際の養子たちの家族の光景のようにも見えました。
アンジーはインタビューでこう語っています。
Diversity makes us strong.(多様性は私たちを強くする)
私のアフリカ系アメリカンの友人は、ある時「どうしておじちゃんは黒いの?」と日本の幼稚園児に肌の色のことを聞かれ、こう答えたそう。
あそこの花を見てごらん。いろんな色の花があるよね。
みんな同じ色だったらつまらないでしょ?
みんな違う色だから、花はきれいなんだよ。
いや~幼児に説明する答えとしては拍手喝采のすばらしいお答えかと思います。
違いと言うのは必然的に「互いを理解し合う」という必要が生まれます。
アンジーの答えが的をついているように、人は肌の色だけでなく、性格でも価値観でも、違いを理解し合うことが「愛」であり、理解し合うことでその結びつきを強めることができます。
違いを認められないことから相手が許せなくなって、果ては戦争を引き起こすんですよね。人間国と妖精国のように…。
なぜアンジーがキャストにまでこの多様性を持ってきたか、それは人間と妖精だけという二元論の枠をさらに超えて、もっともっと多くの違いを知ることが必要だと考えたのでしょう。
また擬人化した動植物の多様性を盛り込んでいるということは、人種だけにとどまらず、動物や植物といった人間以外の生物・環境の管理責任がある私たちへの大きな戒めでもあるでしょう!
考察5.”自分は異質だ”と気づいたとき
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マレフィセントの容貌は今でこそアイコニックになりましたが、やっぱり抜群の異質感が映画内でも現実でもありますねw。
「私ってなんか変」「人と違うっぽい」って思う人に、アンジーはインタビューでこう答えています。
私たちは時に、自分の居場所がないように感じることがある。
そして“人と違う”ことに悩みを抱える。
マレフィセントは、その個性こそが大切であると教え、居心地のよさを感じさせてくれる存在なのではないかしら。
アンジーのおっかなげな背中のタトゥーを見れば、あの大女優の持つ影がよくわかります。
アンジー自身若いころ病んでいて波乱万丈の人生だったそうですが、そのことはアンジーの出世作となった映画「17歳のカルテ」のレビューに詳しく書いてありますのでご覧ください。
⇒【あらすじネタバレあり】17歳のカルテの考察を10倍深くする神レビュー
「人と違ってもよろしい」と理解できて受容して育てられる親や教育者は神です。
たいていの親は子供に異質さがあったとき「みんなと違う、これはマズいんじゃないか?」と焦りながら「みんなと同じにしなさい」とあたふた教育していくものでしょう。
だからこそ人は自分の異質さをコンプレックスとしてしまい、「自分の一部」と受け入れることができずに、むしろ「これさえなければ!」という思想が育ってしまうんですね。
ちょっと話が飛びますが、日本のある学校でマタギ(東北の山間部で狩猟をする特殊な職の人)が授業を行ったところ、登校拒否の数が減ったそうです。
それはなぜか?子供は知ったのです、「孤高」の美しさを。孤独と孤高の違いを。
異質を持ち得ていても、孤高からみなぎる勇ましい態度、自信、1人でも恥じることはない気楽さまで教えられたのです。
マレフィセントが持っているのも「孤高」です。
メルヘンな妖精国に住みながらただ1人かわいい妖精ではなく、真っ黒な角に牙にイカツイ羽。
それでもムーア国を立派に導き、人間のオーロラとも母娘の固い信頼関係を作ることができるんですね。
異質をコンプレックスとせず、自らの意思で受容、表現することの強みを教えられますね!
4.マレフィセント2をオススメしたい人
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前作から壮大に飛躍して、ハリウッド映画として新たに道が開けたマレフィセント2。
前作はあくまで童話ベースの作品だったので、心理学に興味がある人にオススメをしました。
マレフィセント2は気分を新たに、次のような方にオススメしたいと思います!
SNSが大好きな人
SNSが大好きで、朝起きたらまずスマホチェックからスタートする人はオススメです。
マレフィセント2は、情報の妄信への警告が含まれています。
それは単純に扇動されることだけでなく、マレフィセントという1個体の人物を深く傷つける結果も映し出しています。
今年(2019年)は芸能界の闇が多く暴かれた年。
ネット叩きによる芸能人の自殺も起こりましたし、有名税という税金では払うことはできないほど有名人の人権の扱われ方も変わりました。
SNSは一昔前とは比べ物にならないほど暴力性があります。
当てにならない情報を、心理操作であっという間に広める力もあります。
今こそ、便利の裏にある衰退を知るときが来ています。
マレフィセント2でフィリップ以外のすべての人間がイングリス妃に騙され、クローズマインドで世界を緊張状態にさせてしまったように…。
ひとりぼっち感が強い人
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ひとりぼっち感が強い人にはオススメです。
マレフィセント自身が今作で見たものは彼女のルーツ。
先祖フェニックスの登場で言いたかったことは、つまるところ「人類皆兄弟」ということでしょう。
誰かに助けを求めることは、恥ずかしいことでも何でもありません。
この世は強い生き物(イングリス妃みたいに)の専売特許のような場所ではなく、すべての人や生き物が手を取り合って暮らす場所です。
マレフィセントは前作は魔女でしたが、今作は「悪女に仕立て上げられた風変わりな人」的なポジションへと変貌しています。
マレフィセントも普段は孤高であっても、マレフィセントだけにしかできないことがあり、その使命を果たして世界を幸せにします。
ぜひ「人と違う」をコンプレックスにして卑下しないでください。
マレフィセントも決して1人では立ち上がることができず、闇の妖精族の仲間のコナルの励ましと犠牲的な死によって励まされたのです。
マレフィセント2、そしてアンジーの演技には、コンプレックスをチャームポイントに変える迫力があると思います。
ぜひひとりぼっちだと感じる人には、映画館に足を運んでご覧いただきたいと思います!(ちなみに私含め、1人で来ている人はたくさんいましたw)
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