こんにちは!エンタメブリッジライターのさくやです。
今回ご紹介するのは「悪の教典」という映画です。
原作は貴志祐介氏の小説なのですが、この小説がすごいんです!
山田風太郎賞受賞、「2010年ミステリーベスト10」、「このミステリーがすごい!2011」でともに第1位を獲得。
そんな貴志祐介原作の小説「悪の教典」を三池崇史監督が映画化!
それでは「悪の教典」の作品紹介、あらすじ、見どころについて解説していきたいと思います!
目次
1.「悪の教典」の作品紹介
監督:三池崇史
脚本:三池崇史
原作者:貴志祐介
出演者: 伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、浅香航大、水野絵梨奈、KENTA、山田孝之、平岳大、吹越満。
受賞歴:第36回 日本アカデミー賞(2013年)
2.「悪の教典」のあらすじ
画像出典:https://mv.avex.jp/aku/sp/movie/story.html
続いては「悪の教典」のあらすじに移ります。
貴志祐介原作の小説を読んだ方も読んでいない方も楽しめる映画だと思います。
ネタバレありとネタバレなしの2種類あるので、これから映画をご覧になる方、原作を読まれる方はネタバレなしだけ読んでからお楽しみください。
それではいきましょう!
「悪の教典」のあらすじ(ネタバレなし)
映画冒頭、何やら怪しげな音楽と共に始まり、ドキッとします。
2階の寝室で涙ながら真剣に話し合っている夫婦の描写があり、子供がそれを階下で聞いています。
このシーンはこれからの伏線となっています!
そしてカットは移り変わりこの映画のシンボルともいえるカラスが映され、映画がSTART。
さらにシーンは移り変わり、高校の登校シーンへ。
伊藤英明演じる主人公、蓮実聖司は生徒たちから“ハスミン”という愛称で親しまれている人気高校教師。
蓮実は様々な問題を抱える農光学院高校に勤める英語教師です。
生徒だけでなく、高校の同僚からの信頼も厚く、いわば教師の鑑とも呼べる存在でした。
そんな彼でしたが、それは蓮実聖司の仮面の姿に過ぎなかったのです。
蓮実は他人への共感能力をまったく持ち合わせていない、生まれながらのサイコパスだったのです。
彼は学校が抱える様々な問題を解決するため、そして自分にとって都合の悪い人間を消すために、殺人をいとも簡単に繰り返していきます。
周囲の人間は完全に蓮実の仮面の姿を信じ切っているように見えました。
しかし、徐々に教師や生徒から疑いの目を向けられ始めるのです。
それを隠すために考えた蓮実の解決策。
それは、クラスの生徒全員を惨殺することだったんです…。
ネタバレなしはこの辺までにしておきましょう笑
「悪の教典」のあらすじ(ネタバレあり)
画像出典:https://www.happyon.jp/watch/60769812
ネタバレなしでも書いた冒頭のシーンですが、あれは幼いころの蓮実とその両親のやり取りの描写だったんです。
ほとんどの方は気付かれたと思いますが…笑
蓮実少年は何かしらの殺人もしくは殺人未遂などを犯してしまったのでしょう。
そのことについて両親たちが泣きながら話しています。
あの子を社会から隔絶すべきだ
と語る父
そんなの可哀そうすぎる。あの子はまだ14歳なのよ
と涙ながらに訴える母
蓮実少年は自らの本性に気づいた両親をナイフで殺害してしまいます。
そして強盗に襲われたフリをして自分に嫌疑が向かないように仕向けるのです。
映画中盤で蓮実が体にある傷を生徒に指摘されるシーンがあるんですが、その時は
「事故の古傷だよ」みたいなことを言ってごまかしてしまうんです。
恐らく両親を殺害して疑われないように、自ら自分の体をナイフで刺したんでしょうね…..怖い….
まさにサイコパスとしか言いようがありません….
そんな蓮実ですが、表向きの顔は高校の英語教師で、周囲からの信頼も厚い人間です。
「ハスミン」の愛称で親しまれ、生徒からの人気も絶大です。
先生をあだ名で呼ぶのってなんだか懐かしいですねぇ…..
みなさんも経験ありますかね。
私の高校の場合は先生にバレないようにあだ名で呼んでいましたね。
最終的にはバレて軽いお叱りを受けましたが笑
蓮実の勤める農光学院高校では携帯電話を使ったテストのカンニングが問題となり、蓮実は妨害電波を流すのはどうかと職員会議で提案します。
しかし、妨害電波を流すのは法律違反なため、却下されてしまいます。
一方、蓮実が担任を受け持つ女子生徒、安原が万引をしてしまいます。
その口止めとして体育教師の柴原から体を求められ、そのことを蓮実に相談します。
蓮実は安原を助けてやり、自分に好意を抱くようになった安原と肉体関係を持つようになります。
おいおい蓮見何してるんだよってなりますよね笑
そんな安原に自分の正体がバレそうになった蓮実は、安原を殺害することを決めます。
学校の屋上に呼び出し、ブラックジャックっていうんですかね?という凶器で殴打して気を失わせます。
普段の爽やかで明るくて人気者のハスミンがついに本性を現したって感じです。
そして自殺に見せかけて屋上から安原を落としてしまいます。
遺書には体育教師の柴原から淫行を受けていてそれに耐えられなくなったことを綴り、上手く自殺に見せかけています。
サイコパスの人ってIQが高いとよく言われますが、それが現れているシーンでしたね。
それに関連して蓮見の経歴を紹介しましょう。
幼いころに京都に転校したあと、京都大学法学部入学するものの1カ月で中退。
翌年の9月にはハーバード大学に入学し、卒業後にMBAを取得。
ヨーロッパ系の名門投資銀行「モルゲンシュテイン」に就職するも2年で退職。
日本に帰国後、教師となる。
まさにエリート中のエリートです。
大学をすぐに中退したり名門銀行をすぐに退職したりとなかなか謎が深い経歴ですよね。
高校教師になった意味もよく分かりません。
そして先程の話に戻りますが、自殺にみせかけて安原を突き落としたことが別の生徒にバレそうになり、急遽その生徒も殺害してしまいます。
いとも簡単に殺してしまうところに恐ろしさと狂気を感じざるを得ません…..
そしてこの意図せぬ殺人のために、学校にいる生徒全員を殺害し、同僚の教師に罪をなすりつけるという計画に変更するところから悪夢は始まるのです…..
3.「悪の教典」の登場人物まとめ
ここではキャスト紹介をしていきたいと思います。
学園モノなので登場する俳優さんも多いですので、主要な登場人物を押さえておくとすんなり物語世界に入れると思いますよ。
蓮実聖司(伊藤英明)
画像出典:https://gensun.org/
この映画の主人公、ハスミンこと蓮実聖司役の伊藤英明。
伊藤英明さんの個人的なイメージは「海猿」のかっこいい姿でした。
そんな彼が演じる、完全なるサイコパスの言動から目が離せません。
柴原徹朗(山田孝之)
画像出典:https://gensun.org/
蓮実聖司と同じ高校で働く、同僚役としての出演。
生徒にセクハラをする体育教師という役での出演です。
片桐怜花(二階堂ふみ)
画像出典:https://gensun.org/
二階堂ふみさんは直感が鋭く、蓮実への不信感を抱いている片桐怜花役を演じています。
同級生の早水圭介(染谷将太)たちと仲がよく、早水が蓮実の正体を調べようとするのですが、やめるように忠告します。
最後に生き残った一人でもあります。
早水圭介(染谷将太)
画像出典:https://gensun.org/
二階堂ふみ演じる片桐怜花に密かに思いを寄せる友人で、高校全体で問題となる集団カンニングを首謀する早水圭介役に染谷将太。
本作にインタビューに関して、染谷将太さんは「赤にもいろいろな赤があると思いますが、三池大先生のイメージする赤色の血を、流したいと思います」と語っています。
前島雅彦(林遣都)
画像出典:https://gensun.org/
内向的な性格でクラスメイトからいじめの標的にされている生徒役を演じています。
安原美彌(水野絵梨奈)
画像出典:https://shinbishika-guide.com/mizuno-erina/
万引をネタに体育教師の柴原(山田孝之)から脅迫され、肉体関係をもつという生徒、安原美彌を演じるのは水野絵梨奈。
映画のクライマックスでは蓮実によって、屋上で殴られ、意識の朦朧とした状態で屋上から落とされ、自殺と見せかけられます。
だが、まだ生きていることが映画の終わりで明らかになります。
3.「悪の教典」の見どころ
画像出典:http://when87.hatenablog.com/entry/2014/02/10/221732
高校を舞台にしていることから様々な生徒が登場するわけですが、その中には演技初挑戦という俳優さんもいれば、ベテランの方もいらっしゃったそうです。
ひとりひとりの個性を限られた時間の中でうまく描くこの映画は面白いです。
続いては、そんな「悪の教典」の見どころを紹介していこうと思います。
2つの顔を上手く演じる伊藤英明の演技
爽やかで明るく、生徒思いの人気者の英語教師という仮面の姿と、
人間の心を通わせず殺人を繰り返す冷酷なサイコパスという本性をもつ蓮実を演じ分ける伊藤英明の演技がまたうまいんですよね。
伊藤英明というと私は海猿のカッコよくて、ヒーローみたいなイメージが強かったので、サイコパスを演じるのはなかなか意外という感じでした。
だからこその伊藤英明なのでしょうね。
というのも、サイコパス感というのでしょうか、そういう雰囲気のある役者さんが蓮実の役を演じても蓮見になりきれないと思うんです。
同僚や生徒からも信頼される優秀な先生という社会的に賞賛されるような人物像と、
正真正銘の狂ったサイコパスというあまりにもかけ離れた2つの人格を持つ人間。
そうした2面性を強く描きたかったからこその伊藤英明の配役なのだと私は感じました。
伊藤英明で思い出したんですけど、「僕のヤバい妻」というドラマが2016年にありましたね。
このドラマの中では、木村佳乃が演じる妻を伊藤英明が殺害しようとします。
悪の教典の蓮実ほどの狂気感はないですけどね笑
絶妙な雰囲気を醸し出すミュージック
劇中の随所で流れる「モリタート」という曲があります。
以下がその動画になります。
この音楽はドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトの音楽劇「三文オペラ」の劇中歌で、
「メッキー・メッサーのモリタート」の通称として「モリタート」と呼ばれているそうです。
歌詞を一部載せてみるとこのようになります。
動画とは少し言い回しが異なりますが。
ほら鮫だ、鮫って奴にゃ歯がある
その歯は、つらにあらァ
そいからマクヒィスは、どすを呑んでる
だがそのどすを、見たやつァねえ。ある晴れた日曜の
海辺に屍体が転がってた
誰かが一人、角をまがってった。
その名はどすのメッキーだ。
何だかイマイチわからないですが、殺人犯の歌のようです。
蓮実に狂気のエンジンがかかり始めると、このミュージックが彼の頭の中でスタートするんです。
このドイツ語の歌が雰囲気をガラッと変え、蓮実の狂気さをさらに掻き立てます。
映画の始まりから流れ、不気味な印象を導入から視聴者に植え付けるのに役立っていると言えます。
爽快なまでに殺人を繰り返す蓮見
ネタバレありのあらすじでもお話しましたが、
クラス全員、皆殺し
の本章が開幕するのは、蓮実が屋上で安原を自殺に見せかけて殺害したところからでした。
その日は学園祭の準備ということで、生徒が夜になっても学校内にいました。
学園祭の準備でもそんな夜までやるのか?!と疑問に思ってしまいましが…..
そして残りの生徒を片っ端から猟銃で仕留めていきます。
あまりの猟銃の威力のデカさに蓮実が耳を押さえたり、撃たれた生徒が吹っ飛んでいく様子も描かれていました。
文化祭ということもあって、校舎内が華やか?に装飾され、普段とは違う異空間のように演出されていて、いい味をだしていましたねぇ。
こうしたグロテスクな描写が大丈夫な人は楽しめると思いますが、
苦手な人は一度試してから続きを見るか考えてみてください笑
この映画も実際R15指定になっています。
4.シンボルのカラスは一体何を意味するのか
画像出典:http://www.twipu.com/tag/%E6%82%AA%E3%81%AE%E6%95%99%E5%85%B8
悪の教典といえばカラスを真っ先に想像してしまいます。
というのも、小説の上巻が黄色の表紙に真っ黒のカラスが描かれていて、その印象がとても強かったからだと思います笑
見たことのある方も多いのではないでしょうか。
私は原作は読んだことがありませんが。
劇中にも登場するカラスですが、一体何を意味するのか気になったので少し調べてみました。
画像出典:http://www.xmas-carol.com/topic/odin.html
蓮実の家(家というかもはや廃墟ですが笑)に訪れる2羽のカラス。
「フギン」と「ムニン」と呼ばれる渡りガラスは、主神オーディンに仕えています。
オーディンは北欧神話に登場する神で、戦争と死の神と言われています。
フギンとムニン名は思考と記憶を意味し、世界中を飛び回り、主神オーディンに様々な情報を伝えるとされます。
という情報が映画の中で紹介されます。
スマホゲームのパズドラをしたことがある人ならオーディンって聞いたことがあるかもしれませんね。
「知能が高い面が狡猾な印象を与えたり、食性の一面である腐肉食や黒い羽毛が死を連想させることから、様々な物語における悪魔や魔女の使いや化身のように、悪や不吉の象徴として描かれることが多い。」(wikipediaより)
知能が高く、狡猾というカラスのイメージが主人公蓮実聖司にピタッと重なります。
フギン(思考)ですが、蓮実が感電させて殺してしまいます。
残るムニン(記憶)は目が白く濁ったカラスです。
なぜムニンも殺さなかったのでしょう。
これは私の想像するところになりますが、蓮実聖司という人間は生まれつきの社会不適合者、サイコパスです。
そうした人間は自分の本能に従うままに殺人を繰り返していきます。
本能、つまりは体の核に埋め込まれた「記憶」とも取れるのではないでしょうか。
思考を経て行動するのではなく、記憶に従って生きる。
それが蓮実の生き方だと言えます。
フギンを感電死させたのは、思考の否定、本能のままに生きることへの肯定と捉えられます。
クラス全員殺害を企ましたが、結局、二階堂ふみ演じる片桐怜花と、浅香航大演じる夏越 雄一郎2人が生き残り、
蓮実は逮捕されてしまいます。
この2羽の渡りガラスは世界中の情報をオーディンに伝えるとされますが、生き残った2人をカラスに例えると
2人が情報源となって蓮実の逮捕に至ったということもあり、神話と重ねることができます。
逮捕された時に、蓮実には片桐怜花の目が白く濁って見え、片桐怜花のことをムニンと呼び、
小声で
オーディンに伝えてくれ
とボソッと言います。
本当に狂っているのか、それとも片桐怜花が言うように精神異常者に見せかけて責任能力が無かったように見せかけているのか…..
映画はここでENDとなります。
5.「悪の教典」をオススメしたい人
画像出典:http://news.livedoor.com/article/detail/7032970/
ここまで色々とご紹介してきましたが、「悪の教典」は次のような方におススメです!
映画を純粋に楽しみたい・ストレス発散したい人
計画になかった殺人を犯したことをきっかけに、計画の変更を余儀なくされた蓮実聖司。
その変更された計画というのが、「クラス全員、皆殺し」だったわけです。
目的遂行のために蓮実は散弾銃で次々と生徒を射殺していきます。
そうした数々のシーンは臨場感溢れもう大迫力です!
蓮実から必死に逃げる生徒たちと確実に追い込んでいく蓮実聖司の緊迫したカットも最高です。
グロいのが大丈夫な人は純粋に楽しめる映画になっていると思います。
これから原作小説を読もうと考えている人
映画版では時間や予算の制約上、様々な物語や場面がカットされています。
登場人物なども映画版では削られているようです。
小説ってなかなか自分の頭の中で映像を想像しにくいことってありませんか?
私はしょっちゅうあります。小説を読むのは好きなんですが、そのせいで読むのに時間がかかってしまい途中で頓挫することもちらほらです笑
小説が映画化やドラマ化することはよくありますが、私は
ドラマ・映画を見てから原作小説へ
のパターンで楽しむ派の人間です。
自分が面白い!と思った作品はもっと細かな描写や、映像版では語られていない物語なども気になりますよね。
しかも、映像を既に見ているので小説を読んでいて場面が想像しやすく、スラスラ読み進めることができます。
まぁ、原作から入るか映像作品から入るかは人それぞれですが、私と同じような悩みを持っていらっしゃる方にはまず映画「悪の教典」から入ることをおすすめします。
何せ原作小説の上巻・下巻合わせて1000ページ弱ありますから。
最後に
この映画は「TO BE CONTINUED」と表示されて終わります。
ということは続編はあるのか?と思う方が多いと思うのですが、これは三池監督から原作者の貴志氏へのメッセージだと言われています。
現在の所、原作小説「悪の教典」に続編はないようですが、貴志氏も続編への意欲があると言います。
続編では生き残った2人と蓮実の逮捕後が描かれるのでしょうか。
是非とも続編に期待したいですね。
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