【実話&解説】映画「最強のふたり」に隠された秘密とは?

最強のふたり、実話、考察

こんにちは。エンタメブリッジライターの藤村光です。

映画「最強のふたり」もうご覧になりましたか?「最強のふたり」は、2011年にフランスで公開されたフランス映画ですが公開されてすぐに人気が大爆発し、フランスで歴代興行収入第3位となった作品です。

今日は、そんな「最強のふたり」のあらすじや見どころを紹介したいと思います。さらに、ひとりで見ているだけではわからない、「最強のふたり」という映画に隠された「本当の意味」を考察&解説していきたいと思います。

ではでは、さっそく始めていきましょう!

1.「最強のふたり」の作品紹介

公開日: 2011年11月2日 (フランス)
監督: エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
原作者: フィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴ
原作: “Le Second Souffle”(日本語版タイトル『セカンドウィンド』
出演者:フランソワ・クリュぜ(フィリップ)、オマール・シー(ドリス)、オドレイ・フルーロ(マガリー)、アンヌ・ル・二(イヴォンヌ)クロティルド・モレ(マルセル)など
受賞歴:第24回東京国際映画祭でドリス役のオマール・シーが主演男優賞を受賞。第37回せザール賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞などの9部門を受賞。第36回日本アカデミー賞、最優秀海外作品賞を受賞。他多数受賞。

2.「最強のふたり」のあらすじを紹介

「最強のふたり」紹介
画像出典:https://bonjourparis.com/cinema/film-review-intouchables/

それでは、「最強のふたり」のあらすじを紹介していきたいと思います。

「最強のふたり」あらすじ(ネタバレなし)

趣味のパラグライダーの事故により、頚椎を損傷して首から下が全て麻痺してしまった裕福な男性フィリップ。そんな彼を、フランス郊外の貧しい地域出身の青年ドリスが介護するストーリーです。

ある日、フィリップとその秘書のマガリーは、住み込みでフィリップを介護してくれる介護人を募集していました。そこに面接を受けに来たのがドリスでした。

しかし、ドリスは本当に働く気はありませんでした。ドリスは、「不採用にしてくれ」とフィリップに言います。彼は、「不採用」通知を複数社から貰うと受け取れる失業保険を得ようとしていました。つまり、不採用になるためにフィリップの家へと面接に訪れたのでした。

その結果、フィリップは他の応募者ではなく、あえて不採用を希望するドリスを採用しました。ドリスは正式にフィリップの住み込み介護人になりました。そしてフィリップはドリスに一ヶ月間の仮契約時期を設定します。

ドリスの住み込みが始まるその初日。ドリスは他の使用人から「皆、一週間で音をあげた」と告げられます。フィリップの入浴、排泄の介助、身体のケアの仕事を、介護経験も知識も全くないドリスは行うことになります。

その日から、物語は動き始めます……。

「最強のふたり」あらすじ(ネタバレあり)

ドリスはフィリップの介護人として一ヶ月間の使用期間を乗り越えることができました。そして、その頃には二人はほとんど親友のようになっていました。

フィリップが怪我をする前に乗っていたスポーツカーに一緒に乗ったり、フィリップの誕生日パーティでドリスが踊って見せたり、ドリスのことを悪く言ったフィリップの友人に、ドリスの描いた絵を若手の画家の絵だと嘘をついて高く売ったりと、悪ふざけのようなことまで一緒にする仲になったのです。

しかし、ドリスとフィリップの楽しい生活はあるきっかけで終わります。ドリスが住み込みで働いているフィリップの家に、ドリスの弟が訪ねてきます。

その夜、フィリップはドリスの複雑な生い立ち、家庭環境のことを聞きます。ドリスの話を聞き、ドリスにはドリスのやるべきことがあると感じたフィリップは「終わりにしよう」と言って、ドリスとの雇用関係を解除します。

そして、フィリップの家には新しい介護人がやってくるのですが、新しい介護人のことを受け入れられないフィリップは、介護人に自分のことを全く触らせず、介護されることを拒否します。

それを見た使用人がドリスのことを呼び寄せ、ドリスとフィリップは再会します。そして久しぶりに夜のハイウェイを二人でドライブします。

行き先はパリから離れた海沿いのどこかの街です。フィリップの別荘と思える家で、ドリスは伸び放題になっていたフィリップのヒゲを剃り、丁寧に身だしなみを整えます。

そしてふたりはドリスが予約していたランチを食べにレストランへ向かいます。久しぶりのドリスとの食事に嬉しそうな顔をするフィリップですが、ドリスは「俺はランチに残らない」と言います。

フィリップが「どうして?」と聞くとドリスは、「他のランチ相手が来るからさ」と楽しそうな顔で答え、去っていってしまいます。

レストランのテーブルに一人残され、戸惑うフィリップの前に、一人の女性が現れます。

そして、フィリップと女性が食事を始めようとするシーンで映画は終わります。

実はフィリップには体に障害を負ってから出会った文通相手の女性がいました。写真も交換しておらず、電話さえもしていない本当に文通だけの相手です。

フィリップと文通相手の女性はとても気が合い、フィリップは女性に恋心を抱いていました。

フィリップは秘書のマガリーに文章を口述して文通していましたが、ある日それを見ていたドリスが、痺れを切らして文通相手が送ってくれた手紙に書いてあった電話番号に電話します。

ドリスによってフィリップは文通相手の女性と初めて電話することになり、以来、フィリップは文通相手の女性と親しく電話をするようになります。

その後、実際にフィリップと女性は会うことになりましたが自分に障害があることを気にしているフィリップは、勇気がなく女性と会う直前に逃げ出してしまいました。

まさに、フィリップが向き合うことから逃げ出したその女性を、ドリスはランチに招待していたのです.。ラストシーンは、フィリップと女性の恋の予感に溢れ、明るい、希望に満ちたものになっています。

3.「最強のふたり」の見どころ

雪の中を歩いていくフィリップとドリス
画像出典:http://2011.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=25

それでは、続いて見どころを紹介していきたいと思います。

 ドリスの住んでいる家

まず、見どころの1つに「ドリスの住んでいる場所」があります。

主人公のドリスは、フィリップの家を訪ねた後、半年ぶりに家に帰ります。パリ市内にあるフィリップの家は一軒家の豪邸でしたが、ドリスの家はマンションの一室で、部屋の中にはたくさんの兄弟がいます。

ドリスが家で待っていると、母親が帰宅します。半年も音信不通だったドリスにドリスの母はもうカンカンです。怒鳴り、ドリスを叱り飛ばします。

彼女の怒鳴り言葉のフランス語の合間に、彼女の母国語であろう言葉が一瞬挿入され、再びフランス語に戻ります。この場面からわかるように、ドリスとその母親はフランス国外にルーツを持つ人たちなのです。

現実のフランスにおいても、彼らの多くはあまり良い職に就けない傾向があります。この一場面のあと、画面いっぱいに空撮されたドリスの住む街が映し出されます。同じような形の高いマンションが並びます。そう、ドリスの住む場所は巨大な団地なのです。

フランスにはこうした巨大な団地がいくつかあり、それらは「バンリュー」(Banlieue)と呼ばれます。そして、ドリスたちと同じようにフランス国外にルーツを持つ人たちとそう所得の高くない人たちが住んでいます。この巨大な団地は公営で、パリ市内と比べて家賃がとても安いのです。

フランス語で「バンリュー」とは本来は「郊外」という意味でした。

しかし、ドリスたちの住むような大きな賃料の安い公営団地が郊外にあるために、本来は「郊外」という意味だった「バンリュー」という言葉が「郊外にある、所得の低い人々(移民が基本的にはイメージされます)が住む大きな団地」という意味へと変わり、今ではそういったイメージや場所全てを指す言葉となっています。

バンリューに住む人たちの多くは移民か、もしくは移民二世などであることがとても多いです。彼らの多くは差別のために良い職に就けず、お金がないため、あまり治安が良い場所ではありません。

また、フランスは基本的には格差社会なので、ほとんどの人たちは貧困から這い上がることはありません。ドリスはそんな場所で生活しているのです。

描写から読み取れる、フィリップの人物設定

最強のふたり、実話、解説
画像出典:http://www.beyazperde.com/filmler/film-182745/fotolar/detay/?cmediafile=19793373

上の項目ではドリスの話をしましたが、反対にフィリップはどうでしょうか。フィリップは超お金持ちのフランス人です。パリ市内に大豪邸を持ち、車を何台も所有しています。

フィリップの家にはフィリップの祖父の肖像画が飾ってありましたフィリップはもともとお金持ちの家系なのです。(実際のフィリップは、フランス語版のウィキペディアによると「貴族」の家系だったようです)

フランスは格差社会です。代々続くお金持ちに生まれるということは、フランスの支配階級として生まれ、支配階級として生き続けていくことを意味します。

フィリップ自身も、映画の中で「支配者になれと教育されてきた」と言いますよね。

つまり、ドリスとフィリップはフランス国内でも非常に対照的な立場にある二人です。ドリスは単なる貧困層の若者ではなく、フィリップも単なるお金持ちではありません。彼ら二人は、フランスの社会において全く真逆な存在なのです。

ドリスたちのような移民の多くはその貧しさ、イメージの悪さから多少なりとも差別を受けています。また、フィリップのようなエリート階級のお金持ちもまた、富を独占している、ということでフランスの市民から憎まれているのです。

彼ら二人の、「社会」を背景にした大きな立場の違い、言ってしまえば端っこと端っこにいるような、この二人が出会ったこと自体が非常に衝撃的なのです本来、移民の貧民層の青年と富豪のエリートは人生を通して接触しないはずです。

普通のフランス社会ではあり得ない「出会い」が起こったのが「最強のふたり」です。

通常であれば、ドリスたちを含めた市民を支配する立場にあるフィリップが、事故によって自分の体が支配できなくなり、不自由になって介護される立場になっているということ、そして普段、差別されることの多い被支配層のドリスがそんなフィリップの介護をしていること……

何より、そのふたりが「親友と呼べるほど仲良くなったこと」

ここに実は大きな意味が隠れています。

ふたりのユーモアと、お互いを尊重し合う姿勢。

最強のふたり、実話、解説
画像出典:http://www.fond-ecran.net/downloadwallpaper-intouchables_le_film_001.html

ドリスはただ「不採用」のサインをもらうためだけに面接に来ただけです。にも関わらず採用されてしまうので、最初は渋々ながらフィリップの介護を始めました。しかし、もともと面倒見が良く優しい性格のドリスはだんだんと一生懸命に介護をするようになっていきます。

フィリップのことを、「かわいそう」や「大変」などとは全く考えていない様子で、スポーツカーに乗せて高速道路を爆走したり、怪しいものを吸わせたり、マッサージサービスの女性を呼んだり、きつい冗談を言ったりとやりたい放題です。

フィリップ自身も言っていましたが、ドリスはフィリップに「同情」しないのです。その上、雇われている身でありながらフィリップに楽しい軽口を叩きます。健康に悪いからやめろとも言わず、タバコも吸わせます。

ドリスのやっている行為は一見めちゃくちゃに見えますが、その実はフィリップという人の人格をとても尊重したことを行なっていることが映画の中で見えてきますし、フィリップもドリスの人格を非常に尊重しています。

ふたりが出会うことによって産まれる変化。

ドリスは流行の音楽や、ライトカルチャーのことは知っていましたが、フィリップの好きな回がやクラシック音楽、詩のことはあまり知らず、絵画を見て「俺でも描ける」と言ったり、フィリップが作る詩を「ヘンだ」と茶化したりと、興味のなさそうな様子でした。また、フィリップは怪我をして以来、女性にも生活にも消極的でした。

そんな二人が、一緒に過ごすことによって大きく変わります。二人が心を通じて以降、フィリップは怪我の原因ともなったパラグライダーに再び挑戦したり(すごい勇気です)、明るく冗談を言うようになり、笑顔も増えていきます。

一方、ドリスはある場面で、まるで気取った風でもなく自然に女性に対して「今のセリフ、詩みたいだね」「ダリの絵を飾っているの?芸術志向なんだね」と、話しかけます。以前のドリスではしなかったであろう発言です。

「最強のふたり」を見るときには、ぜひ最初のドリスの様子、最初のフィリップの様子を観察してみてください。物語が進んでいくにつれて、お互いがお互いの影響によって少しずつ変わって行っていることを発見できるでしょう実は上にあげたものだけではなく、気がつきにくいところまでたくさんの「変化」が起こっています。

「最強のふたり」は、本当にあった「ふたり」の話。

最強のふたり、実話、解説
画像出典:https://i2.wp.com/findmoviefav.com/wp-content/uploads/2015/01/the-intouchables-trailer-21800-hd-wallpapers.jpg?resize=820%2C450&ssl=1

「最強のふたり」は、実際にあった話を元にして作られています。

現実では、フィリップ役にあたる人物の名前はそのまま、「フィリップ」で、映画と同じく大金持ちですが、ドリス役にあたる人物の名前は「アブデル」というナイジェリア出身の青年です。

映画と同じくパラグライダーの事故と妻の不在で心を閉ざしていたフィリップさんはアブデルさんと出会い、私たちが映画で見たような、彼のドリスのような破天荒さに元気づけられたそうです。

そんなフィリップさんが、アブデルさんとの出会いと生活を綴った本が映画の原作となっています。本がきっかけでテレビに出たふたりを「最強のふたり」の映画監督たちが偶然見たのが、映画化のきっかけだそうです。

映画ではドリスがフィリップのもとで働いた期間はあまり長くなさそうな印象でしたが、実際にはアブデルさんはフィリップさんの介護人を10年間務めたそうです。

ふたりで訪れたモロッコで女性に一目惚れしたアブデルさんは結婚して、今は子供がいらっしゃるそうです。フィリップさんも同じく再婚して幸せに暮らしているそうです。

4.「最強のふたり」はこんな人におすすめ

「最強のふたり」オススメな人!
画像出典:http://www.lefilmfrancais.com/cinema/107940/bo-au-dimanche-soir-excellente-continuation-pour-intouchables

それでは、最後に「最強のふたり」がオススメな人とその理由を紹介していきたいと思います。

 自然に、明るい気持ちになりたい人。

最近なんだかつまらないな……ちょっと憂鬱……。元気が出る映画が見たいな……。でも、無理やり「頑張れ!」とか「ポジティブ!」とか言われたくない!

そんな人に「最強のふたり」はとってもオススメです。なぜなら「最強のふたり」を見ると気持ちが「なぜかなんとなく明るくなる」からです。

決して「押し付けがましい」明るさではありません。「最強のふたり」には、人生を頑張れ、や、夢や希望は素晴らしいとか、そういったメッセージはありません。それでも、気持ちが明るくなりポジティブな、前向きな気持ちになれます。

この映画を見ていると、自分と全く違う立場の人でも、「仲良くなれる」「気持ちが分かり合える」かもしれない、と思います。そして、怪我をして、妻を失い、大きな失意の中にいたフィリップがだんだん自分らしさを取り戻していく姿を見ていると「今辛くても、いつか元気が出て、どうにかなるかな」と思うことができます。

絵を描いたり、手紙を書いたり、音楽に合わせて踊ったりしているドリスやフィリップの姿を見ると、日常に楽しいことはたくさんあるな、と発見することもできます。

そんな小さな要素の積み重ねでこの映画は私たちに明るい気持ちを与えてくれます。とても心地よい明るさです。

「今」のフランスに興味がある人。フランスに留学・旅行したい人。

フランスってオシャレなイメージあるけど、本当はどんな国なのかな?

マリーアントワネットがいた時代はもう終わったはずだけど、今はどんな国なんだろう?

今度フランスに旅行するけど、街の雰囲気を見てみたいな。

こんな人にも、「最強のふたり」はとってもオススメです。

見どころでもたくさん語りきってしまいましたが、フランスは実はたくさんの移民がいる国です。しかし、フランスにおいて移民や、移民二世の人が生きづらいという現実はいまだにあります。(それをテーマにした「憎しみ」という映画もあります。)

一部のエリートが富を握っていたり、格差があったり、場所によっては危ない葉っぱを吸っていたりと、私たちが想像するような「自由・平等・博愛」のイメージのあるオシャレなフランスとは別の顔がフランスにはあります。

「最強のふたり」には、それがとてもソフトな形で表現されているので、フランスの社会に興味がある人にとってはとても参考になる映画ではないかと思います。

さらに、ドリスがスポーツカーでパリ市内を爆走するおかげで街の雰囲気もなんとなく伝わってきますし、映画の中のセリフも、あまり芝居がかっておらず、実際の話し言葉のフランス語にとっても近いので、フランスに行ったらどんな感じだろう?とイメトレしてみるのにもとてもぴったりです。

 

いかがでしたでしょうか。「最強のふたり」は見るたびに発見のある素晴らしい映画なので、まだ見ていない人も、もう見た人も、ぜひぜひ近いうちに「最強のふたり」を見てみてくださいね。

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