こんにちは!
エンタメブリッジ 、ライターのハイリです。
今回の記事は毒舌注意報ですので、上品な方は閲覧注意です。
新進気鋭の山戸結希監督が手がけたことで話題の「ホットギミック ガールミーツボーイ」ですが、人気漫画が原作だし…と軽い気持ちで観に行きましたが、これが
あー、イライラする〜!反町隆史以外、全員イライラする〜!でも何か、観ちゃう。
という不思議な魅力のある映画でしたので、ご紹介します。
筆者は終始、映画館のスクリーンに向かって、銃を撃ちまくるような心境で観ていました。
こんな感じ↓の脳内。
画像出典:http://screenprism.com/
こんな風に、筆者の脳内で「タクシドライバー」のロバート・デ・ニーロが暴れまわるような作品でした。
この映画を観た後、スーパーの七夕飾りの短冊にどこかの小学生男子が
リア充が消えますように。
と書いているのを発見。
筆者はこの短冊を見て、とっさに、「ホットギミック ガールミーツボーイ」の主人公が浮かびました。
主人公の女子高生は、一見、被害者っぽいんですが、要するにモテモテで、まさにリア充。
けしからん!まことに、けしからん!
正直、赤の他人がモテて困惑している様子って、観ていて特に楽しいものではない…。
ですが、山戸監督のまるでミュージックビデオのようなカメラの切り替えの速さと、撮影テンポの良さにつられて最後まで観てしまいました。
映画好きはカメラの長回し撮影が好きだったりしますが、山戸監督はその真逆をやっています。
それがすごく現代的だと思いますし、撮影技術が非常に高い!
ただ正直に言って、脚本がちょっとアレかな…。
脇役で出ている反町隆史氏も、
言いたいことも言えない世の中は、ポイズン!
つってね、歌ってたんですよ、昔。(調べたら、1998年の曲でした。)
だから、遠慮なく毒も吐きますよ。
でも、何か惹きつけられる点もあるんです。
そんな混沌とした魅力を持つ「ホットギミック ガールミーツボーイ」ご紹介します。
目次
1.「ホットギミック ガールミーツボーイ」作品紹介
監督: 山戸結希
脚本: 山戸結希
原作者: 相原実貴
原作: ホットギミック
主題歌:花譜
配給: 東映
出演者:堀未央奈、清水尋也、板垣瑞生、間宮祥太朗、桜田ひより、他。
2.「ホットギミック ガールミーツボーイ」のあらすじ
画像出典:http://www.hotgimmick-movie.com/
それでは、早速「ホットギミック ガールミーツボーイ」のあらすじをご紹介します。
いきなり言ってしまうと、1人の病弱な女子高生が、3人の男性に翻弄されたり翻弄したりと言う恋愛青春映画です。
始めは、それ以上の深いテーマをストーリーの中に探ろうとしても、筆者には見当たりませんでした。(わしに脚本を書かせておくれ。)
ですが、後でよくよく考えると、深いテーマが見えてきましたので、それは記事の最後の方で紹介します。
また、主演の堀未央奈さんは、乃木坂46のメンバーですので、本作は、所謂アイドル映画でもあります。
(※なお、本文中でディスっているのはあくまで作品の中の役柄の人物に対してであり、決して役者さん本人に対してではありません!むしろ役者さん達が、演技が上手いからこそ、ディスってしまったと言っても過言ではありませんので誤解なきよう、よろしくお願いします。)
「ホットギミック ガールミーツボーイ」のあらすじ(ネタバレなし)
画像出典:http://www.hotgimmick-movie.com/
上の人物相関図にもありますが、主人公の成田初(堀未央奈)が、ドSキャラの橘亮輝(清水尋也)に妹の妊娠検査薬を見られてしまい、それをかばうために、奴隷契約を結ばされるところから始まります。
もうね、この時点で、フェミニスト、いや一般的な大人の女性が観たら、激おこぷんぷん丸ですよ!
いくら優しい女の子だからって、女性を奴隷扱いすな!
だから日本は、男女平等ランキングが世界149ヶ国中、110位(2018年時点)で、G7の中で圧倒的に最下位なんですよ!
こんな男子高校生が偉そうにしているうちは、日本のランキングは永遠に上がらないでしょうね。
おっと、いきなり、本筋から逸れてしまいました。
この辺りは、4.「ホットギミック ガールミーツボーイ」筆者の視点で、詳しく書きます。
主人公の初は、体が弱いみたいなんですけど、橘の奴隷なんで、呼び出されたら、橘のところにすっ飛んで行きます。
橘は、初に
お前は、バカだ。
とか、罵詈雑言を吐きますが、好意の裏返しなんでしょうね。
でも、いくら好意の裏返しでも、成績優秀でも、女性を奴隷扱いした上にバカ呼ばわりするなんて、けしからん!まことにけしからん!
筆者は、橘のメガネをぶん取って、足でめちゃくちゃに踏みつけてやろうかと思いました。
おっと、そうなるとこちらが逆にDV女になってしまいますね。ふー。
そういう時は、我らがロバート・デ・ニーロに登場してもらって脳内でボコボコにしてもらいます。
デ・ニーロ、メガネ男をやっちゃって!
ふー、少しスッとしました。
一方、初の幼馴染で、モデルをしている小田切梓(板垣瑞生)が、初と同じマンションにある実家に戻って来ます。
梓は、相関図にあるように、金髪のチャラ男です。
梓は、初の初恋の人でした。
梓は、初に近づき、周囲の女の子たちに
僕の彼女だよ。
と初のことを紹介します。
ですが、梓の本音は…。
「ホットギミック ガールミーツボーイ」のあらすじ(ネタバレあり)
画像出典:http://www.hotgimmick-movie.com/
ここからは、ネタバレありになりますので要注意です。
梓は、初をパーティーに誘い、お酒に薬を混ぜて飲ませようとします。
そこにたまたま初の兄である成田凌(間宮祥太朗)がバイトで勤務していて、酔っ払った初を帰宅させます。
家に帰ってベッドで寝ている初に、梓からテレビ電話がかかって来ます。
梓は、
初の裸が見たい。
と言いますが、初は酔った勢いもあってか、本当に自分の裸を見せます。
ところがその後、その初の裸の動画が外部に流出しかけていることがわかり、梓が何か企んでいることが発覚。
梓は、自分の母親が、初の父親と不倫関係になり家庭を捨てた、と思い、そのリベンジに初の裸を流出させようとしたのでした。
一方、初と梓が急接近して、ドSの橘や、兄の凌はヤキモキします。
そんな中、梓のマネージャーである葛城リナ(吉岡里帆)が、初に近づいて、
これ以上、梓の邪魔をしないで。
と警告。
葛城リナは、梓のマネージャーでありながら、個人的に恋愛感情を抱いていて、梓のキャリアの邪魔になるから身を引いてくれ、と言うのです。
これがまた他人の才能に寄生するイヤーな女で、筆者の中のデ・ニーロがスクリーンに撃ちまくりました。
さて、兄の凌が一人暮らしをする為、実家を出ることになり、初に一緒に暮らさないかと提案。
初は戸惑いますが、マンションのエレベーターが停電で止まってしまい、閉じ込められた初と凌はキスをします。
いや、マンションのエレベーターってこうも都合よく停電するの?!
だって、これ日本でしょ?
ここは、旧ソ連時代のどこかの国なのか?!
と筆者はツッコミを入れてしまいました。
そんな中、梓が仕事場から姿を消したと連絡が入り、初は探し回ります。
そして実は、
梓の母親と不倫していたのは、初の父親ではなく、ドS橘の父親だったことが発覚!
事実を知った橘は、自暴自棄になり、初をホテルに連れ込みますが、自分の親のせいで初が梓に嫌がらせを受けたこともわかっているので、何もすることが出来ません。
と同時に、初は、ずっと兄だと思っていた凌が血の繋がらない遠戚であることを知ります。
初は、一人暮らしを始めた凌の所に向かいます。
初は、自らベッドに寝転び、
好きにして。
と言います。
ですが、その後も初の気持ちは変化し、結局はドS橘のところに行き、2人はディスり合いながらも、交際することに。
最後、橘に向かって初は、
中身がなくて空っぽの私のまんまでいいんだね。
などと発言。
海に向かって、いかに自分が空っぽな人間であるかを叫ぶ初。
あー、最後までイライラした筆者でした。
現場からは、以上です。
3.「ホットギミック ガールミーツボーイ」の見どころ
画像出典:https://www.fashion-press.net/
続いて、「ホットギミック ガールミーツボーイ」の見どころをご紹介します。
ここでも筆者の心の中のデ・ニーロが時々、銃を撃ちまくっています。
十代の頃の不安定な気持ち
誰でも十代の頃は、自我が獲得できておらず、不安定なのかな、と思います。
筆者が気になったのは、主要メンバーの高校生3人がとても暇そうなこと!
エネルギーの行き場がなく、持て余しています。
勉強のために塾には通っていますが、こんなに暇だったら犯罪犯してまうわ!と思ってしまいました。
部活せいや、部活!
運動が苦手なら、手芸とか、吹奏楽とか室内系の部活なりクラブ活動があるだろうよ!
それと、主人公の初ですが、高校時代に親しい女友達がいないと、マジで悪い奴に騙されるよ!とハラハラしました。
初は、体が弱いこともあってか、クラスでも浮いた存在で、会話の相手はほとんど妹のみ。
その妹も中学生なのに、ビッチ系ガールなんですよねー。
女子高生の皆さんには、在学中に、死に物狂いで同性の親友を作っていただきたいです!
女友達の目はシビアですので、今作のように、テレビ電話でポルノを強要させ流出させるような男に騙されることは防げるはず。
繰り返します。
高校時代はまだ色々な判断ができない年頃です。
同性の親友は、危険な男から身を守ってくれますので、必ず作りましょう!
標語のようになってしまいました。
筆者も幼い娘がいるので、つい熱がこもってしまいました。
豊洲界隈の高層マンションの無機質さ&監督の撮影手腕の高さ
高層マンションって、見ようによっては、巨大なお墓みたいですよね。
筆者は、田舎育ちなので、高層マンションを見ると、墓だなと今だに思ってしまいます。
マンションや団地などの高層の集合住宅は、日本では1950年代に建てられ始めたようで、ここ約70年間で都市部の人間の居住空間は激変しました。
伝統的な日本家屋から、時代の流れで洋館が建てられ、やがてマンションなどの集合住宅が広く普及しましたが、人間の精神構造って、時代が変わっても基本的にはそんなに変化しないのではないか、と思います。
この映画で映し出される高層マンションの無機質さと、そこで生きる高校生たちの不安定な気持ちとが相まって何とも言えない空気を醸し出しています。
そして山戸監督の撮影手腕が冴え渡っています。
ここまでカット割りのテンポが小気味良い監督って、現代の日本映画界では屈指なのではないでしょうか?
4.「ホットギミック ガールミーツボーイ」筆者の視点
画像出典:http://www.hotgimmick-movie.com/
筆者は、男性が女性に対して威圧的に振る舞う描写が、大の苦手なんです。
だって、奴隷扱いですよ!いくら好意の裏返しとは言えども。
それで先述しましたが、日本の男女平等ランキングは世界149ヶ国中、110位(2018年時点)で、G7の中で圧倒的に最下位です。
うーむ。
この際、「男尊女卑」とはなんぞや、と少し調べてみました。
世界三大宗教のキリスト教、仏教、イスラム教、この3つに絞っても、それぞれに男尊女卑的な側面は見受けられます。
そして日本に文化的な面で多大な影響を及ぼしているのが、中国で生まれた儒教です。
で、この儒教を生んだ孔子でさえ
女人と小人は養い難し、
これを近づければすなわち不遜なり、
これを遠ざければすなわち怨む
と言ったそうなんです!
孔子は、離婚経験があるそうで、女性に良い思い出がないのかもしれませんね…。
でも孔子って、世界四大聖人とも言われたりしますよね?
聖人の口から女人嫌いの言葉が出るとは!って感じで、驚いた筆者でした。
ちなみに孔子を生んだ中国は、男女平等ランキング103位で日本より上、同じく儒教の影響を受ける韓国は115位だそうです(2018年のランキング)。
先日、新聞で読みましたが、あと約250年もすると、男女平等の世の中が来るそうですよ。
だいぶ、先だなー…。(遠い目)
5.「ホットギミック ガールミーツボーイ」をオススメしたい人
画像出典:http://www.hotgimmick-movie.com/
それでは、「ホットギミック ガールミーツボーイ」をオススメしたい人をご紹介します。
ズバリ…!
女性の皆さん
色々なタイプの女性に見て欲しいと思いました。
感想は、人それぞれですが、ラストで主人公が
私、空っぽのままでも良いんだー!
と叫びますが、そこで筆者の心の中のデ・ニーロが銃を撃ちまくりましたよ、ええ。
空っぽのままで良いわけねえだろ。
と思ったからです。
ですが、このイライラ感の原因を冷静に考えてみると、昔の、特に十代の頃の空っぽな自分を重ねて見ているからかもしれない、と気づきました。
誰でも空っぽなんですよね。
筆者も、自我のようなものを確立できたのって恐らく20代後半じゃないかと思います(遅い)。
空っぽな自分にイライラしていたあの時の焦燥感を思い出してイライラしていたんです!
筆者は10代の頃に戻れると言われても、絶対に戻りたくありません。
考えたくもないです。
なぜなら、空っぽだったから!
そういう観客の深層心理を見事にあぶりだした青春映画だったんですね、実は。
意外と、深かった…!
何か、凄いぞこの映画。
何かしら表現することに関わっている人
山戸監督のファンは、公開後すぐに鑑賞しているかもしれませんが、今後も活躍する監督だと思いますので、要注目です。
映像に対する感覚が明らかに新時代なんです!
カット割りから、カメラの切り替え方など、本当に新感覚。
脚本次第では、いかようにも化ける凄い監督だと思います。
多分、詩みたいな感覚で映画を撮っているのではないでしょうか。
筆者も、批評するような理性的な脳みそではなく、何かを表現したいタイプの人間ですので、監督の頭の中の混沌が何となく理解出来るんですよねー。
そういうのって、言語化するのは難しいんですが、作品を撮り続ける中で、自然と浮かび上がってくるものがあるのだと思います。
また先日、テレビで山戸監督が7つのルールについて話したそう。
〈山戸結希監督のセブンルール〉
1.「よーいスタート」は小声で 2.役者の髪に神経を注ぐ 3.物語の解釈は観客に任せる 4.「生きている」場所で撮影する 5.年下の女性には優しくする 6.本屋では本のタイトルを見る 7.田舎の女の子の気持ちを忘れない |
だそうです。
特に、3.物語の解釈は観客に任せる、については、筆者も賛成です。
「何故、この物語が生まれてしまったのかわからない」という感覚って表現においては大切かもしれません。
かつて脚本家の山田太一先生が、
小説もドラマも知性ではないものを呼び込むために書いているところがあります。
と話していたそうです。
表現者とは、巫女やシャーマンのような存在だとよく言いますね。
自分でも理性的に捉えられない何かを無意識にすくい取って、世の中に問うて行くのが表現者なのだと思います。
理性的な脳みそだけで撮っている監督は、恐らく置き換えが可能だと思うんですよ。
知性だけで撮っていれば、いつか限界がくる。
なので、山戸監督のようなタイプの表現者は、これからも応援していきたいです。
それでは、本作に少し出演している反町隆史氏の「POISON 〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜」を歌いながらお別れしましょう。
画像出典:http://www.hotgimmick-movie.com/
ちなみに本作で反町氏は、梓の父親役で、善人でした。
唯一、全くイライラしない登場人物でしたし、俳優としても良い歳の取り方をされていると感じました。
では、ポイズン!
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