音だけで謎を解く!映画「THE GUILTYギルティ」ネタバレ解説

ギルティのチラシ

こんにちは!

エンタメブリッジライターのchieです。

今回は、2月より公開のデンマーク映画「ギルティ」(THE GUILTY)をご紹介します。

「電話の音と声だけで事件を解決する」という斬新な設定のデンマーク映画。

画面に映るのは電話で話す警察官のみ、という非常に限定された設定により、観客の想像力がかき立てられます。

事件と上映時間がリアルタイムで進行するため、実際に事件を体験しているかのように感じられる、観客参加型作品でもあります。

サンダンス映画祭では観客賞を受賞し、すでにハリウッドでのリメイクも決定しています。

それでは、さっそくご紹介していきたいと思います。

1.ギルティの作品紹介

公開日: 2019年2月22日 (日本)
監督: グスタフ・モーラー
脚本: グスタフ・モーラー、エミール・二ゴー・アルバートセン
出演者:ヤコブ・セーダーグレン、イェシカ・ディナウエ、ヨハン・オルセン、オマール・シャガウィー
受賞歴:サンダンス映画賞 観客賞受賞、第91回アカデミー賞外国語映画賞デンマーク代表

2.ギルティのあらすじ紹介

ギルティ画像
画像出典:https://eiga.com/movie/89275/

それでは、ギルティのあらすじを紹介していきたいと思います。

ギルティのあらすじ(ネタバレなし)

警察官のアスガー・ホルムは、ある事件をきっかけに警察官としての一線を退き、緊急通報指令室のオペレーターとして働いています。

かかってくるのは、盗難や事故、麻薬中毒者からの助けを求める電話など。

警察官としての一線を退くきっかけとなった、ある事件に関する裁判を翌日にひかえた、ある夜。

アスガーは一本の電話を受けました。

それは、車で誘拐されたという女性からの助けを求める電話でした。

アスガーに与えられた事件解決手段は、電話の音声だけ。

電話越しの声、車の走る音、雨が叩きつける音など・・・。

はたして彼は「見えない」事件を解決することができるのでしょうか?

ギルティのあらすじ(ネタバレあり)

誘拐されたと訴える女性、イーベンから通話を通して得られた情報はごくわずか。

誘拐した車は白のワゴン車で、高速道路を走っていること。

イーベンには幼い子供がいること。

通報の発信元である携帯の位置情報は、基地局の範囲しかわからず、ピンポイントでの位置は特定できません。

パトカーが白のワゴン車を捜索しますが、なかなか発見することができません。

アスガーはイーベンの住所に電話をかけ、イーベンの幼い娘であるマチルデと話します。

マチルデによれば、離婚した前夫ミケルが家にやってきて、イーベンと口論になり、ナイフを持ってイーベンを連れていなくなったといいます。

マチルデには、まだ赤ん坊の弟オリバーがいます。

オリバーのいる部屋には入らないようにと、ミケルから言われている、とマチルデは話します。

母親を心配して泣くマチルデに、必ずママを連れ戻す、とアスガーは約束するのでした。

アスガーは、ミケルの個人情報を調べ、ミケルには前科があると知ります。

ミケルが事件の大きなカギを握っていると考えたアスガーは、ミケルの自宅を捜索しようとします。

しかし、それは緊急指令室のオペレーターの仕事ではないと、警察の仲間は協力してくれません。

諦めきれないアスガーは、警察官として捜査の仕事をしていた頃の相棒、ラシッドに電話します。

職務権限の逸脱行為と自覚しつつも、ラシッドにミケルの自宅の捜索を依頼し、ラシッドはそれを了承するのでした。

一方、マチルデを保護するため、イーベンの自宅に警察官が駆け付けます。

警察官はアスガーと電話で話しながら、マチルデを保護し、弟のオリバーを探します。

やがて、オリバーの部屋の中で、警察官とマチルデは衝撃的な事実を知ります。

オリバーはナイフで切り裂かれ、殺されていたのです。

ショックを受けたアスガーは、ミケルの携帯電話に電話をかけます。

「オリバーを殺したことを知っている」と、自首するよう強い口調でミケルに話しかけるアスガー。

自首はしたくないというミケルに、罪を償えとアスガーは激しい口調で語りかけますが、電話は切れてしまいます。

イーベンと電話がつながったアスガーは、イーベンがワゴン車の荷台に閉じ込められていると知ります。

アスガーは、イーベンに、チャンスを見つけてミケルを荷台のレンガで殴り、逃げるように言います。

無事にミケルの車から脱出したイーベン。

イーベンはアスガーに、オリバーの中にヘビがいたから、オリバーを助けたのだ、と話します。

アスガーは、自分が大きな思い違いをしていたことに気づきます。

オリバーを殺したのは、ミケルではなく、イーベンだったのです。

さらに、ミケルの自宅を捜索していたラシッドから電話があり、ミケルの自宅に、精神病院からの郵送物があったと知らされます。

その精神病院は、ミケルの車が向かっていた方向にありました。

イーベンは精神病院に入院していたことがあり、ミケルはイーベンをその病院に連れて行こうとしていたのです。

再びイーベンと電話で話すアスガー。

自分がオリバーを殺してしまったと気づいたイーベンは、橋の上から飛び降りようとします。

アスガーは、イーベンに「自分は人殺しなのだ」と話します。

アスガーは、緊急指令室に異動になる前、殺す必要のない市民を殺してしまいました。

明日の裁判は、その事件に関するものでした。

裁判でアスガーは正当防衛を主張する予定でしたが、罪を償うことを決意します。

イーベンは駆け付けた警察官に無事に保護されました。

そしてアスガーの長い夜が終わりました。

3.ギルティの見どころ

ギルティ画像
画像出典: https://cinemazuki.com/moviecategory/suspense/the-guilty/

続いて、ギルティの見どころをご紹介したいと思います。

事件解決のカギは電話の音だけ

画面に映る登場人物は、ほぼ主役のアスガーのみ。

それ以外の主要人物は電話の声だけで、顔さえ見えない。

極限まで限定された設定が、想像力を駆り立てます。

この設定は、グスタフ・モーラー監督の着想から始まりました。

同じ音声を聞いているのに、聞く人によって思い浮かべるものが異なる

人間が聴力で得られる情報はわずか11%と言われています。

観客は、わずかな情報からストーリーを追っていかねばなりません。

普通の映画であれば、アスガーが電話で話している相手の映像が映るでしょう。

映像が映っていれば、イーベンは血まみれで、ミケルは血がついていない、というシーンがあったかもしれません。

そうすれば、観客はもっとさまざまな想像をすることができたでしょう。

はたして、本作で音の情報だけで、ラストを予想できた人はどのくらいいるでしょう。

音の情報だけで、推理をすることが、いかに大変なことか、観客は身をもって理解します。

ラストを知ってもう一度見返せば、きっとそれぞれの声が、音が、違った色をもって聞こえてくることでしょう。

監督のアイディアで勝負した作品

ギルティの画像
画像出典: https://twitter.com/GuiltyMovie?lang=ja

本作は、監督・俳優共に、国際的にはほぼ無名といえます。

監督は1988年生まれと若く、2015年にデンマーク国立映画学校を卒業したばかり。

大学の卒業制作「In Darkness」は、ハウゲスンで行われるノルウェー国際映画祭をネクスト・ジェネレーション賞を受賞しています。

本作が監督にとってのデビュー作となりました。

主役のアスガー役のヤコブ・セーダーグレンは、スウェーデン生まれ、デンマーク育ちの俳優です。

演技力を高く評価されており、デンマークアカデミー賞の男優賞などを受賞してきました。

しかし、国際的に注目されるのは本作が初めてです。

イーベン役のイェシカ・ディナウエは1993年生まれと若い女優で、デンマーク国立舞台芸術学校を2016年に卒業したばかり。

演劇で経験を積んできた、映画界では駆け出しの女優です。

ミケル役のヨハン・オルセンも、長編映画は本作が初めて。

また、映画のシーンが緊急指令室のみで、登場人物も少ないため、非常に低コストで製作されたであろうことがわかります。

しかし、このように無名の制作陣で低コストで製作されたにもかかわらず、映画は高い評価を受けています。

サンダンス映画祭の観客賞を受賞したほか、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされ、世界中から注目を集めています。

今後、各国でリメイクも期待されており、アメリカではさっそく、ジェイク・ギレンホール主演でのリメイクが決定しています。

ジェイク・ギレンホールは本作にほれ込み、自身の制作会社ナイン・ストーリーズで製作・主演の両方をつとめることを決めました。

有名な俳優を起用せず、コストをかけなくても、アイディアで勝負した作品といえるでしょう。

新たなワンシチュエーション映画

本作は、緊急指令室での電話オペレーションというワンシチュエーション映画。

ワンシチュエーション映画は、これまでにもいくつか制作されています。

監督は、「タクシードライバー」と「狼たちの午後」の2作品に大きく影響を受けたと語っています。

「タクシードライバー」で主人公の目を通してニューヨークを見せたように、本作では主人公の耳を通して周辺の状況を描いたとのこと。

リアルタイムで感じる精神的ストレスは「狼たちの午後」を参考にしたといいます。

本作では、3台のカメラを使って長まわしで撮影するという手法で、よりリアルな描写に迫っています。

監督は、インタビューでこのように語っています。

映画の中で最も力強い映像、最も印象に残る画は、目に見えないものだと私は信じている。

最も印象に残る映像は目に見えない、というのは面白い切り口です。

「音」に着目し、ワンシチュエーション映画の新たな境地を切り開いたと言えるでしょう。

また、監督は作品作りのため、警察の緊急指令室を何度か訪れています。

何人かの警官が、本来の任務から外され、自らの意思とは反してそこで働いていることを知ります。

アスガーも、本来の任務で起きたトラブルから、緊急指令室に左遷されています。

実際のデンマークの警察の内情が映画作りに生かされているのです。

4.ギルティはこんな人におすすめ

ギルティの画像
画像出典: https://guilty-movie.jp/

本作は、サンダンス映画祭の観客賞を受賞していることからも分かるように、多くの人が楽しめる映画ですが、特にこんな人にオススメしたいです。

映画にマンネリ気味な人

最近の映画は、映像技術も大きく向上し、さまざまな映像シーンに趣向が凝らされています。

高度なCGや特撮を駆使した映画は、とても見ごたえのあるものです。

しかし、そのような映画をたくさん観ているとちょっと飽きてしまうな、という方には、ぜひ本作をオススメしたいと思います。

緊急指令室でアスガーが電話するシーンがずっと続くので、一見するととても地味な映画に見えます。

しかし、映像に頼ることなく、音で勝負する、という映画はこれまでに数少なく、新しい映画体験を提供してくれます。

映画の時間は88分と短いのですが、ギュッと凝縮されており、十分に見ごたえが感じられます。

観終わってみると心地よい疲労感があり、音に集中するというのは意外と疲れるものなのだとわかります。

おそらく監督は、それを見越してあえて短い時間を設定したのではないかと思います。

ミステリー好きな人

本作はミステリー仕立てのストーリーになっており、リアルタイムで変わっていく状況から目が離せません。

特に最後はあっと驚くラストが待っています。

さまざまな伏線が張られており、観客は与えらえるわずかな情報を駆使して、推理を楽しむことができます。

ミステリーが好きな人、とくにどんでん返しモノが好きな方には、きっと楽しめる映画だと思います。

雨の音を聴くのが好きな人

本作では、「雨」の音が効果的に使用されています。

映画の初めから終わりまでずっと雨が降っており、イーべンとの電話でも、降りしきる雨の音、車のワイパーの音が規則的に聞こえてきます。

事態が緊迫するのとは対照的に、雨の音は静かに、ゆったりと続きます。

雨の降る日は、しずかに部屋で雨の音を聴いていたい・・・。

そんな、雨の音を聴くのが好きな人は、きっと本作で、新たな雨の音を楽しんでいただけるのではないかと思います。

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