アナ雪2をみる前必見!アナと雪の女王”歌”から紐解く本当の物語

アナと雪の女王 ポスター アナ雪

こんにちは、エンタメブリッジライターしおりです。

2019年11月22日に待望の続編アナと雪の女王2がついに公開!

っとその前に、日本の興行収入約255億円(歴代興行収入第3位)をたたき出し、世界中をレリゴー旋風で狂乱させた前作「アナと雪の女王」について復習しましょう。

これ、実は私は公開当初観たときはエルサのレリゴーのシーンばかりに目が行ってしまい、当時のマツコ・デラックスの酷評と同レベルに「つまらないな…」と思ったのでした(恥)

安心してください、それは私たちが大人になった証拠です(それは後で解説します)。

2017年アナ雪はフジテレビで地上波初放送されました。

録画したものを顧客層の6歳娘と観たのですが、彼女の鑑賞っぷりを観察するにつけ、そして過去6年の自分の育児奮闘記録を思い出すにつけ、なるほどアナ雪が世界中の子供を引き付けて離さない魅力がよーーーくわかりましたね。

実はアナ雪って日本語吹替えではアナやエルサの緊張感がかなりスローダウンされています。

字幕でだとさらに大人も楽しめる要素がいっぱいです。

何が面白いかって?全部だよ!レリゴーだけじゃないよ!

ということで早速レビューに行ってみましょう~。

1.アナと雪の女王の作品紹介

公開日:2014年3月14日 (日本)
監督:クリス・バック(Chris Buck)、ジェニファー・リー(Jennifer Lee)
原作者:アンデルセン
原作:雪の女王
出演者:クリスティン・ベル(Kristen Bell)、イディナ・メンゼル(Idina Mentzel)、ジョナサン・グロフ(Jonathan Groff)、ジョシュ・ギャッド(Josh Gad)、ほか。
日本語吹替:神田沙也加、松たか子、原慎一郎、ピエール瀧、武内駿輔、ほか。
製作:ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
主題歌:Let It Go
受賞歴:アカデミー賞にて、長編アニメ映画賞、歌曲賞受賞。ゴールデングローブ賞にて、アニメ映画賞受賞。

2.アナと雪の女王のあらすじ

アナと雪の女王 英語 トロール
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

それではあらすじに迫っていきます。

アナ雪のあらすじは一言で言うと、人間の成長を2時間に早送りしたもの。

アナは、特に吹替えではハッピーハッピーな浮かれポンチキャラに仕上がっていますが、エルサは深い罪悪感と抑圧されたパワーに苦しむ影のある存在。

このエルサの心って少女たちの心そのものなんです。

だからこそエルサは、レリゴーのシーンのずいぶん前の冒頭から、すでにガッチリと顧客層の少女の心をつかんでるんですね。

そのことは、後の見どころで歌の歌詞の解説とともに考察したいと思います。

アナと雪の女王のあらすじ(ネタバレなし)

アレンデール王国の、王家の娘として生まれたエルサとアナ姉妹。

姉のエルサは、触ったものを凍らせたり雪を降らせたりする魔法を生まれつき持っていました。

一方、おてんばで天真爛漫な妹アナ。

ある夜2人だけで遊んでいたとき、エルサが誤ってアナの頭を魔法で凍らせてしまいます。

意識を失い、氷のように冷たくなったアナ。

両親を慌てて呼ぶと、4人は治療者のトロールがいるところへ飛んでいきました。

「頭でよかった。心臓だったら、危ないところだった」

と治癒してもらったアナですが、そこでトロールがエルサに告げたことは、

魔法はどんどん強くなる。

魔法は美しいものだが、同時に非常に恐ろしいものだ。

コントロールしなければ、魔法は敵になる。

と、エルサと両親を恐怖のドン底に陥れるものでした。

アナの記憶からはエルサの魔法の記憶は抹消、エルサは城の中の一室に監禁されます。

お城の門も閉鎖され、開かれた皇室は閉じられた皇室へ。

「エルサが魔法をコントロールできるようになるまで誰にも見せない」という両親のスパルタ教育が始まります。

完全隔離されてしまったアナとエルサ姉妹。

寂しい環境で成長する中、両親は2人が10代半ばになったころ海難事故で死亡。

皇位継承者となったエルサは成人し、王女として人々にお披露目する戴冠式の日が来たものの…。

アナと雪の女王のあらすじ(ネタバレあり)

アナと雪の女王 英語 オラフ
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

戴冠式で10数年ぶりに再会を果たしたアナとエルサ。

お城の門も開き、近隣諸国の貴族や国民が集まって久々に宮殿はにぎわいます。

しかし、監禁されていた間もエルサの魔法の力はどんどん強くなっていて、父親の指示で手袋をはめていました。

父から「コントロール!隠すんだ!」とさんざん教えられていたため、

コントロール…コントロール…。

自分で自分に唱えるようになった苦悶のエルサですが、恐れれば恐れるほどその魔力は増す一方。

人前で魔法が暴発したら?また人を傷つけてしまったら?と戴冠式が怖くてたまらないエルサ。

対照的に「もしかして今日王子様に出会えるかも!」と目をキラキラさせているアナ。

アナは実際、港でハンスという近隣の王家の青年と出会い、アホなことに(?)その日に結婚を決めます。

エルサは、手袋を脱がなければいけない儀式を最大の緊張でどうにか乗り越え、流れはそのままパーティーへ。

しかし「私たち結婚することになったから!」と浮かれポンチで報告にやってきたアナに、エルサは姉と大人の立場から激怒。

「ダメよ」「どうして?」「今話してよ!」「なんでいつも私を閉めだすの!?」「お願いエルサ!」とアナがエルサの手袋を引っ張ってガンガン詰め寄ると…!

エルサはとうとう人前でザザザザー!とつららができてしまう魔法を発動してしまったのです!

アナと雪の女王 歌 エルサ
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

パニックになった会場と、慌てふためくエルサ…。

化け物だ!

と客が叫び、エルサは自分の能力ゆえの疎外感を抱え込み、そのまま城を出ての北の山(ノースマウンテン)に逃げてしまいました。

逃げているうちに、「ついに知られてしまった…でももういいわ」と1人解放感と開き直りがわいてきたエルサ。

レリゴー♪レリゴー♪と自分だけの氷の神殿を建てます。

短所と思われていたものを長所に変え「人の評価なんてゴメンだわ!私は力強い!」というメッセージを与える名シーンですね。

ところがエルサの魔法暴発によって、アレンデール王国は7月なのに気温は急降下、大雪が降り始める事態に!

アナの素晴らしいところは「姉を姉だから」という理由で信頼する力。

アナはあくまでエルサをかばいます。

私が怒らせたの!私の姉なの。

この冬を終わらせられるのもエルサしかいない!

と即席婚約者ハンスにアレンデール王国の統治をしばらく頼み、1人エルサを追いかけます。

アナと雪の女王 歌 ハンス
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

途中ドレスが凍って困り果てていると、コミカルな店主のいる雑貨屋兼サウナ屋を見つけました。

そこで冬用の服を買ったアナは、同じく客でヒッピー崩れのような氷屋のクリストフという青年(とその相棒のトナカイ、スヴァン)に出会います。

ソリでノースマウンテンまで連れてって!

とアナのゴリ押しでノースマウンテンを目指すことになった2人とトナカイ。

途中の雪道で出会ったのは、なんとあの雪だるまオラフでした!

オラフは、まだアナとエルサが一緒に遊んでいた時、2人で作った雪だるまなんです(吹替え声優はピエール瀧さんだったのですが、例の件によって武内駿輔さんに代わりました)。

ノースマウンテンでエルサの城を発見したアナ。

エルサを見つけると、「アレンデールへ一緒に帰ろう!」と誘ったアナですが、

ここなら誰も傷つけずにいられる。

あなたを守るためよ、もう帰ってお願い!

と記憶がフラッシュバックし突っぱねるエルサ。

しかしアナも引き下がらず、

アレンデールは深い雪で覆われてる。

お姉さんが全土を永遠の冬で閉ざしたの。

アレンデールの非常事態を報告します。

アナはエルサの魔法のことは知らずに育ったため、「エルサは、凍らせられるんだから溶かすこともできる」と信じ込んでいたんです。

まさか自分が国を真冬にしたとは思いもよらなかったエルサは、「逃げても何も変わらなかった」と再び激しい無力感にさいなまれます。

そして「どうしても一緒に帰りたい!」と詰め寄ってくるアナにまた魔法を発動してしまい、氷の矢がアナの心臓に命中してしまいました。

これは致命傷なんですが、エルサは気づかずに氷のモンスター、その名もマシュマロン使ってアナを追い返します。

城から脱出し、クリストフとトナカイと合流したアナの身体にはすぐに異変が…!

髪の毛がどんどん白くなり「寒い…寒い…」と凍り付いていっているのです。

思い立ったクリストフは、急いで「Love expert(恋愛のスペシャリスト)」のトロールのところへ連れて行きます。

実はこのトロールたち、孤児のクリストフにとって家族替わりだったのですが「クリストフが結婚相手を連れてきた!」と勘違いしてどんちゃん騒ぎ。

しかし、とうとう意識が混濁し始めたアナに、トロールの長老のパビーは言いました。

「真実の愛」だけが凍った心臓を溶かせる。

アナとクリストフは「婚約者ハンスにキスしてもらえば治る!」とアレンデールの城に大急ぎで戻ります。

そのころアレンデール王国は、ハンスが「様子を見てくる」とノースマウンテンまでアナを追いかけていました。

ついでに隣国の王国の刺客が2人ついていき、エルサを殺して財宝を奪い取ろうと策略します。

ハンス&ウェーゼルトン王国一行はエルサの城に着きましたが、エルサは男顔負けのヒーローアクションで対決!

そのときハンスが打った矢が氷のシャンデリアに当たってしまい、エルサは逃げきれずハンスに連れられてアレンデール王国の城に戻されました。

アナと雪の女王 英語 エルサ ハンス
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

目が覚めると、鎖で拘束されていたエルサ。

エルサの恐怖の思念により、魔力はどんどん強まって外は豪雪地帯へ…。

そこへ部屋に入ってきたハンスは一言。

「エルサを追ったっきりアナはいなくなった、戻ってきていない!」

ハンスたちは完全にエルサを悪者扱い。

一方クリストフに無事に城に送り届けられたアナは、エルサとは別の部屋でハンスと2人きりに。

ようやく愛する人ハンスと合流でき、キスで命拾いチャンスが巡ってきたのです!

しかし太古からのおとぎ話のテンプレを覆し、真実の愛のキスをしようとした瞬間この裏切り↓↓

はははは!君を心から愛する人がいればな。

実は王位を狙っていた。

実はハンスは自国では12人兄弟の末っ子で王位継承順位13番目。

アナと結婚することで、アレンデール王国の王位継承をもくろんでいたのです!

しかしすでに凍え死にかけて抵抗できないアナ…「放っておけばすぐ死ぬだろう」とそのまま部屋に放置プレイされます。

ハンスは部下たちに、迫真の演技で「エルサがアナを殺した、たった今亡くなった」とでっち上げ、「エルサを死刑にする!」と宣言。

2人とも死んでしまえば、アナに権限を預けられた自分がこのまま王になれるともくろんだのです。

エルサはもはやなすすべもなく、忘我の状態で凍った海の上を1人ヨロヨロ歩いていきました。

ハンスはエルサを殺すため、猛吹雪で視界の悪い中エルサを追いかけます。

そのとき、アナの部屋に救世主が登場!オラフがニンジンで鍵を開けて、アナの部屋に助けにきたのです!

暖炉に火をつけてアナを温めてやり、「真実の愛がわからない」というアナに、オラフはアナ雪映画最大の名言を残します。

僕にはわかるよ。愛とは、自分よりその人のためを想うこと。

「クリストフがしてくれたように!」と付け足し、アナは「真実の愛の相手はクリストフ!」とひらめいてヨロヨロオラフに付き添われクリストフに会うために部屋を出ます。

クリストフもまた長い時間一緒に過ごしたことでアナを好きになっていて、お城に向かて突っ走ってきていたのです。

クリストフ「アナーー!」

アナ「クリストフ…!」

ようやく2人が再会できる!という寸前で、再び裏切られるシーン。

アナの横目に入ってきたのは、「お前のせいでアナは死んだ!」と嘘のダメ押しで、まさに剣を振りかざしてエルサを殺そうとしているハンス!

剣を振りかざしたその瞬間、ぱりーん!と剣が割れます。

エルサが振り向くと、なんとそこにいたのはクリストフとのキスよりエルサを優先して、永遠に凍り付いてしまったアナ。

アナと雪の女王 画像 ラスト
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

アナーー!アナーーー!

凍り付いたアナに、抱きついて泣き叫ぶエルサ…。

まさかあの楽観的でハッピーハッピーなアナの自己犠牲によって、ディズニー映画が締めくくられるとは…と沈黙の1分が流れると、なんとアナの氷が解け始めました!

エルサの妹を思う「真実の愛の涙」アナの姉を思う「真実の愛の犠牲」が氷が溶かし、アナは元に戻ったのです。

「大好きよ」とかたく抱きあう2人、そして

真実の愛だけが氷を解かす…そうよ、愛よ!

とひらめいたような清々しい顔をしたエルサ。

エルサの魔法もまた、使い方次第。

動機が愛からくるものであれば、人々を幸せにでき、極寒の世界になった国中の氷も解かすことができることを悟ったのです!

エルサが手を振りかざして、夏が戻ったアレンデール(オラフには溶けないようにミニ雪雲を与えられる)。

ハンスは、アナのグーパンチで海に落とされました(笑)

真実の愛が王子のキスではない、モダンなディズニープリンセス物語はこうして終わり、最後はビートに乗ったノリノリのイディナ・メンゼル(吹替えならMay.J)のLet it Goで終わります!

3.アナと雪の女王の見どころ

アナと雪の女王 歌 オラフ
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

数々のヒットソングが生まれ、大人も子供も虜にした映画アナ雪。

そんな全9曲の挿入歌の中でも、今回は5大名ソングに焦点をしぼってストーリー理解を深めたいと思います。

吹替えの歌詞って、字幕と違ってかなりオブラートなやわらかい歌詞になっているんですよね。

歌詞を英語で読み解くとアナとエルサの鋭く微細な心の動きまでわかってきます。

吹替えではわからない真実のストーリーを解説していきましょう!

歌1.Do You Wanna Build a Snowman?(雪だるまつくろう)

エルサの魔法でアナの髪が凍り、アナは記憶が消され、エルサが部屋に閉じ込めらたところでアナが歌う歌。

【重要な英語歌詞と吹替え】

  • Do You wanna build a Snowman?
    (雪だるま作ろう)
  • We used to be best buddies
    (前は仲良くしてたのに)

【解説】

「buddy=相棒」という意味で、 友達だけでなく、男親が自分の息子を呼ぶときなど、かなり親しい間柄で呼び合う呼称。

「used to=”今は違うけど”という過去を表す表現」で、通常の過去形とは異なります。

子供のころはアナとエルサは相棒っていうほど仲が良かったけれど、「今はすっかり仲良しじゃなくなった」とはっきり明言した歌ですね。

【子供の心理】

精神科医学者フロイトによれば、道徳的規範(心理学用語で「超自我」と言う)が形成されていくのは3~6歳と言われます。

超自我は、両親から愛情を失うかもしれない恐れ、不安、罪悪感が動機付けとなります。

エルサが誤ってアナの髪を凍らせたときの父親のセリフも、医者代わりのトロールのセリフも攻撃的なんですよね。

父親「Elsa, what have you done? This is getting out of hand.」

(エルサ、なんてことをしてくれたんだ?もう手に負えん!)

トロール「You must learn to control it.Fear will be your enemy.」

(コントロールを学ぶべきだ。恐れは敵になる。)

結果的に部屋に閉じ込められ、愛する妹とも引き離されたエルサは「自分の能力が恐怖の元凶」と刷り込まれてしまうのです。

フロイトはこの超自我が形成される時期を”エディプス期”と名付けました。

ヒット層のメインもまた、エルサとほぼ同じエディプス期後半の女児です。

エディプス期の子供は、これまで赤ちゃんとして自分が無限の可能性を秘めていたものを、社会規範や親のしつけによって閉ざされていく過程にいます。

自分の潜在能力を知りつつそれを出せない時期というのは「自分の力が怖い」「大人をビビらせるほどの”自分”を持っていることが怖い」といった状態にあるんですよね。

エルサの心情は、いわば少女たちの共通感覚のようなもの。

アナと遊ぶことを禁じられたエルサの悲しみと贖罪の表情は子供たちの同情を得たはずで、コントロール!コントロール!のしつけがどれほどエルサを追い詰めたかも激しく共感される場面でしょう。

歌2.For the First Time in Forever(生まれてはじめて)

劇中で2回歌われるこの歌。

1度目は成人したエルサの戴冠式で、ここでアナとエルサは10何年ぶりに再会します。

【重要な英語歌詞と吹替え】

  • Don’t let them in Don’t let them see
    (1人でいたいのに)
  • Be the good girl you always have to be
    Conceal Don’t feel
    (誰にも会いたくない)

【解説】

このエルサの歌いだしは、吹替えではたった2行で片づけられ、エルサが親子関係にまつわる心情を繊細に歌い上げていることが大胆カットされました。

アナ自身も、英語歌詞ではこれまでの苦悩を踏まえた上で「だからこそこの1日は本当に貴重なもの」と歌っているのですが、そこはカットでやはりただの浮かれポンチに見えてしまいます…。

吹替えではエルサは自分から引きこもったように見えますが、そうではなく「a good girl(いい子)」でいるように必死でこらえているんです。

吹替えではわかりませんが、英語歌詞はすべて父に言われたしつけのセリフのリピートで、エルサがそれを自分に何度も何度も言い聞かせながら「どうにか今日1日をやりきるように…」と必死になっている悲しみの歌なんです。

【子供の心理】

幼少期親から言われた支え、励まし、是認、あるいは「ダメじゃないの」というメッセージはそのまま自己像になります。

エルサは父が「お前は怖いやつなんだ」と軟禁された通りの自己像になってしまいました。

英語からここまで翻訳が変わりつつも、日本の子供にも受け入れられたのもまた興味深い現象ですね。

ナンバーワンよりオンリーワンの子育てをされている昨今の子供ですが、一見大人は子供の意思を尊重しているように見えますが、子供たちはガミガミ言われない分親の顔色にそった選択をすることに長けています。

「好きなほうを選んでいいよ」と言われつつ、顔色を見ながら「私の望む子供でいなさい」というメッセージをしっかり読み解くんですね。

ある意味、言葉によらない情報を受け取らなければいけない分、もっと親のメッセージに敏感になっている面もあるんです。

歌3.Let it go(ありのままで)

前半のクライマックスで「レリゴー♪」と世界中を狂乱させたこの歌。

劇中では、戴冠式で感情が高ぶり魔法を出してしまったエルサが、そのまま北の山へ逃げて自分の城を作り上げる、初めてエルサの勇敢な笑顔が見えるシーン。

この歌に関しては、同じ歌と思えないほど、英語と吹替えは異なります。

【重要な英語歌詞と吹替え】

  • The snow glows white
    On the mountain tonight.
    Not a footprint to be seen.
    (降り始めた雪は 足跡消して)
  • A kingdom of isolation
    And it looks like I’m the queen.
    The wind is howling
    Like this swirling storm inside.
    Couldn’t keep it in, Heaven knows I tried.
    (真っ白な世界に一人の私
    風が心にささやくの
    このままじゃだめなんだと)
  • Don’t let them in,Don’t let them see.
    Be the good girl,You always have to be.
    Conceal, don’t feel,Don’t let them know.
    Well, now they know.
    (戸惑い傷つき
    誰にも打ち明けずに
    悩んでたそれももう
    やめよう)
  • Let it go!Let it go!
    Can’t hold me back anymore.
    Let it go!Let it go!
    Turn away and slam the door.
    (ありのままの 姿見せるのよ
    ありのままの 自分になるの)
  • I don’t care.
    What they’re going to say.
    Let the storm rage on.
    The cold never bothered me anyway.
    (何も恐くない
    風よ吹け
    少しも寒くないわ)

【解説】

まず、let it goとlet it beの意味の違いからおさらい。

let it goは、物事を忘れ、もうそれに悩まされることがないようにすることで「ありのままで」という意味ではありません。

むしろありのままではビートルズの歌にあるように、変化しようとせずに今のやり方で満足するという「let it be」に近いのです。

Aメロを原詩にそって直訳すると、実はエルサはこのように感じていたんです↓

「A kingdom of isolation And it looks like I’m the queen.=隔離された王国、まるでここの女王

「Couldn’t keep it in, Heaven knows I tried.=ただ続けられなかった。神様は知ってる、私が努力してきたこと

がんばってきたことを、1度自分で認めているんですね。

その上で、もう氷のパワーで人を傷つけたり、苦労したりしたことは忘れて、氷とともに生きようとする決意と解放の歌がレット・イット・ゴーなんです。

【子供の心理】

このシーンのビジュアルは非常に特徴的で、エルサが両性具有的に映るんですね。

髪をかき上げたり、睨みつけたり、パワーを出したりと、まるで男みたい。

これもまた男女の違いが未分化で両性具有的な顧客層の子供と同じで、「自分もあんな風になれる」と心強く映ったことでしょう。

自覚がなくても「制御不能な力を持つことが怖い」という子供に「解放」という名の勇気を与えるシーン。

また、魔法というこれまで短所だったものを、美しい城を作る長所に変えていったことも、子供が普段抑圧されているエネルギーに肯定感を与え、エネルギーが自分に幸せをもたらす可能性を見せつけてくれたのではないでしょうか。

歌4.For the First Time in Forever(生まれてはじめて)リプライズ

アナがエルサの氷の城に到着し、再び歌われるこの歌。

アレンデールがエルサの魔法で大雪になっていること、冬を終わらせてほしいことをコール&レスポンスで2人が歌いあげます。

【重要な英語歌詞と吹替え】

  • Oh, I’m such a fool!
    (あぁひどいわ 悲しい)
    I can’t be free!
    (何もかも無駄だったの?
    No escape from the storm inside of me.
    (無意味だったの?)

【解説】

吹替えではアレンデールの大雪は、エルサのせいというより不可抗力のように聞こえます。

しかし原詩を直訳すれば「なんて私はバカだったの、自由になんかなれない、自分の内なる嵐からは逃げられないんだわ」とエルサが己の愚かさを悔やむ心情が強調されます。

この歌でエルサは自分の魔法を「curse(呪い)」と非常に自罰的に歌っています。

【子供の心理】

個人的には、エルサが氷の城に籠城している期間は「盗んだバイクで走り出す(尾崎豊)」的な、反抗期の状態に似ていると思いました。

まだエルサは、茶髪でバイク乗り回すように「幼いころ自分にかけられた呪い」との直接的な戦いを避けているようです。

現実の人間もそんな時期は必ずありますが、気が済むまでバイクを乗り回しているうち、いつかは「やっぱり大学ぐらい行っておくか」といった時期が来ます。

エルサもまた逃げ回りながら、アナの知らせと共に「逃げても内なる魔力は制御できず無駄だった」と気づきます。

これはエルサが底をつく体験であり、しばしば心理的問題は底をつかなければその状態から抜け出せません。

エルサが「やはりみんなの幸せを考えるべきなのだ」と己の殻を破るときが近づいている証拠です。

この歌の後アレンデールに無理やり連れ戻されるエルサですが、ようやく不安回避行動から正攻法で「自分の魔力」に対する肯定作業に入るわけです。

歌5.Fixer Upper(愛さえあれば)

アナの心臓にエルサが発動した氷が当たってしまい、恋人クリストフが医者代わりのトロールにアナを連れていきます。

2人が結婚するのだ!と勘違いしてどんちゃん騒ぎとなったトロールの合唱曲。

【重要な英語歌詞と吹替え】

  • Everyone’s a bit of a fix-upper.
    (誰も完璧じゃない)
  • We’re not saying you can change him.
    Because people don’t really change.
    (人は簡単に変われないけど)
  • We’re only saying that love’s a force.
    That’s powerful and strange.
    (愛の力は そうパワフルさ)

【解説】

fixer-upper=(修理が必要な)ボロ家。

人間は皆「fixer-upperの欠陥品」だということをトロールが歌い上げています。

日本語吹替えでも「誰も完璧じゃない♪」とコーラスが何度も続きますが、ある意味これがアナ雪の1つの結論です。

ただし、吹替えでは「人は簡単に変われない」と言っていますが、英語では「人が人を変えることをできない」とより人間の本質に近いことを言っています。

英語では魔力を持ったエルサのことも含みながら歌っているのですが、吹替えではなかなかそのことに気づきにくく、あくまでクリストフとアナの恋愛の話に焦点が当たるので、ラストへの伏線としてはわかりづらいですね。

【子供の心理】

エルサは、ハンスが自分を殺そうとする最後の最後まで自分の力に怯えていました。

大人になるということは、どういうことでしょうか?

ある精神科医がこう言っていたのを思い出します。

エス(欲求)と超自我(社会的規範)を使い分けられるのが大人。

エルサの最終的な成長はここにあると思うんですよね。

最初のエルサは、使い分けられるどころか、親のしつけや社会的規範にばかりに支配されて、アナ自身の欲求や自己選択は出てくることがありません。

魔法はどんどん怖く強くなるのは、彼女が父の掟や社会的規範を破ってしまうのでは?という不安の大きさに比例しています。

エルサは決して「fixer-upper」である自分では生きられなかったのです。

アナも周りが見えない自己中心的な面はありますが、エルサもまた「どうせ自分なんか」と自己否定にズボズボ溺れていく反対のタイプの自己中心だったのです

こういうタイプの人って現実にいると思いますが、エルサと同じ、癒せるのは愛だけです。

他人とのかかわりで生まれる愛はとても重要で、そこから自己愛を成長させることが1番の解決です。

本作もまた子供がしっかり理解できる易しい伝え方で、エルサは「愛によって癒された」と締めくくられます。

「愛や安心から出る行動」VS「恐怖から出る支配された行動」という本作の大テーマは、可能性が引き裂かれている子供の心そのものですから、国境を越えて世界中の少女に受け入れられたのでしょう。

エルサがパワーを恐れず惜しまず使えるようになったラストは、無限の潜在能力を日々抑圧して生きる年齢層の子供たちのどれほど大きな励みとなったことでしょう!

また昨今は日本でもアメリカでも「Me First(自分さえよければいい)」の風潮が台頭しています。

自他の区別がなく、「世界中の子供と仲良くできる」と妙な確信がある子供という存在は、アナの自己犠牲とは大人にはクサくても、子供にははるかに重みのある行為として受け取ったでしょうね。

【アナ雪2主題歌】Into the Unknown(イントゥ・ジ・アンノウン)

待望のアナ雪2公開が迫っています!

アナ雪2についてすでにわかっている情報は、下記にまとめいますので併せてご覧ください。

アナと雪の女王2【11/22日本公開】の予告編、あらすじ、キャストまとめ

前作では、アナは結局、幼い頃のエルサが魔法を使っていた記憶はなくしたままで終わっています。

エルサの魔法は「生まれつき」と父親に言われていましたが、その真実に迫るのがアナ雪2。

城で仲良く暮らしていた2人ですが、ある日エルサにはエルサにしか聞こえない声が聞こえ始め、新たな冒険が始まります。

アナ雪2の主題歌イディナ・メンゼル「イントゥ・ジ・アンノウン(Into the Unknown)」のミュージックビデオもLet it Go同様、エルサが中盤からかっ飛ばしていていいですね!

4.アナと雪の女王をオススメしたい人

アナと雪の女王 画像 ラスト
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

アナと雪の女王、正直私は「どーせ子供映画だろ」とナメていました(恥)

しかしよくよく見ると、大人である私たちにもなんと素晴らしい発見があることか!

大人でも、エルサのように自分を抑えこんで生きている人ってたくさんいると思うんですよね。

ということで次のような方にオススメしたいと思います。

アナと雪の女王2を観たい人

アナと雪の女王2を観たい人はもちろんオススメです。

アナ雪2ではエルサの魔法のルーツがカギとなります。

最新予告編では、子供のころアナとエルサは、両親から

北に魔法の国があり、何かが起きて誰もそこに出入りできなくなった。

と昔話のように聞かされるシーンがあります。

この魔法の国とエルサとの関係、気になりますよね。

また、予告編を見る限りでは、アナ雪2でも再びアナとエルサには亀裂が勃発したもよう!?

公開も間近ですから、ぜひアナと雪の女王観ておいてくださいね。

エルサに学ぶ!児童心理学に興味がある人

アナと雪の女王 歌 エルサ
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児童心理学に興味がある人はおススメです。

私も最初そうだったのですが、なぜヒットしたのかわからない人はもう大人なんですよね。

ヒットの秘密は児童心理にあります。

エルサはわざとやったんじゃないんだよ。

と終始エルサに入れ込み、かばう発言をしていたのは、もろ顧客ターゲット層に属する我が娘(6歳)。

アナ雪のオープニングは、氷屋の男たちが池の氷を割るいかついシーンから始まります。

そこで男たちが歌う氷の心(Frozen Heart)では、氷とは「Beautiful!Powerful!Dangerous!Cold!(美しい!強い!危ない!冷たい!)」というエルサの心そのものと言える歌詞。

エルサの両親も医者代わりのトロールも、この4要素もすべてエルサなのだと受け入れてやるべきだったのです。

エルサの心象風景は児童の心をコピーしたようで、ぜひ教材としても観ていただきたい映画です。

パワーレスな自覚がある人

「力があるけど出せない」と思っている大人にもオススメです。

自分の力が怖いと思う場面は、大人のライフスタイルの転機でもよく起こることです。

例えば実際にあったケースをご紹介しましょう。

ある男性は、叔父として甥っ子と仲良くやりながら暮らしていました。

しかし、その母親と再婚して甥っ子と親子関係になったとたん、自分らしく生きられなくなり、息子とうまくいかなくなったのです。

なぜだと思いますか?

「父親」という役割を持った瞬間、役割に縛られ「自分らしさ」を封じ込めてしまったんですね。

「自分の持ちうる力があるにもかかわらず、それを出すのは恐怖を覚える」というのは、大人でも男女問わずしょっちゅうあることです。

しかし、縛られることは恐怖心を助長することをエルサから学ばなければいけません。

エルサのラストは「魔法は動機次第」ということでした。

同じ魔法(行動)でも、恐れから出る魔法(行動)と、愛から出る魔法(行動)、は世界を大吹雪にするか、世界を温暖にするかというほど雲泥の差が出るんです。

結局、アナ雪からから大人が学ばねばならない最大の能力はこうだと思います。

「自分が何かを失うのではないかと恐れることなく、自分のアイデンティティと他の誰かのアイデンティティとを融合する能力を身に着けること」

これにつきるでしょう!

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