アームストロングはなぜ月に行ったのか?映画「ファースト・マン」が評価される理由

ファースト・マンのチラシ

こんにちは!

エンタメブリッジライターのchieです。

今回は、2月より公開の映画「ファースト・マン」をご紹介します。

人類で初めて月に降り立った宇宙飛行士、ニール・アームストロング。

「アポロ13」(1995)など、アメリカの宇宙開発を描いた映画は多くありますが、この映画はアームストロングがなぜ月に行くことにしたのか、その心境を詳細に描いた実話ドラマです。

アームストロングが月を目指した理由には、彼にとってかけがえのないものを失った、悲しい出来事が深く影響しているのです。

さらに、アカデミー賞で「視覚効果賞」を受賞した、独特な映像についても詳しくご紹介します。

監督は「ラ・ラ・ランド」(2016)アカデミー賞監督賞を史上最年少で受賞した、デイミアン・チャゼル。

脚本を「スポットライト・世紀のスクープ」(2015)でアカデミー賞脚本賞を受賞したジョシュ・シンガーが手掛けています。

豪華制作陣による本作を、さっそくご紹介していきたいと思います。

1.ファースト・マンの作品紹介

公開日: 2019年2月8日 (日本)
監督: デイミアン・チャゼル
脚本: ジョシュ・シンガー
出演者:ライアン・ゴズリング、クレア・フォイ、ジェイソン・クラーク、カイル・チャンドラー
受賞歴:第91回(2019年)アカデミー賞で、視覚効果賞を受賞

2.ファースト・マンのあらすじ紹介

ファーストマン画像
画像出典:https://www.theverge.com/2018/9/12/17848838/first-man-movie-review-ryan-gosling-damien-chazelle-neil-armstrong-tiff-2018

それでは、ファースト・マンのあらすじを紹介していきたいと思います。

ファースト・マンのあらすじ(ネタバレなし)

空軍パイロットとして活躍するニール・アームストロング。

ソ連との熾烈な宇宙開発競争が繰り広げられるアメリカでは、人類初の月面着陸を目指す「アポロ計画」の前段となる、有人飛行計画「ジェミニ計画」が進められていた。

ニールはジェミニ計画の宇宙飛行士募集への応募を勧められるが、愛娘カレンの病気が心配で気が進まない。

しかし、ニールの必死の看病も叶わず、幼いカレンはこの世を去ってしまう。

激しい悲しみに打ちひしがれるニール。

やがてニールは、悲しみから逃れるように、強い意志を持って宇宙飛行士への道を進み始める・・・。

ファースト・マンのあらすじ(ネタバレあり)

ジェミニ計画のNASA宇宙飛行士に選ばれたニール。

厳しい訓練を経て宇宙へと飛び立ち、世界初となる、無人衛星とのドッキングに成功する。

しかしその直後、エンジンの故障により、宇宙船の激しい回転に見舞われ、地球への緊急帰還を余儀なくされる。

ミッションの危険性や多額の費用などから、NASAは世間からの批判にさらされるが、月面着陸を目指すアポロ計画へと進んでいく。

しかし、発射予定だったアポロ1号に悲劇が起きる。

訓練中のアポロ1号で火災が発生し、3名の飛行士が命を落としたのだ。

多額の税金を費やしながら犠牲を生んでいると、NASAへの世間からの風当たりはさらに厳しくなる。

そんな中、月面着陸を目指すアポロ11号の船長にニールが任命される。

危険なミッションに心配を隠せない妻や息子達に別れを告げ、ニールは月へと旅立つ。

世界中が固唾を飲んで見守る中、月面着陸は成功。

ニールは人類初の偉業を成し遂げたのだった。

3.ファースト・マンの見どころ

ファースト・マン画像画像出典: https://www.firstpost.com/entertainment/first-man-trailer-ryan-gosling-gets-ready-to-take-a-leap-into-the-unknown-in-neil-armstrong-biopic-5078341.html

続いて、ファースト・マンの見どころをご紹介したいと思います。

ニールが月を目指した理由

ライアン・ゴズリング演じるニールは、口数が少なく寡黙な人物。

そんな彼が唯一感情を露わにしたのが、愛娘カレンが亡くなったとき。

誰もいない部屋で一人泣きむせびます。

初の月面着陸を成し遂げた宇宙飛行士と聞くと、宇宙を目指して常に邁進してきたような人ではないかと思ってしまいますが、ニールは当初、家族を優先し宇宙飛行士への応募はしていませんでした。

カレンが亡くなった後、その悲しみから逃れるように宇宙飛行士に応募したのです。

宇宙飛行士選抜の面接で、ニールはこう答えています。

空軍パイロットの訓練で、大気圏を見た。

地上から見ると空は広大なのに、実際に見る大気圏はとても薄かった。

見えないものを見ると、視点が変わる。

ニールは、悲しみに覆われた自分の世界を、宇宙に行くことで変えたかったのではないでしょうか。

ジェミニ計画でのアクシデント、同僚の宇宙飛行士の度重なる事故など、数々の試練を乗り越えて、ニールは初の月面着陸プロジェクトで船長としてその責務を果たします。

船長という重大任務を任されたのは、ニールの冷静沈着な対応能力が評価されたところが大きいと思いますが、心の中では、大切なものを失った深い喪失感と葛藤していたのです。

人類初の月面着陸という華やかな偉業の裏で、一人の宇宙飛行士の深い苦しみがあったことは、これまで詳細に描かれることのなかった事実です。

月飛行は超危険なミッション!

ファースト・マン画像画像出典: https://www.cinra.net/news/20181113-firstman

今でこそ宇宙開発における事故は少なくなりましたが、本作が描かれた当時は、開発途上ゆえ、多くの事故が発生していました。

ニールの宇宙飛行士仲間であり、友人でもあったエリオットは、訓練機の墜落事故で亡くなります。

そして世界を揺るがせたアポロ1号の地上テスト中の火災事故。

アポロ1号に搭乗予定だった3名の宇宙飛行士が亡くなるという大惨事になりました。

そのうちの1人はニールの隣人で家族ぐるみの付き合いをしていたため、ニールも妻も激しいショックを受けます。

まだまだ安全性を確立されていない状況の中で、地球に帰れないかもしれないというリスクを背負いながら宇宙に向かうニールの姿が緊張感たっぷりに描かれています。

ニールを送り出す、ニールの妻や息子達の葛藤も克明に描かれます。

ニールが船長として搭乗するアポロ11号の発射前、NASAでは宇宙飛行に失敗した場合に備えて、大統領の演説用原稿や段取りなどがシミュレーションされていました。

宇宙飛行の失敗はかなりの確率をもって起きる可能性があると、関係者全員が認識していたのです。

ニールやその家族の不安や葛藤がいかに大きなものであったか、伝わってきます。

ガタガタ!グルグル!激しく揺れる映像

本作は、冒頭から最後まで、とにかく激しく揺れる映像が多く使われています。

冒頭ではニールが高高度極超音速実験機X-15に乗り、故障により激しく機体が揺れ動く映像が続きます。

中盤、ジェミニ8号での宇宙飛行では、エンジンの故障により、1秒に1回以上という超高速回転に見舞われます。

最後のアポロ11号でも、打ち上げ時などの激しい揺れが再現されます。

映像が激しく揺れる映画といえば、私がこれまで観た映画の中では、ハンディカメラ撮影をイメージしたモキュメンタリーホラー「ブレアウィッチプロジェクト」。

「ファースト・マン」はさらに上を行く激しさで、揺れました。

本作では、ジェミニ8号やアポロ11号などの宇宙船のセットは実物大のセットが作られ、俳優たちは実際にそれらに乗り込みました。

そして、コンピュータ制御により前後左右に揺さぶられ、小型カメラにより乗組員の目線で撮影がされたのです。

揺れだけでなく、操縦席の狭さ、密室感などが息苦しいほどに伝わってきます。

これにより、観客は本当に宇宙船に乗って揺れているかのような臨場感と没入感を得られるのです。

ニール・アームストロングの心情に迫ったというこれまでにない新たなストーリー展開に加え、このように徹底的に作りこまれた映像作りが、アカデミー賞で視覚効果賞を受賞するなど、本作が高く評価されている理由です。

4.ファースト・マンはこんな人におすすめ

ファースト・マン画像画像出典: https://style.corriere.it/persone/donne/claire-foy-al-cinema-con-due-film/

ファースト・マンは誰もが楽しめる映画ですが、特にこんな人にはぜひオススメしたいです。

喪失感と闘っている人

ファースト・マン画像画像出典: https://www.chrono24.jp/magazine/時計ファン必見のおすすめ映画予告-『ファース-p_36491/

本作では一貫して、ニールの深い喪失感との闘いの様子が描かれています。

宇宙飛行士に選抜され、訓練に取り組んでいる間にも、しばしば塞ぎこみ、周囲から距離を置きます。

寡黙で物静かなニールは、家族のことなどを周囲に話すことはほとんどなく、妻や息子たちでさえ、ニールが何を考えているか分からないことが多くあったようです。

ニールは自身の葛藤と、ひとり向き合い続けていたのです。

映画のラスト、ニールは月面のクレーターの中に、カレンの形見であるブレスレットを残します。

ニールはすでに他界しており、本当にそうしたのかは誰にも分かりませんが、ニールはクレーターのあたりで一人で10分ほど過ごしていたと言われています。

また、ニールら宇宙飛行士は、個人的な品物を記念としてアポロ11号に持ち込んでおり、その詳細は明らかになっていません。

ブレスレットのくだりはフィクションとも捉えられますが、ニールが悲しみを乗り越える象徴的なシーンとして描かれています。

何かを失い、それを乗り越えようと頑張っている人は多いと思います。

そのような人にはぜひ本作でニールが喪失感と闘う様子を追体験して頂けたらと思います。

宇宙開発に興味のある人

ファースト・マン画像画像出典: https://www.10wallpaper.com/jp/view/First_Man_2018_Movies_Ryan_Gosling.html

この映画は2019年に公開されましたが、本作と同じデイミアン・チャゼル監督と、ライアン・ゴズリング主演のタッグで2016年に公開された「ラ・ラ・ランド」よりも先に企画されました。

リサーチと構想に膨大な時間が費やされて完成したのです。

また、日本語字幕は、日本人初の宇宙飛行士である、毛利衛さんが監修を行っています。

当時の宇宙開発の様子がリアルに描かれているので、宇宙が好きな人、宇宙開発に興味がある人にはおススメです。

「インターステラー」や「ゼロ・グラビティ」など、最新鋭の宇宙船設備が出てくる映画を見慣れてしまった私には、ジェミニ8号やアポロ11号の設備は非常にアナログに見えました。

計器メーターがデジタルディスプレイでなく、アナログなメモリだったり、スイッチも昔ながらの上下にパチンと弾くタイプだったりします。

どの機体も頼りなく、こんな装備で宇宙に行くのはさぞかし心もとなかったに違いないと思わされます。

また、当時のアメリカの宇宙開発を取り巻く様相も克明に描かれています。

ソ連が1957年にスプートニク1号を打ち上げ、世界で初めて人工衛星を地球周回軌道に送り込むことに成功。

さらにソ連は1961年、ボストーク1号に乗ったガガーリンが人類で初めて地球軌道の周回に成功します。

ことごとく先を越されたアメリカは、ソ連に負けじと多額の税金を宇宙開発に注ぎ込みます。

人類初の月面着陸は、ソ連を追い越したいアメリカの悲願でした。

巨額の税金を費やしながらも、宇宙飛行士の事故死など犠牲を次々に生むアポロ計画に対し、アメリカ国内では激しい批判が巻き起こりました。

ベトナム戦争にお金を回すべきだ、貧困問題や人種問題の解決にお金を回すべきだ、など様々な主張がなされ、デモが繰り返し行われました。

そのような逆風の中、アメリカは1969年、ニールによる月面着陸を成し遂げ、世界中で5億人が見守る歴史的瞬間となったのでした。

新しい視覚体験をしたい人

CGではなく、実際にセットを作って乗組員の視線を再現した本作は、これまでにない視覚体験を提供してくれます。

激しいグルグル360度回転や、ガクガク乱高下をぜひ真っ暗闇の中で体験してみて下さい。

あまりにリアルで、狭い場所が苦手な私は、宇宙には行きたくないな、と思ってしまいました。

映画館で鑑賞される方は、最前列で観ると酔ってしまうかもしれませんので、なるべく後ろのほうの席で見ることをおススメします。

 

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