映画「華氏119」5分でわかるトランプ勝利の真相!あらすじと感想

華氏119 フライヤー

ども、エンタメブリッジライターしおりです。

今回はマイケル・ムーア VS ドナルド・トランプの映画「華氏119」をご紹介。

この映画、日本に安倍政権&アメリカにトランプ政権という「保守&保守コンビ」がある今、すぐに観たほうがいいです!

華氏119のタイトルの意味は、ブッシュ政権批判で大旋風を起こした2004年「華氏911」→「119」に入れ替えたもの。

119とは、トランプがヒラリーに勝利し、勝利宣言をした11月9日のことです。

そもそも「華氏911」の意味は、焚書を題材にしたSF小説「華氏451度」(レイ・ブラッドベリ著)をもじったもの。

華氏451度は、紙の発火温度です。

華氏451度=焚書=独裁政治と結びつけて、マイケル・ムーアはファシズムに近づくアメリカ政治を批判しているんですね。

ところで皆さん、トランプが大番狂わせでヒラリーを破り勝利宣言をした日、どう思いましたか?

私は、国際情勢もよく知らないくせに「The world is over.」と英語では言ってないけど「世界は終わった…」と思いました。

そして、みんな同じ気持ちのはずだ!と勇んでアメリカ人の友人(といっても60歳のおじさんだけどなw)にメールしたところ

トランプが大統領になったほうが、アメリカにも世界のためにも、ヒラリーよりよっぽどいい。

政治家もメディアも平均的なアメリカ人の意見を聞くのを見落としたね。

と驚きの回答が!

アメリカ人ってそうなの!?って仰天しましたよ。

私の周りのアメリカ人は、「ヒラリーもトランプも嫌い」という意見か「トランプのほうがいい」という意見の真っ二つに分かれ、なぜか「ヒラリーのほうがよかった」という人には1人も出会いませんでした。

その理由はどこにあるのか?ってことも、華氏119を観たら腑に落ちた気がします。

そんなトランプ大統領誕生の2016年119を、マイケル・ムーアはどう見たのか?

早速レビューしていきましょう!

っとその前に、アメリカの共和党と民主党の違いは頭に入れておいていただきたいので、この図をよーく覚えておいてください。

華氏119 図

画像出典:https://sekaika.org/us-party/

※トランプやブッシュは共和党、オバマやクリントンは民主党です。

1.華氏119の作品紹介

公開日: 2018年9月21日 (アメリカ)
監督:マイケル・ムーア
出演者:マイケル・ムーア、ドナルド・トランプ。
受賞歴:第43回トロント国際映画祭にて、ドキュメンタリー部門オープニング作品賞受賞。
公式サイト: https://gaga.ne.jp/kashi119/

2.華氏119のあらすじ

華氏119 トランプ
画像出典:https://u-next.tsutayamovie.jp

この映画、字幕はあの池上彰さんが監修。

それだけに(?)字幕はすーーーっごくきれいな日本語に変わってます。

できれば字幕は流し見程度、Fワード連発のマイケル節を聞いたほうが、かなり臨場感があって面白いですよ!

華氏119のあらすじ(ネタバレなし)

誰もがヒラリーの勝利を信じて疑わなかった、2016年大統領選挙の投票前夜。

ビヨンセやチャンス・ザ・ラッパーといったスーパーセレブもヒラリー陣営に駆け付け、キャンペーン会場は

アメリカ史上初、女性大統領の誕生!

とお祭り騒ぎ。

あのときは私もそう確信してたな~。

トランプなんて絶対大統領なんかなれないよ、ギャグか!って。

当時の私のトランプの知識と言えば、不動産王ってことと、ミスユニバースが1年間トランプビルに住むことと(10年前ミスユニになった森理世さんが、FOX TVでよくトランプの話してた)、ホーム・アローン2やSex and The Cityで「金持ちとニューヨークの象徴」として映りこむことぐらいかな。

そして迎えた投票日。

さすがは直接選挙の国、投票所で1時間以上も並ぶ女性たち。←日本人も見習うべきだ!!

しかし蓋を開けてみれば・・・第45代トランプ大統領が誕生したのです!

そしてマイケルのセリフ
↓↓↓
「How the fuck did this happen?(なんでこんなクソみたいなことが起きたんだ?)」

からタイトル画面「華氏119」に切り替わり、アメリカ史、ヨーロッパ史、メディア、民主党・共和党の動向などさまざまな角度から「こんなクソみたいなこと」が起きた理由を分析するのがこの映画です。

華氏119のあらすじ(ネタバレあり)

華氏119 フリント
画像出典:https://u-next.tsutayamovie.jp

今作は「2時間まるまるトランプ漬け」ではないんです。

トランプ批判に照準を当てるというよりは、「なぜアメリカはトランプが当選する仕組みとなっていったのか?」というカラクリを、ロングスパンで多角的に考察するんですよ。

トランプは1人の力で大統領になったのではありません。

むしろ本人はやる気がないのに、なぜ大統領に召し出されてしまったのか?という理由を解析するんです。

今作のこれまでの差別化は、民主党押しだったマイケルが、映画前半は徹底的に「民主党の堕落」にスポットを当てとこでしょう。

トランプ政権が誕生した要因に、どれほど民主党の腐敗と汚職があったかというズボズボと深い裏付けです。

日本に例えたら「立憲民主党が自民党のようなやり口になり、その2大政党が手を組んだように日本を独裁化させていく有様」ってな感じです。

この時点でアメリカの民主主義は終わった、と1度思わせられます。←あとで見どころでじっくり解説しますね!

このことが3つの具体的事件を通して示されますので、まずはそれについて解説します。

①ミシガン州フリント市 水道汚染問題

華氏119 フリント
画像出典:https://u-next.tsutayamovie.jp

これ、私も華氏119を観るまで知りませんでしたが、状況はかなり深刻です。

2010年州知事となったのは、元Gateway(牛のマークのパソコン会社)CEOのスナイダー知事。

スナイダー知事は、緊急事態でもないのに緊急事態管理法を成立させ、ミシガン州全ての市の権限を掌握します(つまりクーデター)。

ミシガン東部にある移民街で最貧困地域のフリント市は、5大湖の1つ、美しいヒューロン湖を水源にしていました。

しかしスナイダー知事は2014年、公営のヒューロン湖からの取水を止め、献金者である投資家や銀行が儲かる民営のパイプライン建設を開始したのです。

そしてフリント市民は、何も知らさせることなく工場汚染水の流れるフリント川からの取水が開始されたのです。

その水が先ほどの画像ですが、一目瞭然で錆びついた色。

最悪なことに、この水には「鉛」が含まれており、1度人体に摂取すれば、孫の代まで健康被害を及ぼす極めて危険な水だったのです(日本の水俣病と同じ感覚でしょう)。

実際子供には、湿疹や髪の毛が抜け落ちる症状が相次ぎ、大人も「レジオネラ症」という病気で亡くなる人が続出。

血液検査では保健師が、市民のハイレベルな鉛の数値を隠ぺいするよう指示されたと証言。

スナイダー知事はこの事実を知りながら、共和党に多額の献金をする米最大の自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)にだけは、ヒューロン湖の安全な水の供給を再開したのです。

この非常事態を聞きつけたオバマ大統領が2016年6月、市民の一縷の望みとしてやってきました。

オバマは住民集会でスピーチし、救世主となるはずでしたが、

喉が渇いた、水をくれ。

と汚染水を自ら飲もうとするパフォーマンスを実行。

会場のボルテージは最高朝になりますが、オバマはコップに口をつけただけで、水は1滴も飲まなかったのがバレバレでした。

「もうオバマに力はない」と住民は大幻滅。

同月、フリントは何の通告もなくの演習場とされ、まるで空爆の街となりました。

今回レビューを書くにあたり、私はFacebookで適当にフリント市民を探し(この時代の便利さはすごい)「今フリントの水はどうですか?」と尋ねたところ、

州が市の権限を取ってしまったんだから、水はまだ汚いよ。はやく解決してほしい。

とのことでした。

★マイケルの視点

フリントはマイケルの地元。

総人口のうちアフリカ系は57%、ヒスパニック系が4%。

マイケルは、スナイダー知事の手腕がビジネス経営(=市民を顧客と見なして雇う)という意味で、現在のトランプと同じだと考えます。

水質汚染を放置し続けたことも「緩慢なる民族浄化」とし、今のトランプの人種差別意識と同列と見なすスタンス。

さらに大統領選挙目前の住民のオバマ不信が共和党票に流れ、トランプ政権誕生を招いたとも考えます。

最後はマイケルは、アポなしでスナイダー知事の自宅を訪れ、応答がなかったため汚染水を知事自宅の庭にジャーーーとまきました。←ここはユーモア溢れるマイケルらしい(笑)

②ウェスト・バージニア州 教員ストライキ

華氏911 デモ
画像出典:https://u-next.tsutayamovie.jp

8人が私のことをMom(お母さん)と携帯に登録しているのよ。

から始まる女性教師の話。

ウェスト・バージニア州は貧困が非常に深刻。

母親が家出やドラッグで亡くなるケースが相次ぎ、教師を「Mom」と呼ぶ子供も多いのだそう。

総人口の35%が貧困以下の「食料配給層」に該当し、教師の賃金もアメリカ50州中48位。

この州の保険料は2倍に値上がりし、教師には手首にヘルスチェックが24時間365日つけられ、生活を徹底的に把握されます。

年間のヘルスチェックのデータベースが不足した場合、さらに500ドル追徴課税させられるという世にも恐ろしいコントロール…。

そんな教師は一丸となってストライキを決行、5%の賃上げを決意(公務員のストはアメリカでも禁止)。

罰金や拘束もありうるという中で、ストライキ強行9日目で、賃上げを獲得し勝利しました。

この教師の賃上げ運動は近隣州へ波及し、オクラホマ、ケンタッキー、アリゾナ、ウェストバージニア、コロラドまで広がりました。

★マイケルの視点

マイケルは最後にこのようなセリフを言う女性を取り上げます。

「団結ほど怖いものはない。だけど政治は分裂させてきた、人種やジェンダーで。これは共和党の手法だけど、民主党も同じよ」

やはりこのように、民主党の共和党化、堕落を嘆いていることが非常に印象深いです。

③マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件

華氏119 銃乱射
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映画では、いきなり犯人が自撮りした銃乱射画面に切り替わるから怖いですよ。

これは、2018年フロリダ州マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で、高校を退学処分にされていた19歳の元生徒が銃を乱射した事件。

17人の生徒・教員の貴い命が奪われました。

乱射のみならず、犯人が「白人至上主義」であったこと、未成年でも軍用AR-15ライフルを所持できたことが大問題となります。

高校生はSNSを駆使して銃規制への政治運動を開始、メディアや大規模集会で共和党を批判します。

NRA(全米ライフル協会)からいくらもらってる?

答えなくていい、知ってるから!3000万ドルよ!

そして22人の学生がネットで呼びかけ、世界規模のデモ行進を計画。

1か月後、なんと全世界800か所で、ティーンエイジャーによる銃規制へのデモ行進が行われたのです(ワシントンでは過去最大規模)。

私が1番痛快だなと思ったのは、高校生と共和党ルビオ上院議員との公開討論。

学生「今後一切NRA(全米ライフル協会)からの献金は受けませんか?」

議員「論点が違うよ、皆は私の政策を支持してる」

学生「拒めばいい」(客席大喝采)

個人的な話になりますが、私は昨年、人生で初めて銃を撃ちました(フィリピンの射撃場にて)。

撃ったのはもちろん初心者用の拳銃。

インスラクターから、まずこう言われました。

Guns are much heavier and louder than they look on TV or Movie.

(銃はテレビや映画で観るよりはるかに重くてうるさいよ。)

7発の銃弾を撃って感じたのは、小さい拳銃にもかかわらずバーン!!という激しい轟音と、撃った後の「クイッ」ってなる大きい反動、小さいのにずっしりと手にのしかかる金属の重さ・・・。

たった数分の体験でしたが、非現実感で満ち溢れていました。

射撃の的となった人の図面を見ると頭に3発命中しており、「dangerous woman」とインストラクターに言われたのもなんだか恐ろしかったです。

こればっかりは、銃社会ではない日本に住んでいることを感謝せずにはいられません。

★マイケルの視点

マイケルはSNSで政治活動を一瞬で広げられる、若い世代の政治抑止力を非常に評価しています。

たった1日で100か所もデモ箇所を増やせるスピード、集会場所、設備のすべてを自分たちでそろえられるポテンシャル。

選挙権はなくともこの影響力と抑止力こそが、マイケルの言うデモクラシーへの期待と希望でしょう。

彼らのデモは有権者の意識を変え、ある選挙区では共和党候補を撤退に追い込みました。

映画のラストは、友人たちが犠牲になった同校の女生徒がスピーチし、涙をためてまっすぐ前を見つめるシーンで終わります。

さて、ここまで3つの事件を見てきましたが、これらの市民運動やデモ行進は結果論であり、また唯一の希望の光なのです。

なんの結果論かというと、民主党にも共和党にももう何も期待できないという結果です。

映画後半マイケルは、ヒトラーの映像を合成して、ヒトラーの口からトランプの演説をしゃべらせます。

強い者が勝つときには、前々から心を掴んでいる。

つまり、ヒトラーを生んだドイツが、今のアメリカによく似ているというまとめです。

すぐれた文化、芸術、科学がありながら、報道規制、汚職、でっちあげ、差別、拝金、権力乱用が横行する・・・そんな中、政治経験はないけど美辞麗句で大衆の心を掴む者を、一国の大統領に選んでしまったシステムが、ナチスドイツとそっくりだと。

華氏911やシッコなど過去の作品に比べると、華氏119は話があちこち散らばります。

ついでに、これまでのマイケル作に比べたら辛辣さや皮肉、ユーモアもイマイチ突出してない感じ…。

ただ私は途中から、これはあえてマイケルがそういう作り方にしたのでは?と思いましたね。

ファシズムとはこうやって気づかないうちに、あちこちでじわじわと侵食してできあがるシステムなのだってこと。

まさにその過程を、映画ではあらゆる角度から解説してくれているのではないか?と。

ただ、マイケルはまだ絶望していません。

「アメリカはまだ民主主義に達してない、俺は未来のそれが見たい」・・・これこそ今作にこめられた彼のアメリカ愛の結集と言えるでしょう。

トランプのおかげで僕は目覚めた。

彼を現した腐ったシステムを、一掃する必要があるのだ。

3.華氏119の見どころ

華氏119 ファシズム
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正直、安倍政権の右傾化も、華氏119に出てくる政治や国家のやり口に似ているところがあると思います…。

次期選挙もトランプが出馬するというニュースが流れた今朝、日本人にとっても華氏119は他人事ではないですね。

トランプ支持者と語ってみた

トランプ政権が誕生してもうすぐ3年。

華氏119を観た後、冒頭の「ヒラリーよりトランプの方がよっぽどいい」と言ったアメリカ人の友人Tにもう1度質問してみました。

今日私はマイケル・ムーアの華氏119を観た。

Tは今でも、トランプが当選してよかったと思うか?

ちなみに彼は白人男性、華氏911でも連発されるworking class(労働者階級)の人です。

日本人女性と結婚しているくらいなので、白人至上主義ではない優しい人です。

アメリカ、マサチューセッツ州に一時帰国中の彼は再びこう言いました。

もちろん今でも、トランプのほうがヒラリーよりいいと思ってるよ。

僕はマイケル・ムーアの言うことに、ほとんど同意しない。

アメリカは毎年何百万人もの人が合法に移住してくるけど、それには何の問題もない。

同じように、毎年何百万人が不法に移住してくる。

不法移民は、他の合法に移住する人と同じようにルールに従うべきだし、受け入れるべきじゃない。

僕が日本に住み始めたときは、ビザがなければ歩くことさえできなかった。

どの国にもルールがあるんだ。

トランプは人種差別主義者なんかじゃないよ。

どんな物事にも両側面があります。

トランプのいいニュースなぞ日本メディアも報道せず「ムスリムは出ていけ!」とか「壁を作れ」という過激さだけが切り取られていいイメージがない。

今作に限らず、マイケル・ムーア最大の功績は「議論の場を作ること」です。

政治をエンターテイメントにする秀逸さや、私のように国際政治を知らぬ者にも「おもしろくて、ためになる」って講談社のキャッチコピーみたいに分かりやすく教えてくれるんですよね。

ただ、マイケルの言うことが100%正しいわけでもないし、政治が100%正しいわけでもない。

マイケルもすべてを信じることは望んでいないし、マイケルが望むのは作品を超えた議論と行動です。

本当の民主主義の終わりとは、この映画でも言われるように「沈黙」。

トランプ政権にもメディアを介さない、両側面があることは決して忘れてはいけません。

民主党の堕落「譲歩」

華氏119 ヒラリー
画像出典:https://u-next.tsutayamovie.jp

キャンペーン中はヒラリー投票を呼び掛けつつも、トランプの勝利を予測していたというマイケル。

繰り返しますが、今作で民主党とメディアの堕落はかなり痛烈に描かれています。

アメリカ市民の大多数は、映画内のデータベースだと「左寄りのリベラル」、すなわち民主党支持ということになります。

60~70年代からの新しい価値観が今のアメリカの主流であり、銃規制、同性愛、中絶賛成、男女同一賃金、国民皆保険賛成が多数派なのです。

これが民意なのに、なぜ民主党は国でも州でもトップに立てないのか?

マイケルはそのキーワードを「compromise(譲歩)」とします。

民主党上層部は「譲歩」と口癖のように言いますが、この意味は要するに共和党に似た手口で選挙に挑むようになったということです。

この堕落の始まりは、1993年大統領になった民主党のビル・クリントンだとマイケルは言います。

彼は支持基盤がプアーな労働者層だったことから、企業ウケの資金繰りにスイッチし、共和党を模倣し始めます。

まず犯罪法発動で黒人を大量投獄、金融緩和で銀行を優遇、同性婚禁止、貧困層への支援を廃止、などなど。

この「compromise(譲歩)」こそが民主党堕落の始まりだったのです。

民主党の堕落「改ざん」

華氏911 バーニー
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前回の大統領選挙で、民主党のもう1人の有力候補だったバーニー・サンダースをご存知でしょうか?

大統領選挙の8か月ほど前から、急速に追い上げてヒラリーと争った人です。

彼は「民主社会主義」を掲げ、ヒラリーのように模範解答的スピーチをするのではなく、どちらかと言えばトランプっぽい現状への懐疑や怒りと述べ(政策はもちろん違いますよ)、特に若い層の期待と信頼を得た候補者です。

サンダースは、データ上ではほとんどの州でヒラリーを上回っていたのです。

しかし、それをうまく改ざんしたのが民主党上層部。

「compromise(譲歩)」したのは、何も民主党だけではありません。

NYタイムスやワシントン・ポストといった歴史あるメディアでさえ、共和党寄りの記事を打ち出しはじめ、サンダースの選挙妨害をする記事を打ち出しました。

拝金か?民主党上層部の圧力か?共和党の圧力か?・・・もう私も見ててわけがわからないです。

結局改ざん効果で、ヒラリーが正式に民主党候補者に選ばれましたが、この結果に泣いた人のは裏切られたと感じた市民。

投票なんて何の意味もない、嫌気がさして民主党員を辞めた人もいる。

これこそ民主党の腐敗、そして選挙を棄権した無党派層の増大を生んだわけです。

「民主党の信頼の喪失は、我々の命取り」とマイケル自身は言います。

一方でこの民主党内のヒラリーとサンダースの攻防を、あの池上彰さんはこう述べられています。

サンダースだったら、もしかしたら大統領に当選したかもしれません。

ただ、たとえサンダースが当選したとしても、アメリカの分断は進んだのではないかと思います。

独裁者の成功は、膨大な数の民衆がうんざりし、諦めたときだけ。

前回の日本の衆議院選挙投票率は全体で53.68%で、20代の投票率は35.6%と異様に少ないですが、政治はそこにつけこむのです。

「自分の1票の重さ」を忘れたとき、危うい国への1歩が始まるのではないでしょうか?

特定機密保護法、集団的自衛権行使、憲法9条改正・・・ある日突然召集令状が届いて「ありえない!」って思っても、もう遅いんですよ。

声を上げた無名の闘志

華氏911 ムスリム
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“狂気”っていうのは、何年も同じ候補者を掲げたまま放置しておくことよ。

これは、民主党新人候補女性のセリフですが、民主党上層部の腐敗に対して立ち上がったのは、まさに無名でマイノリティの闘志たち。

女性、ゲイ、ムスリム・・・と。

個人的にはこの気運は、日本で民主党が衰退した時の「日本維新の会」立ち上げ時に似ていると思いましたね…。

しかし民主党上層部は、こういった意気揚々とした新人の行動を認めないんです。

事実、新人の候補者は

「下院議員立候補に必要な署名を集めたのに、弁護士がやってきてすぐリストを消去した」

「州の党幹部が候補者を決めていて、自分には一銭もくれなかった」

などと激しい内部弾圧をされました。

民主党はもうデモクラシーではない…はっきりとそう取れる幹部の言動です。

内部弾圧も大きな堕落で、新しい風となりそうな候補者にはハナから負けさせるのです。

これは私の意見ですが、民主党はこれが前回の大統領選挙で裏目に出たことを知るべきですね。

なぜなら、ヒラリーもまた「何年も同じところに居座った候補者」だからです。

アメリカには長く政権の近くにいると、国民に嫌われるという暗黙の了解があります。

だからこそ大統領任期も8年で「change」を求めるんですね。

ヒラリーの場合は、夫のビル・クリントンの大統領時代には、ファーストレディとして8年間ホワイトハウスに住み、2009~2013年のオバマ政権時代は国務長官を務めました。

この政権への長居こそが、選挙に落ちた理由として大きいと思います。

ただ、こういった腐敗を知りつつも政治に諦めず食らいついていくアメリカ市民の姿勢は、本当に見習わねばと思います。

華氏119でことごとく見せつけられるのは、アメリカの市民力というもの。

私たちが明らかに政治がらみの不満を持ったとき、「よし、じゃあ明日〇時に県庁前でデモ行進しよう!」「自分が立候補してやろう!」とはならないよね・・・。

私は法学部卒なのですが、法学部生というのは1年生の4月でこう叩きこまれます。

「権利の上に眠る者は保護しない」

つまり、権利があってもそれを使わないのだったら、その人が保護される権利などないということ。

華氏119は政治の話ではありますが、改めて私はこの「権利の上に眠る者は保護しない」を胸に刻みました。

日本人はまだまだ、政治的に眠っているからです。

見習うべき本当の国民とは?

華氏911 デモ
画像出典:https://u-next.tsutayamovie.jp

私は3度この映画を観て、3度目「カントリーロード」を合唱しながらデモ行進をする市民を見て、涙が出ました。

これぞアメリカ、自ら自由と権利を勝ち取ってきた人の底力なんだと。

ただこれは、日本で「本当の市民」をやった、障害者の権利運動家たちのことを思い出したからだと思います(私の記事にはよく出てくる話w)。

彼らは80年代後半、新宿のロータリーに結集し「We shall overcome」を歌い続けたそうです。

都が彼らの要求を飲みこむまで・・・、彼らが生きる権利を獲得できるまで・・・。

華氏119は、政治というのは政治家だけができるものではないんだということを、思いっきりリマインドされます。

私の中で日本の「本当の市民」というのは、マッチョでもなく、弁の立つディベート論者ではなく、億万長者でもなく・・・電動車いすに乗り、言語が失われ、日々褥瘡(じょくそう)と闘いながらも命がけで生きる権利を獲得した、重度障害を持つ人たちかもしれません。

この運動をやっていた頸椎損傷のご本人から聞いたのですが、脱施設を掲げた初期の運動では、座り込み、ハンスト、果ては尿瓶を知事の前でバシャーっとやる、というかなりアグレッシブな手段で強行していたそうです(笑)

今は東京の自治体ならば、障害福祉政策を考えるうえで当事者である障害者の声なしに、議論を進めないことは常識となっているでしょう。

私は、頸椎損傷のリーダーに言われた言葉をすごく覚えています。

「ちゃんと政治やらないと、うるさい障害者がいるぞ、って知らせておくのが大事なんだ」と。

ただ、そんな時代も変わっていったようで、今はもう過激な手段は効果的でないそう。

「障害者にはこういうことに困っている人がいて、こういうニーズがある」というのをデータ化して提示したほうが、最近はよく聞いてもらえるんだ。

とおっしゃっていました。

むろんそれは、今現在、行政と定例ミーティングをできるほどの関係になったからこその変化です。

だからといって、見張っておくのをやめてはいけないよ。

放っておいたら、すぐ政治は好きなようにやり始めるからね。

これこそ、華氏119と同じメッセージなのではないでしょうか?

4.華氏119をオススメしたい人

華氏119 オバマ
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華氏119は現在進行形で起きていることです。

トランプ2期目の可能性がある中、私たちは彼のビジネスの「deal(取引)」の相手であることを忘れてはいけません。

「米軍が守ってやってるんだから相応の金払え」と言われる可能性だって大いにありますからね。

国内でも、安倍政権が長期安定を目指し、立憲民主党が衰えている現実がある以上、このような方にぜひ観ていただきたいです。

政治に関心のない人、無党派層

政治に関心のない人こそ、最も観ていただきたいです。

国際政治なんかわかんない、そもそも政治に興味にないという人こそオススメです!

マイケル・ムーアはあくまでエンタメ。

ユーモアに毒舌、アポなしインタビューなどコメディ要素も多分に含まれていて、私みたいな国際情勢に疎い人間でもアメリカの現状がよくわかりました。

マイケルは華氏119で「選挙を棄権した人こそこの国の最大与党」と言いますが、日本も同じでしょう。

また今作は、過去のマイケル作品で題材とされた「オバマケア」や「国民皆保険問題」なども何度も出てきますので、復習にもなります。

トランプ政権はTPP、安全保障条約、米軍基地問題、株価、アジア政策…となんだかんだ日本の外交と直接関わりますからね。

あ、そうそう、例の壁の建設状況も映し出されますよ。

なぜトランプが当選したかわからない人

華氏119 トランプ
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さて、トランプが嫌いな人、なぜトランプが当選したのかいまだにわからない人は観たほうがいいです。

面白いことに、ヒトラーもトランプも、普通選挙のルールにのっとって選挙を勝ち上がった人です。

ちなみに全米個人の獲得票数はヒラリーのほうが多かったのですが、結局アメリカも州を媒介する間接選挙なので、トランプが勝利しました。

なぜ国民はトランプを選んだのか?

このことは「白人男性国家を取り戻したいから」とか「移民にアメリカンドリームを奪われたから」とか「誰の心にも小さなトランプがいるから」とか、色んな人が色んな意見を言っていますが、マイケルの切り口はちょっと違うんですよ。

べつに、トランプが自力で大統領になったわけではなく、トランプが当選するようなシステムが何十年もかけてアメリカに出来上がっていたことを、詳しく易しく教えてくれるんですね。

1つ注文をつけるならば、華氏119を観るときは「今の日本はじゃあどうなの?」という国内の視点でも観ていただきたいです!

今日本は明らかに右傾化していて、私の子供の頃とは比較にならないほど戦争は身近になっています。

でもそれに気づくのって本当に難しいんです、政治って姑息だから。

私は学生時代、心から尊敬する裁判官から

僕は小学校の頃から日本国憲法の前文が好きだった。

まるで美しい1つの詩のように思えていた。

と叩き込まれた人間の1人です。

公民の授業を受けた子供のとき、戦争放棄ほど世界に誇れるものはないって思っていましたが、なんかもう今にも戦争放棄が放棄されそうですよね。

華氏119の日本版を誰かに作ってほしいくらいですけど、そうもいかないので、華氏119で現政権への監視の必要性、投票への積極性はぜひ取り戻していただきたいです!

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