実話を元にした映画に勇気をもらえる!ドリームのあらすじとレビュー

こんにちは。
エンタメブリッジライターのwaiです。

今回は、NASAで実際に活躍した知られざる女性達にスポットライトを当てた映画、「ドリーム」についてご紹介します。

差別と闘いながら、その優秀な頭脳でNASAの宇宙計画に大きく貢献した3人の黒人女性達の奮闘は、観た人に勇気と感動を与えてくれます。

ファレル・ウィリアムスが映画用に書下ろした軽快な楽曲の数々も、差別にも明るく立ち向かう彼女達のキャラクターとぴったりと話題です。

この記事では、そんな映画「ドリーム」の魅力を存分にお伝えします!

※当記事にはネタバレが含まれているので、映画をまだ観ていない方はご注意ください。

1.ドリームの作品紹介

公開日: 2017年9月29日 (日本)
監督: セオドア・メルフィ

原作者: マーゴット・リー・シェッタリー
原作: 『Hidden Figures』


出演者:タラジ・P・ヘンソン、
オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケヴィン・コスナー、キルスティン・ダンスト、ジム・パーソンズ
受賞歴:全米映画俳優組合賞 キャスト賞受賞。
ブルーリボン賞 外国作品賞受賞。
アカデミー賞では作品賞、助演女優賞(オクタヴィア・スペンサー)、脚色賞にノミネート。

2.ドリームのあらすじ

ドリーム画像(画像出典:http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/sp/)

それではドリームのあらすじをご紹介します。

ドリームのあらすじ(ネタバレなし)

1961年、まだ白人と有色人種の人種隔離が行われているアメリカは、ソ連との宇宙開発競争に国を挙げて力を注いでいます。

当時はロケットの打ち上げなどに関する計算を、全て人間が行なっていた為、NASAのラングレー研究所には、その計算をする優秀な黒人女性が集まる部署がありました。

その中でも天才的な頭脳を持つ数学者、キャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、ある日宇宙特別開発本部に配属されます。
ところがそこは、白人男性ばかりの部署で、キャサリンは日常的に差別行為がされる環境に身を置く事になります。

一方、キャサリンの同僚のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)とメアリー(ジャネール・モネイ)も、人種差別や性差別による理不尽な理由で、それぞれがキャリアアップを阻まれていました。

そんな状況でも彼女達は、強く・明るく・たくましく、自らの力で未来を切り開いて行きます。

ドリームのあらすじ(ネタバレあり)

ドリーム画像(画像出典:http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/sp/)

1961年、アメリカはソ連との熾烈な宇宙開発競争の最中、世界初の人工衛星の打ち上げに先を越され、有人宇宙飛行「マーキュリー計画」をアメリカが世界初の快挙として成し遂げられるかに、国民の注目が集まっていました。

NASAのラングレー研究所では、ロケットの打ち上げに必要な計算を人力で行う、優秀な黒人女性達がいる「西計算グループ」が、白人と有色人種の分離政策により、研究所の端にひっそりと存在しています。

その中で天才的な数学者のキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)は、西計算グループから、宇宙特別開発本部(スペース・タスク・グループ/通称:STG)の計算係に配属されます。

白人男性ばかりのSTGは初の黒人女性スタッフであるキャサリンに冷たく、彼女が来てからは、1つしか無かったコーヒーポットも「白人用」「非白人用」の2つに分けられ、トイレに行くにも800m離れた「非白人用トイレ」へ行かなければなりません。

一方、キャサリンの同僚のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)とメアリー(ジャネール・モネイ)も、差別が生む理不尽な理由で、そのキャリアを阻まれていました。

西計算グループの白人管理職が辞めてから、管理職代行として皆をまとめているドロシーは、白人女性の上司ミッチェル(キルスティン・ダンスト)へ、いつ自分が管理職になれるのか質問するも「黒人グループには管理職を置かない。」と一蹴されます。

技術部の博士から能力を見込まれて引き抜かれ、エンジニアへの転向を勧められたメアリーがダメ元でエンジニア養成プログラムへの参加を志願するも、プログラムの参加には、白人専用の学校で勉強する事が条件という、理不尽な社内規定を見せられます。

そんな3人もプライベートでは家庭を守る母親で、家族ぐるみで交流があり、お互いの理不尽な環境を愚痴りつつも、明るく支え合っています。

キャサリンはその優秀な頭脳が認められ、上司のハリソン(ケビン・コスナー)から信頼され始め、メアリーは裁判で黒人女性が白人専用の高校へ通学出来る権利を勝ち取ります。

ドロシーは最新のコンピューターIBMが導入された事で、今後必要になるのは計算能力ではなく、コンピューター言語を操れるプログラミング能力になると先読みし、西計算グループの女性達にプログラミングを教え始めるなど、3人とも自分達が描く未来に向かって進んで行きます。

1961年4月12日、世界初の有人宇宙飛行もソ連に先を越され、NASAへのプレッシャーが更に強まり、STGも益々忙しくなります。

ハリソンは、多忙を極める最中、キャサリンが毎日、長時間離席して事を咎め、理由を訊ねます。

そこでキャサリンは、「非白人用トイレ」が離れた場所にしか無い為、トイレに立つだけで長時間離席しなければならない事や、「非白人用」としてコーヒーポットが分けられている事など、差別の現状を切実に訴えます。

それを聞いたハリソンは、すぐにトイレやコーヒーポットの「非白人用」というプレートを取り外し、差別を廃止する行為を他のスタッフの前で示します。

キャサリンは重役達が揃う会議で、見事な計算でロケットの落下地点の予測をし、その計算ぶりに実際にロケットに乗り込むグレン(グレン・パウエル)から絶大な信頼を寄せられます。

夫と死別してから、母と一緒に3人の子供を育てていたキャサリンは、教会で出会った中佐のジム(マハーシャラ・アリ)と結婚する事になり、充実したプライベートを送ります。

ドロシーは読みが当たり、西計算グループの女性達を引き連れ、IBMの技術者として活躍するようになります。

1962年2月20日、マーキュリー計画実行の日、打ち上げ直前に計算のトラブルが発覚した事を知ったグレンは、キャサリンに検算をして欲しいとハリソンに伝え、IBMの導入後、STGの計算係から外れていたキャサリンの元に、STGのスタッフが現れ、皆が見守る中でキャサリンは検算を行い、キャサリンの検算のお陰でマーキュリー計画は成功します。

ドロシーはNASA初の黒人女性管理職のポストが与えられ、メアリーはNASA初の女性エンジニアとして活躍したという実際のエピソードと共に、エンディングでキャサリン、ドロシー、メアリー達本人の写真が紹介されます。

3.ドリームの見どころ

ドリーム画像(画像出典:http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/sp/)

次に、ドリームの見どころをご紹介します。

史実を元にした感動のストーリー!!

まず驚いたのが、ロケットの打ち上げなどの計算を人力で行っていたという事と、人種差別があった当時のアメリカで「NASAを陰で支えた3人の黒人女性達」というドラマチックな設定が、実際にあったという事です。

キャサリン、ドロシー、メアリーの3人もそれぞれ実在し、ドロシーとメアリーは残念ながらもう亡くなっていますが、キャサリン・G・ジョンソンは現在御年100歳(!)で、2015年にはオバマ前大統領から大統領自由勲章を授与されるなど、その栄光を称えられています。

ドリームはマーゴット・リー・シェタリー著作のノンフィクション小説「Hidden Figures」が原作で、映画の原題も小説と同じ「Hidden Figures」です。

このタイトルには「隠れた」「数字・人・計算」という、この映画にぴったりの複数の意味が含まれています。

邦題も、もう少し原題のニュアンスを汲んだものにすれば良かったのにと、少し残念な印象を持ちましたが、タイトルはともかく、映画の内容は素晴らしいです!

映画の舞台になっている1960年代は、実際に宇宙開発競争と、アフリカ系アメリカ人の公民権運動が行われている時代で、マーキュリー計画が実行された1962年の翌年に、キング牧師の「I Have a Dream」の演説で有名なワシントン大行進がありました。

今でこそ、大手企業の広告や商品に、差別的なニュアンスが感じられると様々な所からバッシングが飛ぶような時代になりましたが、当時のアメリカは、白人と非白人の分離政策が行われていた為、町の公共施設でも当然のように白人と非白人が分けられていました。

最先端の研究を行うNASAの研究所ですら、他の施設と同様、白人と非白人で建物が分かれていたような時代に、黒人であり、女性でもある彼女達へ向けられる差別的な目は、相当なものだったでしょう。

そんな中、人種差別・性差別を超えて活躍した素晴らしい女性達に、同じ女性として、リスペクトが止まりません!

この映画を通じて、今まで一般には知られていなかった彼女達の活躍が、多くの人に伝わる事を願います。

マイノリティ同士の支え合い

ドリーム画像(画像出典:http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/sp/)

メアリーがエンジニアを目指すきっかけになったのは、彼女を技術部に引き抜いたゼリンスキー博士(オルク・クレパ)の言葉でした。

「黒人女性だから」とエンジニアを諦めていたメアリーに、ゼリンスキー博士は、自分は元ユダヤ人で、両親は収容所で死んだが、自分は今NASAでロケットの開発をしていると伝えます。

「我々は夢を生きているんだ。」

と、かつて迫害された歴史のある、元ユダヤ人の博士が言うからこそ、とても重みがある言葉です。

この映画では人種差別について、そこまで酷く表現されていませんが、それでもあまりに露骨な差別表現に、前半は観ていて何度も苛立ちました。

でもピリピリとした差別シーンの後には必ずキャサリン達がプライベートで、仲間や家族達と過ごすシーンがあり、研究所とは打って変わって笑顔に溢れ、生き生きと楽しそうにしている彼女達の姿を見ると、こちらもホッと肩の力が抜けます。

3人が愚痴を言いながら笑い合ったり、休みの日に一緒にお酒を飲んで踊ったりしているシーンから、彼女達の絆や支え合っている様子がとても伝わります。

また、それぞれが家族を大切にし、家族ぐるみで仲良く過ごす様子も、とても印象的です。

劣悪な環境でも、めげずに前を向き続ける彼女達の強さはどこから来るのだろうと思いましたが、支え合う仲間の存在が、彼女達に力を与えていたのだと感じました。

後半、ジムがキャサリンにプロポーズするシーンは、個人的に、今まで観た映画の中でもトップクラスで好きなプロポーズシーンです。

キャサリンへのプロポーズで、これ以上の正解は無いでしょう!と思える、観ている方も一緒に幸せな気持ちになれるシーンです。

頭脳を武器に差別と闘う!

ドリーム画像(画像出典:http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/sp/)

映画の中でも差別に抗議するデモが登場しますが、キャサリン達は、そのような行動はしません。

自分達のやるべき事を常に考え、それを淡々とこなす事で、周りが彼女達の能力を認めざるを得ない状況を作っていきます。

所々で、彼女達の才知が分かるシーンが登場しますが、今回はその中でも特に印象に残った、メアリーの裁判でのプレゼン力をご紹介します。

メアリーがエンジニア養成プログラムへ志願すると、社内規定が変更され、白人専用の学校で学ぶ条件が追加されます。

その理不尽な規定に基づいて、白人専用の高校へ行く許可を得る為に、メアリーは裁判をします。

そこで判事から、何故、白人専用の学校へ行きたいのか尋ねられます。

普通なら、すぐにその理由を述べる所ですが、メアリーは違います。

判事の目を真っ直ぐ見ながら、彼が一族で初の軍人になった事や、一族初の大卒者になった事を

「前例となる事の重みは誰よりもご存知のはず。」

と話し始めます。

次に、アメリカ国民が最大の関心を寄せている宇宙飛行の話を

「今まで宇宙に行ったアメリカ人もいなかった。」

と伝え、そこで、自分はNASAのエンジニアになる為に、白人専用の高校へ通う、前例を作る必要があると伝えます。

最後には、

「今日、処理する案件で、100年後も意義があるものは?あなたが前例になれるものは?」

と、さり気なく、この判決によって、歴史に名を残す前例を作れるかもしれないと、判事のメリットもチラつかせます。

この裁判のシーンの会話の組み立て方は本当見事で、観ていてシビれました。

哲学者アリストテレスが説いた、人を説得する為の弁論術では「話し手の信頼性」「聞き手の感情を誘導する」「論理的な説明」の3要素が大切だと言われていますが、メアリーのスピーチは、それら全てが含まれています。

3人の中でも口が達者なメアリーの素晴らしいスピーチが、歌手であるジャネール・モネイの美しい声で繰り広げられる、とても見ごたえのあるシーンです。

日本人も「無自覚の差別」にハッとする?

ドリーム画像(画像出典:https://www.hmv.co.jp)

物語の終盤で、ドロシーのIBM技術者としての活躍を目の当たりにしたミッチェルは、これから白人女性もドロシーの元でプログラミングを学ばせたい為、彼女との関係を良くしようと、自分は彼女達に対する偏見を持っていないという事をアピールしますが、ドロシーは

「ええ、分かっています。そう思い込んでいるのは。」

と、告げてその場を去ります。

ドロシーが去ったトイレで一人立ち尽くすミッチェル。

分離政策のような目に見える差別よりも、もっと根深くて深刻な「無自覚の差別」に気付かされる瞬間でした。

日本では、あからさまな人種差別はありませんが、それでもマイノリティの人々に対して「無自覚の差別」は行われていないか?また、自分自身も「無自覚の差別」をしていないか?と、ミッチェルと共にハッとする瞬間でした。

映画では、キャサリン達黒人女性の周りで働く白人達が、自身の「無自覚の差別」を自覚し、少しずつ、氷が解けるように、差別が無くなっていく様子が描かれています。

映画のラストに、仕事をしているキャサリンに、STGのヘッドエンジニアで、それまで彼女の活躍を妨害していたポール(ジム・パーソンズ)があるものを渡します。

言葉が無いそのシーンでのポールの表情や細かい仕草から、彼の意識の変化が読み取れるので、お見逃しなく!

アメリカ国民の夢の実現に向けて、全員が同じ目標を持って働いているNASAという職場だったからこそ、一般の職場よりも、彼女達の能力が評価されたのかもしれません。

でも、もし、肌の色や性別に関わらず、個人の能力に相応しい仕事や環境が、もっと早く与えられていたら、アメリカとソ連の宇宙開発競争の歴史が変わっていたのでは?と思わずにはいられません。

4.ドリームをおすすめしたい人

ドリーム画像(画像出典:https://www.hmv.co.jp)

ドリームは「宇宙開発」や「差別」がテーマですが、ところどころに笑いもあり、シリアスになり過ぎずに楽しめる映画です。

女性が活躍する映画なので女性はもちろんのこと、こんな人達におすすめです。

ファレル・ウィリアムスやブラックミュージックが好きな人

本作の魅力を語る上で、ファレル・ウィリアムスの音楽は欠かせません。

映画音楽の巨匠ハンス・ジマー、様々な映画音楽で活躍するベンジャミン・ウォルフィッシュと共に、ファレル・ウィリアムスが映画の為に書下ろした曲が、差別をテーマにした映画にも関わらず、明るい雰囲気にしています。

また、ゲストボーカルとしてアリシア・キーズメアリー・J・ブライジの他、映画にもメアリー役で登場しているジャネール・モネイも歌っています。

ジャズピアニストの名手、ハービー・ハンコックも演奏に参加するなど、とても豪華メンバーが参加している曲の数々に音楽ファンも納得の仕上がりです。

働いている人

(画像出典:https://www.hmv.co.jp)

映画のポスターに「すべての働く人々に送る、勇気と感動の実話」とある通り、すべての働いている人に観て頂きたいです。

見どころでご紹介した、メアリーのスピーチ以外にも、上司が急いでいるタイミングで交渉し「YES」の返事をもらうキャサリンや、先を読み「これから求められる仕事」の勉強を始めるドロシーなど、ビジネスパーソンに役立ちそうなシーンが度々登場します。

特に、新しい仕事を始めたばかり・移動したばかり・会社から正当に評価されていないと感じる時などに観ると、いつも明るく、背筋をピンと伸ばし、自分の能力を信じて、自発的に仕事をする彼女達に、とても勇気をもらえるはずです。

彼女達の仕事ぶりから、真似できそうな部分を取り入れて行くうちに、自分を取り巻く環境に変化が現れるかもしれませんね。

サクセスストーリーが好きな人

ドリーム画像(画像出典:https://www.hmv.co.jp)

サクセスストーリーが好きな人は、観るべき映画です!

この映画では、主人公のキャサリンだけでなく、同僚のドロシーやメアリーのサクセスストーリーでもあるので、3人の活躍にとてもワクワクします。

キャサリンの能力が白人達に伝わるシーンで、発言の後にキャサリンが眼鏡をクイッと直す、一瞬のドヤ顔タイムは画面を観ているこちらも一緒にドヤ顔になります。

サクセスストーリーにはつきものの、前半の主人公達が虐げられる描写は、本作でも差別として表現されていますが、そこをグッとこらえると、後半は彼女達の活躍にスカッとするのでお楽しみに!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です