【ネタバレ】超難解!?映画ダ・ヴィンチ・コード20分でわかるあらすじ完全解説

ダヴィンチコード ポスター

こんにちは、エンタメブリッジライターしおりです!

今回ご紹介するのは世界中で物議を醸した不朽の名作ダ・ヴィンチ・コード。

原作ダ・ヴィンチ・コードの面白いところは、1ページ目に、

この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている。

とドンと書かれているところですね。

すでにここからが小説なのです。

例えるなら1ページ目でディズニーランドのゲートの門をくぐるようなもの。

でも、ディズニーランドのゲートに、

この遊園地における夢のような世界、着ぐるみ、ショー、アトラクションはすべて事実に基づいている。

とは書かれていませんね。

でもひとたび門をくぐればそこに「完璧なまでの仮想現実」があります。

普段は全く興味ないミッキーマウスに手を振り、写真を撮ってくれとせがみ、中にどんな人間が入ってるやもしれぬ着ぐるみ(失敬)に私たちは興奮と悦楽を得て1日7500円もの大金を払うんです。

原作ダ・ヴィンチ・コードは6000万部の大ベストセラーとなり、バチカンはカトリック教理に反するとして公的に批判、キリスト教だけでなくムスリム団体からも「イエスの冒涜だ!」と反対運動が起こりました。

これらすべてはダン・ブラウンの思惑通りだったのでしょうか?…と勘ぐるほど精緻なストーリーのダ・ヴィンチ・コード。

ダ・ヴィンチ・コードは広辞苑10冊分ほどの豊富な知識と、それを結び合わせたダン・ブラウンの天才的エンターテイメントと言える作品です。

著者自身、この小説と映画に何か崇高な仕掛けをしているに違いありません。

欧米人は死ぬ間際に自分は天国か地獄かの裁きを恐れると言いますが、よもや地獄に堕ちるために描いた作品ではないでしょう。

この小説や映画を創作することでやり遂げたかったことは何でしょうか?

ダン・ブラウンにダ・ヴィンチ・コードを書かせた動機の探求こそ、ダ・ヴィンチ・コードを観る力を養える唯一の手段だと私は思います。

残念ながら、そのためにはこの映画がわかるほど教養が引き上げられる必要があります…(というわけで教養のなかった私は、10冊近くの関連本を読み漁ってようやくレビューを書くに至りました…)。

これでも私はクリスチャンで、「キリスト用語?そんなのお茶の子さいさいよ!かかってきなさいフフンフン♪」とタカをくくって観た結果、、、自身の信仰の薄さがたたってか、とても1度見ただけではストーリーも細かくはほぼワケがわかりませんでした…。

ということで今回はこの超難解なダ・ヴィンチ・コードについて、あらすじ、解説、見どころを「目指せ20分以内に完全把握!」を目標にレビューしていきたいと思います!

1.ダ・ヴィンチ・コードの作品紹介

公開日:2006年5月19日 (アメリカ)
監督:ロン・ハワード(Ron Howard)
原作者:ダン・ブラウン(Dan Brown)
原作:ダ・ヴィンチ・コード(The Da Vinci Code)
出演者:トム・ハンクス(Tom Hanks)、オドレイ・トトゥ(Audrey Tautou)、イアン・マッケラン(Ian McKellen)、アルフレッド・モリーナ(Alfred Molina)、ユルゲン・プロホノフ(Jürgen Prochnow)、ポール・ベタニー (Paul Bettany)、ジャン・レノ(Jean Reno)。
受賞歴:ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)にて、最悪監督賞にノミネート。

2.ダ・ヴィンチ・コードのあらすじ

ダヴィンチコード 画像1 ネタバレ
画像出典:https://www.netflix.com/

あらすじは書けば書くほど複雑極まります…これぞダ・ヴィンチ・コード。

あらすじは「10分以内に楽しく読める!」を目標に簡略化してまとめます。

映画の内容が本当か嘘か?といった小難しい議論は神学者や歴史学者にまかせておくとして、あくまで映画のストーリーに即して書きますね。

ダ・ヴィンチ・コードのあらすじ(ネタバレなし)

オープニングのロゴ「DA VINCI CODE」は、まずVが1番に浮かび上がるのでよく見ていてください。

なぜ「V」が1番なの?ってことがわかればダ・ヴィンチ・コードがすべてわかったのと同じ。

主人公は宗教象徴学者でハーバード大教授のロバート・ラングドン(トム・ハンクス)。

宗教象徴学って何よ?となじみのない言葉ですが、要は古代から使われてきた宗教のシンボル(星、ハート、槍、トランプやタロットカードのマークなど)が歴史や世界的にどんな象徴や暗号に使われてきたのか?に詳しい学者です。

そんなラングドン教授がパリで講演をしていたとき、突然ある殺人事件の第1容疑者にされて、現場のルーブル美術館へ連行されます。

亡くなった被害者は20年ルーブル美術館館長を勤めていた老人ソニエール。

真犯人は、深夜に黒い法衣を着て現れた不法侵入者、色素欠乏症(アルビノ)の男、シラスなんですが、なぜかラングドンが疑われてしまいます(その理由はネタバレありで解説!)。

シラスは「オプス・デイ」という教皇直属のカトリック原理主義団体に所属しており、キリストの十字架刑の痛みを、自分にムチ打つなどして自らも味わう過酷な出家信者です。

シラスが館長ソニエールを殺すときの会話は、

シラス「お前は“所有権のない物”を持っている。場所を教えろ」

ソニエール「サン・シュピルス教会のローズ・ラインの下にある」

はい、なんのこっちゃ、わけわかりませんね。「所有権のない物」って何でしょうか?

サン・シュピルス教会は、フランスにある教会です。

ローズ・ラインとは「北極と南極を結ぶ経度の線」のことで、その昔イギリスのグリニッジ天文台ではなくパリが経度0地点だったらしいです。

そのラインがパリやこの教会も突っ切っていて、道路上や床に目印があるんですね。

そんなシラスにズドンと銃で撃ちぬかれたソニエールですが、幸い胃に撃たれて絶命まで約15分ありました。

その間にダイイング・メッセージとして暗号を書いて死にます。

シラスは逃亡し、代わりに第1容疑者として冤罪で連行されてやってきたラングドンは、死体を見てドン引き。

ソニエールは、レオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」をそっくりそのまま真似た格好で死んでおり、胸に五芒星(私たちが普段イメージする星マーク)を描いてました。
画像出典:https://art069.com/

そして床にはこの文言。

13ー3-2-21-1-1-8-5

O, Draconian devil!

Oh, lame saint!

(ドラコンのごとき悪魔め!役に立たぬ聖人め!)

はい、なんのこっちゃ、またわけがわからないダイイング・メッセージ。

そこへフランス警察暗号解読官のソフィー(オドレイ・トトゥ)がやってきて、ラングドンと手を取り合って事件解決に向けて動き出します。

ダ・ヴィンチ・コードのあらすじ(ネタバレあり)

ダヴィンチコード 画像 ネタバレ
画像出典:https://www.netflix.com/

まず先に話の大筋を言っておきます。

要するにダ・ヴィンチ・コードは「聖杯」を巡る争いの話です。

「聖杯って何?価値あるものなの?」とキリスト教基盤のない日本では思ってしまいますね。

聖杯とは最後の晩餐で、翌日処刑されることを知っていたイエス・キリストが「これは私の血だ」と中にワインを入れ、それを使徒12人と回してシェアしました。

その伝統は今も続いていて、教会では定期的に「聖餐式(せいさんしき)」という儀式があり、私も定期的に「キリストの血と体」を象徴するぶどうジュースとパン(教会によってはせんべい)が1人1人に配られ、祈りながらいただきます。

聖杯はそれだけでなく、イエスが十字架刑に降ろされたときの血の受け皿でもあり、信徒にとって聖なるものなんです(って今実際の生活では都市伝説程度なもので、少なくとも私と信徒たちの会話にはでてきませんが…)。

これを取り合うのが以下3組織で、聖杯を欲しがる目的も用途も異なります。

  • シオン修道会:ソニエール、レオナル・ド・ダヴィンチ、ニュートンが所属。1000年前から存続する秘密結社。聖杯のありかを唯一知り、守る組織。異教や女神崇拝も取り入れており、特にマグダラのマリアを信仰。
  • オプス・デイ:シラス、アリンガローサ司教、ファーシュ警部が所属。教皇直轄のカトリック原理主義グループ。信徒の過激な修行や浪費でゴシップ欄を騒がせ、原作ではバチカンから半年以内に解散命令を出されている。映画ではシオン修道会と対立。イタリア枢機卿らと連携して聖杯を破壊する”影の評議会”を組織している。
  • 導師:ダ・ヴィンチ・コードのフィクション人物。シラスを電話で操っている聖杯マニアの男。聖杯のありかを見つけ「イエスを神ではなく人間」に貶めて、キリスト教そのものの歴史を覆したい「真実」信仰。実はラングドンの友人で研究者リーというオチ。

ソニエールは、シオン修道会の総長だったため、聖杯を持っていたから口を割らされて殺されたわけです。

聖杯を保有するメリットは、権力、交渉ツール、売れば莫大なお金になる…といったものでしょうが、映画ではもっともっと深い意味でこの聖杯が守られます。

それは「聖杯が見つかると、イエスが神から人間になり下がる」「キリスト教自体が崩壊する」という世界観。

「聖杯はどこか?」ではなく「聖杯は何か?」と考えることがこの映画のキモなんです。

実は聖杯はカップという物ではなく、ダ・ヴィンチ・コードでは「イエスと結婚していたマグダラのマリアの子宮」ってことになります。

マグダラのマリアって皆さんご存じですか?

聖書にはマリアと名の付く女性がたくさん出てきますが(イエスの母マリアもそうですね)、マグダラのマリアとは聖書の有名な人物で、なぜか「娼婦」のあだ名で有名な女性。

マグダラのマリアはイエスと行動を共にした熱心な弟子の1人でした。

ただ娼婦という根拠は聖書には全くなく、マグダラのマリアの罪に関しては「7つの悪霊に取りつかれていた」としか書かれていません(私もノンクリスチャンだったときは娼婦だと思ってたんだけど…(恥))。

ただイエスに付き従った女性弟子であったことは間違いなく、イエスの十字架刑を見届け、またイエスの死後1番に墓を確認しに行ったのもマグダラのマリアです。

ダヴィンチ・コードでは、このマグダラのマリアはイエスと結婚して子供まで作っており、「イエスの子を宿した聖なる女性」とされ、「聖杯とはマグダラのマリアのお墓と、イエスとマリアの末裔」と逆に信仰の対象にまで引き上げようとします。

そのマグダラのマリアの墓の場所に関する一世一代の秘密を1000年以上守っているのがシオン修道会なんですね(原作だと、2000年のミレニアムで終末が来ると明かす予定だったらしいけど、明かさないから真実信仰の老人リーが怒ってます)。

なんで映画のタイトルがダ・ヴィンチ・コードなのかというと、レオナルド・ダ・ヴィンチもまたシオン修道会の総長だったからです。

あらすじに戻ると、ラングドンが容疑をかけられて連行された理由は、殺されたソニエールがダイイング・メッセージに、

P.S. Find Robert Rungdon.

と書かれていたからでした。

ぱっと見「追伸:ロバート・ラングドンを探せ!」と見えますね。

でも、フランス警察暗号捜査官のソフィーはラングドンが犯人でないと最初から断定。

なぜなら、ソニエールはソフィーの祖父だったからです。

「P.S.=プリンセス・ソフィー」と子供のころあだ名で呼ばれていたから、これは自分へのメッセージだと思ったわけです。

この夜殺されたのはソニエールだけでなく、シオン修道会で聖杯のありかを知る3人参事もシラスに殺されてしまいました。

今や誰もありかがわからなくなり、外部で孫のソフィーにソニエールは「聖杯を頼む」と暗号で託したわけです。

ちなみにソフィーは事故で両親と兄を亡くしていて、祖父ソニエールとも学生時代から10年間会っていませんでした。

「ラングドンを探せ」と付け加えた理由は、象徴解読と歴史に詳しいラングドンの力がないと探せないとわかっていたからでしょう(原作では「失われた聖女の象徴」というラングドンの著書を、編集者がソニエールに頼んで推薦文を書くことになっています)

そんなこんなで、ここからは暗号を解い進む、解いては進むという「世界1難しい借り物競争」が始まりますので、2人が事件解決のために何を解読し、何をやり遂げたのか?場所ごとに解説していきます。

【ルーブル美術館】


画像出典:https://www.netflix.com/

ソニエールのメッセージが暗号だと気づいた2人は、アナグラム(文字をランダムに組み合わせただけの文章)と気づき、文字を並び替えて、

Leonardo DA Vinci The Mona Lisa(レオナルド・ダ・ヴィンチ モナ・リザ)

と「モナ・リザだ!」と絵の場所へ移動。

するとモナ・リザの絵にも同じような暗号があり、アナグラムで「モナ・リザ」→「岩窟の聖母」とダ・ヴィンチの絵を次々と追って行くと、最終的に絵の裏から鍵がチョリンと落ちてきました。

鍵に百合の紋章がついていたことで、ラングドンは「これはシオン修道会のものだ!」と確信します(百合はシオン修道会の公式紋章)。

鍵はソニエールの所有物であり、パリにある貸金庫を開けるキーでした。

警察を振り切って、貸金庫の銀行まで車でぶっ飛ばす2人ですが、このシーンで「レ・ミゼラブル」の看板がチラッと映るのは、その著者ユーゴーもまたシオン修道会総長だったからです。

そのころオプス・デイのアリンガローサ司教は、イタリア枢機卿らと会議。

アリンガローサ司教はなぜか枢機卿らに「2000万ユーロをくれ」(約24.4億円)と大金を歎願します。

なぜそんな大金を枢機卿に頼むかと言うと、アリンガローサは”導師”と名乗る謎の人物がシラスを通して聖杯のありかを探し出したとして、見返りに”導師”に2000万ユーロも払わなきゃいけないから。

アリンガローサはカトリックの教理を守るために、聖杯を始末する(マグダラのマリアの棺を壊す、末裔がいるなら殺す)とう責務を密かに背負っています。

しかし、愛弟子シラスが勝手に直接”導師”と連絡を取って、聖杯探しのために4人を殺人…色んな意味で大ピンチの状況なんです。

この時点では、シラスもアリンガローサ司教も、自分が導師の将棋の駒であり、ぜ~んぶ聖杯が欲しいだけの強欲な導師に操られていることには全く気づいていません。

【チューリッヒ保管銀行】

ダヴィンチコード 画像 クリプテックス
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ラングドンとソフィーが貸金庫から引き出したのは、バラのマークがついた木箱でした。

「My God…」とラングドンが顔をしかめたのは、5弁のバラもまた聖杯、そしてマグダラのマリアのシンボルだからです。

ちなみにソニエールが死ぬとき自分の胸に描いた星も、かつては女神の象徴だったとか。

木箱を開けると「クリプテックス」というレオナルド・ダ・ヴィンチの発明品が入っていました。

クリプテックスとは、5列のアルファベットを組み合わせなければ蓋が開かない謎の瓶。

その組み合わせの数なんと26文字×5の5乗で1200万通り…気の遠くなる数字です。

しかも中にはパピルスが入っており、囲いにビネガーが入っているため、無理に割るとビネガーがパピルスを溶かし永久にその文書の内容は失われます(ただレオナルドが実際に作ったという根拠はなく酢でパピルスも溶けません)。

つまり次の借り物競争はこれ⇒「5文字の組み合わせを探せ」。

ただ、ソフィーはこのクリプテックスに見覚えがあると告白。

子供の頃、もっと簡単な積み木の文字合わせとかでソニエールに遊ばされていたんです(大人になってソフィーをシオン修道会に引き入れる訓練だった)。

んが、銀行側も2人が殺人容疑と逃亡容疑の指名手配犯と気づき、通報されてまた逃走。

その頃シラスは、殺した4人が口をそろえて言った聖杯のありか、「サン・シュピルス教会の床のローズ・ライン」を斧で掘っていました。

しかし出て来たのは「JOB 38:11(ヨブ記38章11節)」と言う岩だけ。

ヨブ記ってのは旧約聖書の最も暗~い箇所で、「ヨブ」と聞いただけでクリスチャンは嫌な予感がしますね…。

案の定、殺されたソニエールと参事3人は「聖杯のありかを尋ねられたら同じ嘘を言うこと」を口裏を合わせていたので、ヨブ記38章11節「これ以上先に進むな」ってメッセージにシラスは激昂。

この教会の門番をしていた修道女も実は隠れシオン修道会員だったのですが、シラスはこの修道女まで腹を立てて殺してしまいました。

トータル、シラス5人目の殺人です…。

【リー・ティービング邸宅】

ダヴィンチコード 画像 ティーピング
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クリプテックスが開けられず、お手上げになった2人は聖杯マニアで研究者の老人リーの元を訪れることにしました。

実はこれもリーの思惑通り(原作ではリー宅にはルーブル美術館他、主要機関に盗聴器を仕掛けており、ラングドンの豊富な知識欲しさにおびきよせたわけ)。

リーは小児麻痺で足が不自由なので、両杖をついた生活です。

リーには執事の男性レミーが仕えていますが、このワーキングプアのレミーがのちのキーパーソンになりますのでよく覚えておいてください。

要するに、このリーと執事レミーはグルになって聖杯探しをしているんです(とはいえレミーは聖杯自体には何の興味身のなく、見つかったらリーから報酬をもらえて執事卒業!って約束だから手伝ってやってるだけ)。

リーはレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」をスクリーンに映してソフィーにかの有名なプレゼンを始めます。

そしてダ・ヴィンチ・コード最大の仮説、「最後の晩餐のキリストの隣の人物はマグダラのマリアである」を力説。

下の図のように、黄色がマグダラのマリアで、青のMのように2人は作為的にM字になるよう線対象に描かれているとし、その間には赤のようなV字の杯の形ができあがることもプレゼンします。

ダヴィンチコード 最後の晩餐
画像出典:https://www.youtube.com/

ラングドンはあくまで「仮説にすぎないよ」と冷静沈着な立場を崩さない上で、宗教象徴学の観点から補足をします。

  • △:男性、男根、剣、攻撃性の象徴。
  • ▽:女性、子宮の象徴。

さらにリーは続けます。

ちょっと難しい歴史の話ですが、今のキリスト教の聖書基盤ができたのは325年ニケーア公会議。

250人以上の主教が集まって、「イエスは人間ではなく神だ」という説が採用されました。

なぜならそのほうが時の皇帝、コンスタンティヌス帝には都合がよかったからです。

クリスチャン人口が増大し、異教徒とクリスチャンの争いが絶えなくなったローマで、コンスタンティヌスは世界初キリスト教を国教化。

ところがリーは、そこでふるいに落とされてしまった「ピリポの福音書」「マグダラのマリア福音書」を持ち出して、「イエス人間説」を力説するんです。

あ、福音書とは弟子たちがイエスの教えと言動を書き留めた記録で、今の聖書には「マタイの福音書」「マルコの福音書」「ルカの福音書」「ヨハネの福音書」の4人の弟子が書いた記録が収められています。

しかしリーはイエス人間説を解いた採用されなかった他の福音書を持ち出して、「マグダラのマリアはイエスの連れ(当時の言葉で配偶者)だった」「本来教会のリーダーになるのはペテロではなくマグダラのマリアだった」と力説。

さらにリーは、「イエスの子を宿したマグダラのマリアはフランスに逃げて、娘サラを出産した」と主張。

これぞ「人類史上最大の隠ぺい工作だ」と。

しかも、熱心な弟子であったマグダラのマリアの地位を作為的に「娼婦」に貶めたのが、6世紀のカトリックだと主張。

映画ではこの「婚姻と子作り」のみにおいて、「イエス人間説」の根拠としますがちょっと弱いですね。

原作では「イエス人間だった説」にリーは80ページ分も割いて説明しますw

クリスチャンにとってはこれぞまさに信仰を試される箇所ですが、信仰弱き私は恥ずかしながら途中で「こんなもの読んでられん!ふんぬ!」と本を投げつけそうになりましたw

ただ、ラングドンはマグダラのマリアが女児を出産したと聞くと、血相を変えてこう言うのです。

異教徒は男女の交接で神の次元に到達するとしていた。

女性が天国への道だった。

だが近代の教会は「救いに導くのは自分たちだ」と。

教会にとって女性は脅威だ。

”魔女狩り”ってのがあるでしょう?

あれは中世の異端諮問なんですが、300年で5万人、いや、数百万の女性が殺されたと言います。

リーはこれを「キリストの末裔を根絶やしにしようとするカトリックの陰謀だった」と主張。

そしてクリプテックスを見たリーは、中には「聖杯(マグダラのマリアのお墓)への地図が入っている」と教えてくれました。

リー曰く、「聖杯はバラの下に眠る」のだそう。

ソフィーが亡くなった祖父ソニエールと疎遠になった理由は、寄宿舎を抜け出して帰ったとき、祖父が女性たちと仮面を被ってセックスをする儀式をしていたからでした(ヒエロス=ガモスというやつ)。

「男性が天国に行くには命を産み出す女性を通じてのみである」という、古代エジプトに根ざした聖職者の男女が生殖能力を称える聖なる婚姻儀式なのですが、ソフィーはこれにドン引きして2度と顔を合わせなかったのです(そりゃそうか?)。

【リーの自家用ジェット機】

ダヴィンチコード クリプテックス あらすじ
画像出典:https://www.netflix.com/

そのとき、シラスが銃を持ってリー邸宅に押し入ってきました。

「キー・ストーン(クリプテックス)を渡せ」と脅迫。

そして、ラングドンとソフィーを追ってきた警察も到着しました。

八方塞がりとなった3人ですが、執事レミーがシラスを縛り上げて、そのまま自家用ジェットに乗っけてまたまた全員逃亡します。

シラスを生かしておいた理由は、その痛々しい修行痕からオプス・デイの人物とわかったからで「何か知っているかもしれない」ってことで一緒に自家用ジェットに詰め込まれたんです。

リー「私たちは昔から続いている戦争に巻き込まれた。

一方にはシオン修道会がおり、もう一方には高い地位のメンバーが集まる影の評議会がいる。

影の評議会はキリストの血脈の証拠を消そうとして、はるか昔からキリストの末裔を見つけ出し殺してきたんだよ。」

ソフィーはこのセリフで、目の前にいる影の評議会所属のオプス・デイの信徒のシラスが祖父を殺した犯人だと察知。

機内で『てめーなんか地獄に落ちる!』と激怒のビンタ2発。

ラングドンは「聖杯はバラの下に眠る」という先ほどのリーの言葉にピンと来て、木箱にあるバラ模様の下のネジを開けました。

するとコロンと蓋が取れて、4行のメッセージが書かれた金属片の新たな借り物競争が出てきました。

レオナル・ド・ダヴィンチが得意とした、鏡で反転させた暗号です(レオナルドが左利きだったので鏡文字が得意だったこと、著作権法がない時代に発明品を守るのに有効だったという説が有力)。

In London lies a knight A Pope interred.
His labor’s fruit a Holy wrath incurred.
You seek the ought be on his tomb.
It speaks of Rosy flesh and seeded womb.

教皇の葬った騎士がロンドンに眠る。
彼の辛苦の果は神の怒りを招く。
その墓を飾るべき球体を求めよ。
それはバラの肉と種宿る胎(はら)を表す。

騎士が眠る⇒ロンドンのテンプル教会だ!と気づいた一行は、身元引き渡し条約のないスイスへ渡航予定だったのを、突如ロンドンに変更。

テンプル教会とはテンプル騎士団を祀った教会です。

テンプル騎士団とは、エルサレムでの巡礼者を保護するために組織された聖職者であり兵士なのですが、ダ・ヴィンチ・コードはテンプル騎士団もまた「聖杯隠ぺいのための組織」とします。

つまりテンプル騎士団とは本当はシオン修道会が作った組織であり、巡礼者保護を名目にマグダラのマリアのお墓を守っていたという事実です。

ダヴィンチコード 画像 マグダラのマリア
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テンプル騎士団はその後、中世のヨーロッパ、ユーラシア、アフリカの3大陸で数万人規模の絶大な権力と富を誇る組織となりましたが、1307年10月13日金曜日、突如ローマ教皇からの勅令で「悪魔崇拝の異端者」として大虐殺が行われ、根絶やしにされました(生き残った人が秘密結社フリーメイソンになっているという伝説もあり)。

これが「13日の金曜日」として恐れられる起源ですが、そうこうしているうちに一行はテンプル教会に到着。

ここでプチどんでん返しがあります。

テンプル教会に葬られたはずの騎士は彫像であって本物の墓ではなく「ここじゃなさそうね」と出ようとしたところ、ジャジャーン!とシラスが再び登場!

ナイフでソフィーを人質にします。

キー・ストーン(クリプテックス)を渡せ!どこにある!

そこへ銃を持って執事レミーが援護に登場したと思いきや、レミーが銃を向けたのはなぜかラングドン…。

「え…?」って顔の全員…、まだリー&レミーのお芝居に気づいていません。

レミーは「リーをトランクに入れろ!」とシラスに指示し、シラスをロンドンのオプス・デイ宿舎に送る途中こんな会話を繰り広げます。

シラス「あなたが導師ですか…?」

レミー「そうだ」

はい、大嘘です。全部リー主導の自作自演。

その直後リーはレミーをも裏切り、海岸でレミーを毒殺しました。

リーは、シラスを通じて5人、加えてレミーまで殺し、ここから急に悪役へ様変わりします。

【ロンドンのバスの中】

ヴィンチコード 画像 ネタバレ
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「クリプテックスが開けられるまでは、リーは殺されないだろう」とまだリーの策略に気づいていないラングドンとソフィー。

バスに乗って図書館に行き、例の暗号「教皇が葬った騎士が眠る」とかいう教会がどこなのか探します。

バスの中でケータイを持ってる青年に「ちょっと貸して」と図書館のデータベースにアクセス。

London,knight,Pope,Grail(ロンドン、騎士、教皇、杯)

で検索すると、出て来たのは教皇(The Pope)ではなく、A.Popeで知られるAlexander Pope(アレクサンダー・ポープ)という人名でした。

knightは騎士以外にも「勲爵士」という中世の栄誉称号の意味があり、アレクサンダー・ポープという人物が葬儀をした故人とは「アイザック・ニュートン」でした。

あの重力の法則を発見したニュートンで、ニュートンまたシオン修道会の総長だったのです。

「君のおじいさんは天才だ!」とニュートンの墓があるウェストミンスター寺院へ移動。

【ウェストミンスター寺院】

ダヴィンチコード 画像 クリプテックス
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ここですべてが暗転。

ウェストミンスター寺院のニュートンの墓の上には太陽系の惑星たちが展示。

クリプテックスを開ける5文字を考えながら立ち尽くすラングドンですが、そこへジャジャーンとすっかり悪役のリーが銃を持って登場します。

君(ソフィー)は聖杯の最後の守護者だから、ここに呼ばれた。

おじいさん(ソニエール)と参事たちは秘密を守り通し、死の間際にも嘘をついた。

殺人者は歴史に記されると英雄になる。

敵である”影の評議会”に味方だと信じ込ませた。

私を”導師”と呼ばせた。

やっとすべての殺人の黒幕にリーがいたことを悟ったラングドンとソフィー。

リーは2人を座らせ、クリプテックスをソフィーに渡して「開けろ!開けるんだ!」と怒号を飛ばします。

本当に開け方を知らないソフィーは「I don’t know!」を連発しますが、「俺がやる、少し時間をくれ」とラングドンにタッチ交代。

その間リーが演説する内容をまとめるとこんな感じです。

2000年もの間、教会は抑圧と暴虐で人々を苦しめ、「神なるイエス」の名のもとに情熱と理念を押しつぶしてきた。

「イエスは人なり」という証明は、その悲劇を一掃し、教会はひざを屈するだろう。

「キリストは神ではなく人であった」と世に示せ!

そのころ、だまされていたことを知らず、ただオプス・デイ宿舎にいるよう指示されていたシラス。

そこへパトカーが次々と到着します。

リーは、執事レミーを殺した濡れ衣をシラスに押し付けていて、「オプス・デイの宿舎にいる僧が犯人だ!」と通報していたのです。

…とはいえ自らの手で5人も殺しているシラスに心当たりはズバリあるわけで、シラスVS警察の銃撃戦に!

シラスは警察に紛れて駆け付けた絶対に撃ってはいけないある人物を撃ってしまいました…それはアリンガローサ司教。

最初の回想でチラっと映るのですが、アリンガローサはシラスの偉大な恩師です。

色素欠乏症で生まれたシラスは「お前なんか幽霊だ!」とアル中の父親から暴力を受け、父はDVで母を殺してしまいました。

「お母さんを守ってあげられなかった…」と悔やみ、罪責感に苦しむシラスは、その後父を刺殺…スペイン辺りでホームレスになった後、監獄に入ります。

しかし監獄でも色素欠乏症のために「悪魔の目を持っている!幽霊!」とあざけりいじめられる不幸な少年だったのです。

成人後シラスは地震が起きたときに幻覚を見ました。

ぼんやりしたイエス・キリストの幻覚、そして魂の救いに来たアリンガローサの幻覚?夢?で、シラスは夢の中で監獄を脱出します。

夢からはっきり冷めた後、シラスはアリンガローサに保護されて、オプス・デイに入信してようやく神のために生きるという目的を見つけたのです。

実はこのシーン、聖書の有名な箇所のオマージュで、シラスは聖書に出てくる実在の人物。

新約聖書「使徒の働き」で、キリストの死後、パウロとシラスという弟子らが伝道に出かけたとき、迫害にあって監獄に捕らえられてしまいます。

しかし、キリストの守りがあると固く信じていた2人が讃美歌を歌うと地震が起きて鎖が取れ、監獄から解放され、ついでに看守まで心を入れ替えて神を信じたというクリスチャンにとっては感動的なシーンです。

アリンガローサはこのエピソードからこの青年を「シラス」と名付けたのでした。

そんな恩師アリンガローサ司教を殺してしまったシラスは「ああああああ!!!」と天に向かって絶叫嗚咽し、自殺するのかと思いきや銃で警察に撃たれ、「私は幽霊だ」と生まれたときの状態に戻るように亡くなりました。

本当の犠牲者とはこういう人のことを言うのでしょう…。

ダヴィンチコード 画像 シラス
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でも実は、アリンガローサ司教は一命を取り留めてまだ生きていたんです。

アリンガローサもリーに騙されていたことにようやく気づき、「We have been trade. My Son…(駆け引きに利用されていた!息子シラス!)」と保護しにきたところを撃たれてしまいました。

一方「クリプテックス開けろ」の攻防戦が続いていたウェストミンスター寺院では

ダメだ、やっぱり開けられない。

と観念したラングドンはリーに「I’m sorry.」と平謝り。

その瞬間クリプテックスを空中に放り投げ、リーが杖を放して取ろうとして転んだ瞬間瓶は割れ、しゅ~~と虚しくパピルスは酢に溶かされていきました。

リーはアリンガローサ司教の証言もあって駆け付けた警察に逮捕されます。

実はラングドンはクリプテックスを開けられていて、中の文書を取り出していました。

暗号の5文字とは「APPLE(りんご)」。

ニュートンが「りんごが落ちるのを見て重力を発見した」とは有名な話ですが、イギリス最古のりんごの花もまた女神を表す5弁の花なのです。

これにてリー劇場は終了、あとは聖杯を探すのみ!

【ロスリン礼拝堂】

ダヴィンチコード ラスト
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クリプテックスの中にあった聖杯の地図(例によって4行の詩)、これは最後の借り物競争です。

The Holy Grail ‘neath ancient Roslin waits.
Adorned in master’s loving art, She lies.
The blade and chalice guarding o’er Her gates.
She rests at last beneath starry skies.

聖杯は古(いにしえ)のロスリンの下で待つ。
匠の芸術に囲まれて。
剣と杯がそれを守る。
それは輝く星空の下で眠りにつく。

「ロスリン(Rose line)」と明記されていることからして、容易に想像がついたスコットランドのロスリン礼拝堂へラングドンとソフィーへ移動。

ロスリン礼拝堂はテンプル騎士団が建造した大聖堂で、ミトラ教に始まりユダヤ、キリスト、古代エジプト、フリー・メイソン、その他異教の象徴がたくさんある暗号の聖堂と呼ばれてます。

そこで、立ち入り禁止のところにこの紋章を見つけた2人。

ダヴィンチコード ソロモン ダビデ 象徴

ダビデの星であり、ソロモンの紋章で有名なこのマークは、剣と杯、つまり男女が融合したシンボルです(ついでに円環も完全な融合の象徴らしい)。

地下に降りると、そこは絵画や彫刻かたくさん展示されていて、天井に五芒星のマークがたくさんありました。

しかし、マグダラのマリアの棺があったと思われる場所には1輪のバラが置かれていただけで、棺自体はありません。

ここで大どんでん返しが起こります。

古文書の山からラングドンが見つけたのは、キリスト時代まで遡る資料、フランス最初の王朝メロヴィング朝の系譜、そしてソフィー一家が事故に遭った時の新聞でした…。

新聞によるとソフィー一家の事故では、ソフィーを含む家族全員が死亡したことになっており、ソフィーの苗字はソニエールではなく本名「Saint-Clair(サン=クレール)」。

つまり祖父ソニエールとは血が繋がっておらず、ソフィーは新聞記事を捏造されて、唯一生き残ったサン=クレール家の娘としてソニエールに引き取られて育てられたんです。

なぜソフィーがソニエールに引き取られたのか?…それはフランス建国まで遡ります。

フランス最初の王朝メロヴィング朝とは、イエスとマグダラの子孫が姻戚関係を結んでできた王朝でした。

メロヴィング朝直系の苗字は「プランタール」か「サン=クレール」の2種類のみ。

ソニエールは、ソフィーがキリストの末裔であると知っていたからこそ、事故で家族全員を死んだことにして、自分の家にかくまって育てていたんです。

つまりダ・ヴィンチ・コードの結論は「ソフィー=キリストの末裔=聖杯」。

小さい頃おもちゃのクリプテックスで遊ばされていたのは、シオン修道会に入るためのソニエールなりの訓練だったのです。

いきなりキリストの末裔といわれ戸惑うソフィー…そこへ、教会にぞろぞろ人が集まってきました。

あなたの祖母よ。ここに来ると思っていたわ。

ソフィーは生き別れていた親戚たちや、ソフィーを影で守っていたシオン修道会の人たちと会えたのです。

祖母の話だとソニエールはマグダラのマリアのお墓の場所は誰にも言わずに亡くなったそうで、ソフィーがキリストの血を引いていることを科学的に証明することはできません。

ラングドンは「要は、何を信じるかだよ」とソフィーにアドバイス。

人と神を分ける必要があるのかな。

人が神なのかもしれない。

人の父親であるイエスが、多くの奇跡を起こしたっていいじゃないか。

そのあとソフィーが「水をワインに変える」とか言ったり、池の水面を歩いたりするそぶりはどちらもイエスが起こしたとする奇跡です。

【ルーブル美術館】

ダヴィンチコード 画像 ラスト
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これで終わりかと思いきや、フランスに帰りホテルで1人ヒゲを剃っていたラングドン。

謎は解け、容疑も晴れて、めでたしめでたし!と思っていたところへダメ押しのどんでん返し。

ラングドンはヒゲ剃りで顔を切ってしまったのですが、血が洗面台に落ちると、テンプル騎士団の剣のようになり、さらに真ん中の1本が水に流れて経度(ローズ・ライン)のようにピーーーと線を描いて伸びていったのでした。

ラングドンは最後に「本当のマグダラのマリアのお墓のある場所」についてひらめきます。

パリの道を歩きながら、もう1度最後の暗号の4行詩の意味を考えてたどっていきました。

  • パリに走るローズ・ラインの印をたどって行きついた場所はルーブル美術館(聖杯は古(いにしえ)のロスリンの下で待つ)
  • ルーブル美術館は世界最高峰の美術館(匠の芸術に囲まれて)
  • 玄関口にあるガラスの逆さまのピラミッドと、その下にある小さなピラミッド(剣と杯がそれを守る)
  • 広大な敷地で、空を見上げると満天の星空が浮かび上がります(それは輝く星空の下で眠りにつく)

つまり、ルーブル美術館の館内にある小ピラミッドこそ、マグダラのマリアの棺があったと考えるのにパーフェクトな場所だったのです。

ソニエールのすぐ目の行き届くところにあり、セキュリティも万全。

ラングドンは1人「失われた伝説の聖女」にひざまずき、古来から女神信仰の信者がやってきたのと同じように祈りをささげたのでした。

3.ダ・ヴィンチ・コードの見どころ

ダヴィンチコード 画像 聖杯
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続いて、ダ・ヴィンチ・コードの見どころを解説します。

あらすじがわかればもうわかったも同然なのですが、補足という感じで私なりに感じたこと、さらに個人的な解釈を7つ書いていきたいと思います。

ダ・ヴィンチ・コードは実話か検証!実在するソニエール

まず、信憑性について軽く説明します。

ダ・ヴィンチ・コードの元ネタにもなった文献とは、1980年代発刊の「イエスの血脈と聖杯伝説」という本。

シオン修道会もソニエールも名前は実在するもので、この本の著者はシオン修道会の現総長と名乗る男ピエール・プランタールとも面会したのだとか。

ソニエールも実在する人物で、ベランジュ=ソニエールという貧しい司祭が19世紀フランス南西部の教会にいたそうです。

そのソニエール司祭には面白い噂話があり、郊外のレンヌ・ル・シャトーという場所で「羊の皮に書かれた書物をいくつも見つけた」と一気に富を得た伝説があるのだとか。

しかしこれはただの噂で、実際にはソニエール司祭は不正に「死者のためのミサ」を行いまくっていたのだそう…。

ただソニエールの財宝伝説を、多くの人が金儲けのために利用したんです。

ソニエールの死後、実業家がレンヌ・ル・シャトーを買い取ってホテルにしたのですが「ソニエール財宝伝説」をでっち上げて流布すると、たちまちホテルは大繁盛しました。

1960年代には、先ほどのシオン修道会と名乗る総長のピエール・プランタールもレンヌ・ル・シャトーを訪れています。

シオン修道会はピエールに1956年登記された団体で実在しましたが、ダ・ヴィンチ・コードにあるほど壮大で華やいだ団体ではありません。

シオンという名前もピエールが住んでいたスイス国境近くの地名であり、そもそも土地の安い賃料を維持することが目的の修道会だったのだとか…。

やや誇大妄想の気があったらしいこのピエールは他にもたくさんの組織や結社を作り、キリストまで遡る自身の家系図まで手書きで黙々と作ったそうです。

レンヌ・ル・シャトーを訪れたピエールもまた、ソニエールの財宝伝説も悪用、ラジオプロデューサーだった人物らと面白がってアナグラム暗号文書まで作り、これらを「秘密文書(secret document)」と題してフランス国立図書館という本物の秘密文書を隠すのならば最も適さない場所に置いたそう。

しかしこの噂が「イエスの血脈と聖杯伝説」として大々的に出版されると、ピエールはあっさり「あの秘密文書は偽物だよ、ラジオプロデューサーが作った」と恐れをなして「これは神を冒涜する行為!自分は無関係!」とすくみ上がったのだとか。

そしてピエールはシオン修道会を退会し、2000年に亡くなっています。

大がかりな歴史的冗談を作ったことに成功したことは、まさにダ・ヴィンチ・コードと同じですね。

とはいえ、このシオン修道会の思想は「ある重要な思想」のおとりや隠れみのとなっていたと言います。

その思想とはヨーロッパを統合するECやEUの基盤となる思想であり、驚くことにヨーロッパ統合の話は秘密結社から起こったのだとか。

「秘密文書」に関わったラジオプロデューサーたちはルネッサンスのように「既存の価値観を壊そう」とする思想の持ち主で、だとしたらシオン修道会の大々的な宣伝も無駄ではなかったのでしょうか?

秘密結社は必ずしも悪いものではなく、他にもアメリカのUnderground Railroad(地下鉄道)という秘密結社は奴隷制が合法だった時代、奴隷を南部から北部へ亡命させる手助けをしていました。

ダ・ヴィンチ・コードの著者ダン・ブラウン自身も、ラジオプロデューサーと同じように、人生の究極的目標を「ルネッサンス的教養人になること」と掲げています。

聖杯が意味するもう1つの宗教的象徴とは?

キリスト文化の根付かない日本でも、ダ・ヴィンチ・コードが莫大な人気を博した背景には、題材選びの大胆さ、知的好奇心を煽る膨大な情報量があります。

しかし、私が目をつけたいのはピックアップされた題材が「聖杯」であること。

私たちは「聖杯」というイメージに、すでに強烈な引力で引き付けられていると私も仮説を唱えましょう!

まあ、あの形には直感的になんか受け入れてくれそうな包容力を感じますが、誰もが欲しがる魔術的力のある財宝である限り、な~んかもやもやとした葛藤を呼び起こされるのも事実ですね。

キリスト教というのは、神=善、サタン=悪の二元論をとります。

そのため私含め信徒は「悪の攻撃を退けてください」と本気で祈ります。

聖杯の起源に関しては興味深い説があり、ある初期の著述家は「聖杯は天国から中立的な天使たちがもたらしたもの」と言います。

実際に天使たちが聖杯を運ぶ絵が15世紀イギリスの絵画に残っています。

日本ではあまり聞きなれない話かもしれませんが、サタンは最初から悪だったのではなく、いわゆる堕天使ーー神の力を欲する天使のリーダーが、天使たちの3分の1を引き連れてサタン(悪)になり下がってしまった存在。

つまりある説で”聖杯の起源”とは、神の味方とサタンの味方の天使たちが争っているときに、どちらでもない天使たちが隙間をぬって運んできたんです。

このとき聖杯は「対立しあう物の間にある道」「不安と願望の中間」「善と悪の中間」の象徴になります。

その前提として他の天使たちが争っていたように、「世界が荒れ地である」という背景が必須条件なんです。

ダ・ヴィンチ・コード旋風が吹き荒れた背後の世界情勢には、911という未曽有の大規模テロやアフガン戦争がありました。

私たちの生きる世界もまた荒れ地だったのです。

その中で中立の天使が聖杯を運んだように、「自分はどう考えるか?どのように生活を築くのか?」と読者や鑑賞者が勇気をもって腰を上げて立ち上がった現象ではないでしょうか。

世界が荒れ地の状況は、今もなお続いています。

ユングに学ぶ聖杯の精神的象徴とは?

もう1つ、精神的なシンボルとしての聖杯は「分かれていたものの再結合」「その結合から生じる平和」です。

そもそもreligion(宗教)の語源はラテン語でreligo(結びつきを取り戻す)で、sym-bolという語は「結合された2つのもの」。

聖杯自体が「完全な調和の中心」を象徴し、「完全性や全体性の統一」の探索を象徴します。

映画ではラスト、ラングドンがソフィーにおでこにチュッで終わっていますが、原作ではこの2人はきっちりディナーの約束をして一歩踏み込んだ恋愛関係に発展しています(そりゃこんだけ苦楽を共にしたらそうだ)。

また原作ではソフィーに弟がおり、ラストは祖母に引き取られた生き別れ状態の弟と感動の再会を果たします。

これぞ聖杯の象徴的な「再結合と平和」の終わり方。

心理学者ユングはこう言いました。

魂はその片われを見つけるまでは幸せになれない。そしてその片われはいつも『あなた』だ。

聖杯の元型(世界中の誰もが持つ共通イメージ)とは「人間の意識のうち最も崇高な潜在能力」であり「エネルギーの無尽蔵な供給源」とも言われます。

私たちは内的な精神生活を持ったうえで、外的な社会生活を送っていますね。

社会の押しつけ通りに「はい!ええ!おっしゃる通りです!」とだけ言って生きるわけにはいきません。

ときに社会の風潮に反駁することがあっても、自分自身の体系を築き上げて「調和」を作り出す必要があります。

ついでにユングはこうも言っています。

宗教は「神の経験」に対する防衛反応なのだ。

ちょっと抽象的でわかりにくい言葉ですが、例えば私はダ・ヴィンチ・コードの原作で「イエス人間説」をリーにこんこんと説かれたとき本を放り投げそうになったと言いました。

言い換えれば、これこそ宗教が「理念」から「個人的経験」へと移った瞬間でもあるんです。

つまり、神の経験のは人によって個別でオンリーワンのものあり、聖書や聖職者が言う経験と同じように一辺倒には起こらないということです。

はたまた家でじーっと聖書を読んでいるだけでは真の信仰生活とは言えず、日々の生活で実践するからこそ信仰は生きて立ち上がってくるもの。

別にキリスト教じゃなくても、仏教でも神道でも「言葉を超える体験」こそが自分の体系を作る手がかりになるわけですね。

本の信憑性を信じようが信じまいが、ダン・ブラウンが読み手や鑑賞者に「自分の体系」を観念としてではなく個人的経験としてうんざり提供したことが、実は私たちにとって1番の貢献なんですよ。

ダ・ヴィンチ・コードで「だから一神教なんて信じるもんじゃねぇ!」と結論づけるのは安易なミステイクです。

アンチカトリックっぽいけど実は聖書的な描かれ方

ダヴィンチコード 画像 リー あらすじ
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全体的にアンチカトリックな描かれ方をして、バチカンから公式に批判も浴びたダ・ヴィンチ・コード。

しかし全体を見渡してみれば結局ダ・ヴィンチ・コードは聖書的です。

まず、強欲で真実信仰にのめり込んだ悪役リーは聖書のヘビ。

創世記最初の失楽園のシーンでは、エバは自ら率先して禁じられた果実を食べたのではなく、ヘビにそそのかされて食べたんです。

「ここにある木の実をとったら神みたいになれるぞ!」とヘビがエバに言うセリフは、まるで「クリプテックスの中にはどんな秘密があるか♪」とそそのかすリーと同じ。

リーが両杖をつかなければ歩けないことや、銃の名前がメデューサ(=ヘビの女神)であることはまさにそれを象徴しています。

「導師」と名乗ってすべてを操っている聖書的なヘビの狡猾さの象徴です。

クリプテックスを開ける暗号も「この実を取って食べてはいけない」とするAPPLE(りんご)でした(実際には聖書にりんごと書かれていませんが、芸術的に通説的にりんごで描かれていますね)。

つまりソフィーもまた、アダムとエバの「エバ」のイメージとして描かれているんです。

おそらくダン・ブラウンはすべて計算の上これらを描いたでしょうが、聖書と異なる展開は、エバ(ソフィー)は最終的にヘビ(リー)に屈服することなく、サポーターのラングドンと共に新たな創世記を切り開きましたね。

聖書ではエバ(女)がアダム(男)のサポーターとして描かれますが、ソフィー(女)とラングドン(男)の関係はそれがあべこべになっているのもまた面白いというか、考察しがいがある箇所です。

ダ・ヴィンチ・コード日本人にウケた理由

I am God’s Child.

この腐敗した世界に産み堕とされた~♪

Do I live on such a field?

こんなものの ために生まれたんじゃない~♪

さて、ストレスが溜まるとついカラオケで鬼束ちひろ「月光」歌ってサワー1杯飲んでしまうあなた!

はたまたエヴァンゲリオン、風の谷のナウシカ、マトリックスなどのエンタメ作品のどれかにハマったあなた!

これぞ劇中、イエスが神だと認められたニケーア公会議にて、ふるいに落とされた異端派グノーシス主義と似ている現象です。

へ?と思われるかもしれませんので詳しく解説します。

劇中リーが「イエス人間説」を淡々と説明するとき、325年に開催されたニケーア公会議の話を持ち出しましたね。

このとき異端とされ、採用されなかったのは歴史用語でグノーシス(ギリシャ語で知識の意)派の思想であり運動です。

背景としてこの時代は秩序の破綻があったのですが、グノーシスの前提は「この世は悪」ということです。

その上で「超越した真理を求めるべきだ!そんな知識(グノーシス)を求めるべきだ!」と主張する説であり、「この世界がすべてじゃない!もっといい違う世界があるはずだ!」という徹底した二元的世界観、つまり現実への違和感を含んでいたんですよ。

先ほど列挙しましたあなたがハマったエンタメ作品を考えてみてください。

鬼束もエヴァもナウシカもマトリックスも、「この世はクソでもっといい世界がどこかにある」…とは言い過ぎかもしれませんが、肉体では味わえない魂を救済するような世界「もう1つの世界があるんだ」ということを共通して描いていますね。

何もキリスト教が題材でなくても、私たちはそういう世界観を日々「あー面白い、そんな世界があったらな~」とか体感しているわけです。

結果的にグノーシスは異端となりましたが、逆にこのグノーシスという好敵手が今のキリスト教を鍛え上げた側面もあるので、一概に悪いと定義はできないと個人的には思っています。

ダ・ヴィンチ・コードはフェミニスト神学?

アダムとエバの男女の立場がひっくり返っているのは考察しがいがあると書きましたが、ダ・ヴィンチ・コードの結論は反グノーシス的で、1960年以降のフェミニスト神学に近いと言われます。

イエスの血脈という肉体性、教会権威を託されるはずだったマグダラのマリアの女性性、女神崇拝の復権…と。

聖書はときどき字面通りに解釈すると「男尊女卑では?」とクリスチャンの私でも思うときがあります。

例えば「妻は夫に従え」とかそうですね(あくまで字面通り受け止めるとですよ!)。

イエスの母マリアも、尊敬すべき聖書の登場人物の1人ではありますが「優しく慈愛に満ち溢れた美しいお母さま」という男性に押し付けられた女性像という批判があるのも事実です。

「かっぽう着きたあんこが口のまわりについてるそこらへんのオカン」というわけにはいかないんです。

宗教と政治に関しては、友人や会社の同僚・上司との会話に話題に上してはいけないとしばしば言われます。

日本は制度として政教分離があるので、宗教的議論はプライベートでやれよというのが大原則。

そんな世俗的価値しか持たされなかった宗教議論が、宗教的価値をもって表に出たのもまたダ・ヴィンチ・コードの功績とも言えるでしょうね。

不名誉にも最悪監督賞にノミネートされてしまいましたが、今回また宗教を議論にのぼせて、私たちが持っている”神の似姿”としての究極的な欲求をあーだこーだ考えてみるには格好の題材でしょう。

ディズニーは秘密結社なのか?

はい、最後に少々ゲスイ?話題です。

主人公ラングドン教授はシリーズ3作「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」「インフェルノ」すべて、子供じみたミッキーマウスの腕時計を付けています。

この腕時計は10歳のときラングドンが親からプレゼントされたもの。

原作ではソフィーにこの腕時計を見せながら、ウォルト・ディズニーこそ「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と賞賛するばかりか、シオン修道会の一員だったとまで言い切っています。

そしてディズニーの作品群には数々の聖杯のシンボルや、マグダラのマリアやイエスの末裔伝説が現れているのだとか。

  • シンデレラ:灰かぶりと侮辱され追いやられた失われた聖女
  • 白雪姫:棺に入れられた白雪姫はマグダラのマリアで、小人は騎士団
  • 眠れる森の美女:オーロラ姫の別名は「ローズ」。赤いバラもマグダラのマリアの象徴。長い眠りにつくのは隠された聖杯と同じ。
  • リトル・マーメイド:アリエルはエルサレムの別名で、苦悩する聖都と同義。アリエルが海中の洞窟に隠している絵は、17世紀の「改悛するマグダラのマリア」

とにかく神秘的な女性の受難と王女がテーマとなるディズニー。

そして、ディズニーランドやホテルにはたくさんの隠れミッキーが潜んでいますよね。

私もホテル・ミラコスタに泊まったときは、わざわざホテルマンに聞いてまで隠れミッキーを探していました…。

ディズニーは公式には認めていませんし遊び心と言えばそれまでですが、ダン・ブラウンの手にかかれば、

え、まじ?そうなの?ディズニーって秘密結社なんだって!

と友達に出も流布してしまいそうなのが恐ろしくも本作の秀逸なところですw

4.ダ・ヴィンチ・コードをオススメしたい人

ダヴィンチコード 画像 ラスト
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最後に、ダ・ヴィンチ・コードをオススメしたい人を挙げましょう!

キリスト教知識があったほうが話は理解できますが、なくてもサスペンスとしてスリルを楽しめる作品です。

科学信仰に陥っている人

「科学的根拠は○○です」と言われたら100%信じてしまう人にはオススメです。

ダ・ヴィンチ・コードではその科学的、唯物的、真実はコレだと最終的に欲に溺れて溺死してしまったのが聖杯研究者リーでした。

今世界の風潮として科学は最も優位にあるでしょう。

私も「科学的に○○が証明された」としたら信じ、「証明されていない」と言われたら信じないことほうが圧倒的に多いです…。

科学もまた1つの信仰であり、その科学信仰もまたそろそろあぷあぷで崩れ去る時代が来ているなと個人的には感じています。

対象がなんであれ、盲信することの代償はさんざんこの映画が物語っています。

証拠主義は人をダメにする側面があることもまた、ダ・ヴィンチ・コードで学んでいただきたいことですね。

何もかも打ち砕かれた人

何もかも打ち砕かれた人にはオススメです。

この映画の場合は、シラスがそのような人です。

色素欠乏症による虐待といじめ、12歳でホームレス、殺人、裏切り、自らの咎…オプス・デイで希望が見えたにもかかわらず、「人の役に立つこと」が5人以上もの殺人に駆り立ててしまい、最後は「私は幽霊だ」と再び虐待時代に言われたセリフを口にして死にます。

私は最初は「ソニエールを殺しやがって!ヤな奴!」と思っていたのですが、5回以上この映画を観て、「かわいそうだな…ホントの犠牲者はシラスだな…」と思いました。

シラスには基盤がないんです。

オプス・デイを基盤にしたいのだろうけど、シラスは未だ依存の段階であって、アリンガローサ司教やファーシュ警部のように「自立した自分の体系」を作れていません。

ただし、これほど絶望的な気持ちに追い込まれることは他人事でもないんです。

人は人生に1度や2度「すべてを失った、自分はもうダメだ…」と思うことはあるでしょうし、思っていいと思います。

しかし、死なないのは当たり前です。

どぎつく聞こえるかもしれませんが、私は人生で最も絶望したときに「死なないのは当たり前だ」と、ある私自身の恩師から言われました。

本当なら、誰にも自分を傷つけられてはいけないし、大人であればその努力はすべきです。

ダ・ヴィンチ・コードはそんなところに結びつくのか!と思うかもしれませんが、聖杯を題材としたこの映画が発信する最大のメッセージとは「神は愛なり」という人の原初欲求であって、これぞこの映画が人を引き付ける最強の力なのだと思います。

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