こんにちは、エンタメブリッジライターしおりです。
今回私がご紹介するのは、新型コロナウィルスがパンデミックとなっている2020年4月現在ぜひオススメしたいウィルス映画「コンテイジョン」。
「こんな時期に観るのは怖い!」と思われる方も多いでしょう。
確かにこの映画を私が観たとき、『感染の最初の武漢はこんな風だったんだろうな』『NYは今こんな状況なんだろうな』と「この映画が現実として理解できる」ということに悲しみを覚えてしまいました。
2011年に公開された映画ですが、人々の買占めのパニックぶりやロックダウン、フェイクニュースの広がるしぶとさが描かれている2020年の私たちの生活を予告したような映画です。
ちなみに「コンテイジョン」にはタイタニックでローズ役を演じた「ケイト・ウィンスレット」が感染症の最前線で働く現場調査官として好演しており、私はタイタニック以来20年ぶりくらいに船上のお嬢様から全く違うケイトの姿を観ました。
「コンテイジョン(contagion)」=「感染」の意味。
緊急事態宣言が発出されてもなお新型コロナの感染は衰えを知りません。
「恐怖はウィルスより早く感染する」
このポスターの言葉が意味することは何なのか?100年に1度のパンデミックで私たちが本当に恐れなくてはならないものは何か?早速考察していきたいと思います。
目次
1.「コンテイジョン」の作品紹介
監督:スティーブン・ソダーバーグ
脚本:スコット・Z・バーンズ
出演者:マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロー、ケイト・ウィンスレット、ほか。
アメリカ映画でありながら、↑↑この予告編のサムネイル画像は日本人…。
30秒頃に一瞬流れる日本の映像ですが、アメリカ映画でありながらなぜ日本人が出るのか?!気になるところですね。
2.「コンテイジョン」のあらすじ
画像出典:https://www.imdb.com/
まず初めに「コンテイジョン」のあらすじをご紹介します。
「ゴホッゴホッ」と真っ暗な画面に、新型コロナウィルスのニュースで聞き慣れたあの独特の咳の音声だけから始まる「コンテイジョン」。
2020年に誰もが経験していることが、この映画に起こっているのです。
「コンテイジョン」のあらすじ(ネタバレなし)
「ゴホッ」と咳込みながら空港で不倫相手と電話をしていたのは、アルダーソン社の重役で新しい工場の起工式のため香港に出張していたアメリカ人女性ベス。
ベスはミネソタ州ミネアポリス在住ですが、シカゴでトランジットして元カレと不倫していたのです。
その後、ベスは再び飛行機に乗りミネアポリスの自宅に帰った直後、激しいけいれんと泡を吹いて救急搬送…即死でした。
そのウィルスは6歳の息子にも感染しており、同じように救急搬送されて死亡。
死因に感染症の疑いがあることから、ベスの再婚相手のミッチ(マット・デイモン)は院内隔離されてしまいますが、この感染症に免疫があることが検査で判明したため解放されます。
同じころ香港、東京、ウクライナでもベスと同じ症状で亡くなる人が相次ぎます。
COVID-19(2019年新型コロナウィルス)は中国・武漢が発生地でしたが、「コンテイジョン」のウィルスの発生地もそこからほど遠くない香港…。
誰もが他人事と思えない異様なパンデミックがここから繰り広げられるのです…。
「コンテイジョン」のあらすじ(ネタバレあり)
画像出典:https://www.imdb.com/
「コンテイジョン」のウィルスはアメリカを舞台に世界に破滅をもたらします。
ウィルスを持ち込んだベス一家のうち、生存者となったミッチと思春期の義娘ジョリーは自宅隔離を強いられます。
ベスの遺体は解剖に回され、麻疹、豚インフルエンザ、髄膜炎、脳炎、西ナイル熱…考え得るすべての死因が否定され、脳溝が壊滅するほどの重篤で特異的な死に方であることが判明。
同じころ香港では1人の青年が亡くなり、青年が住んでいた集合住宅でクラスターが発生。
まるで2019年末の武漢のように「新しい感染症が発生した!」ととうとう周知・報道されます。
アメリカで動き出したのはDHS(国土安全保障省/日本の厚生労働省のような機関)。
彼らの指示により、CDC(疾病予防管理センター)で感染症調査官のエリン(ケイト・ウィンスレット)がまずクラスター発生したミネソタ州へ現場調査に派遣されます。
DHSとCDCの会議で、クリスマス商戦や役所・保健所の開く開かないを気にする態度は、どっかの国の政治家&お役所体質とソックリ…と言わざるを得ないですね。。
ベスの検体サンプルは、エリンの指示によりサンフランシスコの感染症研究者サスマン博士に送られ、未知のウィルスへの対策が委ねられます。
この未知のウィルスの長さは15~19kbで(新型コロナウィルスの長さは約30kb)、潜伏期から発症、死に至るまでが非常に短時間で「バイオテロ」との噂も立ちます。
そんなとき、この騒ぎを利用して金儲けしようとするブロガー(よく言えばジャーナリスト)のアラン(ジュード・ロウ)が登場。
アランのことは「陰謀論者」とwikipediaなどで書かれてますが、観ているとこういうフェイクニュースを広げる人ってSNSが発達した今、世界中どこにでもいる気がする…。
このアランは投資家に情報も売り、さらに1日200万PVを誇るブログにて「この感染症は薬草のレンギョウが効く」とフェイクニュースを発信、人々を混乱に陥れて楽しみにふけります。
街はレンギョウを求める人で溢れかえり、アラン自らも感染したふりをして、「その後、自分はレンギョウで治った!」と自作自演の動画まで配信。
2020年と同じようにもちろんWHOも動き出し、CDCと連係プレーで施策を推し進める中、「政府主導では進展が遅すぎる!」とまるでノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏の呼びかけのように、独自にウィルス研究を進めるサスマン博士(山中さんは情報発信と啓蒙にとどまっていますが)。
サスマン博士によってウィルスは「MEV-1」(COVID-19と同じような感じ)と命名され、世界で初めて培養に成功したことが大々的に報道されます。
これはワクチン開発への一歩に過ぎず、人間での治験は数か月先。
と私たちが何度も何度もニュースで聞くナレーション文句がここでも流れ、MEV-1の世界の感染者は800万人を超えるパンデミック状態となります(2020年4月15日現在、新型コロナは世界で約174万人)。
すでに病院は海外の新型コロナのニュース映像で流れるような、廊下に患者がたくさん寝ている医療崩壊を起こし、学校も閉鎖、体育館のような場所も即席病院として使用します。
現場調査中にホテルで感染してしまったエリンは、この体育館で入院した後死亡…遺体埋葬所も溢れかえってないため、公園のような土壌にビニールをかぶせられて他の遺体たちと次々に埋葬されて行きます。
大統領は「外出禁止令」を発出、ミネソタ州は突然ロックダウン(都市封鎖)され、車で州を出ようとしていたミッチとジョリー親子は州境でUターンを強いられます(これも何度もニュースで流れた武漢のよう)。
WHOは疫学者の女性スタッフを香港に送り、発生地と最初のクラスターについての詳細な調査に乗り出しました。
初期の感染者であるベスの行動を、防犯カメラやATMの操作記録から追跡します。
ベスはマカオのカジノで香港在住のバーテンダーとグラスを介して接触感染、東京のサラリーマンとは席が隣になり賭け事でコインのようなものに息を吹きかけ合ったときに飛沫感染、ウクライナの女性はベスが置き忘れたスマホを触ったことで接触感染…。
飛沫感染と接触感染は新型コロナウィルスと同じですが、マイクロ飛沫感染(重力によって落ちない飛沫が沈殿することによる感染)があることは新型コロナのほうが手ごわいかも…と観ていて思ってしまいました。
調査を終えたWHOの疫学者スタッフ女性はこの直後、なんと母親が感染したという香港の保健局スタッフに無理やり車に乗せられ、山奥にある小さな彼の故郷の村に拉致されてしまいます。
貧困地域の村に医療などなく、疫学者スタッフは人質として取られ、ワクチン開発までこの村の生存者と共に過ごし、小さな学校で子供たちに勉強を教えるハメに…。
ミネソタ州は治安は悪化の一途をたどり、人通りの少ない街では買占め、窃盗、放火が溢れかえり、食糧配給の行列では軍に対して暴動まで起こります。
もう完全に「国家」という概念が崩れ去っています。
このときスクリーンに人が消えた観光地、スポーツジム、空港の光景が「シーーーーン」と映るのですが、2020年の地球で起きていることと何が違うのでしょうか…?
絶望が駆け抜けた映画後半、ようやく1つの研究室で希望の光と言えるワクチンが開発成功しました。
開発者の命拾いした安堵の表情と言ったら…!私たちもいつかこの日を迎えることを信じて生きていかなければいけませんね。
そしてフェイクニュースを垂れ流し続けたアランは、レンギョウの嘘も見抜かれて、その他証券詐欺、共同謀議、過失致死の疑いにて逮捕。
ところがこのインフルエンサー、アランを盲信していた匿名のフォロワー1,200万人からクラファンのように即座に保釈金が集まり、釈放。←よくわからんがこの話はこのご時世もあり得そう…。
ワクチン接種の順番は、アメリカ国内では抽選により誕生日ごとに1日ずつ365日かけて打つことになりました。
全員が摂取するまでに1年間の歳月がかかりますが、1日1日とワクチンを打った人が増えるたびに人々は希望の光を取り戻します。
中国奥地に人質に取られていたWHO疫学者の女性も、ワクチンと引き換えに解放…しかし、このとき村側に引き渡されたワクチンは偽物であり、WHO職員からそれを知らされた女性は慌てて村へ帰っていきました(その後どうなったかは語られない)。
ベスの遺族であるミッチとジョリーもようやくワクチン接種をして平和が戻り、とうとうジョリーの彼氏を招いて自宅で3人だけのプロムパーティーをします。
怒涛のパンデミックから1年、ワクチンが行き渡るまで2年くらいの出来事でしょうか?――デジカメで昔のベスの写真を発見した夫ミッチは、死を悼む暇もなかったためか、このとき泣き崩れます。
そして、結局MEV-1はどこからやってきたのか?
ラストで回収される要因とは、①ベスの勤務するアルダーソン社が着工で中国の木を伐採した、②そこに生息していたコウモリが養豚場へ逃げて糞を落とした、③コウモリの糞が豚小屋へ落ちて感染した、③その豚がマカオのカジノの食卓に並ぶことで人へと感染した、でした。
人間の森林伐採がそのまま人間に返ってきた「人の業」を考えずにはいられない結末です。
3.「コンテイジョン」の見どころ
画像出典:https://www.imdb.com/
続いて「コンテイジョン」の見どころをご紹介します。
公開年は2011年秋、私たち日本は東日本大震災復興に命懸けで闘っていたためか、私自身もこの映画の存在を知りませんでした。
そして2020年蘇るように新型コロナウィルスと共に観られ始めた本映画…。
人類と感染症の闘いの現場に居合わせた私たちは、何を見なければいけないのでしょうか?
キャストが声を上げた動画!コロナ禍で私たちができること
こちらがキャストのケイト・ウィンスレットとマット・デイモンによる2020年新型コロナパンデミック以降に発信された動画。
ケイトは「コンテイジョン」が公衆衛生の専門家の監修のもと行われたことから、正しい手洗いの仕方、除菌の方法を丁寧に発信してくれています。
マット・デイモンはいわゆるソーシャル・ディスタンスの重要性を先駆けて啓蒙してくれています。
正直言うと、私はエボラ出血熱が流行したときも、SARSが流行したときも、そして今回武漢で新型コロナウィルスが流行したときも「世界の遠いところで起きていることだ」と他人事でした。
日本は結核が終息したのだし、「人類の敵は感染症から癌になった」という言葉を信じていたんですね。
だからクルーズ船が日本海域に停泊した後、3月初旬に突然自粛ムードとなったときも「ちょっと騒ぎ過ぎじゃないの?」とものすごく事態を楽観的に見ていたし、「重症化するのは高齢者のみである」という情報を信じて行動していました。
それが今や日本でも刻一刻と感染者は増え、重症者も高齢者だけにとどまらないことがわかり、つい先週にはとうとう夫の会社でコロナ陽性者が出てしまいました。
「こんな身近なところでも出てしまったんだなぁ」と他人事であったものが自分の領域に侵入してきた不気味さと恐怖を感じます。
ですが、もっとも不気味だったのはその続報が会社から全く入ってこないことです…。
この直後会社全体がテレワークに移行したため、その準備で忙しかったからなのか、プライバシー保護のためか、とにかく理由は全くわかりません。
この出来事は「恐怖はウィルスよりも早く伝染する」という本作のキャッチコピーにもある通り、病気からの「死への恐怖」だけでなく、「経済活動を続けられない生存欲求の恐怖」にも伝播しているいい証拠でしょう。
いったいぜんたいこの地球上にいるの何人が、自分がこのパンデミックの時代に居合わせることを予測したでしょう?
あなたの国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。
あなたがあなたの国のために何ができるかを問うてほしい。
これは有名なJ.F.ケネディの言葉ですが、この場合の「国」とは安倍政権のことを指していると考えないでください。
医療、社会、教育、経済活動すべてのことを指します。
「コンテイジョン」は最後、国や自治体という概念が崩壊し、それぞれが生存のために食糧略奪をするだけの行動をとります。
今、日本も1人1人が国に対して何ができるかを強く胸に問われる時期に到達しています。
感染症は「成人通過儀礼」の役割を果たす
画像出典:https://www.imdb.com/
心理学者で元文化庁長官の河合隼雄氏は、
結核などの感染症が流行っていたとき、それが暗い影を落としていた半面、深い内省経験が成人通過儀礼の役割を果たしていた。
と著書で語られています。
私は初めてこの文を読んだとき、「ふーん…」と思っただけですぐ読み飛ばしましたが、今は実感を持ってこの言葉の意味を捉えることができます。
私は特に3月末からの急速なコロナ禍にて「身近な人」だけでなく「モノ」や「機能」の死を深刻に考えました。
政治の死、大切な人の死、自分の死…。
1番怯えていたのは医者をやっている自分より15歳ほど年上の、とても親しかったいとこの死です。
こんな事態にあっても絶対に休めない、逃げられないのが医師という職業で、彼が心臓疾患を持っていることも知っていたので、私は何度も「万が一亡くなったら…」ということが頭をよぎり、1日〇人感染〇人死亡というニュースが出るたびに恐怖にさいなまれました。
そして10日間ほどは私自身も食欲がなくなってしまい「震える夜」とはこういうことを言うのだと実感しました。
その間「信じるしかない世界がある」ということも知りました。
彼が今生きていることも、自分が感染していないことも、家族が感染していないということも、子供同士が感染しづらいという事実も、信じるしかないのだと…。
そんな日が2週間ほど経過したときでしょうか…私はある瞬間、ふと、いとこの死を覚悟したのです。
「コロナだろうが、コロナじゃなかろうが私は自分が生きている限り、いつか彼を失うのだ」と。
そう覚悟した瞬間、なんだかふっと心が軽くなってきたんですよね。
そして死を受け入れた瞬間、「あー、なんかコロナがおさまったら、どこかに旅行に行きたいなぁ」と次々と楽しい妄想が膨らんでいったのです。
これは自分でもとても不思議な心理現象でした。――彼に意識が向かなくなったことでこんなに心が軽くなるとは!と。
もちろんこれは私の中で起こった「大切な人の内的な死」であって「現実の死」ではありません。
誰もが罹患するリスクのある感染症は、生死とは切っても切れない問題で、特にコロナの場合は癌などのようにゆっくり死ぬという性質ではないんです。
さよならを言うプロセスが圧倒的に短いかわりに、それに怯える時間が長い期間日常に入り込むのが感染症。
私がいとこの死を恐れていた深い内省経験こそ、河合隼雄氏の言う「成人通過儀礼」だったのかもしれないと今は実感しますね。
つまりそれは「彼がいなくても生きていける自分を創造する」という儀礼です。
ついでに言うと、自分の楽しい妄想をかき消すのは「彼の死」であることからして、「兄のように慕い続けた彼を、私は自分を自由にするために本心では殺したかったのかもしれない」とも思いました(まるで「親殺し」のようなプロセス)。
今回のコロナ禍で私自身も「大人になること」が一歩推し進められた気がします。
パニックになると「フェイクニュース」が拡散する構造
画像出典:https://www.imdb.com/
コロナウィルスがじわじわと感染して以来SNS、ネットニュース、Youtube、メルマガなどでたくさんの人がたくさんの意見、考えを述べているシーンを目にしました。
「『何を信じるかはあなた次第』という状況だなぁ」と若干うんざりしますが、私自身もコロナのことはもちろん知りたいとは思っているので、結局は私も「信じたいもの」を選択して行動しているのかもしれません。
「コンテイジョン」もレンギョウという薬草を摂取するとよいというフェイクニュースを流すアランがおり、それをいとも簡単に大衆が信じる「インフォデミック」が起きます。
まるで「トイレットペーパーは中国製だから流通が止まる」というネットのデマ拡散で大買占めが起きた日本と同じ現象ですね(にしてもなぜ日本人はまずパニクるとトイレットペーパーを買うんだろうか?)。
パニックを流布する3つの要素には「デマ・流言(りゅうげん)・噂」があると言われます。
- デマ:悪意の中傷など、意図的に作られた情報。
- 流言:必ずしも意図的ではないけれど、自然に広まった当てにならない情報。
- 噂:比較的狭い範囲で流通する、信憑性の低い情報。
これらの要因で起こるパニックが怖いのは、群衆がモッブ(暴衆)と化すこと。
「コンテイジョン」でも群衆が暴徒化して軍のトラックへの破壊行動に出ますが、人がモッブになるのは、
- 大勢の中にいると、周囲と同じ行動をとりやすくなる。
- 興奮して合理的な判断ができなくなり、雰囲気に流される。
- 群衆は匿名性が高く、問題行動を起こすことに遠慮がなくなる。
といった理由があります。
そんな私も長年使っていなかったTwitterを今回久しぶりに立ち上げて、コロナ禍で感じることをツイートしている間に、いつの間にか知事や政権批判の口ぶりがやや過激になっている自分に気が付きました。
その最中で「スポーツジムが営業していて腹が立ったからドアを割った」という事件の報道をテレビで観たとき、犯行に及んだ人の気持ちが理解できたんですよね…。
そのときの私の気持ちはこうです。→「ネトウヨなど自分とは縁がないと思っていたのに、こんなに簡単に私がネトサヨ(?)になってるなんて!!」
近年情報はテレビやラジオを飛び越え、インターネットなど手段が多様化したことで、災害時も情報が遮断することが少なく、パニックは非常に起こりやすくなっています。
私がこうしてネット記事を書くとき最も熟慮するのは「記事タイトルの付け方」ですが、よく言えば広告だけど、本音、いつも極端性と緊急性を煽る「ツリ」みたいで心苦しいですよ…。
その側面でマスコミが伝える情報もかえって人々の不安を煽り、パニックを起こす二次災害を起こす危険は高まる一方です。
ちなみに、今読まれている感染症の名著「ペスト」(カミュ著)でも「ハッカのど飴がいい」と同じようにフェイクニュースが拡散されています。
インフォデミックの時代に「感染症を正しく恐れる」とは?
「感染症を正しく恐れる」とはしきりに聞かれるようになったフレーズですが、今一度このことを考えてみたいと思います。
まず、正しく恐れていない状況を「コンテイジョン」から見てみましょう。
災害時にはびこるデマの特徴は3つありますので、「コンテイジョン」で実際に出て来たセリフを例に挙げて解説しましょう。
- 重要性:生命や財産にかかわるような重要な情報であること。
(例)「致死率は25~30%、地球の12人に1人が感染する」 - 曖昧さ:情報が不確かでよくわかっていない。
(例)「CDC(疾病管理予防センター)は嘘をついている、特効薬はレンギョウ」 - 不安:不安が高まるほど、デマは発生しやすく広がりやすい。
(例)「この先どうなってしまうのか…」
そしてブロガー・アランの「CDCを信用するな」というデマを信じた住民は暴動を起こしますが、このような行動を起こす住民には次のような心理が働いています。
皆さんも今当てはまっているものはないか、考えてみてください。
- 情報欲求:非常時の不安のなかで、危険を回避するために少しでも役立つ情報を得たい。
- 伝達欲求:人は、自分が知った情報を善意で人に伝えようとする。人に伝えることで、相手と「不安感」を共有するのでストレスが解消される。
- 不安感情の正当化:非常事態なのだから「不安になっても仕方ない」と自分に言い訳する。他者を不安にするような話を広めることも、正当化する。
- 理性の欠如:非常時は人は興奮状態にある。普段なら情報を調べるのに、冷静さを失っているため、聞いた話をすぐ他人に伝える。
今の私は恥ずかしながらすべて当てはまりますが、最近は友達との電話でもすぐ「2の伝達欲求」になるので嫌ですね…。
先日、地方に住んでいる友人が電話越しにけたたましく喋ってきた内容をご紹介しますと、
スナックで感染まき散らした陽性の人知ってる?
あの人から感染した人って、その人が座ったところに後で座った客だけらしいよ。
もう、いつどこで感染するかわからないんだよ!
そりゃそうかもしれないけど、この感染経路もきちんと調べればきちんとした理由があるはずで、裏付けも知らないままに私と共有することで結局友人はストレス解消し、「3の不安感情の正当化」に進んでいるのでしょう…。
こういうとき人は余計に不安になることで、ある意味「自分は対策が万全なのだ!」と自己肯定したいんですよね。
トイレットペーパーもレンギョウもハッカ飴も、つまるところ同じ役割を果たしています。「持っているだけで安心、自分って対策してる」という確認行為のような…。
「正しく恐れる」ということに個人的には早急に結論を出したくありませんが、とにかく「落ち着きを失っている」という状態がすべての問題の根底に存在するものだと思います。
1日1回でいいからすべての情報から遠ざかる時間を作って、散歩で景色を眺めたり、瞑想したり、音楽を聴いたり、長風呂したりして、心を静める時間をとることはどんな人にも必要なのではないでしょうか。
コロナ禍に通じる「コンテイジョン」のセリフたち
最後に、新型コロナに通じる「コンテイジョン」のセリフをご紹介します。
- ①「人は1日に2000~3000回顔に触る」
これは今回のコロナウィルスで何度も言われていることですね。
マスク効果は、「鼻呼吸によって喉の乾燥が軽減される」「自分の飛沫をある程度防ぐ」などいくつか言われていますが、1番はこの「顔に手が直接触ることを防ぐ」ではないでしょうか?
手に付着したウィルスが顔に付着しないことで、目や鼻、口から感染することを防ぐということにマスクは一役買っています。
特にお子さんにはこれは重要なポイントだと個人的に思っています。
- ②「手遅れになるよりは過剰反応と言われるほうがいい」
これを見たとき、私は3月に公立校一斉休校を突如決めた安倍首相の会見を思い出しました。
「ちょっと大げさではないのか?」と当時の私は思いましたが、今から思えば過剰反応と言われたほうがいい決断もあるのだと思わずにはいられません。
この一斉休校のスピード感と、緊急事態宣言発出の減速感の高低差には悩みましたが…。
- ③「パニックはウィルスより深刻だ」
日本でも毎日政治家が話していそうなことですね。
確かに緊急時の人のパニックによる行動は勢いづいた非常に怖いもの。
情報を発信するマスコミも節度を持っていただきたいと思います。
- ④「4人に1人が死ぬなら3人は生きる」
「5人に1人が重症化」に置き換えればそのまま新型コロナに当てはまりますね。
「コロナ楽観派」はわりとこのセリフを引用して発信しているように思います。
反対に「コロナ悲観派」や、実際に軽症と判断された患者の方で軽症のレベルがインフルエンザの比でないと感じた方は、「5人に1人に絶対入ってはいけない」と私たちに警鐘を鳴らしているように見受けられます。
- ⑤「有効なワクチンを見つけても人間での治験に数週間かかる。その後許可や承認が出て製造や流通には数か月が必要よ。予防接種の徹底に数か月」
ワクチンや特効薬の開発が待たれる新型コロナウィルスですが、「時間がかかる」ということもまた私たちは事実として知っています。
このワクチン製造の話も聞くたびに「はぁ…」とため息をつかざるを得ませんが、しぶとくそこまで踏ん張って生きるしかないと、足元の生活(栄養や運動、免疫力をどう上げるか)を改めて見つめ直すいい機会とも考えます。
結末は「ウィルスは人間の業」
画像出典:https://www.imdb.com/
奇しくも「コンテイジョン」のオチは、中国で工場建設のために森林伐採したことで住み家を失くしたコウモリが養豚場に行き、そこからウィルス発生してしまったのです。
つまり、人間の環境破壊が回りまわって人間の命を滅ぼす結果を招いたということ。
しかも相手は先進国アメリカであり、重機で工場を作るところは未開のジャングル地帯。
ここにも人類進歩の「業」のようなものが見て取れます。
「なぜコロナウィルスが蔓延したのか?」ということをスピリチュアル的に見る人も大勢いますが、この視点も個人的にはちょっとは目を向けてもいいかなと思っています。
もし神がいるならば、この疫病の蔓延を今許している状態にあるとも言えるからです。
あくまでスピリチュアル目線に立った場合、私たちはこの疫病から学ばねばならない何かがあって、それを正確に受け取るまでは疫病の終息など起こり得ないことをこの「コンテイジョン」も教えてくれます。
ワクチンや薬開発はあくまでウィルスへの対処療法。
今私たちが見直さなければいけない行動や欲、思いはあるでしょうか?あなたは見つかりますか?
少なくとも私は、小さい目線ではありますが、子供やテレワークの夫を守る一歩として食事を栄養のあるものを丁寧に作ろうとかなり食生活は意識するようになりました。
皆さんもこの機会にぜひ考えてみてくださいね。
4.「コンテイジョン」をオススメしたい人
画像出典:https://www.imdb.com/
最後に、「コンテイジョン」をオススメしたいのは以下のような方です。
映画館もとうとう自粛要請が出てしまいました。
「コンテイジョン」は90分でサクッと鑑賞できますので、エンタメからの勉強として観ていただきたいと思います。
新型コロナの影響で家にいる時間が増えた人
新型コロナウィルスの影響で家にいる時間が増えた人にはオススメです。
私たちは新型コロナウィルスという感染症だけが眼前に立ちはだかっているように見えますが、人類は有史以来ペスト、コレラ、黄熱病、天然痘、HIV、マラリア…と感染症との闘いを何度も何度も繰り返してきましたし、現代でもコレラの感染者数は100~400万(実態把握しきれていない)と終息などとうていしていません。
幼児の子供がいる私も、この6年間でアデノウィルス、溶連菌、RSウィルス、マイコプラズマ肺炎などなど何度感染症による咽頭ぬぐい検査を子供に経験させ、苦い抗生物質を飲ませるのに悪戦苦闘してきたかわかりません。。
そんな場面に居合わせた我々はどう生きればよいのか?
2020年4月現在、私たちは本作の半分くらいの位置にようやく到達しています(都市封鎖、外出自粛など)。
最後には希望も見えてくる本作、ぜひ夜更かしできる夜にでも見ていただきたいですね。
ネットのデマや噂を信じやすい人
画像出典:https://www.imdb.com/
ネットのデマや噂を鵜呑みにする傾向がある人にはオススメです。
ネットの記事を書いている自分ではありますが、私はネットニュースもコラムも読むのは実は嫌いです(オイ)。
大体裏付けも事実確認もいい加減なものがほとんどですし、何が良質で何が良質でないのかを見極めている時間もなんかもったいないから、個人的にはアナログの紙媒体で厳選されたものほうがやっぱり好きですね。
先ほども解説しましたが、人は有事の際は真偽も確かでないデマや噂をいとも簡単に信じて、それを人に伝えるという習慣を持っているのです。
「コンテイジョン」でも妊婦が発症しながらヨロヨロになって、アラン宅を訪れてレンギョウを欲しがります。
コロナについてどれだけ情報収集をすればいいのかは非常に悩むところですが、こんなときだからこそ「むやみやたらになんでもかんでも」ということは避けるべきでしょう。
そんな情報を脳にインプットしないためには、やはり静かな時間を1日1回は作って、静けき心にクールダウンすることがこんなときだからこそ必要だと思います。
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