ぼく達は、支え合って生きている。映画「リメンバー・ミー」あらすじ解説&評価

オラー!(※スペイン語で「こんにちは」という意味です )

エンタメブリッジライターのスモモニキです。

今回は、「リメンバー・ミー」についての作品紹介、あらすじ、見どころについて解説していきます。

因みに、冒頭の「オラー!」という挨拶は、劇中でもよく使われてる挨拶なんですよ。

さて、挨拶はもちろん大事なんですが、本作で同じくらい大事なのが音楽です!

勉強とか仕事とか、やりたくもないようなことやってるヒマがあったら、朝から晩までギターでマリアッチを奏でている方がずっと有意義だと思いませんか。

「周囲の目なんか気にせず、好きなことで生きよう!」って、最近よく言われますもんね!

ところが、この「リメンバー・ミー」、そういうイマドキの風潮に「待った」をかける映画なんです。

今作の舞台である”死者の国”では、文字通り死者達が暮らしています。

今回はちょうど良い機会ですので、人生の生き方を、人生を終えた人達に聞きに行ってみましょう。

好きなことだけで生きるって、本当に自由なのか?

自分の人生は、本当に自分だけのものなのか?

それでは早速、死者の国にご案内。

1.「リメンバー・ミー」の作品紹介

公開日: 2018年3月16日 (日本)
監督: リー・アンクリッチ
原作者:エイドリアン・モリーナ
原題:COCO
声の出演:アンソニー・ゴンザレス、ガエル・ガルシア・ベルナル、アラナ・ユーバック、ベンジャミン・ブラット、レニー・ヴィクター、アナ・オフェリア・ムルギア
受賞歴:アニー賞で11部門受賞。ゴールデングローブ賞でアニメ映画賞を受賞。アカデミー賞で長編アニメ映画賞と主題歌賞の2部門受賞。

2.「リメンバー・ミー」のあらすじ


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まずは、「リメンバー・ミー」のあらすじをご紹介します。

「リメンバー・ミー」のあらすじ紹介(ネタバレなし)

予告映像はご覧になりましたか?

「どんなに幸せな家族にも、秘密がある。」

冒頭にそうありました通りリメンバー・ミーには、とある幸せな、でも大きな秘密を抱えた一家が登場します。

本作の主人公ミゲルにとっては、呪いとも言えるような秘密を。

メキシコのサンタ・セシリアに暮らす少年ミゲル。

彼の生まれたリヴェラ家は、代々、靴屋を営んでいました。

当然、ミゲルも他の家族のように靴を作る仕事に就くのが筋!…なのですが、彼は両親や親戚達とは違い、靴屋なんかよりもずっとなりたいものがありました。

そう、かの有名な”エルネスト・デラクルス”のように偉大なミュージシャンに!!

世界に羽ばたき、「リメンバー・ミー」を始めとした数々の名曲を世に送り出すのが、彼の夢なのです。

ねぇ、皆さん聞きましたか?

この子、家業を継がずに音楽で食っていくんですって。

わたしも、高校3年ぐらいの時に「歌手になりたいから音大行きたい」って言って、親にビンタされて美しい音を奏でたことがあるんですが、ミゲル君はまだ12歳です。

当然、身内はみんな、少年の可愛らしい夢を笑って、軽く流すシーンだって思うじゃないですか。

小学1年生が「宇宙飛行士になりたい」って言ってんのと同レベルですよ?

でもそんなこと、家族には口が裂けても言えません。

もし言えば、祖母が怒り出すからです。

そうなのです、ミゲルの実家では一切の音楽活動が禁じられているのです。

歌を口ずさむのはもちろんダメ!ビンの口を吹く音さえもダメダメ!楽器を奏でるなんてもってのほか!!

言うことを聞かない悪い子は、おばあちゃんにサンダルで容赦無くぶっ叩かれます。

(※「チャンクラ」と呼ばれるメキシコ特有の体罰らしいです。)

しかし、これにはワケがあるんです。

ミゲルの祖母の祖母…つまり、ミゲルの高祖母ママ・イメルダは家業の靴作りを最初に始めた人物なんですが、このイメルダが実は大の音楽嫌いで、この人が音楽禁止のしきたりを作った張本人なんです。

一方、彼女の夫(ミゲルの高祖父)は音楽が大好きで、「いつかギタリストとしてビッグになる」という野望を秘めていました。

12歳なら可愛いもんですが、妻子持ちでこれはちょっと戦闘力高過ぎます。

それくらいヤバい人だったので、とうとうギターを片手に、故郷に愛する妻と娘を置き去りにして旅に出てしまったんですね。


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そう、これがリヴェラ家の秘密なんです。

高祖母はこれ以降、音楽の全てを家から閉め出し、娘を養うために靴作りを始めました。

だから、ミゲルの実家は、「音楽ダメ!」「靴作れ!」のしきたりを守ってるんです。

音楽は、家庭を引き裂く悪魔ってわけですね。

ここまで強く禁止されたら、普通は諦めるところなんですが、ミゲルにはそれがどうしても出来ませんでした。

お菓子作りや花火職人みたいな華やかな仕事だったら、まだ妥協のしようもあったかもしれません。

でも、よりにもよって、ウチは靴屋さん。

しかも、おしゃれで履くようなブランド品じゃなくて、日用品の地味~なやつを、何足も何足も延々と作るんですね。

諦めきれないミゲルは、家族に内緒でデラクルス主演の映画を鑑賞しながら野望を燃やし続けます。

デラクルス:もう許しは求めない、目の前のチャンスを逃すのは間違いだ。

シスター:でも神父様は耳を貸してくれません…。

デラクルス:貸してくれます、音楽になら!

デラクルスの友人:2人の友情に!ハッハァ!

デラクルスの友人:アミーゴの為なら天も地も動かす!サルーン!

銀幕のヒーローはミゲルと違ってとても勇敢です。

だけど、ミゲルは家族に逆らう勇気がありません。

ミュージシャンになりたい。

でも、家族がそれを許さない。

にっちもさっちも行かなくなっていたミゲルでしたが、メキシコの祝日である「死者の日」に大きな転機が訪れます。

死者の日のリヴェラ邸では、大きな祭壇にたくさんの写真が飾られています。

靴屋を開業したママ・イメルダを始めとした、ミゲル達のご先祖様達です。

この祭壇が、すごく重要なんです。

1年にたったの1日だけ、死者がこの世界に遊びにやってこれる死者の日では、祭壇の写真が、死者の国と生者の国を繋ぐ架け橋になるのです。

人は死んでしまった後も、思い出の中で生き続けるってことなんですね。

さて、この祭壇の写真ですが、1人だけ飾ってもらえない仲間外れの人がいます。

そう、例のミュージシャン志望の高祖父です。

妻と娘と3人で映っている写真は飾ってありますが、彼の顔だけビリッと破り取られています。

な、何もそこまでしなくても…

同じくミュージシャンを夢見るミゲル君は、その写真を手に取って見るんですが…

よく見ると、首無しの高祖父が、見覚えのあるギターを手にしていることに気付きます。


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ミゲルはハッとしました。

見間違えるはずもありません、デラクルスのギターです!

老婆の声:パパ…パパ……!!

ミゲルの背後から不意に声がします。

見ると、ミゲルの曾祖母ママ・ココが、写真を指さしてうわごとのように呟いています。

ボケが進行し過ぎてもう自分の娘(ミゲルの祖母)の顔も分からなくなってしまったママ・ココですが、パパの話題にだけはすごく敏感です。

パパが出て行ったあの日で時が止まってしまったココは、今も写真の中の父親が帰ってくるのを待っているのです。

もう疑いようがありません。

ミゲルの高祖父は、あのエルネスト・デラクルスだったのです!

ご先祖様の偉業を知ったミゲルは、「自分もデラクルスのようなミュージシャンになるんだ!」と家族の前で高らかに宣言します。

かくして、史上最高のミュージシャンへの第一歩を踏み出したミゲル・リヴェラ。

彼はこれから、一体どんな神話を紡ぐのか?

この先は映画を観てからお願いします。

「リメンバー・ミー」のあらすじ紹介(ネタバレあり)


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案の定、おばあちゃんにめちゃくちゃキレられるミゲル君。

「今日は、死者の日なんだから家族で静かに過ごすんだ!」の一点張りです。

ミゲルが家族に隠れて弾いていたギターも、壊されてしまいます。

ミゲル:こんな家族、もう嫌だ!

ミゲルはたまらずその場を飛び出し、死者の日音楽コンテストの広場に走ります。

家族を頼れない以上、ここで名を上げるしか方法がありません。

しかし、ミゲルは困ったことに自分のギターを持っていません。

さっき、おばあちゃんが凄まじい腕力で、地面に3回ぐらい叩きつけて粉々にぶっ壊しちゃったからです。

リヴェラ家は、音楽活動より破壊活動に向いてるのかもしれません。

「ならば」と彼が向かった先は、なんと、デラクルスの霊廟。

あそこには、例の写真の映っていたギターが飾られているんです。

霊廟に忍び込んでギターを手にするミゲル。

普通に窃盗ですが、ミゲルはデラクルスの玄孫なのでセーフです(※もちろんアウトですが)。

しかし、ここで異変が起こります。

なんと、広場中にたくさんの生きたガイコツが出没します。

ガイコツ達は人間の目には見えないらしく、行き交う人達の横を素知らぬ顔ですり抜けながら、お祭り広場を我が物顔で闊歩しています。

ミゲルは悲鳴を上げて助けを求めるんですが、何故か彼も人間の目に映らなくなっています。

突然、ティム・バートンの世界に迷い込んでしまったミゲル。

そんな彼に声をかけるガイコツの女性。

ミゲルは恐怖しますが、よく見るとガイコツ女の顔に見覚えが…

ミゲル:ロシータ…おばさん…..?

ガイコツの女性:そうよ!

祭壇に飾られていたたくさんの写真の中には、ロシータという名のふくよかな中年女性の姿もありました。

目の前に居るふくよかなガイコツは、どうやらその人みたいです。

骨格ごとふくよかなロシータおばさんの後ろに、祭壇で見た顔ぶれがぞろぞろとやってきます。

ヴィクトリアおばさん、フリオおじさん、オスカルおじさん、フェリペおじさん…もちろん全てガイコツです。

そう、今夜は死者の日。

亡くなった人達が遊びに来る、年に1度の祭日です。

行く当ての無いミゲルは、白骨化したご先祖様達に案内されるがままに、彼等がやってきた場所”死者の国”に足を踏み入れます。


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死者の国で働く事務員さんが言うには、ミゲルは呪いを受けたとこのこと。

死者の持ち物であるギターを盗もうとしたことで、罰を受けたのだと。

呪いを解く方法は、ただ1つ。日が昇るまでに、家族の許しを受けること。

もし間に合わなければ、ミゲルもガイコツ達の仲間入り…つまり死者になってしまいます。

若干12歳で白骨化は、ちょっと可哀想過ぎますね。

幸い、家族(の骨)はここにたくさんいるので、すぐにでも許しを得ようとするミゲル。

ご先祖様の1人であるママ・イメルダは、もちろん快くミゲルに許しを与えます。

しかし……

ママ・イメルダ:私は許しを与えます……ただし、2度と音楽をやらないこと!!!

ミゲルの音楽好きを快く思っていなかったママ・イメルダは、呪いを解く条件を付け加えてしまいます。

ミゲルの魂そのものとも言える音楽を禁じる、非情な高祖母イメルダ。

そんな条件を飲めるわけがミゲルは、イメルダ以外の家族に許しを請います。

が、しかし、フリオおじさんもロシータおばさんも怯えるような顔で首を横に振るばかりです。

そうなんです。記事冒頭でも触れた通り、ママ・イメルダはリヴェラ家の高祖母にして、靴屋と音楽禁止の創始者。

この偉大なる女ボスには、誰も逆らえないんです。

こっこうなったら、ひいひいおじいちゃんに頼むしかない!

ミゲルは、高祖父のデラクルスを尋ねて、その場から逃げ出します。

さて、逃げたはいいが、肝心のデラクルスの居所が分からないミゲル君。

そんなミゲルの前に、「ヘクター」と名乗るおかしな死者が現れます。


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彼はどうやらデラクルスの親友らしく、頼み事を聞いてくれればデラクルスに会わせてくれると言います。

ヘクターの頼みとは、彼の写真を祭壇に飾ってもらうことです。

リヴェラ家にあった祭壇は、覚えていますか?

先ほども触れた通り、祭壇の写真は、死者の国と生者の国を繋ぐ架け橋です。

リヴェラ家出身であるロシータおばさん達は、ミゲルがデラクルスの写真を見つけたあの祭壇に、写真が飾ってあったので、サンタ・セシリアにやってくることが出来たのです。

一方、誰にも写真を飾ってもらえないヘクターは、サンタ・セシリアに行くことが出来ません。

だからたくさん写真が並んでいるリヴェラ家に、ちゃっかり相乗りさせてもらおうっていう算段なんですね。

写真は10人分ぐらい飾られてるので、たったの1枚、知らないおじさんが混ざっててもバレないのでセーフです(※もちろんアウトですが)。

祭壇に写真がなく、生きていた頃の自分を覚えていてくれる人がほとんどいないヘクターにとって、これは文字通りの死活問題でもあります。

もし、生前の自分を知っている人や語り継いでくれる人が1人もいなくなってしまうと、ヘクターは死者の国からも消えてしまうのです。

これは”2度目の死”と呼ばれる死者の国の掟であり、こうなってしまうと、今度こそ永遠に消滅してしまいます。

ミゲルは、デラクルスに会わせてもらう。

ヘクターは、祭壇に写真を飾ってもらう。

利害の一致から手を組んだ2人は、死者の国の音楽コンテスト会場に向かいます。

エルネスト・デラクルスは大変な有名人なので、彼に会う為には、コンテストに優勝しなければいけません。

コンテストの出場者達は、ビッグバンドやミュゼット、ヘビーメタル、犬の鳴き声など、それぞれが自分の得意を活かして「リメンバー・ミー」を奏でます。

一部おかしいのがいるのは多分気のせいですね。

「リメンバー・ミー」だらけの中に埋もれてしまうことを危惧したヘクターは、もうひとつの名曲「ウンポコロコ」で出場することを提案します。

ミゲルの歌とギターに合わせて、軽快なダンスを披露するヘクター。

ガイコツなので、頭を外したり、頭の上に体を乗せて踊ったりとやりたい放題です。

ステージの上で、互いにひとつになったような感覚を憶えるミゲルとヘクター。

赤の他人同士のはずなのに、とても不思議な感覚です。


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しかし、それも長くは続きませんでした。

会場に突然、メガホンの音声が響き渡ります。

死者の国に紛れ込んだミゲルを、家族が総出で探しているという迷子のアナウンスです。

ヘクター:待て待て待て……家族はデラクルスだけって言ったな!とっくに俺の写真を持って帰れたのに!

ヘクターは1秒でも速く写真を飾ってもらわないと、いつ消滅するかも分からない状態です。

音楽を続けたいが為にデラクルスにこだわるミゲルに怒り、家族に引き渡そうとします。

しかしミゲルは、ヘクターの手を振り払ってその場から逃げ出します。

逃げてばかりのミゲル君ですが、もう”ニゲル”君に改名した方が良いのでは?

ひとりぼっちになってしまったミゲルは、コンテストの優勝チームを尋ねます。

優勝チームのメンバー:おいみんな!ウンポコロコだぞ!

新進気鋭のミュージシャンを歓迎する面々。

途中で逃げ出したせいで優勝を逃したミゲルでしたが、周りと違う曲で歌ったことが功を奏したようです。

ミゲルをすっかり気に入った彼等は、ミゲルをこっそりデラクルスのパーティ会場に送り込んでくれます。

会場に一歩足を踏み入れると、そこは大音量で休み無くダンスミュージックが流れ、異様な熱気で包まれていました。

デラクルス:もう許しは求めない、目の前のチャンスを逃すのは間違いだ。

シスター:でも神父様は耳を貸してくれません…。

デラクルス:貸してくれます、音楽になら!

四方八方から、色褪せぬ名ゼリフの数々がエコーします。

いたるところに設置されたモニターから、デラクルスの自作映画が24時間オンエアーされているのです。

そして、会場の奥には、あのエルネスト・デラクルスが居ます。

デラクルス:キ、キミか!キミはあの子供だな?生者の国からやってきたという。

噂の迷子君に出会って、驚きを隠せないデラクルス。

ミゲル:僕はミゲル….あなたの孫の孫にあたります。

デラクルス:私に、こんな孫の孫がいるって!?

奇跡の出会いを喜び合うミゲルとデラクルス。

ミゲル:2人の友情に!ハッハァ!

デラクルス:アミーゴの為なら天も地も動かす!サルーン!

何度も観た映画の名シーンを再現する、ミゲルとその高祖父デラクルス。

2人は、映画の中の友と杯を交わします。

ミゲル:ブーーーッ!!!毒だ!!!

毒を盛られていたことに気付くシーンも、完コピです。

かくして、偉大なる2人のミュージシャンが世代を超えて邂逅しました。


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人が居ない部屋に場所を移して、高祖父にこれまでの人生を語るミゲル。

自由気ままな音楽の世界に羽ばたきたい自分のこと。

それを許そうとしない家族の存在。

デラクルスは、そんなミゲルに理解を示し、元の世界に帰る為の許しを与えることにしました。

こうしてミゲルは無事、サンタ・セシリアに帰ることが出来ました。めでたしめでたし!

ヘクター:約束は?少年…。

…..とはなりませんでした。

ヘクターが追いついてきて、詰め寄ります。

このまま帰られたら、ヘクターは写真を飾ってもらえません。

自分だけ目的を果たしてサヨナラ、というのは許されないのです。

デラクルス:知り合いか?あの男……。

訝しげな顔のデラクルス。

ヘクターとは親友じゃなかったのでしょうか?

それを聞いたヘクターは怒り、今度はデラクルスに食ってかかります。

もしかして、ストーカーなんでしょうか?

ちょっと怖いですね。

しかし、話を聞いているとどうも様子が違うようです。

ヘクターは、「デラクルスが自分の曲を盗んだ」と主張し、デラクルスは、それに対して何やら弁明をし続けています。

実はデラクルスは、ソロのミュージシャンではありませんでした。

作詞作曲をヘクターに依存しきっていた彼は、食中毒で急逝した親友の曲を自分のものとして発表していたのです。

ヘクター:俺は…..済んだことはもう良い、でも埋め合わせはしてくれ。

ヘクターは続けます。

ヘクター:祭壇に写真を飾ってもらえれば俺は橋を渡れる。「アミーゴの為なら天も地も動かす」って言っただろ、今こそその時だ。

しかしそれを見ていたミゲルは、そんな2人のやり取りに妙な既視感を憶えます。

ミゲル:「天も地も動かす」?映画のセリフだね。

ヘクター:いや、現実にあった話なんだ。

なんだか雲行きが怪しくなってきました。

デラクルスは過去に、映画と全く同じやり取りをしていたのです。

そして、その映画の中ではこの後…

デラクルス:ブーーーッ!!!毒だ!!!

裏切りに気付き、友を殴り飛ばす映画の中のヒーロー。

そのシーンを見たミゲルは、考えもしなかった結論に辿り着いてしまいます 。

目の前に居る憧れのスターは、冷たい笑みを浮かべます。

デラクルスは、ヘクターの曲を奪うために、毒を盛って殺していたのです。

デラクルス:成功はタダでは手に入らないんだ。例えどんなことであろうとやる覚悟が無いとな…..チャンスを掴む為にな!


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伝説的スターの冷酷な本性を知るミゲル。

デラクルスは、ミゲルとヘクターを深い穴の底に幽閉してしまいます。

両腕の皮膚がすっかり透き通って白骨化が進んでしまったミゲルと、いよいよ2度目の死が近づきつつあるヘクター。

ミゲルは、これまでの行いを激しく後悔しました。

自分が身勝手な自由を求めて動き回ったせいで、2人は最悪の結末を迎えようとしています。

ヘクターは、想いを吐露します。

2度目の死を迎える前に、せめてもう1度だけ生者の国にいる娘に会いたいと。

デラクルスに横取りされた曲の中には、娘の為だけに作曲し、毎晩歌って聞かせた曲がありました。

愛する娘に贈る、いつまでも自分を忘れないでいてほしいと願う歌、それが「リメンバー・ミー」でした。

ヘクター:心から愛してたってあの子に言いたい…..俺のココ。

「ココ」…偶然でしょうか?

ミゲルの曾祖母ママ・ココと同じ名前です。

ミゲルはハッとして、ポケットに入れたままだった祭壇の写真を取り出します。

生前のママ・イメルダと幼い頃のママ・ココ、そして、首から上が無いミュージシャンの写真です。

ヘクターもどうやらその写真に見覚えがあるらしく、驚いた様子を見せます。

ヘクター:俺達…….家族…..?

ミゲルの高祖父は、伝説のミュージシャンではありませんでした。

ただ家に帰りたかっただけの、一人の父親だったのです。


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随分と遠回りしてきたけど、ようやく探し求めていた人に会うことが出来たミゲル。

しかしすでに全ては手遅れで、2人には深い穴の底から這い出る方法がありませんでした。

意気消沈する高祖父と玄孫でしたが、そこへ思わぬ救いの手が現れます。

ママ・イメルダ:ミゲル、心配したわよ!日の出前に見つかって良かった!

ママ・イメルダです!

イメルダは、逃げ続けるミゲルを諦めずに追跡し続けていました。

とりあえずの危機は脱したミゲルとヘクターですが、やるべきことはまだ残っています。

ヘクターの2度目の死を回避するためには、彼の顔が映った写真が必要ですが、その写真は今デラクルスが持っています。

ミゲルは、写真を取り戻すために、再びデラクルスの居所に向かいます。

でも、今度は1人じゃありません。

ママ・イメルダ、ロシータおばさん、ヴィクトリアおばさん、フリオおじさん、オスカルおじさん、フェリペおじさん、そしてヘクターも一緒です。

イメルダ一同に詰め寄られたデラクルスは警備員を呼びますが、リヴェラ家の息の合ったコンビネーションの前ではひとたまりもありません。

こういうシーンでは、大概1人はカンフーアクションっぽいことをやるもんですが、案の定オスカルおじさんとフェリペおじさんがやってくれました。

かくして、デラクルスを追い詰めて懲らしめることに成功したリヴェラ家でしたが、ここで思わぬアクシデントが発声しました。

デラクルスとの混戦の末に、ヘクターの顔が映ってる写真が、深い湖の底に沈んでしまったのです。

ヘクターを見殺しにしたくないミゲルは、湖に潜って写真を探そうとしますが、日の出の時刻がすぐそこまで迫っています。

ヘクター:もう時間が無いミゲル….あの子に伝えてくれ、愛してるって。

最愛の一人娘への遺言を、玄孫に託すパパ・ヘクター。

若き子孫を死なせたくないイメルダは、ミゲルに許しを与えて強制的に元の世界に送り返します。

ミゲルが目を覚ました場所は、全てのきっかけになったデラクルスの霊廟でした。

傍らには、失敬しようとした高祖父のギターが転がっています。

死者の日は終わったらしく、外はすっかり明るくなっています。

ミゲルは、ギターを片手に、我が家へ向かって駆け出します。

かつてのミゲルにとって、家族はしがらみでしかありませんでした。

しかし、長い冒険を経て、家族より大切なものは無いことに気付いたのです。

そして今、大切な家族が1人、永遠に失われようとしています。

ミゲルは、車椅子で眠りこけるママ・ココに、死者の国で高祖父に会ったことを話し、彼のギターを見せて何とか思い出させようとします。

ですが、ママ・ココは思い出すどころか声が聞こえているかどうかも怪しい状態です。

ミゲル:お願い、忘れないで!消えちゃうよ…永遠に…..

全く打つ手が無く、絶望に暮れるミゲルでしたが、あることを思い出します。

深い穴の底に落とされた時、ヘクターが聴かせてくれたあの曲のことを。

意を決したミゲルはギターを担ぎ、家族の目の前で音楽禁止の掟を破ります。

曲のタイトルは「リメンバー・ミー」、父が捧げる娘の為の歌です。

涙混じりのミゲルの歌声に、寝たきり同然だったママ・ココの歌声が重なります。


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ママ・ココ:パパがよくその歌を歌ってくれた…。

ママ・ココは、それまでに見せたことの無い笑顔でそう言いました。

ママ・ココ:エレナ…..なんで泣いてるの?

ミゲルの祖母:なんでもないよ…..なんでもないお母さん…..。

そして、しわしわの震える手で、小物入れから自分の手帳を取り出します。

手帳に挟まっていたのは、父が自分にあてた手紙と、破れた写真の一部でした。

ミゲルの持っていた、首無しミュージシャンの写真の破れた部分とぴたりと一致しました。

ママ・ココ:パパはミュージシャンだったの…小さかった頃、パパとママはいつも素敵な歌を歌ってくれた….。

かくして、リヴェラ家の高祖父の思い出は蘇り、下の世代に語り継がれるのでした。

長い長い旅の末に、ヘクター・リヴェラは、ようやく家に帰ることが出来たのです。

おかえりなさい、パパ・ヘクター。

3.「リメンバー・ミー」の見どころ


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以上で、「リメンバー・ミー」の物語はおしまいですが、ステキな思い出はできましたか?

思い出は振り返った数だけ蘇ります。

ここでは、「リメンバー・ミー」の見どころを、わたしと一緒に振り返ってみましょう。

弾き手が変われば曲も変わる

冒頭の、ウォルトディズニーピクチャーズのロゴ画面は、覚えてますか?

「星に願いを」がいつものオーケストラ調ではなく、マリアッチ風の演奏になっていたはずです。

「ただのアレンジ」と言ってしまえばそれまでですが、これこそがリメンバー・ミーのテーマの象徴といえる演出なんです。

ヘクター:みんなの為に書いた曲じゃない、ココの為に書いた。

同名の曲「リメンバー・ミー」は、劇中で何度も歌う人・演奏する人を変えて登場していました。

ミュージカル仕立てのデラクルス版に始まり、コンテストに登場した数々の妙なアレンジ、ヘクター版、そしてミゲル版。

全く同じ曲のはずなのに、どれも全然違う曲に聞こえますよね。

最後の2つは一見同じなんですが、前者は「ヘクターが娘に捧ぐ歌」で、後者は「ミゲルが、高祖父を曾祖母に覚えていてもらう歌」なので、やはり意味合いが変わっています。

これは、人によって価値観と立場が異なるからなんです。

この曲のアレンジが象徴するように、本作では、視点を変えると見える物が変わってくるシーンが、随所にちりばめられています。

音楽からミゲルを守ってやりたいリヴェラ家

最終的に音楽と共存することを選んだミゲルの家族達ですが、音楽を拒絶していた頃から、ミゲルへの愛は一貫していました。

ミゲル:でも、僕が上手に靴を作れなかったら…?

ミゲルの父:あぁミゲル、家族みんなでお前を導く!

上記のやり取りは、ミゲルが靴磨きを卒業になった時のシーンですが、これも視点を変えれば、ミゲルの家族がこんなことを言い出した背景が見えてきます。

想像してみて下さい、身内の中で1人だけ落ちこぼれている子がいたらどう思うでしょう?

親戚達は、みんなとっくにまともな仕事をしているのに、その子だけは下っ端の見習い仕事で、最近は音楽にうつつを抜かしている始末です。

そんな可哀想な子を見たら、きっと助けになってやりたいと思うはずです。

デラクルスの過去

デラクルスは、過去の実体験をベースに映画を撮っていました。

作中では、ヘクターを毒殺した過去が元ネタになっている「家族への道」がフォーカスされていましたが、ここではもうひとつの映画に注目してみましょう。

シスター:でも神父様は耳を貸してくれません…。

デラクルス:貸してくれます、音楽になら!

本作の序盤で、ミゲルが見ていた映画のワンシーンですね。

前後関係は全く不明ですが、どうもシスターは自由な音楽の世界に羽ばたきたいらしく、それをデラクルスが後押ししているように見えます。

更に注意深く聞くと、映画の中では「でも父は…」と続いていることが分かります。

どうやらこのシスターさん、神父様と親子関係のようです。

自分と同じ職業の、自分を理解してくれない家族…..どこかで聞いたような話ですよね。

前述の通り、デラクルスは過去の実体験を脚色して映画化しています。

もしかしたらデラクルスは、ミゲルと同じような境遇に生まれていたのかもしれません。

デラクルス:私達は生まれながらの芸術家なんだ、1つの家族には収まらない!世界が私達の家族だ!

人は、手に入らないものを他のもので代用しようとするもの。

デラクルスが親友を殺し、その子孫まで殺そうとしてまで名声に固執したのは、本当に欲しかった家族の理解の埋め合わせだったのかもしれませんね。

リヴェラ家の一員として

序盤のミゲルは、「つまらない他の家族と違って音楽が好きである」と自負していました。

しかし終盤で、自分だけ違うことに孤独を感じていたことを吐露します。

ミゲル:これまでずっと家族の中で僕1人だけ違ってて「なんでだろう?」って思ってた。やっと分かった、ヘクターに似たんだよ。僕達が家族で嬉しい。僕、ヘクターの家族で良かった!

家業を誇りに思えなかったミゲルでしたが、高祖父のヘクターと出会ってようやく居場所を見つけます。

自分は異物ではなかった、自分もリヴェラ家の一員なんだと思えるようになったのです。

そして、ヘクターに似ているのは、ミゲルだけじゃありません。

エピローグでは、「ミュージシャンは才能が無いとなれない」とバカにしていたロサも、バイオリンを始めています。

家族はみんながみんな、お互いに繋がりを持っているのです。

4.「リメンバー・ミー」はこんな人におすすめ!


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もし、あなたが何も悩みが無い人ならば、この映画は「美しい家族愛を描いた素晴らしい映画」以上でも以下でもないでしょう。

しかし、あなたがもし、人生において何らかの重大な悩みを抱えているとしたら…..「リメンバー・ミー」はそれを解決する大きなヒントになるかもしれません。

ということで、以下のような方には特におすすめいたします。

孤独を感じている人

ミゲルは、死者の国での旅を通じて、家族より大切なものは無いと気付かされます。

大切にしたい人や、自分を大切にしてくれる人は、わたし達にも必ずいる。

リメンバー・ミーは、そのことを教えてくれるのです。

自由を求めている人

出る杭は打たれる、とよく言われます。

自由に生きたいと願い行動すると、必ずといっていいほど邪魔が入りますし、それはほとんどの場合が家族です。

では、家族のしがらみから解放された先に、自由はあるのでしょうか?

それはきっと、違うはずです。

本当の自由とは一体何なのかを、ミゲルと一緒に探してみるのもいいかもしれませんね。

同じ物を複数の視点で見てみたい人

すでに触れた通り、この映画には、違った角度から見ると全く印象が変わるシーンが、いたるところにあります。

該当するシーンは、ここで挙げた他にもたくさんあります。

是非、何度もこの映画をみて探し出してみて下さい。

 

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