考察を超えたプーさん哲学!映画「プーと大人になった僕」を徹底解説【あらすじネタバレあり】

プーと大人になった僕 フライヤー

こんにちは!エンタメブリッジライターのしおりです。

今回は「プーと大人になった僕」についての作品紹介、あらすじ、見どころについて解説していきます。

ところでこの映画が公開されたとき、予告映像やプロモーションCMを観た皆さんはどう思いましたか?

私はこう思いました。

うっ、なんだかモサモサのプーさんに違和感・・・

それは私が致命的なことを知らなかったから…です。

それは、「プーさんはぬいぐるみ」であること…

プーさんは原作では、少年クリストファー・ロビンの持つテディベアだったんです。

ついでに、仲間たちのピグレットやイーヨーたちも全部ぬいぐるみという設定です。

これだけ世界中の子供から大人に愛されているプーさん。

ディズニーランドでハニーハントに何時間も並ぶこともいとわず、羽生結弦選手の試合後に大量に投げ込まれるプーさんを日常的に見ている私たちでも、実はプーさんのことってびっくりするくらい知らないんですよね。

ということで長い間観る気がしなかった「プーと大人になった僕」ですが、今回改めて観てみて1つのことに気づきました

「この映画は深い」

プーさんも深ければ、ストーリーも背景も深いです。

この映画の原題は「Christopher Robin/クリストファー・ロビン」。

その深さの要因の1つは、この原題にも隠されています。

そんなわけで、今回は「プーと大人になった僕」の映画が教えてくれる真のプーさんの姿とその皮肉な運命、心理学にプー哲学…と、とにかくいろんなことを、皆さまに知っていただきたく思います。

1.「プーと大人になった僕」の作品紹介

公開日: 2018年8月3日 (アメリカ)
監督: マーク・フォスター(Marc Forster)
脚本:トム・マッカーシー(Tom McCarthy)
原作者: A.A.ミルン(A. A.Milne)
原作:くまのプーさん
出演者:ユアン・マクレガー(Ewan McGregor)、ヘイリー・アトウェル(Hayley Atwell)、ジム・カミングス(Jim Cummings)、ブラッド・ギャレット(Brad Garrett)。
日本語版吹替:堺雅人、かぬか光明。

2.「プーと大人になった僕」のあらすじ


画像出典:https://tsutayamovie.jp/

続いては、「プーと大人になった僕」のあらすじにうつります。

「プーと大人になった僕」は、プーさんアニメをまともに観たことがなくても十分内容はわかりますのでご安心を。

「プーと大人になった僕」のあらすじ(ネタバレなし)

「100歳になっても忘れないよ」

プーさんシリーズ原作4部の最終章で交わされた、プーさんとクリストファー・ロビン少年の約束。

映画もこのシーンから始まります。

そんな100エーカー(東京ドーム約9個分)の森のプーさんワールドを離れたクリストファーは、全寮制の学校に入学し、厳しいしつけと教育を受け、結婚、第二次世界大戦に出征します。

森を離れて30年後、気が付けば「普通の大人」になっていたクリストファー。

この「普通の大人」という言葉はwikipediaからの引用ですが、「普通の大人」ってなんでしょうね…。

まあこの、「普通の大人」の意味することをガンガン考察するのが、この映画のミソです。

そして、かわいい女児も生まれ、ウィズロウ社の旅行カバン部門の「効率化部門」で働くこととなったクリストファー。

大手なのかもしれませんが、はっきり言ってブラック企業です。

家族の時間も取れず、妻との仲は最悪、同じく全寮制の学校に通わせた娘は必至にクリストファーの愛情を求めますが、ほぼ家庭は母子家庭状態です。

クリストファーはある日、「20%のコスト削減案を土日返上して考えろ」と社長から命令され、久々に家族で田舎に帰る機会もなくし、妻子との仲は険悪に…。

コスト削減=リストラです。

家庭も仕事も回らず、ベンチで死ぬほど思い悩んでいるところへ突然プーが現れます。

過労のせいでついに幻覚を見たのか?!とパニクるクリストファー。

ネタバレなしはここまでとしましょう・・・

「プーと大人になった僕」のあらすじ(ネタバレあり)

プーと大人になった僕 ロンドン
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

最初の40分ほどは延々と暗いシーンが続きます。マジで暗いです。。

クリストファー演じるユアン・マクレガーが本当に全く笑わず、眉間にしわ寄せた演技が続き、短調のBGMも相まって油断すれば寝落ちてしまうかもしれません。

でも、この前半が、後半の疾走感への伏線なのでしっかり目を覚ましておいてください。

さて、プーが突如ロンドンのベンチに現れてからのクリストファー・ロビン。

感動の再会!

と思いきや、「ついに俺は壊れた…」と幻覚を見たと感じるクリストファーは狼狽します。

正体が少年時代を共に過ごしたプーとわかっても、クリストファーの反応はこうでした。

「はっきり言ってウザイ」。

私も最初はそう思いました。

まず、プーさんのしゃべるスピードはめちゃくちゃ遅い。

申し訳ないけど、急いでいるときにこの会話スピードはイライラの元…。

家ではちみつ食わせりゃ家じゅうベタベタにするし、勝手にキッチンをよじ登って食糧や食器もドンガラガッシャーン…。

結局クリストファーは、プーをあの田舎の森に返しに行きます。

森に無事着くと、ここから急に場面転換、ファンタジー世界に切り替わります。

やけに霧が濃く不気味な森にいるはずの、プーの仲間――ピグレット、イーヨー、ティガーたちが忽然と姿を消していました。

そして、クリストファーの後ろにいたはずのプーも、突然消えてしまうのです。

森の中で迷子になったクリストファー。

思い出の地を辿るようにてくてく歩いていると、昔プーたちと遊んだ橋にたどり着きます。

そこに、突然サ~~と野太い声で川に流されていたイーヨーを発見、クリストファーは助け出すと、「イーヨー!」とここで初めて笑顔になります。

しかめっ面がデフォルトだったので、この笑顔にはハッとさせられますね。

そして、ピグレットやティガー、カンガ、ラビット、最後にプーさんを次々と見つけることがクリストファー。

彼らと森で交流して、クリストファーが少年時代に学んでいた、「本当に大切なもの」をだんだん思い出し、取り戻していきます。

この「本当に大切なこと」はあとでじっくり解説することにします。

しかし、一晩森で寝てしまったクリストファーは目を覚ますとすでに1日経過。

「会社で11時から会議だ!」

と猛ダッシュでロンドンの会社へ戻りますが、プーの森に肝心のリストラ案の書類を置き忘れていました。

一方、同じ森の側のコテージに来ていた妻イヴリンと娘マデリンは、もうロンドンでクリストファーとは同居せず、ここで2人で暮らそうと考えます。

マデリンが1人寂しくテニスコートで遊んでいると、クリストファーの書類をエッサエッサと運ぶプーたちを発見。

キャーーーーー!!

と悲鳴を上げるマデリンですが、プーが父・クリストファーの少年時代のお絵かきによく描かれていたことから、これはパパの知り合い(?)のプーたちだと気づきます。

そして、「探検」と称してマデリンはぬいぐるみ4匹を引き連れ、ロンドンの会社へ書類を届けに追いかけ、後追いした妻イヴリンも合流します。

そして会社に到着したクリストファー、妻、娘、それにプーさん達4匹は、「効率化リストラ案」を全力で阻止し、プー哲学を取り入れた革新的な効率化案を提案。

「旅行カバン部門」の人材は誰も切り捨てることなく、クリストファーもさっさと有給休暇を取り、娘の寄宿学校の退学も許可。

家族3人で100エーカーの森を訪れ、動物たちとみんなで楽しくピクニックをするシーンで終わります。

3.「プーと大人になった僕」の見どころ

プーと大人になった僕 動物
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

続いては「プーと大人になった僕」の見どころを紹介します。

プーにまつわる背景を読んでから映画を観ていただいた方が、より深く映画を理解できるかもしれません。

「プーと大人になった僕」は「表面的なこと」だけで楽しむ映画ではないんですよ~!

プーは「イマジナリー・フレンド」という自分自身!?

本作で私は、

「なぜ大人になったクリストファーのところにプーが現れ、それを見ることができたのか?」

を不思議に思いました。

なぜかと言うと、街ゆく人や駅の人達は「明らかにこれ不自然じゃない!?」というほど、プーたちをスルーするのです。

かといって「他の人には見えない」という設定でもなく、「気づいておきながら気づかない」と言った非常にあいまいなラインを攻めているんですよね。

そこで私は、プーさんたちの存在はクリストファーが大人になって窮地に立たされたとき、再び現れた「イマジナリー・フレンド」だったんだ!と考えました。

「イマジナリー・フレンド」とは、欧米では非常にポピュラーな心理学用語で、小さい子供にしばしば存在する「空想の友達」です。

多くは8~12歳ごろまでに消滅し、病気ではなく子供の成長には自然なことです。

空想の中で、親しい人や存在を作り上げ、怒りや悲しみ、喜びなど感情が高ぶったとき、その人とコミュニケーションし、助言を与えてくれたり、他人に理解されないこと受容してくれたりする存在です。

ぬいぐるみや人形に話しかけることは、最もポピュラーなイマジナリー・フレンドの現れ方でしょう。

人は、自分に足りないものを必然的に補おうとします。

ちなみにうちの子は1人っ子ですが、ときどき架空の「姉」を作り出し、「おねえちゃんがね、」と話します。

胎内記憶か?と思っていましたが、どうもイマジナリー・フレンドのほうが合致しているようです。

また、米ドラマ「デスパレートな妻たち」でも、キャリアウーマンのリネットの息子パーカーが、リネットが会社勤めを始めた途端「ミス・マルベリー」という架空のベビーシッターを作り上げ、寂しさを紛らわします。

イマジナリー・フレンドは、ポジティブな側面もネガティブな側面もあるんですね。

ところで、プーさんの原作とは1926年A.A.ミルンによって出版された児童文学。

原作では、A.A.ミルンの実在の息子クリストファー・ロビンを主人公として、彼に買い与えたテディベア(のちのプー)や他の動物のぬいぐるみたちを擬人化させ、それらが森で実際に生活し戯れている光景を書いています。

つまり、プーさんは100%架空なのではなく、動物たちはクリストファーの「イマジナリー・フレンド」であり、イマジナリー・フレンドである限り「プーさんたちは結局クリストファーの一部」なんですね。

だから両者はよく入れ子になるんです。

子供時代は自分がヒーローとして動物を助けてあげていた側、今回は動物がヒーローになり自分が助けられる側。

イマジナリー・フレンドには、シンボリックな役割があって、本作ではキャラ設定にそれが出ていると思いますが、「プーさん=癒し」「ピグレット=不安」「オウル=知識」といったところでしょうか?

そして、なぜ疲労困憊したクリストファー一家だけに、プーさんが活き活きと見えたのか…?

それはクリストファーたちがイマジナリー・フレンドからの救いを、意識したかしなかったかに関わらず、心から欲していたからじゃないか?と思うんですよね。

ちょっとここはファンタジーとのギリギリのラインですけど、他の人には見えているのか見えていないのかわからない不自然さ、窮地になって現れたプーたちが彼を救い出すことなどから、私はプーはクリストファーが大人になってからもう1回追体験したイマジナリー・フレンドなんじゃないかなと推測します。

必要とするからこそ、イマジナリー・フレンドは現れてくるわけです。

成長って何?プーの「Nothing」な生き方

プー 森
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

クリストファー・ロビンを救ったのは、プーの「Nothing」な哲学でした。

道教的に言えば「無為自然」、日本的に言えば「断捨離」の美学に通ずるものがありますね。

プーは、このような言葉をクリストファーに投げかけます。

・Doing nothing often leads to the very best of something.

(何もしないって、最高の何かに繋がるんだ。)

・I do nothing every day.

(ぼくは毎日『何もしない』をやってる。)

身近に、こんな人がいたらあなたはどうしますか?しかも大人で…

「ニート」と名付けられ、「働け働け」ととにかく何かを生産することが「社会復帰」と押し付けられ、ベシベシ尻を叩かれることでしょう。

学童期であれば「登校拒否児」とアウトサイダーなレッテルを貼られ、フリースクールにでも行けとベシベシ尻を叩かれるかもしれません。

成長するにつれて、私たちは「はたらかないというはたらき」が見えなくなります。

ときに「社会のお荷物」とまで非難されて、不当な差別を受けてしまった障害者の方が、人権はく奪、大量殺人の被害者となってしまった1970年府中療育センター闘争、2016年津久井やまゆり事件も、これに通ずるものを感じます。

すなわち「生産できないもの生きるべからず」という資本主義にある行き過ぎた価値観です。

私たちは「はたらかないというはたらき」をしている存在――子ども、お年寄り、女性、障害者の方などにどれほど支えられているか?彼らがどれほど世界を優しいものに中和してくれているか?・・・そんな恩恵に気づくことがなかなかできません。

大人になるとはどういうことでしょうか?

「金を稼ぐ」「毎日忙しい」「組織の歯車になりきれる」「子供にいい教育を与える」「将来の幸せに金と時間を費やす」…

確かにこんな人いたら、ちょっと「大人の証」って思ってしまいませんか?

でも、結局クリストファーはこの究極の資本主義的価値にがんじがらめになって崩壊します。

「愛する家族と時間を過ごす」「子供を尊重し自立させるのが親の役目」という原始的なことさえ忘れてしまうのです。

怖いッスね…。

かの有名なALSの天才物理学者ホーキング博士も、生前にこんな言葉を遺しています。

「そこに愛する人たちがいないのなら、宇宙なんて大したところじゃない。」

「価値観」ほど曖昧で移ろいやすいことはないんですけど、それを盲信して縛られすぎてしまうのは現代人の陥りやすい罠です。

だからこそクリストファーは、はちみつ食うだけの能天気なプー、ただただ友達を大切にし続けるプーという、普遍的で対極の生き方をする存在に救われたのでしょう。

また、プーさんはこうも言っています。

・I always get to where I’m going by walking away from where I’ve been.

(ただ別の場所にいこうとするだけで、ぼくは今いる場所じゃない所にいけるんだ。)

「なんのこっちゃ?」って感じでしょうか?

プーと大人になった僕 図

こんなふうに、「A点からB点へ移動する」ただそれだけの意味なのですが…。

でも、考えてみてください。

ブラック企業から抜け出せず身動きが取れず過労死や自殺に追い込まれてしまった人、そしてこのクリストファー。

「やめればいいじゃん」ってハタ目には思うけれど、彼らはやめられなかったんです。

ただB点へ移動するだけのシンプルな判断が、自覚があっても無自覚でも、人は追い込まれてしまうとできなくなくなるんです。

「仕事なくなったらどうしよう」「親や友人からどう見られるだろう」という社会通念から逸脱してしまう恐怖もありますよね。

プーさんは、そんなことに縛られません。

今いる場所でないところに移動できます。

すなわちそれは「自由」と「解放」です。

大人になることは、価値に縛られてもがき苦しみながら生きることなのか?

自由で解放的に生きることは、子供じみたことなのか?

「プーと大人になった僕」は、そんな問いを投げかけてきます。

大人になるということは、要は折り合いなのかもしれません。

「自殺防止メッセージ」凝縮の理由

プーと大人になった僕 マデリン
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

2008年「007 慰めの報酬」などで有名な、本作の指揮をとったマーク・フォースター監督。

実は、マーク・フォースター監督は、1998年マークが30歳ほどのころ、統合失調症を患っていた兄を病院からの投身自殺で亡くしています。

「『プーと大人になった僕』で1番泣いたシーンはどこですか?」

という記者からのインタビューに対し、監督は

「家族が愛情を表わし始めるシーンです」

と答えています。

この映画には「自殺防止」のメッセージが散りばめられている気がします。

過労で社畜のクリストファー、愛を諦めた妻、そして1番は、

「お父さんに好きになってもらうため」

と必死で頑張る娘マデリンの叫びかもしれません。

マデリンは、せっかく寄宿舎から帰ってきて、週末家族で過ごすことを楽しみにしていたのに、反故にされて大爆発し、テーブルの上の物をガッシャンガッシャン投げて破壊します。

最初私はこれ、妻のイヴリンがやっているのかと思っていましたが、娘のマデリンだったので驚きました

ちょっと大げさではないか?!と感じられるほどのシーンなんですけど、

楽しむってどういうこと?

と後で母親に尋ねているので納得です。

父に好かれるため自分に抑圧に抑圧を重ね、子供らしい生き方ができず爆発してしまったのがマデリンなんです。

統合失調症は、現代医療でも解明されていないことが多いのですが、鬱などの症状に比べ先天的な要因が大きいと言われていて、発症年齢も思春期以降といったことが今は有力な説です。

実は私の同級生も、統合失調症を患った末、1年ほど前に自殺してしまいました…。

地元を離れ、10年以上も会ってなかった私でさえ「なぜ私は救えなかったのか?何かできることはなかったのか?」と1週間ほど落ち込んだものです。

マデリンに、監督がお兄さんの悲痛な叫びを投影させたかはわかりません。

しかし、本映画はクリストファーの苦しみだけでなく「家庭で1番弱き存在」である子供の苦しみに気づく大切さも、多分に込められているように思います。

「誰かに好かれるため」を基準に行動し始めたら、人はどんどん病んでいきますからね。

原作者と息子を引き裂いた、皮肉なキャラ「プー」

プーと大人になった僕 原作
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さて、「プーと大人になった僕」はハッピーエンドで終わるあくまでフィクションの映画です。

しかし、プーというキャラクター、そして原作者のA.A.ミルンから無理やり主人公に仕立て上げられた実在の息子「クリストファー・ロビン」には、大変皮肉な運命があります。

実は、「プーと大人になった僕」の公開前年の2017年に、「Goodbye Christopher Robin」がアメリカで公開されました。

興行収入が少なかったせいか(?)日本での劇場公開はありませんが、この映画は「プーと大人になった僕」とは非常に対照的です(VOD配信はあるのでぜひ!)。

「Goodbye Christopher Robin」は、プーをこの世に生み出したA.A.ミルンの自伝的映画です。

息子、クリストファー・ロビンがぬいぐるみと戯れる姿を見て、プーを発想したA.A.ミルン。

しかし、プーさんシリーズが世界的成功をおさめすぎたため、少年クリストファーの心を大変傷つけます。

クリストファーは作品の影響から勝手に聖人扱いされ、子供でありながらゴシップ誌に追いかけられ、寄宿学校でもいじめに遭い、プーを世に送り出した父を憎しみます。

プーさんシリーズが4作で終わったのはそのためなのです。

そもそもミルン家は夫婦仲も悪く、クリストファーが1番なついていたのは乳母のヌーでした。

その最後の命綱ともいうべき乳母も、結婚で退職し、クリストファーはそのことを「裏切り」と感じます。

父と同じ作家を目指すべくケンブリッジ大学に入学するも「親の名声を利用している」と再びいじめに遭い、結局作家になる夢は挫折し、親とは絶縁、いとこと結婚して書店を営みました。

父の死後もプーさんの印税は一切受け取らなかったと言います。

しかし、1956年父A.A.ミルンが亡くなると、クリストファーには、重度小児麻痺を持った娘が誕生しました。

ここからは映画に描かれていませんが、クリストファーはこの娘の存在にかきたてられ、自分の幼少期と徹底的に向き合う生活を送ります。

そして母も亡くしたあと、クリストファーは1974年「くまのプーさんと魔法の森」というプーさんの作品を書き、これが「作品の中での父との和解」と言われています。

そんなクリストファーですが、1996年惜しまれつつ死去しています。

あのかわいらしいプーが、親子を引き裂いてしまった原因になったとは、私も初めて知ったことで想像もつきませんでした。

4.「プーと大人になった僕」をオススメしたい人

プーと大人になった僕 ラスト
画像出典:https://tsutayamovie.jp/

この映画はあくまで大人向けだと思います。

うちの子も、前半の暗いくだりで早々に去っていきました…。

ということで、次のような方に観てもらいたいと思います。

クタクタの人、自殺を考えたことがある人

クタクタで、死ぬことさえ頭をかすめる人にはオススメです。

「前半の40分はあなたですよ…」というほど、クリストファーや家族の暗い心を描いています。

きっと感情移入することがあると思いますね。

そこへ、ヘンテコな動物たちがやってきます。

「誰コイツら?」というほど本当にヘンテコです。

ヘンテコな動物は、まるで謎解きのように「1度私たちを、幼少期に戻す」という課題を出します。

今、今、今、の連続があれほど楽しかった子供時代…。

疲れて気力さえわかない方は、流し観でもしながらゆっくり寝てください…プーさんたちのことを考えながら。

どこか、力が抜けるのではないかな?と思います。

またロンドン各地で撮影されたという広大な森林風景にも心が癒されます。

ワーキングママ、パパ

働く親にはオススメです。

おそらく大多数の人には「ぐはっ!耳がイタイ…」となるのではないかと思います。

最近の子供は、すぐ「疲れた~」というのを知っていますか?

親が家に帰るやいなや、毎晩のように「疲れた~」というからマネしているんですね。

本作では、あれほど親の押し付け教育に嫌な思いをしたクリストファーが、世代間連鎖で、同じように娘にもエリートの全寮制私立学校に通わせて、不幸な目に遭わせます。

普段子供を見ていて思いますが、「楽しい」に勝るエネルギーはありません。

「楽しいことだけが今日、明日を生きる活力」になっていますね(私も子育てには偉そうなことは言えませんけど…)。

でも自分の経験から考えても子供のとき楽しかったことって、大人になっても生きるエネルギーになってますよね。

皆さんにとって子供のとき楽しかった思い出って、何事にも代えられない宝みたいじゃないですか?

最後に、関根勤さんが育児について言及していた言葉を紹介しましょう。

ちょっとウロ覚えですがこのような内容です。

「楽しい」っていうコップと、「辛い苦しい」っていうコップがあったとして、楽しいっていうコップの水の方が多ければ多いほど、将来辛いことがあっても乗り越えていける力になるんじゃないかなと思って。

だから麻里が子供のとき、「楽しい」のほうを増やせるようにたくさん遊びました。

これが、しっかりされた麻里さんの誕生と、今でも仲良し親子の秘訣なんでしょうね。

「忙しい」「早くして」が口癖になってるパパ、ママ。

「明日の約束より今日の行動」をちょっと大切にしてみませんか?…私も気を付けます(恥

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