15時17分、パリ行き。これは実話を超えた【事実そのもの】ネタバレありのあらすじと見どころを解説。本人出演の評価は?

15時17分パリ行きチラシ

どうも!エンタメブリッジのゴリラ対タイヤキです。へんな名前ですいません。

今回は、巨匠クリント・イーストウッド監督による実話を基にした作品「15時17分、パリ行き」の解説をしていきます。

この映画はクリント・イーストウッド監督の、いわゆる(実話シリーズ)の最新作で、題材にしたテロ事件に居合わせたご本人達が出演した事で大きな話題となりました。

15時17分パリ行き主人公とオバマ
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主人公の3人だけでなく、現場に居合わせた一般の方々や、当時の事件に対応した警察官も本人役で映画に出演してます。

中にはテロリストに首を撃たれて生死をさまよったという被害を受けた人まで出演し、ご本人が経験した通りの、首を撃たれて死にかけるという演技をされているので驚きです。

最初は、この映画のキャスティングのためにオーディションが行われ、主人公の3人の配役も決まっていたらしいのですが、予定を変更して当事者本人達に出演を依頼したのです。

1.「15時17分、パリ行き」の作品紹介

公開日:2018年3月1日 (日本)
監督: クリント・イーストウッド
脚本:ドロシー・ブライスカル
出演者:スペンサー・ストーン、アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、マーク・ムーガリアン、イザベラ・リサチャー・ムーガリアンなど。
製作会社:ワーナー・ブラザース、ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ、ラットパック=デューン・エンターテインメント、マルパソ・プロダクションズ。

2.「15時17分、パリ行き」のあらすじ


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それでは、あらすじをご紹介していきます。

この映画の題材となったのは2015年8月21日に起きたタリス銃乱射事件であり、映画では事実に忠実に描かれています。

したがって既に周知の事実となっている事件の経緯や結果そのものがこの映画のストーリーであるため、国際ニュースに敏感な方にとってはもうこの映画のストーリーをご存知のはずなのですが、実際に筆者はこの映画を観るまでこの事件の事は知りませんでした。

私と同様にタリス銃乱射事件の事をご存知なく、この映画を観ようかな…と思っている方は(ネタバレなし)の部分のみご覧ください。

「15時17分、パリ行き」のあらすじ(ネタバレなし)

スペンサーとアレクは幼なじみの親友です。

前の学校にはなじめず、キリスト系の中学校に2人揃って転校して来ました。

しかし新しい学校でも2人は(浮いた)存在でした。

もともとは2人とも素直で優しい子なのですが、学校の教師たちの評価は最低でした。

スペンサーは集中して文章を読むことができない。

アレクは窓の外ばかりを観ている。

ついに教師は2人の母親を学校に呼び出し、お宅らのお子さん達はADD(注意欠陥障害)なので、薬の服用をお勧めすると言われてしまいます。

スペンサーもアレクもシングルマザーの家庭に育ちましたが、学校は露骨に偏見の目を向けてきます。

学校は2人の母親を呼び出し、心無い言葉を放ちます。

統計的にシングルマザーの子供は問題を起こしやすいのです。

2人は教師達から目をつけられていて、ほんの些細な事で、すぐに校長室に呼び出されるようになりました。

2人が校長室で出会ったのは、(校長室の常連)であるアンソニーです。

やがて3人は親友となり、毎日、大好きなサバイバルゲームで遊びます。

他の授業は落ちこぼれですが、第二次世界大戦の軍事計画を先生に質問するなど、3人とも戦争にはとても興味がありました。

しかし楽しい時は長くは続きませんでした。

アンソニーは別の学校に転校してしまいます。

アレクの母親は学校に呼び出され、「お子さんにとって最も良いのは父親と暮らす事だ」と言われてしまい、母親はこの言葉に激昂しますが、結局は学校の言うとおり、アレクを父親の元に戻す決断をします。

3人は中学生の時に離れ離れになってしまうのでした。

「15時17分、パリ行き」のあらすじ(ネタバレあり)

(ネタバレなし)からの続きです。

3人は離れ離れになりましたが、連絡を取り合い、親友であり続けました。

アンソニーは大学でスポーツ医学を専攻。

アレクは一足先に軍に入隊し、世界中に派遣されています。

スペンサーはジューススタンドで働いていましたが、厳しいトレーニングの末、彼も軍に入隊します

その間も3人は常に連絡を取ったり、実際に会ったりしていました。

3人はアレクの休暇に合わせて、ヨーロッパ旅行を計画します。

予定を完全には決めずに出発したアンソニーとスペンサー。

アレクとは現地ドイツで合流します。

3人の次の目的地はフランス・パリ。

3人は予定通り15時17分、パリ行きの高速鉄道タリスに乗り込むのでした…

3.「15時17分、パリ行き」の見どころ


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この映画の各シーンはリアルさにこだわって制作されていますので、スローモーションなどの映像効果や効果音は必要最低限にとどめられています。

そのため、初見では見逃してしまいそうなポイントがありますので、ここでご紹介していきます。

驚異の再現性。実験とも呼べるチャレンジ

高速鉄道タリス
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この映画は当事者本人達が出演している事は述べましたが、ほぼ全てのシーンが細かく、事実に忠実に撮影されています。

クライマックスの列車内のシーンは実際に列車を走らせながらの撮影で、照明はおろか、反射板すら使わずに撮影されました。

洋服や髪型や靴ももちろん、事件当時のものと同じにしました。

実際に列車内に居合わせた人たちを集め、監督は何度も「事実と違わないか?ありのままにやってほしい。」と言いながら撮影を進めたとの事です。

大勢の人たちを集めて、各々が記憶をたどって再現しながら作っていったシーンだからこそ、事実関係は実際の事件と全く同じに撮られています。

そのため、列車内の事件が発生してから終了するまではわずか5分足らずと短いですし、意図的に観客をハラハラドキドキさせるためのギミックやエフェクトもありません。

3名がテロリストを制圧した時に用いた攻撃方法も、3名で取り囲んでの袋叩きやスペンサーによるバックチョークであり、映像的にはあまりヒロイックなものとは言えません。

しかし、これが現実です。

世間のアクション映画とはまるで違う構図ですが、ライフルとハンドガン、そしてナイフを持った相手に対してキックやパンチをかっこよく決めていては命は無かったでしょう。

このような(事実へのこだわり)はクライマックスのシーンだけでなく、幼少期のシーンや旅行中のシーンもすべて(ありのままに)再現された映画です。

役者未経験。本人出演のリアルな演技

カチンコとアンソニー
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3名ほか、本人出演した人たちの演技は、まるでカメラを向けられている事を意識していないかのような自然な演技であり、「わざとらしさ」を全く感じさせません。

もちろん、演技の経験がある人など誰もいません。

映画評論家の松崎健夫さんも、「観た人はみんな無名の俳優を使った映画だと思うだろう。未経験者で、しかも本人だとは気付きようがない。」と語っています。

このような自然な演技はクリント・イーストウッド監督が引き出したと言ってもいいでしょう。

なぜなら、演技が下手な人と上手な人の差があるわけではないため、出演者の個人の力ではないと見受けるからです。

出演する全員が素晴らしい演技ができているのは、本人達に一度経験した事がある事をもう一回やらせるというプロセスを徹底した事と、幼なじみで親友の3人の空気感を壊さないように絶妙な立ち位置で裏方に回った事でしょう。

実際、自分自身とは全く違う役を演じるというような仕事はプロにしか出来ないと思います。

しかし、自分自身を演じるという事に関しては、周りのバックアップしだいで未経験者でも十分可能である事を証明してくれました。

この素晴らしい演技をやりきった3人は、この映画の後も数々のオファーがあったと想像できますが、アレクとスペンサーは軍に、そしてアンソニーは大学に戻っています。

余談ですがスペンサーはこのタリス銃撃事件の数ヶ月後、バーの外で男達に執拗に写真を撮るなどの嫌がらせを受けていた女性を助けましたが、その際に後ろから数回刺されて重体になりました。

この映画の出演はその傷が完治した後でした。

運命の不発弾

カラシニコフ自動小銃拾い上げ
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テロリストの犯人は突進してくるスペンサーに対してAK-47の引き金を引きますが、初弾から不発に終わります。

後でアレクは犯人から奪ったこの銃を分解した時に薬室に綺麗に残っている弾丸を見つけ、不発だった事を知ります。

初弾なので装填や廃莢の時の作動不良ではなく、弾丸自体が不良品、つまり不発弾であるという奇跡的なケースでした。

アレクはこれを見て、「何百万分の一の確率だ。」と言います。

映画の中では引き金をしっかりと引く事が出来ていて、(カチッ)という撃針の音もしているため、セーフティーがかかっていたわけでも無さそうです。

何はともあれ、もちろん、これが発射されていたら続けて最低でも29発は連射可能な状態が続いていたため、スペンサーが殺されていただけではなく、車内は大惨事になっていたでしょう。

犯人はこの他にも予備の弾薬を270発用意していました。

犯人はその後スペンサーに取り押さえられた時に、ズボンの前に差し込んでいたハンドガンを取り出しますが、その時に銃から弾倉が抜け落ちてしまいます。

そこにアレクが駆けつけ、犯人から銃を奪います。

アレクがそのハンドガンから弾倉が抜けている事に気づいていたかどうかはわかりませんが、直前に1発発射しているため、どちらにしても薬室に残った1発は、たとえ弾倉が抜けていたとしても普通なら射撃可能です。

アレクはその銃を犯人の頭に突きつけ、躊躇なく引き金を引きます。

しかし、弾丸は発射されませんでした。

続けて彼はもう一度引き金を引きますが、結果は同じ。

作動不良が起きていたか、もしくは弾倉が抜けた時に薬室内の弾も抜けたのかもしれません。

もしここで銃弾が発射されていたら犯人は即死していたはずあり、そうなっていたとしたらアレクの現在の状況も、今とは変わっていたはずです。

たとえ正義を守る為とは言え、現役の軍人が拘束されている相手に対して一方的に頭を撃ったとなっては、多少賛否が分かれる結果になっていたかもしれません。

4.ゴリラ対タイヤキの視点

監督や主人公からのメッセージ

クリントイーストウッドの笑顔
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監督はこの映画を「普通の人に捧げる」と言っています。

また、劇中でも奇跡を起こした3名を、(普通の人)として描いています。

たしかに3人中2名は軍人ですが、そもそも幼少期から戦争に憧れてサバゲーなどをやっていた事がモチベーションとして描かれていたり、問題児であり劣等生として描かれていますので、明らかに軍の中でもエリートとは違います。

この映画を観た多くの方はこのように考えるはずです。

もし自分が乗った列車であんな事があったらどうしよう…
自分に何かできるのだろうか。

多くの人は、やっぱり自分はおそらく隠れているだけが精一杯と思うかもしれませんし、中には、自分だったらテロリストが通り過ぎてから武器になるものを用意して、背後を狙うと考える人もいるかもしれません。

このように多くの観客が自分に置き換えて考える事ができるのは、やはりこの映画のリアルな作り込みによるものでしょう。

テロリズムは突如、思いもよらないタイミングで発生するものです。

この、「突如」という感覚を際立たせる為、映画ではもったいぶるような演出は全く無く、本当に突然犯行は始まります。

脚本の段階では、テロリストとなった犯人の生い立ちや、犯行に至った経緯まで描かれていたそうですが、映画では全てカットされました。

テロの現場に居合わせてしまった人たちにとっては犯人の情報は知りえません。

ただ、何の前触れもなく目の前で信じられない光景が始まるだけですので、観客にも同じ感覚を味あわせようとしたんですね。

後に主人公3名とイーストウッド監督のインタビューがありましたが、その時にアレクはこのように語っています。


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危険な状況に遭遇した時、人を助ける行動を起こす。

それが一番大事なメッセージ
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それが一番大事なメッセージだと思う。

心構えだけしてほしい
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具体的でなくていいから、心構えだけしてほしい、と答えています。

非常にわかりやすいメッセージであり、頭で考えるのでは無く、この映画を観た人なら誰でも感覚に刻み込まれます。

また、この映画を作った背景について、別のインタビューでは監督はこのように語っています。

僕がそれ(今後もテロリズムが多く起きる可能性がある事)を心配しているか?

僕だけじゃ無くて、みんなが心配していると思う。だからこそ、このストーリーを語る価値があるんだ。

なぜなら、この話は最悪な状態から、良いエンディングに向かうストーリーだったからだ。

この数年、僕たちが見てきた多くのテロリズムには、良いエンディングがなかった。そして、多くの場合、全く予知できずに始まるんだ。

ただ道を歩いていたら、誰かが突然トラックで轢くと決めるんだ。一体どうするんだい? 間違ったときに、間違った場所にいただけなのに…。

今回の場合は、彼らは、正しいときに、正しいことをやった。彼らは、なぜそれをやったのかわかっていなかった。彼らはただやっただけだ。それが興味深いところだ。

何かの後ろに隠れるか、飛び出て何かをやるかのどちらかだ。どちらも危険だ。でも、ひとつは、少なくとも何かをトライしようというものだった。

誰もが、そういう能力があればいいのにと思う。そして、多分、そうするかもしれない。実際にやってみるまで、決してわからない。

実際そういう状況になるまでは。彼らの場合、彼らは知らなかったんだと思う。

この映画のように大規模なテロリズムだけでなく、私たちはいつでも犯罪に巻き込まれる可能性があります。

この日本でも令和の時代に入り、東京オリンピックを目の前にして、物騒な事件も起きるようになってきました。

例えば、仮に、目の前の男に、明らかに殴られそうだとします。

警察に電話すると(殴られましたか?殴られていない?では、殴られたらもう一回電話してください。)と言われるでしょう。

弁護士に連絡すると、殴られて病院に行った後の診断書を持って来いと言われます。

裁判所では、受けた被害を法的な手続きによって回復してくれるでしょう。

つまり、殴られる事を阻止してくれる人は誰もいないのです。

日本は法治国家なので、罪を犯した人間には罰則が与えられます。

しかし、その罰則を全く恐れない人間にとっては何の抑止効果もありません。

暴力やテロリズムというものは、極めて高い実行能力を持って、いつでも私たちを傷つける事ができる存在です。

全ての人間にとって、テロリズムを起こす事は容易に可能なのです。

もちろんテロを起こす権利なんて誰にもありませんが、大量破壊をしようという人間にとって権利など何の意味もなく、実際には阻止なんてほとんどされません。

多くの電車やイベント、またはホテルでは飛行機のような金属チェックはありませんし、テルアビブ事件のような惨劇があった47年後の現在でも、空港の入り口まではノーチェックで入れてしまいます。

今回の映画のメッセージはとても具体的で実用的であり、あまりロマンに満ちたものではないかもしれません。

しかし自分自身や大切な人が最悪な状況でも生き抜く事、また罪のない人が理不尽に傷つけられようとしていたら助ける事はとても大切であるという事を再認識させてくれます。

私たちが普段の生活の中で列車に乗った時、または大勢の人が集まる場所に出かけた時、ほんの一瞬でもこの映画の事を思い出す事があれば、この映画は十分な意義を持つ作品だと言えます。

5.「15時17分、パリ行き」はこんな人におすすめ!

旅行中の乾杯サルーテ
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さらっと観ているだけではなかなか気づかないポイントが多いこの映画。特にお勧めしたい方をピックアップします。

普通の人(監督推奨)

この映画は、普通の人が、普通の人を救った事実が描かれています。

それを普通の人である私たちが観るわけです。

監督が言うところの「普通の人」とは、この映画で題材にされているようなテロリズムが起こった際、それを専門的に素早く解決できるような能力があるわけでは無い人、という意味です。

軍や法執行機関で閉所戦の訓練を受け、実戦経験のある人以外は、皆「普通の人」と言えます。

そう考えれば世の中は「普通の人」ばかりです。

年齢や体力の問題もありますが、我々のような「普通の人」でも有事の際は賢明で的確な判断を心がけたいですね。

あまりアクション映画を観ない人

テロリズムを題材にした映画ではありますが、いわゆる犯罪モノや刑事モノ、また戦争映画とは感覚が全く違います。

この映画は主人公である3名の若者の生い立ち、生き方から描かれており、その結果として最悪の状況から乗客を救うまでの人間性に焦点を当てています。

あまりアクション映画を好んで観ることがない、という人にも、偏見を持たずに観ていただきたいですね

格闘技や護身術、自衛隊の経験がある人

仮に格闘の経験があったとしても、この映画のようなテロリズムに巻き込まれたとしたら、どうでしょう。

ライフルを構えた犯人を目の前にすると、体から力が抜けてしまうのではないでしょうか?

あまりの恐怖に対応できずに、思考すら停止してしまうかもしれません。

それが人間の本能的な行動だと思います。

格闘の経験がある人全てに、テロリストに立ち向かえとは言えませんが、少なくとも全くの未経験者や、体格的に劣る子供やお年寄りと比較すると、まだ犯人を制圧できる可能性があると言えます。

少なくともその可能性のある人にとっては、この映画を一度ご覧いただいて、テロリズムをリアルに体感して、心構えをしていただきたいと願います。

  • ヨーロッパの街並みやアメリカが好きな人
  • 毎日電車に乗る人
  • 若干落ちこぼれ気味の青春時代を過ごしてきた人

事件が起きるまでの前半部分は友情が描かれた青春映画的な映像が続きますが、細かいセリフや挿入されるシーンの多くに、後半への伏線が張られています。

ご覧になる機会があれば、あまりテロリズム映画という事を意識せずに、リラックスしてご覧ください。

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